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巣鴨中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「巣鴨中学校の算数」
攻略のための学習方法

「攻略のための学習方法」という言葉が、これほどぴったりくる学校も少ないだろう。
「巣鴨中学」は、ある決まった枠組みの中で問題が出され、出題される分野もほぼ決まっている学校である。だから、学校対策が立てやすい学校だ、と言える。難易度にも大きな変動はない。「これだけの力があれば、これだけの得点が出来る」ということが計算しやすい学校とも言える。しかしながら、各問題のレベルは高く、基本問題だけをがんばって解いていてもなかなか合格点には達しないというのが現実だ。巣鴨の水準に則した問題演習を積まなければならない。

まず、テストの構成を知ろう。
大問【Ⅰ】~【Ⅲ】は、次の各項目「規則性」「数の性質」「場合の数」「速さ」「特殊算(割合と比をふくむ)」の中から出題される。
ここ数年間でも、
「規則性(数列)→規則性(周期算)→特殊算(倍数を利用したもの)」
「特殊算(平均の問題)→特殊算(流水算)→場合の数」
「数の性質→速さ→割合と比(時計の速さ)」
と推移しており、「規則性」・「数の性質」・「場合の数」は内容が重なる場合もあるから、問題の半分くらいはこれら3分野から出されていると言ってもよい。「速さ」と言っても定番の「旅人算」ではなく、比を用いて解く問題が見られるようだ。

大問【Ⅳ】は平面図形。相似形関連のものが中心で、相似の関係にある図形を使って辺や面積を求めるもの、「与えられた特殊な辺比を持つ三角形」を利用して問題にあたるものなどが見られる。

大問【Ⅴ】は立体図形。直方体を切断して出来る「角すい」の問題や、図形を回転して出来る回転体(円すいなど)の問題が多い。

次に、おおよその「時間配分」だが、どの問題も5~8分と見ておけばよかろう。試験時間を考えると1問10分は取れるが、8分考えてできない問題は10分考えても出来ないことが多い。「見切る」時間は8分としておき、残った時間はテストの見直しに当てる方がよい。
設問数は15問前後である。このうち、10~12問を目安に正解できる力をつけてテストに臨みたい。難易度が大幅に上がるというサプライズはないテストなので、普段の勉強の中で同水準の問題にどの程度あたれているかを客観的に判断すれば、ある程度の点数も推察できる。

さらに、テストを始めたときの心の持ちようだが、これも「巣鴨」風に合せておきたい。
他の学校では、はじめに計算問題や一行問題を並べて、徐々に難度をスライドさせていく、という「模試」に見られる形式を取るのが普通だが、巣鴨の場合、構成はわかりやすくても、第一問目からパワー全開で臨まないと圧倒されてしまう可能性がある。たいていは、受験生が辟易するような問題「1000番目の数までの和を求めなさい」的なイヤ~な設問をふくんでいる。助走にあたる部分がなく、初めから「難度の渦」に巻き込まれていくので、「そういうものだ」という腹づもりが必要だ。ここは過去問を解いて慣れておきたい。

ただ逆に言えば、始めから終わりまであまり難易度には差がない。だから、図形が得意な生徒は後半の大問から解いていく、という方法もある。
本番の場合、一つでも答えが出せると落ち着くものだ。プロのサッカー選手でも、試合が始まりボールのファーストタッチを行うまでは落ち着かないという。同じことだ。得意な分野から手をつけることが出来る、と「巣鴨」形式を前向きにとらえておこう。

あとはどのような算数上の「テクニック」を身につけておけばよいか、ということになる。式や考え方を記述するという前提で述べていこう。
大問【Ⅰ】から【Ⅲ】の分野では、上級の問題にあたりながら、いわゆる典型題の解き方はいつでも正しく提示できるように腕を磨こう。
「規則性」や「数の性質」では、書き出してきまりを見つけるという作業がていねいに出来るかどうかが肝心だ。ただあらっぽく書き出していって答えを捻出するというのではなくて、簡単な表に見つけた規則や数値をまとめる、図を書く、等差・等比数列の公式から立式するなど、見た目に「頭のよい」答案を作れるようにしておきたい。
「場合の数」では、問題文をよく読み、条件をしっかりと把握してから設問にあたること。意外と流し読みして始める生徒が多い。また、「たとえば~」という実例が書かれている場合は必ず読むようにすること。実例の中にヒントが隠されていることもある。
「速さの問題」は、線分図を書く技術よりは、比を使ってスマートに解けるかという方が重視されている。問題集や過去問などで題数をこなし、「速さの3公式」に精通しておこう。
大問【Ⅰ】~【Ⅲ】まで、近年ではそれほど水準は上がっていないように思われる。また、設問も素直なものが増えている。時間配分を頭に入れながら、全問解けるくらいのスキルを身につけておきたい。

大問【Ⅳ】、平面図形では、補助線がうまく引けるという技術が必要だ。引かなくても解ける年もあるが、たいていは引くことによって答えを求めやすい形にしていることが多い。
図形の補助線はセンスか、と言われるとそれは違うと思う。では、たくさん問題を解いて慣れればよいのか、というと、それも違うと思う。
やはり、「この問題にはこの補助線」という鉄則を常時頭に置いて問題を解くべきだろう。そのためには多くの問題に触れるのがよいが、何も考えずに問題を解いてもそれは時間の浪費につながるだけだ。
平成21年度大問【Ⅳ】では、図に書かれていない「円の中心」と弧上の点を結ぶことによって解答が導けることになっている。すぐにその作業が行えるかどうかが力の有無を示すよい例だ。もちろん、結んだからといって解けない問題もあるだろう。しかし、入試の算数においては確率の高い解き方をしっかりと身につけたものが勝つ。平成26年度大問【Ⅳ】でも、平行線を引いて相似な図形を作ることが要求されていた。ここでもやってみたら出来た、ではなくて、いつもその手順が出てくるよう訓練しておきたい。
また、模範解答を見て、「ああここに線を引けばよいのか」と頭で納得せず、実際に線を引いて解き方をトレースすること。手作業を怠るものは手作業に泣く。
素早く答えだけを出していく勉強法もいいだろう。大量の教材をこなすだけの勉強も悪くない(慣れという意味では悪くない)。しかし、ここ「巣鴨」においては、時間を十分にかけて問題をみずから解きほぐした者が勝つことになっている。郷に入っては郷に従え、の勉強を進めるのが賢者の道だ。

大問【Ⅴ】の立体図形はやはり一番厄介である。特に「立体の切断」が入ってきた場合には「捨て問」も覚悟しなくてはなるまい。模範解答を見て、機械のように精密な図を書かなければ解けない問題は無視しよう。あまり深追いはしなくてよい。(1)・(2)までの解けそうな設問を拾っていけばよい。
「角すい」「円すい」関連の問題が多いので、典型題も含めしっかりと学習しておくこと。

以上、「巣鴨」の入試問題対策についてまとめてみたが、やはり最も困難なのはその難度を克服することとなるのは間違いない。
しかし、克服できない場合たいてい障壁になっているのは「能力」ではなくて「技術不足」・「やる気」であることが多い。問題はオーソドックスな難問なので、書かれたことを守って謙虚に問題にあたりさえすれば必ず打開策が見つかるはずである。出来ない、と投げ出す前にやることをちゃんとやってきているかという確認をしてみよう。解けるようになるための準備がどこか欠如しているに違いない。まずはそこをきちんと埋めて、改めて問題に挑戦してみてはどうだろう。今度はできるようになっているはず。

2月1日本番、一問目からフルパワーであたり、合格できることを臨んでやまない。

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2014年度「巣鴨中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

[特徴]
【規則性の問題・数の性質・場合の数・速さ・特殊算(割合と比をふくむ)】
…5つの大問のうち、前半の3問はこれらの範囲から出される。本年度のような規則性の問題や、数の性質を用いる問題が多いようだ。どの分野から出題されてもレベルは高く、設問によっては平易なものもあるがどちらかというと受験生を困らせるような難易度を持つ。
【平面図形】…大問【Ⅳ】に位置する。相似形を利用して解く問題が多く、補助線を引くなどある程度高度な技術がないと解けない複雑なものが多い。また、特殊な辺の比を持つ直角三角形をヒントとして挙げ、それを使って解くことも多い。
【立体図形】…大問【Ⅴ】に位置する。立体の切断などかなり高度な内容を含むことが多い。設問としては、辺の長さを求めたり、体積や表面積を求めたりというようなことが多い。レベルの総じて高く、設問によっては「捨て問」覚悟で臨む必要がある。
また、式や考え方を書かせる学校なので、最後まで解ききれなくても、自分の考えやそれを表現した式を残しておくことは部分点がつながり、合格に導いてくれることになる。普段の問題に向かう姿勢が問われる。

[時間配分]
50分で大問が5、小問が15。出題数・量は例年と同じだか、本年度の難易度はいささか、いや、かなり低く感じた。上記にも挙げたような「捨て問」は存在せず、算数の得意な生徒ならば、時間に余裕を持ってほぼ解けたのではあるまいか。

【大問Ⅰ】周期算(暦の問題)

  • 時間配分:8分

「2014年2月1日は土曜日」という条件を与え、それを用いて設問に解答する形式になっている。
(1)は「大の月・小の月」の確認程度の問題。
(2)はたまに見かけられる内容だが、落ち着いて一月ごとに調べていく。1カ所でも間違えると完答には至らないが、解き方をていねいに書いておけば部分点はもらえる。
(3)は2020年の3月1日を調べればよいと言う、よくありがちな設問。閏年には2月が1日増えるので、そのことが何年の3月1日に影響するかを間違えなければよい。この問題では正解できるかどうか、そこが鍵を握っている。しかし、例年に比べれば、シンプルな内容だと言える。

【大問Ⅱ】植木算

  • 時間配分:8分

ここでは、与えられた規則を読むうち、どんなことを聞かれてしまうのだろう…と怖じ気づくところ。が、聞かれているのは小学生4・5年の内容。
特に(1)・(2)は拍子抜けで、「何のために難問にトライし、泣く思いをしてきたのか」と嘆いてしまうレベル。(3)でようやく「巣鴨」らしく、いや、入試問題らしくなるのもつかの間、調べていくと単純な規則が見つけられ、それを用いて解いたあと、物足りなさだけが残る。
過去問対策と言うよりは、「植木算」のよい復習になる。

【大問Ⅲ】場合の数(数の性質)

  • 時間配分:8分

ここも与えられた条件を読んでいると、わくわく感が止まらないのであるが、設問に答えていくうちにはじめの2問と同じようなむなしさを味わうことに。通常、(3)あたりに捨て問が来る内容だが、さすがに約数が3個の数くらい分るだろう。そのあとの処置もたやすいもの。
ただ、「簡単=受かりやすい」ではなくて、自分が「簡単だ、できる」と思ったと言うことは皆も思うこと。逆にレアレスミスは許されず、ここまで全問正解者が多くいることは間違いないので、解き方が分らなかったとかミスしてしまった言う場合は、難問が解けなかった以上に反省しておかなくてはなるまい

【大問Ⅳ】平面図形

  • 時間配分:8分

ようやく入試問題らしい、「巣鴨」らしい水準の問題に遭遇する。「3:4:5」の辺比をもつ直角三角形が与えられ、そのことも利用して設問にあたるというもの。しかしこの問題では、直角三角形の特性があまり活かされていない。残念ながら「良問にはなれなかったよ」というレベルでとどまっている。
(1)はまたも小学4年レベル。間違えた生徒はタイムマシンに乗って勉強をやり直してくること。
(2)ではFから辺ABに向かって、辺BCと平行に補助線を引くという作業が必要になる。このとき(1)の結果を用いて、相似の関係を見つけるわけだが、ようやっと骨の折れる設問と言うところか。ここで初めて点数に差がつき始めると思われる。相似比から見て、「きたない」答えになるとこも予測されたし。
(3)は(2)とも連動していて、新たな相似の関係を見つけ出すとよい。
本年度の問題では、ここの(2)・(3)が一番難度が高かった。ここをクリアできていれば、確実に合格できていたと思う。

【大問Ⅴ】立体図形(回転体)

  • 時間配分:8分

ここでも回転体と言うことで、いくらでも難しくできそうではあるが、(3)に至るまで標準的な内容に終っている。
(3)は「円すい」と「円柱」を組み合わせているが、生徒が頭をひねることはないだろう。むしろ「本当にこんなんでいいの?」と疑心暗鬼にはなるかもしれない。

攻略のポイント

普通、巣鴨の合格ラインは60~70%とされ、例年だとそれを超える困難さを感じるものだが、本年度はそれが10%は上乗せされると見た。それくらい巣鴨としては平易であり、「巣鴨と言えば算数だ」とばかりに昼夜勉学に勤しみ、実力をつけてきた生徒には拍子抜けの内容になっている。せめて満点を取って自らを納得させるしかない。
難しいのは、今後このレベルで出題されるのかと言うことだ。もしそうならば、「巣鴨算数」の難度ゆえ同校を敬遠してきた生徒には朗報であろう。標準的な力があれば、十分に問題に対応できる。
「標準的な問題を確実に解く」と「難問を何とか半分くらい解く」では、後者の方がはるかに難しい。前者は日々の練習によってなんとかなるが後者はそれが保証できないからだ。ここでは、今後の入試問題が例年並みに戻るという前提で最後をまとめる。

・塾の教材や市販の問題集などでは早めに標準問題を突破し、次の段階(難題)に入れるよう勉強を積むこと。
・問題を解くための技術(線分図や表・グラフ・式など)を書かされる学校なので、答えを出すだけのような速読即解の練習だけでなく、少し時間がかかってもいいから記述式の解答になれておくこと。
・過去問はここまで平易ではない。なかにはほぼ解けないような設問も存在する。目標点を6割と設定し、どの設問まで出来ていれば合格するのかというボーダーラインをしっかりと把握しておくこと。また、無理な設問は深追いせず、「捨て問」として処理できるような受験生としてのうまさを身につけること。
・出題される分野は決まっているので、その分野の勉強に重きを置き、練習量を積んで出来れば得意になっておくこと。

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