巣鴨中学校 入試対策
2023年度「巣鴨中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成・形式
巣鴨中学の試験は、近年は大問3つ、それぞれに地理・歴史・政治分野が割り当てられ、配点も地理・歴史が多めであり、やや地歴重視と言える構成になっている。総解答数25~30問で時間は30分なので、時間には余裕がある。
出題形式は記号選択・正誤選択が多く、用語記入が数問混じる。例年では出されていなかった記述問題が、2019年度以降では出されるようになった。今後の傾向として記述問題の練習もしておかれたい。解答形式が少し複雑な設問が見られるので、問題文を注意して読み、誤解しないよう気をつけること。
内容自体は極端な難問は出されないが、正解を選ぶのに細かい正確な知識を必要とするものがあるので、選択式だからといって油断はできない。記入は漢字指定なので、漢字が書けなければ得点にはならない。
地理分野
地図に示された範囲の地勢・気候・産業について問う形が多い。
長野県の地形図といったひとつのテーマに沿って出題される場合もあるし、各都道府県の産業のように広く総合的に訊かれる場合もある。各地の農・林・水産業、貿易とその相手国、地形や地形図の読み取りなどの問題が過去に出題された。特に、農産物と気候(雨温図)の問題は出される年が多くなっている。2019年度では災害と防災というテーマで地震・水害やその対策について詳しく訊かれる問題が出された。
テキストで各基本事項を押さえたら、地図・白地図で地形・位置・産業の特色などをまとめていく。特に、各地域の農産物の分布など、最新版の資料集でデータを集めておく。気候区ごとの雨温図の特徴と代表的な都市は正確に頭に入れておくべきである。また、地名を答える問題も多いので、地図で位置を確認し、漢字で書けるようにしておく。2023年度はこちらの分野で記述問題が2問出されている。
歴史分野
各時代・各分野から幅広く出題される。
短い本文を読んでから各問に答えるパターンと、箇条書きの短文説明に1問1答で答えていくパターンとがある。他校の試験で見られるような史料は、本校ではほぼ出されていない。
選択肢の中にミスを誘う紛らわしい一言が含まれていたりするので、注意が必要である。
問題文も含めて細部まで気を抜かずに読むことを心がけたい。
時代順の並べ替えも出されているので、年表を活用して流れが頭に浮かぶようにしておく。また、年号を直接訊かれる問題もあるので、自分なりのやりやすい覚え方を見つけて暗記したい。
また、2023年度ではこちらの分野で記述問題が2問出されている。
政治分野
日本国憲法・三権の仕組みとはたらき・時事問題などが出される。
中国の経済成長やヨーロッパ連合など、テーマを絞って出題される問題と、環境・経済・政治などについて述べた10ほどの短い説明文の正誤を選択する問題と、およそ二つのパターンが見られる。2021年度では40~45字の記述問題2問が出された。
まずは日本国憲法と政治の仕組みの基本事項をしっかり覚える。正誤を選ぶ問題は、細かい部分まで正確な知識が要求される。テキストに載っていること、新聞・ニュースで知ったことなど、そのつどよく調べて正確に理解しておけば、大きな力となる。
地歴対策
地理と歴史の配点が大きいことを考え、この2分野は重点的に取り組み、特別な難問や細かすぎる知識は問われないので、基礎力の充実に努める。
地理分野は出題傾向に少し偏りがあるので、良く出る問題を過去問で調べてその範囲は特に念入りに学習しておく。
歴史はやや細かい知識が問われることがあり、並べ替え問題も見られるので、テキストと年表を併用し、その事項の周辺まで詳しく見ておくようにする。時事問題対策として、広く社会の出来事に関心を持ち、目を向けることも忘れないでほしい。
さらに、本校の特徴である選択肢問題への対応がある。細部にまで注意が必要な選択肢や、複雑な答え方をさせる設問など、ミスを誘うような出題が多いので、過去問を多くこなして、落ち着いて対処できるように慣れておくことが重要である。
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2023年度「巣鴨中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は24問。地理分野9問・歴史分野10問・政治経済分野5問という割合であった。
記述問題が出されているので、他の問題をテンポよく答えて、統計データの読み取りなどとともに記述に少し多めに時間を回せるようにしよう。
選択肢の細部の違いも見落とさないように慌てずに目を通そう。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
東京都北部の地図を参照しながら、時代による変化などを考える問題。
問1 裁判所と博物館の記号が見当たらない。墓地は地図東側の善光寺の近くに確認できる。
問2 高台の地下を通っていた鉄道が低地で地上に出た。
問3 Bが台地の上、Aが台地のふちにあり、Cは低地に位置している。
問4 記号がある地点は台地の崖付近であり、台風による大雨で土砂崩れが起こったと考えられる。
問5 ア. アスファルトなどで覆われて土の地面が減ると水が浸透しにくくなるので、逆である。
問6 写真1では三日月湖が確認でき、その水路に境界線が設置されたのだとわかる。
問7 埼玉県川口市は鋳物の生産が盛んな地域である。
問8 ア. 水力発電は水位の高低差を利用して行う発電であり、写真の範囲のような平坦な地域での発電は難しい。
問9 ア・イ・エは地図で確認できる。道路は通っているが高速道路ではないので、ウが誤りである。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
年表を参考にしながら、各時代の人物や出来事について答える問題。
問1 ア. 4世紀末の戦いで日本を破ったのは高句麗で、白村江の戦いで日本を破ったのは唐・新羅連合軍である。
問2 墾田永年私財法(743年)→平安京(794年)→藤原良房が摂政に(866年)→白河上皇による院政(1086年)。
問3 ア. 吉野が南朝、京都が北朝なので逆である。
イ. 応仁の乱は将軍の跡継ぎ争いと守護大名の対立が結びついたものである。
エ. 中国の征服を目論んで、協力を拒んだ朝鮮に攻め入ったのである。
問4 史料Aから、地主と小作農など農民の間の貧富の差が拡大するのを防ぐ意図があったのだとわかる。しかし、土地の質入れは禁止しなかったので、実質的には質流れで裕福な者に土地が集まっていったのである。
問5 足高の制は徳川吉宗の享保の改革の、人返しの法は天保の改革を行った水野忠邦の政策である。
問6 エ. マッカーサーがペリーと同じアメリカ人である。アはスペイン人フランシスコ・ザビエル、イはイギリス人ウィリアム・アダムズ、ウはドイツ人ベルツである。
問7 西郷隆盛
問8 富岡製糸場
問9 関東大震災では火災による犠牲者が多く発生したため、町を再建するにあたって道路の幅を広げ家屋の燃焼が拡大するのを防ごうとしたのである。
問10 静岡県で発見された弥生時代の遺跡は登呂遺跡。奈良県明日香村のキトラ古墳では四神や十二支などの壁画が発見された。
【大問3】政治分野
- 難度:標準
- 時間配分:5分
日本の政治のしくみについての正誤を考える問題。
3. 国会の立法に対して内閣の拒否権は認められていない。
4. 具体的な裁判を通して判断するもので、審議中の法律案についての判断はされない。
6. 過半数は国会議員でなければならないが、衆議院議員である必要はない。
7. 総理大臣による国務大臣の罷免など、任免について国会の承認は必要としない。
10. 過半数ではなく、3分の2以上の賛成が必要である。
攻略のポイント
問題数や配点などが、以前のような毎年一定の形式ではなくなっている。問題の難易度や質問の内容には大きな変化はないので、過去問でしっかり傾向を見ておこう。
基本事項の問題が多いが、決して簡単な試験ではない。基本の中の高いレベルの実力が求められる。テキストを細かい部分まで正確に覚える必要がある。
2019年度から記述問題が加わった点に注意が必要である。今後もこの傾向は続くと考え、準備をしておく必要があるだろう。
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