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巣鴨中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「巣鴨中学校の理科」
攻略のための学習方法

巣鴨中第Ⅱ期入試、理科の満点は50点、問題数が非常に多く、中でも計算問題が多いことが特徴であり、この傾向が毎年続いている。知識問題も多いが、かなり細かい知識を問う問題も見られる。今回は知識問題もあったが、難しいものではなかった。

攻略のための学習法としては、夏までを目標に幅広く正確な知識を固めること。計算問題対策としては、力学・化学変化を中心に演習量を十二分に確保して取り組むこと。目標とする問題のレベルは高めに設定して頑張って欲しい。問題の演習においては時間を意識することも必要となる。秋以降の過去問演習等では30分という時間の使い方を意識しながら取り組んでいただきたい。各分野の学習方法は以下の通り。

<分野毎の学習法>

生物分野

本年度は花と種子に関する出題であった。ここ数年を見ると、植物のつくりと働き、動物の生態、ヒトの骨と筋肉、アキアカネの生態など、植物・動物・昆虫・人のからだの働きの各単元から幅広い単元から出題されている。この分野の学習法としては、上記各単元の基本知識を夏までを目途にしっかり身につけること。かなり細かい知識問題も想定されるので、図鑑や資料集も用いながら貪欲に知識吸収を行って欲しい。また、植物の蒸散や光合成、人の呼吸など計算が絡む問題の演習にも力を入れること。

地学分野

本年度は地震に関する出題で、知識問題の他に地震波のグラフの読み取りと計算問題も含まれていた。ここ数年の出題を見ると、太陽の動き・月・惑星など天体に関する出題が多い。今後も天体を中心とした出題が予想される。天体に関しては知識に加え、月や星の動き・月や惑星の軌道についての計算問題の練習にも力を入れて欲しい。天体以外では、今回出題された地震、地層、岩石、気象についての学習も怠ることなく行うこと。

物理分野

本年は力のつり合いの出題であった。てこ・滑車・輪軸のつり合い、ばねの伸び、浮力の計算と力学計算の実力が試される内容であった。ここ数年の出題を見ても、力のつり合いに関する出題が続いている。今後もこの傾向が続くと思われるので、計算問題の練習に力を注いで欲しい。基本レベルの問題だけでなく、難度の高い問題や過去問と同レベルの問題の演習にも手をチャレンジすること。

化学分野

今年度は気体の性質と化学変化について出題された。ここ数年では、水溶液の性質・化学変化、金属と水溶液の反応など気体や水溶液の化学変化についての出題が多くなっている。今後も同様の出題傾向が続くと思われる。この分野の学習としては、気体・水溶液・指示薬の色の変化などの知識は確実に身につけること。その上で、水溶液と金属の反応、中和反応、燃焼など計算を必要とする問題の演習を徹底的に行って欲しい。

本校の入試では30分というタイトな時間の中での解答の進め方が重要になってくる。過去問演習は時間を意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。

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2023年度「巣鴨中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4、小問数は約40で50点満点、試験時間は30分で例年通りであった。記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で、記述問題も見られた。

設問数が非常に多く、計算問題も多いことから、30分という試験時間はかなり短く感じられるであろう。できる問題からてきぱきと解答欄を埋めていくという姿勢が求められる。また、過去問演習など時間を意識した演習も大切になってくる。

【大問1】生物 花と種子

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

問1 いきなり迷いそうな知識の選択問題。スギは裸子植物であり、種子で増える。ゼンマイは胞子で増えるので花は咲かない。

問2 (1)花粉がつくめしべの先端の柱頭につくことを「受粉」という。

     (2)アサガオ・ジャガイモ・ヘチマは合弁花、エンドウは離弁花。

     (3)子房の中の種子になる部分は「胚珠」。

     (4)リンゴは花たくが成長して実になる。

問3 (1)がく・花びら・おしべ・めしべがそろっている花を「完全花」という。

     (2)aは花びらが4枚であることからアブラナ。bは花びらが5枚でおしべが多数あることからサクラ

問4 東京で開花する順に並べると、ウメ→サクラ→ヒマワリ→ハギ→ヤツデ

問5 オナモミの種子は動物のからだについて運ばれる。

問6 (1)レタスはキク科の植物。種子は無胚乳種子なので、栄養分は子葉にたくわえられている。

     (2)(3)発芽の3条件は「水」「空気(酸素)」「適温」だが、実験結果よりレタスの発芽には「光」も必要であることがわかる。

 

花と種子を中心とした植物に関する出題。かなり正確な知識を必要とする問題も含まれ、知識の正確さで明暗が分かれる。問6ではレタスが光発芽種子であることを知っていれば有利だが、知らなくても実験結果から考察すれば正答可能。

【大問2】物理 力のつり合い

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 棒の重さは100gなので、ばねは4cm伸びる。

問2 ばねは12cm伸びているので、ばねにかかる重さは300g。このうち100gは棒の重さなので、棒の両端にかかる重さは200g。200÷2 より、おもりAは100g。

問3 輪軸の輪にかかる重さは問2より100g。100×20÷8 より、軸にかかる重さは250g。

問4 ばねPが24cm伸びていることから上の棒の左端にかかる重さは600gとわかる。

   棒の両端に600gずつと棒の重さの100gを合わせて1300gがばねQにかかるので、1300÷50×2+12 より、64cmになる。

問5 おもりEの重さは200×8÷20より80g。下の棒の右端には200+80+120の400gかかる。下の棒の左端を支点と考えると、右回りの回転力は100×400+50×100より45000。X×600が左回りの回転力となり、これも45000となればいいので、

   45000÷600 より、Xは75cm。

問6 動滑車の左端にかかる重さは問4より600g。動滑車の重さが200gなので、600×2-200より、おもりFは1000g。

問7 問6より、輪軸の輪にかかる重さが600gなので、おもりGは600×20÷8より1500g。このおもりGの体積が500㎤で、完全に水の中に浸かっているので、輪軸の軸にかかる重さが1500-500より1000g。輪軸の輪にかかる重さは1000×8÷20より400g。これより動滑車の中心には400×2-200の600gがかかっている。おもりFの重さは1000gで、おもりFも完全に水に浸かっているので、おもりFの体積は、1000-600 より400㎤。

問8 上の棒の左端にかかる重さは問4より600gで右端にかかる重さは問7より400g。これらの数値を使い、上の棒の左端を支点として計算する。(100×400+50×100)÷1100 より、四捨五入して41cm。

 

力のつり合いの計算問題。てこ・滑車・輪軸・浮力・ばねの伸びの計算問題で、てこ・滑車の重さも考慮する必要がある。問題によっては支点をどこにするかがポイントとなる難度の高い問題になっている。力学計算の総合力が試される内容だが、巣鴨中受験者はこのレベルの出題が来年度以降もあるということを念頭に置いて学習してもらいたい。

 

【大問3】地学 地震

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

問1 震度は0~7で10段階。

問2 木造住宅の密集地域が減ったことが想定被害が小さくなったことの原因と考えられる。

問3 東日本大震災の被害についての選択問題。三陸沿岸は津波による被害が甚大であった。東京湾の埋め立て地などでは、液状化現象が見られた。

問4 図に見られる大地のずれは「(逆)断層」。逆断層は左右から大きな力が加わったことによりできる。

問5 緊急地震速報についての選択問題。震源に近い場所では、緊急地震速報受信より前に揺れがくることがある。

問6 (1)L(震源からの距離)が小さいほどT(初期微動継続時間)も小さい。

     (2)大きい揺れを伝える波(Y)は、小さい揺れを伝える波(X)より遅い

     (3)グラフを読み取ると、波Xは147kmを23秒で進んでいる。147÷23より四捨五入して、秒速6.4km。

     (4)震源から48km地点までX波が進むのにかかる時間は、48÷6.4より7.5秒。

     (5)震源からの距離と初期微動継続時間Tは比例することを利用して計算すること。

 

前半は問5までは地震に関する知識問題。問6は地震波の伝わりについてのグラフの読み取りと計算問題。地震波の伝わりは中学入試では頻出。知識をしっかり固めるとともに、演習にも力を入れたい。

【大問4】化学 気体の性質と化学変化

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

問1 温室効果ガスは地表から放出される紫外線を吸収する。

問2 (1)二酸化炭素の性質についての選択問題。

     (2)石灰石(炭酸カルシウム)に塩酸を加えると二酸化炭素が発生する。

     (3)水素と二酸化炭素を混ぜた時の平均の密度が空気の密度よりも小さくなると風船は浮く。水素1000㎤あたりの重さが0.08g、二酸化炭素1000㎤あたりの重さが1.8gなので、空気の1000㎤あたりの重さが1.2gなので、水素と二酸化炭素の体積の比が1.8-1.2:1.2-0.08=15:28より水素の割合が多くなると風船が浮く。

問3 表より、水素の体積:酸素の体積=2:1で結びついて水ができる。

    水素90㎤と酸素45㎤が結びつくので、150-(90+45)よりX=15

    酸素40㎤と水素80㎤が結びつくので、150-(80+40)よりY=30。

問4 (1)0℃における体積を1とすると、27℃での体積は300/273、-243℃での体積は30/273。30÷300 より、体積は10分の1になる。

     (2)98gのMCHから6gの水素を得られるので、5×98÷6 より、四捨五入して約82㎏のMCHが必要となる。

問5 記述問題。太陽光発電や風力発電は天候に左右される。

 

気体の性質と化学変化についての出題。知識問題については確実に正答したい。計算問題の中では問2(3)が最も難。記述問題もあるが、これは易問。

攻略のポイント

今年度の巣鴨中第Ⅱ期入試は例年通り4分野からの出題であった。30分というテスト時間に対して問題数が非常に多いこと、その中でも計算問題が多いことが本校理科入試の特徴である

生物分野・地学分野を中心に知識問題も多く含まれているので、ここで確実に正答することが第1の攻略ポイントである。かなり細かい知識問題も見られるので、正確で幅広い知識吸収が必要となる。夏までを目途に知識固めを行いたい。

今回の出題では生物分野以外の大問3題で計算問題が見られた。計算問題のレベルは標準またはそれより高めである。計算問題対策が第2の攻略ポイントとなる。力学を中心に、想定される計算問題の演習には十分過ぎるくらい時間をかけて欲しい。試験中の対応としては、計算に手間取りそうな問題は後に回すといった判断も必要であろう。

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