頌栄女子学院中学校 入試対策
2021年度「頌栄女子学院中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「頌栄の国語」には、「漢字の書きとり」は無論、様々な「総合知識問題」が大問の中に用意されている。さあどうするか？ 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。 日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあやふやなものがあったら、書き出して自分なりの「言葉ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。字数制限の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。ちなみに、「語彙力」強化用では「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)等がオススメだ。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が意外と多い。直接出題されることも多いし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法的」に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の用法を確実に定着させておくことが重要だ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。大問２題で7000～8000字程度。解答時間は40分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は論旨が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の最初と最後を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
頌栄に限らず、他の学校(男女問わず)の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
「読解問題」の基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメだ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。
特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか？ その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておく。解き方に迷ったらその「ノート」を確認して、確実に応用できるようにする。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
先ずは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかどうかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か？ 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をすることがとてもいい方法だ。200字程度で書いてみる(頌栄新傾向の「作文問題」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。
だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「最も重要な要素」や「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。
マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最も重要な要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(この段階では「マス目のない用紙」を使う)。
頌栄の「指定字数なしの記述」は「100字程度」が目安なので、「最も重要な要素」＋３つほどの「必要な要素」で書くこと。
意識
いかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。無意識に机に向っていても無意味なだけ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要だ。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにしたい。「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」に合致しているか？ 「必要な要素」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
40分という時間で解き進めていかなくてはならない頌栄では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2021年度「頌栄女子学院中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢漢字の書きとり｣(全５問)。
２分弱で丁寧に書き終えたい。
大問二は｢説明文｣、出典は今井むつみ｢ことばの発達の謎を解く｣(文字数約5100字)。
小問は全10問(解答数15)｡｢選択肢｣(｢不適切｣、｢脱文挿入｣、｢空所補充｣、｢総合的知識問題｣あり)､｢抜き出し｣(１問)､｢語句記述｣(１問)、｢説明記述｣(１問｡｢45以内｣指定)｡問題文は６分半程度で読み切り、設問を10分強で解きたい。
大問三は｢小説｣、出典は坂木司｢短劇｣所収の｢迷子｣(文字数約4100字)。
小問は全11問(解答数は18)｡｢選択肢｣(｢不適切｣、｢空所補充｣、｢総合的知識問題｣あり)､｢抜き出し｣(１問)､｢説明記述｣(全２問｡ともに｢字数指定｣なしで、｢120字ほど｣の解答欄)､｢自由作文｣(｢字数指定｣なし､｢150字ほど｣の解答欄)。問題文は５分半ほどで読み切り、設問を15～16分で解きたい。
【大問一】｢漢字の書きとり｣(全５問)
- 難度：標準
- 時間配分：2分
｢漢字の書きとり｣(全５問)。示されている(Ａ)～(Ｅ)の各文中の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。
昨年度と比較して難易度はやや上がったが、本校としては｢標準レベル｣。確認しておく｡
(Ａ)｢ウラオモテのない性格｣＝｢裏表｣
⇒誰もが知っている漢字だが、｢裏｣の細部がつぶれないように。
(Ｂ)｢この土地のデンショウを後世に残す｣＝｢伝承｣
⇒やや難解か？ ｢文脈｣を捉(とら)えよ。
(Ｃ)｢ロウホウによって、学級の雰囲気が明るくなった｣＝｢朗報｣
⇒｢朗｣を｢郎｣としないことはお約束。
(Ｄ)｢ゲキヤクの使用｣＝｢劇薬｣
⇒｢劇｣は｢15画｣だ。｢一画一画｣を丁寧にはっきりと記すこと。
(Ｅ)｢タイシュウに支持されて｣＝｢大衆｣
⇒｢衆｣の下の部分の｢トメ･ハネ･ハライ｣に要注意。
無論、本校志望者は｢全問正解｣でいきたい。尚、本校の｢漢字の書きとり｣では、わざわざ｢ていねいに書きなさい｣という｢条件｣が明記されている。ということは、それだけ厳しく採点されるわけだ。一点一画を意識して記すこと。
【大問二】｢説明文の読解｣(｢語句記述｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：17分
単語も文法も知らない赤ちゃんが、なぜ母語を使いこなせるようになるのか？ ｢ことば｣の意味とは何か？ ｢思考の道具｣としてどのように身につけていくのか？――子どもを対象にした実験の結果をひもとき、発達心理学･認知科学の視点から説明している。
本文では、｢三重苦｣だったヘレン･ケラーが｢ことば｣を習得したときの話を例にあげ、赤ちゃんが｢ことば｣を覚えるために必要なことを解説している。分かりやすい文章で内容は難なく理解できるはずだ。｢総合的知識問題｣を含めて、本校らしい多種多様な小問が並んでいる。以下、いくつか確認する。
[問一] ｢空所補充の語句選択肢｣(全４問/10択)。本文中の Ⅰ ～ Ⅳ の空所に入れる｢適当な語｣を答える。
各選択肢は｢接続詞｣と｢副詞｣だ。｢接続詞｣は本校に限らずどこの学校でも定番の問題。｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に｢答え｣をチェックしていく。
Ⅰ には｢補足｣の｢接続詞｣の(ケ)｢ただし｣､
Ⅱ には｢順接｣の｢接続詞｣の(エ)｢だから｣､
Ⅲ には｢逆接｣の｢接続詞｣の(ウ)｢しかし｣、
そして、最後の Ⅳ には｢例示｣の｢副詞｣の(カ)｢たとえば｣
がそれぞれ入ると分かるはずだ｡
｢逆接｣以外では、いくつかの｢候補｣をしっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要。
尚、本校ではこうした｢空所補充選択肢設問｣は必出なので、細かな｢用法の違い｣を確実に理解しておくこと。
＜時間配分目安：全問で１分半＞
[問二] ｢語句の意味の選択肢｣(全３問/各４択)。｢総合的知識問題｣｡波線部(Ａ)～(Ｃ)の｢語句の意味｣を答える。
それぞれの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、本文中での意味を意識し過ぎると間違ってしまう可能性があるので、要注意。｢答え｣を確認していく。
(Ａ)｢立ちすくみました｣⇒｢立ちすくむ｣＝｢驚きや恐怖で、立ったまま動けなくなること｣
⇒｢答え｣は(ウ)｢はっとして体がこわばって動けなくなりました｣
⇒本校志望者であれば知っているはずの語句。
(Ｂ)｢道すがら｣＝｢道の途中で｣⇒｢答え｣は(エ)｢道を行く途中で｣⇒やや馴染みが薄いかも。
(Ｃ)｢端緒(たんしょ)｣＝｢物事が始まる、または解決するいとぐち。手がかり｣
⇒｢答え｣は(ア)｢きっかけ｣⇒難解ではあるが、押さえておきたい語句。
尚、読みは｢たんちょ｣ではないので要注意。
こうした｢語句の意味｣では、｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣を最優先に考えること)を徹底させることが肝要。
＜時間配分目安：全問で１分強＞
[問三] ｢脱文挿入選択肢｣(４択)｡示されている、本文から抜けている一文｢モノが複数あったらどうでしょう｡｣を｢入れる場所｣を、本文中の【ａ】～【ｄ】の中から答える。
｢脱文挿(そう)入｣では｢接続詞、指示語、副詞、そして、内容｣に着目すること。ここでは｢接続詞｣等はないので、｢内容｣で特定する。｢モノが複数あったら｣とあるので、｢脱文｣の｢前｣では｢モノ｣が｢単数｣の場合、｢後｣には｢モノ｣が｢複数｣の場合が述べられていると判断できるはずだ。判別する。｢モノ｣が前後で述べられているのは【ｂ】と【ｃ】だけ、そして、｢単数｣→｢複数｣と変換している【ｂ】が｢答え｣だと特定できる。｢脱文挿入｣では､｢挿入候補｣に必ず｢代入確認｣をして、丁寧に確認することが肝要。
＜時間配分目安：１分強＞
[問七] ｢空所補充の条件付き内容説明記述｣(｢45字以内｣指定)。傍線部①｢運命の時｣について、｢それを説明した文の に入れる内容｣を｢四十五字以内｣で説明する。｢条件｣は｢問題文中の語句を用いて説明する｣こと。
説明文は｢ ということに、ヘレンがついに気づいたということ｡｣となっている。この段階で、｢運命の時｣とは｢ヘレンが『何か』に気づいた時｣であり、その｢何か｣が説明すべき内容だと分かるはずだ。それを｢同一意味段落｣から読み取りたい(｢説明文｣｢論説文｣では｢同一意味段落｣に根拠･手がかりがある)｡ここでの｢同一意味段落｣は、傍線部からの４段落だと判断できる。｢問題文中の語句を用いて説明する｣という｢条件」があるということは、当然、｢説明すべき内容｣が述べられているはずなので確認していくと、３段落目で｢この時(＝運命の時)にヘレンに何が起きたのか｣を説明していることが分かる。そこから｢(ヘレンは)すべてのものには名前があり、それを表現するのが『ことば』だということを理解した｣ということが読み取れる。
だが、｢指定字数｣を考えるとこれだけでは説明不足だ。補足できる内容をさらに読み解きたい。｢傍線部一文一部の法則｣に｢手がかり｣を求める(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という読解の基本となる解法)。直前に｢そして｣という｢添加｣の接続詞があり、傍線部は段落冒頭だと分かる。そこで、前段落の内容を確認する。｢運命の時｣が訪れる前のことで、｢ヘレンは、自分の欲求を『ことば』で表現できることを理解していなかった｣といったことが述べられている。｢補足すべき内容｣になっている。
あとは、これらの要素を整理して｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢すべてのものには『ことば』によって表現される名前があり、自分の思いは『ことば』で伝えられる(ということに)｣(45字)といった｢答え｣となる。
｢説明文｣｢論説文｣では｢同一意味段落｣を丁寧に読み取ることが肝要。尚、｢条件｣は｢手がかり･ヒント｣でもあると心得よ。
＜時間配分目安：２分半＞
[問十] ｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部④｢一般化の問題｣について、｢その説明｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(原意絶対優位の原則)｡ここは｢内容説明｣なので、｢一般化の問題｣の｢原意｣と、各選択肢の｢文末｣とが結びつくかどうかで｢消去｣する(｢選択肢説明｣での最重要ポイントは｢文末｣だ)｡確認する。
(ア)｢相当多くの言葉を身につけなければならないということ｣､
(イ)｢言葉自体を説明することはどうしてもできないということ｣､
(ウ)｢全く異なる言語に置き換えて考える必要があるのだということ｣､
(エ)｢言い表すことは難しいということ｣｡
どうだろう？ 流石(さすが)にこれだけで｢消去｣することは不可能だ。そこで、｢傍線部一文一部の法則｣をチェックする。直前直後が｢これを『一般化の問題』と言います｣となっているではないか！ 要は、｢一般化の問題｣＝｢これ｣なので、｢指示語｣を開く。直前から、｢これ｣＝｢一つの特定の例だけから言葉の『意味』を確定するのは不可能(＝[問六]の｢答え｣)だということ｣になると分かるはずだ。｢不可能｣なのだから無論、｢どうしてもできない｣以外は｢消去｣できるに決まっている。念のために(イ)の他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認する。特には誤っていない。よって、｢答え｣は(イ)でいい。
本問では結果的に｢傍線部一文一部の法則｣を用いての｢一発消去｣だったが、まず試みるべきは｢原意消去｣だと心得よ。
＜時間配分目安：１分強＞
【大問三】｢小説の読解｣(｢長文自由作文｣あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：21分
- ★必答問題
新鮮や驚きに満ちた、26の｢世にも奇妙な物語｣が紡(つむ)がれている奇想短編集の一篇。
本文は、道を外れたことのない人生を歩んできた｢私｣が、家を出てしまった娘に会いに行くとき、道に迷ったことにして遅れていこうと考えて違う駅で降りたが、本当に｢迷子｣になってしまい……といったお話の全文。不可思議な雰囲気のストーリーだが、内容自体は理解できるはず。｢四字熟語｣｢オノマトペ｣｢慣用句｣といった多彩な｢総合的知識問題｣と｢内容読解問題｣、そして、最後にお約束の｢作文｣が待ち構えている。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみたい。
[問一] ｢空所補充の語句選択肢｣(全３問/８択)。｢総合的知識問題｣。｢四字熟語｣だ。本文中の空所 Ⅰ ～ Ⅲ に入れるのに｢最も適当な語｣を答える。
空所前後の｢文脈｣から、それぞれの｢答え｣を確認していく。
｢真面目。 Ⅰ ｡堅物(かたぶつ)｡｣⇒直前直後と同じような意味のものになるはず
⇒｢答え｣＝｢四角ばっていて、きわめてまじめなこと｣を表す選択肢(ク)｢四角四面｣。
｢娘もまた私を Ⅱ として捉(とら)えた。『お父さんみたいな予定通りの人生なんて絶対嫌(いや)！』 それが口癖(くちぐせ)だった娘｣
⇒｢お父さんみたいな人生｣を否定している
⇒｢答え｣＝｢悪い面の見本で、そうなってはいけないと教えられる人や事例のこと｣の(エ)｢反面教師｣。
｢そうした Ⅲ な道のりを経て、私は今迷っている｣
⇒｢指示語｣の｢そうした｣＝｢『私』がわざと迷うために行った相当な努力｣だと読み取れる
⇒｢答え｣＝｢用意が細かいところまで行き届き、準備に手抜かりがないさま｣である(エ)｢用意周到(しゅうとう)｣になる。
他の選択肢の｢付和雷同｣･｢臨機応変｣･｢天衣無縫｣･｢天真爛漫｣･｢我田引水｣について、万一にも曖昧(あいまい)なものがある諸君は徹底して再習得することが必須。
＜時間配分目安：全問で１分半＞
[問三] ｢空所補充の漢字記述｣(全３問/｢漢字１字｣指定)。｢総合的知識問題｣。｢慣用句｣。
波線部(ａ)｢■襟(きん)を開く｣、(ｂ)｢寝■に水｣、(ｃ)｢■をもたげた｣の■に入れるのに｢適当な体の一部を表す漢字一字｣を答える。
本校志望者であれば、前後の｢文脈｣を確認せずとも、この段階で｢全問正解｣したい。それぞれの｢答え｣は、
(ａ)＝｢胸｣⇒｢胸襟を開く｣とは｢思っていることをすっかり打ち明ける｣こと、
(ｂ)＝｢耳｣⇒｢寝耳に水｣とは｢不意の出来事や知らせに驚くこと｣のたとえ、
(ｃ)＝｢頭｣⇒｢頭をもたげる｣とは｢目立ち始める。台頭する｣ことだ。
本校では、｢ことわざ｣｢慣用句｣｢故事成語｣｢四字熟語｣、｢同音異義語｣｢同音異字｣や｢語句の意味｣、さらには｢文法｣も含めて、｢国語的知識｣は完璧にしておきたい。
＜時間配分目安：全問で１分弱＞
[問六] ｢理由説明選択肢｣(４択)。傍線部②｢しかし私の頭の中には、娘の残した言葉が案外深く刻みつけられていたらしい｣について、｢『私』がそう考えた理由｣を答える。
無論、｢原意消去｣から｡ここは｢理由説明｣なので、｢案外深く刻みつけられていた｣ことの｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣と照合する｡
(ア)｢理解しがたい価値観を持つ娘に近づきたかったから｣､
(イ)｢無鉄砲(むてっぽう)な生き方をやってみたかったから｣､
(ウ)｢娘を助けられるのではないかと考えたから｣､
(エ)｢娘と和解したいと思ったから｣｡
どうか？ ｢案外｣｢深く刻みつけられていた｣⇒｢違和感があるからこそ深く印象に残った｣と考えられるはず⇒よって、｢理解しがたい価値観を持つ｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。他の部分の説明を｢同一場面｣で確認しても特に誤っていないので(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)、｢答え｣は(ア)になる。見事な｢一発消去｣だ！ ｢紛らわしい選択肢説明｣にも惑わされず、時間短縮もできる｢原意消去｣､やはり活用すべきだ。
＜時間配分目安：１分強＞
[問九] ｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢120字ほど｣の解答欄)。傍線部④｢私は突然、不安になってきた｣について、｢『私』はなぜそうなったのか｣を説明する。
｢同一場面｣から｢理由｣に結びつきそうな｢状況｣を読み取っていきたい。直前から、｢(一人前の迷子になってしまい、誰かに道を聞こうとしているが)誰も通りかからない｣｢娘の家を訪問する時間は刻々と近づいている｣｢遅刻になってしまう｣といった｢状況｣が読み取れる。また、直後には｢わからない。自分がどこにいて、どの方向に進めばいいのかがわからない。これが本当の迷子という感覚なのか｣とある。こうした内容から、｢不安になった理由｣は説明できるはずだ。｢文脈｣を整理して、分かりやすくまとめていきたい。たとえば、｢一人前の迷子になってしまい、人に道を聞こうとしているのに誰も通りかからず、娘の家を訪問する時間は刻々と近づいて遅刻してしまうかもしれないのに、自分がどこにいて、どの方向に進めばいいのか全くわからず、本当の迷子になってしまったと感じたから｡｣(119字)といった｢答え｣だ。
｢説明記述｣では、｢最重要ポイント｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣にすること。
＜時間配分目安：２分半＞
[問十一] ｢条件付き自由作文｣(｢字数指定｣なし、｢150字ほど｣の解答欄)。｢作文問題｣。｢あなたが、お父さん、またはお母さんと、性格や考え方などの違いによって、困ったことやトラブルになったことをあげ、その上で、それをどのように解決したか｣を｢作文｣する。｢条件｣は｢実際の経験ほか具体的な例をあげ作文する｣こと。
本文では、｢私｣と｢娘｣が全く異なる部分を持ち合わせており、そのことによって生じた問題などが描かれている。それらを参考にしながら、｢あなた自身｣にあてはめ、何か｢具体例｣を取りあげて｢作文｣していけばいい。その際に、｢解決方法｣にも触れることを忘れてはいけない。問題文には｢評価は、表記もふくめた言葉としての正しさ、巧みさにも着目しながら、文章として完結しているもののみ内容を中心に行います｣と記されている。したがって、そのことを十分に留意する必要がある。
尚、｢作文問題｣は本校が求めている｢鑑賞力･想像力･創造力･表現力｣の全てが網羅されているので、｢白紙｣のままというのは絶対に避けたい。
＜時間配分目安：５～６分＞
攻略のポイント
●本校では､｢国語力の根幹をなすものは客観的読解力と必要十分な日本語表現力と考えますが、情報化著しい現代社会に対するためには、速読速解の力も欠かせません。受験生の日頃の学習には、多読および文章構造を押さえ、要を得た速読力の習得まで期待したい｣(本校ＨＰより)と、受験生に助言している。その通りに実行したい。そのためには、｢設問内容｣に応じた適切な｢解法｣を習得し、応用できるようにすることが重要だ。合格ラインは５割台半ば(過去８年間の｢合格者平均得点率｣は57.1%｡本年度は大きく下がって51.3%)。
●｢漢字、ことわざ、慣用句など、受験生が継続的に習得してきた語彙力を問う｣(同上)とも明記されているので、｢総合的知識問題｣も侮(あなど)れない。本校を志した瞬間からあらゆる｢知識｣を吸収するように努力することが重要。
●本年度で８年目になり、本校の特色として定着した｢自由作文問題｣。｢与えられた情報｣に基づいて自ら｢思考｣し、自らの言葉で｢表現｣するという練習をしっかりとしておくことが求められる。
●試験時間は他校の多くと比べ短い40分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは全体で7000～8000字程度となっている(本年度は一気に増えてなんと約9200字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。本校自身も｢速読速解の力も欠かせません｣(同上)と明記している。分速800字以上を目標に｢読む練習｣を常にすることが必須だ。
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