巣鴨中学校 入試対策
2023年度「巣鴨中学校の算数」
攻略のための学習方法
巣鴨中学算数の入試は2019年以降、大問1に独立小問集合、大問2以降は小問を複数含む大問という構成に変わった。それ以前の入試では大問4に平面図形、大問5に立体図形というほぼ固定的な構成であったが、オーソドックスな問題構成に変わった印象が見られ、受験生にとっては、併願校対策も含めて学習しやすくなったのではないか。とは言っても、大幅に難度が下がったわけではなく、巣鴨らしい難度の高い出題も続いている。
ここ数年の巣鴨中学第Ⅱ期入試における出題単元を見ると、大問では「食塩水の濃さ」「割合と比」「円錐」「立体の切断」「正六角形」「反射」「流水算」「約束記号」、小問では「場合の数」「つるかめ算」「速さのつるかめ算」「差集め算」「ニュートン算」「売買損益」「食塩水の濃さ」「相似」等の出題となっている。食塩水の濃さ・平面図形と比・立体図形・約束記号などやや出題頻度の高い単元も見られ、ほぼすべての単元に分布している。特定の単元だけに的を絞った学習は危険であると言えるが、特に力を入れて学習するとすれば、「平面図形」「立体図形」「割合と比」となる。主な単元についての学習法は次の通り。
<単元毎の傾向と学習法>
平面図形
特に「相似」「高さの等しい三角形の面積比」「正六角形の分割」など比を用いて解き進める問題の学習に力を入れること。補助線を引く必要のある問題などレベルの高い問題の演習もしっかり行って欲しい。
立体図形
力を入れるべき単元は「立体の切断」「円錐」「水の深さと容積の変化」である。切断については、立方体の切断を中心に、もし余力があれば錐体の切断の演習にも手を伸ばしたい。
割合と比
今回は出題されなかったが、「食塩水の濃さ」は昨年まで3年続けて出題されており、今後も出題される可能性が高い。面積図やてんびん図を用いて解く問題も含め、基本的な解法はマスターしておきたい。濃さ以外にも、売買損益やニュートン算などこの分野からは毎年必ず出題されており、力を入れて学習したい。
次に時間配分について。今回の小問数は15でここ数年も同程度が続いている。試験時間は50分あるので、慌てず取り組んで欲しい。まずは大問1の独立小問を確実に正答したいところだが、中には難度高めの問題が含まれている可能性も十分ある。解法がなかなか思いつかない場合は、固執することなく次の問題に進むこと。
大問2以降は前半に易問、逆に後半は難問という構成になっていることが多い。(1)を落ち着いて正答したい。ここでの計算ミスなどによる失点は禁物である。(2)以降で悩むときには、次の大問の(1)に進むという判断も必要になる。各大問の(1)できれば(2)というように各大問の前半で正答数を伸ばすという姿勢が非常に大切になってくる。
過去問については、2019年以降の問題を、時間を意識して取り組んで欲しい。
模試や過去問はまだ仕上がっていない単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。単に得点だけを気にするのではなく、失点の多かった単元については、塾のテキストに戻るなどして、もう一度基本の確認を行うことが必要であろう。なお、苦手分野の分析やその対策については、プロの家庭教師へ是非相談して頂きたい。
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2023年度「巣鴨中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
独立小問が6題、それ以外の大問が3題、小問数の合計は15で、100点満点。試験時間は50分で例年通りであった。50分という試験時間に対して小問数15は決して多くはないので、慌てることなく取り組むことができるはずである。独立小問と各大問の中の前半で確実に得点を積み上げていきたい。
【大問1】独立小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)虫食い算。3にかける数とその商の一の位は1:1に対応することを利用。
(2)数の性質。2つの整数をA、B A÷6=○ B÷6=△ とすると、6×6×○×△=864 より○×△=24となる。○と△は互いに素であり、A、Bはともに2けたであることから、○=3 △=8 となり、A、Bは18と48。
(3)年齢算。今から6年前と今から10年後では2人の年齢の和が32違うことを利用すること。
(4)仕事算。全体の仕事を30とすると、Aの1日あたりの仕事は3、Bの1日あたりの仕事は2になる。半分の仕事が終わるまでの日数は、15÷(2+3)より3日。残りをAだけでやると、15÷3より5日かかるので、合計8日間となる。
(5)立体図形。展開図で示された八面体組み立てた時、平行になる面を考える問題。
(6)場合の数。4種類の数字を使うものは、10×9×8×7 より5040通り。
次に3種類の数字を使う場合を考える。例えば0を2回使う場合、0を使う桁は6通り考えられるので、6×9×8より432通り。同様に1から9を2回使う場合も考えると合計432×10 より4320通り。従って、3種類以上の数字を使ってできる番号は9360通り。
特殊算、立体図形、場合の数から6題の独立小問。(6)は場合の問題はややレベルが高いが、それ以外は標準レベルの出題。1問でも多く正答して得点を伸ばしておきたい。
【大問2】立体図形と比の利用
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)①の部分の体積は750㎥、②の部分の体積は500㎥、③の部分の体積は2500㎥なので、30×750+60×500+20×2500 より、102500匹。
(2)①の部分の体積と②の部分の体積の比は3:2。従って、(30×3+60×2)÷5より、1㎥あたり42匹となる。
(3)①の部分の水の体積を3、②の部分の水の体積を2、③の部分の水の体積を10とすると、メダカの匹数は3×30+2×60+10×20 より410となる。
すべての仕切りを外し10000匹のメダカを入れると1㎥あたり29匹になったことから、410+10000=15×29=435 となるので、1=400㎥。
従って①の部分を使って計算すると、400×3÷150 より、深さは8m。
立体図形に関する問題で(2)以降は比を利用して解くことになる。仕切られた各部の水の深さが同じことから、各部分の体積の比は底面積の比になることが基本的なポイント。(1)は易問だが、(3)は難問。何とか(2)までを正答したい。
【大問3】平面図形
- 難度:難
- 時間配分:13分
(1)台形の面積計算。
(2)問題の図1において、図3の点Eにあたる点を記入し、点Eを通りADとBCに垂直な線を引く。ADの延長線との交点をG、BCとの交点をHとすると、三角形AGEと三角形HEMが合同になることを利用すること。
(3)三角形ADMと三角形ABMの面積の比は4:5。また、(2)より三角形AEMの面積は三角形ABMの面積の2/3となる。以上のことと台形の面積が42㎠であることから、12+15×2/3×2 より、32㎠。
平面図形の出題。(1)は大サービス問題。(2)以降がいきなり難問となる。補助線が引けるかどうかがポイント。
【大問4】旅人算と周期性
- 難度:やや難
- 時間配分:13分
(1)太郎の走る時の分速を7、次郎の走る時の分速を4とする。次郎が休みなく47分走った距離は188。太郎は6分走り、1分止まり、3分歩くを繰り返すので、10分を1周期として考えると、38分では24分走り10分歩く。24分で走った距離は168.従って、歩いた距離は20。10分で20歩くので、速さは2となる。
(2)次郎が79分で進む距離は316。太郎が10分で進む距離は7×6+2×3 より48。
316÷48 より=6あまり28 より、10分を1周期としたとき6周期進むと残り28となる。28÷7 より28走るのに4分かかるので、10×6+4 より64分となる。
(3)次郎は23分で92進む。10分単位で考えると、次郎は40、太郎は48進むので、8差は縮まる。100分後に差が12となり、12÷(7-4)よりその4分後に太郎は次郎に追いつく(1回目)。その2分後に太郎は次郎より6前に進んでいるが、それから1分間太郎は休むので差は2に縮まる。その後太郎は2の速さで歩き出すので、2÷(4-2)より1分後に次郎が太郎に追いつく(2回目)。
旅人算の出題。周期的に速さが変わり、この問題では10分を1周期で考えることがポイント。ただし、(3)では追いつく前後の動きを細かく考える必要があり、非常に間違いやすい。ていねいな処理を行って欲しい。
攻略のポイント
2019年度入試から続いている大問1が独立小問集合、大問2から大問4が複数の小問を含む大問という問題構成であった。今年度の問題においては、独立小問の中の(1)~(5)と大問3題の前半は得点しやすく、逆に大問3題の後半は手ごわい問題となっている。
得点しやすい問題で確実に正答していくことが攻略のための絶対条件となる。そのための学習として求められることとして、塾のテキストや問題集の基本問題・標準問題は確実に正答したい。苦手単元を作ることなく、夏休み終了までを目途にすべての単元を確実に定着させておきたい。秋以降は、多少レベルを高めに設定した演習や過去問演習を行える状態に仕上げることが理想である。特に重点を置くべき単元は、割合と比(食塩水の濃さ等)、平面図形(特に比を使って解くもの)、速さ、数の性質、立体図形である。
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