巣鴨中学校 入試対策
2015年度「巣鴨中学校の算数」
攻略のための学習方法
「攻略のための学習方法」という言葉が、これほどぴったりくる学校も少ないだろう。
「巣鴨中学」は、ある決まった枠組みの中で問題が出され、出題される分野もほぼ決まっている学校である。だから、学校対策が立てやすい学校だ、と言える。難易度はこの2年間大幅に下がっている。「これだけの力があれば、これだけの得点が出来る」ということが計算しやすい学校とも言える。そうはいっても、各問題のレベルは水準以上で、基本問題だけをがんばって解いていてもなかなか合格点には達しないというのは確かだ。巣鴨の水準に則した問題演習を積まなければならない。
まず、テストの構成を知ろう。
大問【1】~【3】は、次の各項目「規則性」「数の性質」「場合の数」「速さ」「特殊算(割合と比をふくむ)」の中から出題される。「規則性」・「数の性質」・「場合の数」は内容が重なる場合もあるから、問題の半分くらいはこれら3分野から出されていると言ってもよい。「速さ」と言っても定番の「旅人算」ではなく、比を用いて解く問題が見られるようだ。
大問【4】は平面図形。相似形関連のものが中心で、相似の関係にある図形を使って辺や面積を求めるもの、「与えられた特殊な辺比を持つ三角形」を利用して問題にあたるものなどが見られる。
大問【5】は立体図形。直方体を切断して出来る「角柱」「角すい」の問題や、図形を回転して出来る回転体(円すいなど)の問題が多い。
次に、おおよその「時間配分」だが、どの問題も5~8分と見ておけばよかろう。試験時間を考えると1問10分は取れるが、8分考えてできない問題は10分考えても出来ないことが多い。「見切る」時間は8分としておき、残った時間はテストの見直しに当てる方がよい。
設問数は15問前後である。このうち、10~12問を目安に正解できる力をつけてテストに臨みたい。難易度が大幅に上がるというサプライズはないテストなので、普段の勉強の中で同水準の問題にどの程度あたれているかを客観的に判断すれば、ある程度の点数も推察できる。
さらに、テストを始めたときの心の持ちようだが、これも「巣鴨」風に合せておきたい。
他の学校では、はじめに計算問題や一行問題を並べて、 徐々に難度をスライドさせていく、という「模試」に見られる形式を取るのが普通だが、巣鴨の場合、構成はわかりやすくても、第一問目からパワー全開で臨まないと圧倒されてしまう可能性がある。たいていは、受験生が辟易するような問題「1000番目の数までの和を求めなさい」的なイヤ~な設問をふくんでいる。助走にあたる部分がなく、初めから「難度の渦」に巻き込まれていくので、「そういうものだ」という覚悟が必要だ。ここは過去問を解くことで慣れておきたい。
あとはどのような算数上の「テクニック」を身につけておけばよいか、ということになる。式や考え方を記述するという前提で述べていこう。
大問【1】から【3】の分野では、標準~上級の問題にあたりながら、いわゆる典型題の解き方はいつでも正しく提示できるように腕を磨こう。
「規則性」や「数の性質」では、書き出してきまりを見つけるという作業がていねいに出来るかどうかが肝心だ。ただあらっぽく書き出していって答えを捻出するというのではなくて、簡単な表に見つけた規則や数値をまとめる、図を書く、等差・等比数列の公式から立式するなど、見た目に「頭のよい」答案を作れるようにしておきたい。
「場合の数」では、問題文をよく読み、条件をしっかりと把握してから設問にあたること。意外と流し読みして始める生徒が多い。また、「たとえば~」という実例が書かれている場合は必ず読むようにすること。実例の中にヒントが隠されていることもある。
「速さの問題」は、線分図を書く技術よりは、比を使ってスマートに解けるかという方が重視されている。問題集や過去問などで題数をこなし「速さの3公式」に精通しておこう。
大問【1】~【3】まで、近年では水準は上がっていないように思われる。むしろ低下しており、設問も素直なものが増えている。時間配分を頭に入れながら、全問解けるくらいのスキルを身につけておきたい。
大問【4】、平面図形では、補助線がうまく引けるという技術が必要だ。引かなくても解ける年もあるが、たいていは引くことによって答えを求めやすい形にしていることが多い。
図形の補助線はセンスか、と言われるとそれは違うと思う。では、たくさん問題を解いて慣れればよいのか、というとそれも違うと思う。
やはり、「この問題にはこの補助線」という鉄則を常時頭に置いて問題を解くべきだろう。そのためには多くの問題に触れるのがよいが、何も考えずに問題を解いてもそれは時間の浪費につながるだけだ。
平 成21年度大問【4】では、図に書かれていない「円の中心」と弧上の点を結ぶことによって解答が導けることになっている。すぐにその作業が行えるかどうかが力の有無を示すよい例だ。もちろん、結んだからといって解けない問題もあるだろう。しかし、入試の算数においては確率の高い解き方をしっかりと身につけたものが勝つ。平成26年度大問【4】でも、平行線を引いて相似な図形を作ることが要求されていた。ここでもやってみたら出来た、ではなくて、いつもその手順が出てくるよう訓練しておきたい。
また、模範解答を見て、「ああ~ここに線を引けばよいのか」と頭で納得せず、実際に線を引いて解き方をトレースすること。手作業を怠るものは手作業に泣く。
素早く答えだけを出していく勉強法もいいだろう。大量の教材をこなすだけの勉強も悪くない(慣れという意味では悪くない)。しかし、ここ「巣鴨」においては、時間を十分にかけて問題をみずから解きほぐした者が勝つことになっている。郷に入っては郷に従え、の勉強を進めるのが賢者の道だ。
大問【5】の立体図形はやはり一番厄介である。特に「立体の切断」が入ってきた場合には「捨て問」も覚悟しなくてはなるまい。模範解答を見て、機械のように精密な図を書かなければ解けない問題は無視しよう。あまり深追いはしなくてよい。(1)・(2)までの解けそうな設問を拾っていけばよい。
「角すい」「円すい」関連の問題が多いので、典型題も含めしっかりと学習しておくこと。
以上、「巣鴨」の入試問題対策についてまとめてみたが、やはり最も困難なのはその難度を克服することとなるのは間違いない。平易になってきているとはいえ、受験生にとっては必ずしも楽なレベルではない。
しかし、克服できない場合たいてい障壁になっているのは「能力」ではなくて「技術不足」・「やる気」であることが多い。問題はオーソドックスな難問なので、書かれたことを守って謙虚に問題にあたりさえすれば必ず打開策が見つかるはずである。出来ない、と投げ出す前にやることをちゃんとやってきているかという確認をしてみよう。解けるようになるための準備がどこか欠如しているに違いない。まずはそこをきちんと埋めて、改めて問題に挑戦してみてはどうだろう。今度はできるようになっているはず。
2月1日本番、一問目からフルパワーであたり、合格できることを臨んでやまない。
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2015年度「巣鴨中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5、小問が15。出題数・量は例年変わらない。昨年度・本年度と以前に比べて問題のレベルが低くなっていると感じた。かつて多く見られた超難問いわゆる「捨て問」はほぼ存在しなくなっていて、算数の得意な生徒ならば、時間に余裕を持って解けたのではあるまいか。もちろん、点数もまた取りやすくなっている。
【大問Ⅰ】数列
- 時間配分:6分
「1,2,2,3,3,3,4,4,4…」と続いていく数列の規則を見つけ、そこから設問に答えていくというもの。以前の巣鴨では考えられないくらい易しい問題。
(1)は間違えようがない。「1が1個,2が2個…」と素直に並んでいる数列なので、1から9までの和に1をたせばよい。
(2)もまた数列の基礎と言えるレベル。1から13までの和が91で、そのあとに14が14個並ぶとわかれば答えはすぐに求まる。
(3)解き方は平易だが計算は面倒くさい。計算ミスしないように慎重にたしていこう。昨年度の【大問1】もやさしかったが、それが難問に思えるほどやさしい。
【大問Ⅱ】場合の数
- 時間配分:6分
誰もが一度は解いたことがある典型的な問題。
(1)、(2)はやはり間違えようがない。ていねいに樹形図を書いていけばすぐに求まる
(3)は点差がついたところだ。たとえば、1の封筒に1のカードを入れた場合を考えると、2から5の封筒の結果は(2)の場合と同じ数だけある、とわかれば答えを導けただろう。しかし、巣鴨中の問題であれば、(3)で7枚の封筒と7枚のカードを使うくらいには飛躍してもらいたかったところ。
【大問Ⅲ】割合
- 時間配分:8分
この問題も標準的な難度を持つもので、(1)は全員正解、(2)はほぼ正解、(3)は半数程度が正解…と考えてよい。
(1)は解説の必要はない。
(2)はBの定価を1とおいて、1000円に当たる割合を作り、そこから逆算していくとよい。計算結果は割り切れないものになるので、「小数点以下を切り捨てた金額」をよく頭に入れて答えを定めたい。
(3)でようやく生徒を振り落としにかかっている。支払額は、3400円より高く3500円未満なので、それを4800で割って割合の範囲を求める。この解き方だと売値の百分率が求まるので、割引率を求めるには100から引けばよい。うまく2通りの答えを出せただろうか。
【大問Ⅳ】平面図形(面積)
- 時間配分:6分
(1)や(2)を解いていると、「今まで長い間難問を解いてきたのはなんだったんだろうか…」と自問自答してしまうレベルの設問でふと悲しくなる。
(3)で(1)(2)の結果をうまく使うことがわかり、多少巣鴨算数を解いている気にさせられる。
ただ答えが出るまでの手順が少なすぎて、やはり物足りなさを感じる。
しかし、受験生の盲点を突いたような出題であり、本年度の問題では一番面白い。
【大問Ⅴ】立体図形(角すいと角柱)
- 時間配分:8分
最後にようやく巣鴨的な難度を持った大問が待っていた。時間は十分すぎるほどあると思うので、見取り図を書くなどしてじっくり取り組もう。
(1)の面積を求めるには、図2の直角三角形の辺の比を利用する。
(2)(3)は難しい。ここまでスムーズに解けている生徒は80%の得点を持って次の科目に進むべきかもしれない。
まずできあがる立体図形の全体像がつかみにくい。見取り図が書いてあれば(3)まで解いていけそうだが生徒自らで書くとなると、作図の技術も必要であり難度は上がる。逆にうまく書ければ聞かれていることはそう難しいことではない。
(2)では再度直角三角形の辺比を利用する。(3)では立体を角すいと角柱に切り分け、それぞれの体積を求めてから加える。
ここでの失点は免れない。
しかし全体として見た場合、受験生たちは高い得点を記録できたことだろう。
攻略のポイント
普通、巣鴨の合格ラインは60~70%とされ、例年だとそれを超える困難さを感じるものだが、昨年度に引き続き、本年度はそれから10%は上乗せされると見た。それくらい巣鴨の算数としては平易であり、「巣鴨と言えば算数だ」とばかりに昼夜勉学に勤しみ、実力をつけてきた生徒には拍子抜けの内容になっている。2年間巣鴨の算数は問題の水準を下げた。ポイントはこの傾向が来年以降も続くかどうかであろう。もしそうならば、「巣鴨算数」の難度ゆえ同校を敬遠してきた生徒には朗報であろう。標準的な力があれば、十分に問題に対応できる。
「標準的な問題を確実に解く」と「難問を何とか半分くらい解く」では、後者の方がはるかに難しい。前者は日々の練習によってなんとかなるが後者はそれが保証できないからだ。ここでは、来年度の問題が本年度並みの標準レベルであるという前提で対策をまとめる。
・塾の教材や市販の問題集などでは早めに標準問題を突破し、次の段階(難題)に入れるよう勉強を積むこと。難問を解くという経験が大切である。
・問題を解くための技術(線分図や表・グラフ・式など)を書かされる学校なので、答えを出すだけのような速読即解の練習だけでなく、少し時間がかかってもいいから記述式の解答になれておくこと。
・過去問はここまで平易ではない。なかにはほぼ解けないような設問も存在する。目標点を6割と設定し、どの設問まで出来ていれば合格するのかというボーダーラインをしっかりと把握しておくこと。また、無理な設問は深追いせず、「捨て問」として処理できるような受験生としてのうまさを身につけること。
・出題される分野は決まっているので、その分野の勉強に重きを置き、練習量を積んで出来れば得意になっておくこと。
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