｢漢字の書きとり｣(全５問)。示されている(Ａ)～(Ｅ)の各文中の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。本校の｢標準レベル｣だった昨年度よりは平易になった。本校志望者であれば｢全問正解｣が必須。確認する｡
(Ａ)｢彼女のコウセキを皆でほめたたえた｣＝｢功績｣⇒何ら問題なし。
(Ｂ)｢神社ブッカクの所在を地図に記した＝｢仏閣｣⇒一瞬悩むか？⇒｢日本における寺院と神社の総称｣を表す｢神社仏閣｣という｢四字熟語｣として覚えておきたい。
(Ｃ)｢バンシュウの風景｣＝｢晩秋｣⇒｢中学入試｣の定番だ。
(Ｄ)｢キンムが終わった｣＝｢勤務｣⇒｢勤｣の左側｢堇｣は｢11画｣なので注意したい。｢一画一画｣を丁寧にはっきりと記すこと。
(Ｅ)｢常用のイグスリ｣＝｢胃薬｣⇒書けなかった諸君はヤバイ！
本校の｢漢字の書きとり｣では、わざわざ｢ていねいに書きなさい｣という｢条件｣が明記されている。ということは、それだけ厳しく採点されるわけだ。一点一画を意識して記すこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で２分＞

話は誰でもできる。だからこそ、上手に話すことは難しい――ひとりで喋るな、黙りこむな。お世辞、毒舌、愚痴、自慢は、やりすぎると嫌われる。ほら吹き、知ったかぶりは恥ずかしい……。｢話術の神様｣であった筆者が｢話し方｣について明快に論じている。本文では、｢ハナシ｣において重要な｢間｣とはどういうものかについて例を挙げながら論じている。未知の人名などが登場するが、｢※注｣を活用して内容を理解したい。本校でのオーソドックスな小問が並んでおり、最後には｢自由作文｣が待ち構えている。いくつか確認する。

[問一]　｢空所補充の語句選択肢｣(全４問/６択)
本文中の　Ａ　～　Ｄ　の空所に｢入れるのに最も適当な語｣をそれぞれ答える。各選択肢は｢接続詞｣と｢副詞｣だ。こうした｢空所補充｣は本校に限らずどこの学校でも定番の問題。特に｢接続詞｣では、｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に｢答え｣をチェックしていく。
　Ａ　には｢逆接｣の｢接続詞｣である(エ)｢しかし｣､　Ｂ　には｢換言･説明｣の｢接続詞｣の(カ)｢つまり｣､　Ｃ　には｢転換｣の｢接続詞｣である(ア)｢では｣、そして、最後の　Ｄ　には｢添加｣の｢接続詞｣の(イ)｢そして｣がそれぞれ入ると分かるはずだ｡いくつかの｢候補｣をしっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要。
尚、本校ではこうした｢空所補充選択肢設問｣は必出なので、細かな｢意味･用法の違い｣を確実に理解しておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分半＞

[問二]　｢空所補充の文字記述｣(全３問/｢ひらがな｣指定)
｢総合的知識問題｣｡波線部(Ⅰ)～(Ⅲ)の■には｢ひらがな１字ずつが入る｣が、｢続く< >にある意味を参考にしてあてはまる言葉｣を答える。示されている｢意味｣と空所前後の｢文脈｣を踏まえて、それぞれの｢答え｣を特定していきたい。
(Ⅰ)｢手前■■<自分で自分のことをほめること>のようで恐縮であります……｣⇒｢意味｣や｢文脈｣に無関係に｢手前○○｣といえば必須定着｢四字熟語｣のひとつである｢手前味噌｣に決まっている＝｢答え｣は｢みそ｣。
(Ⅱ)｢■■■■役者<演技の下手な役者>だと……｣⇒｢意味｣から即座に｢大根役者｣だと特定できるはず＝｢答え｣は｢だいこん｣。
(Ⅲ)｢何か『マ』の簡単にわかる■■の巻<問題を解決するひけつ>はないかい？｣⇒｢意味｣と｢文脈｣から、元々は中国古代の兵法書の名前に由来する｢虎の巻｣という｢慣用句｣だと思いつくか？ やや難しい＝｢答え｣は｢とら｣⇒｢問題の解答などが書いてある参考書｣という意味で使われることが多い。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分半＞

[問三]　｢脱文挿入の抜き出し｣(｢直前の５字｣指定)
示されている、本文から抜けている文｢要するにいわゆる『マ』がもたないのです｡｣を｢本文中にもどすとすると、どこに入れればよいか｣を、｢もどすか所の直前の五字(句読点は含まない)｣を｢抜き出して｣答える。｢脱文挿(そう)入｣では｢接続詞･指示語･副詞、そして、内容｣に着目すること。ここでは冒頭に｢要するに｣という｢副詞｣があるので、それを踏まえて挿入する場所を特定していくことになる。｢要するに｣＝｢今まで述べてきたことをまとめれば｣なので、脱文の直前で｢『マ』がもたない｣についての説明があるはずだ。その内容を念頭に｢形式段落の最後｣をチェックしていく(特に指示がない場合、｢脱文挿入｣では｢形式段落の最後｣に挿入するのがお約束)。すると、波線(Ⅱ)の段落の最後が｢大根役者(＝[問二]の｢答え｣)だと、その半分の時間(＝『マ』の芝居の半分)しかもたない、その上客は大ダレとなる｡｣となっている。この直後に｢挿入｣すればＯＫだと判断できるはずだ。よって、｢答え｣は｢ダレとなる｣だ。
尚、｢脱文挿入｣では､｢挿入候補｣に必ず｢代入確認｣をして、丁寧に確認することが肝要だと心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢内容説明選択肢｣(４択)
傍線部①｢これを『間』という｣について、｢ここでの『間』はどのようなものか｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡だが、ここでは｢指示語｣があるので最優先で確認する(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢これ｣＝｢ハナシの中の喋(しゃべ)らない部分｣だと分かる。で、｢原意消去｣だ。本問は｢内容説明｣なので、｢『間』＝これ｣の｢原意｣と結びつかない｢内容｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣を確認する(｢選択肢説明｣での最重要ポイントは｢文末｣だ)｡
(ア)｢休める時間をつくること｣､(イ)｢バランスを取ること｣､(ウ)｢黙るべき時間を設けること｣､(エ)｢言葉を発すること｣｡どうだろうか？ ｢これ｣＝｢喋らない部分｣なのだから、｢黙るべき時間｣以外は即｢消去｣だと分からなくてはいけない。念のために他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認する(｢説明文｣｢論説文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)。特には誤っていないと判断できる。よって、｢答え｣は(ウ)だ。華麗なる｢一発消去｣ではないか！ ｢原意消去｣、必ず完全習得して使いこなせるようにしておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分弱＞

[問十]　｢条件付き自由作文｣(｢字数指定｣なし、｢150字ほど｣の解答欄)　｢作文問題｣　
本文中では｢『バランス』という言葉が多く使われている｣が、｢あなたが普段の生活で考えている『バランス』にはどのようなものがあるか。また、それをどのように心がけているか｣を｢作文｣する。｢条件｣は｢実際の経験や具体例をあげて作文する｣こと。本文では、｢日本画｣や｢ハナシ｣、｢ジェット機｣の例をあげて、｢バランスを保つことの重要性｣を論じている。そうしたことを読み解き、参考にしながら、｢あなたの普段の生活｣にあてはめ、何か｢実際の経験や具体例｣を取りあげて｢作文｣していけばいい。その際に、｢なぜ、『そのバランス』を普段から考えているのか｣に触れ、｢あなた自身、どのように『バランス』を保っているのか｣についてもしっかりと述べていくことを忘れてはいけない。設問文には｢評価は、表記もふくめた言葉としての正しさ、巧みさにも着目しながら、文章として完結しているもののみ内容を中心に行います｣と記されている。したがって、そのことを十分に留意する必要がある。
尚、｢作文問題｣は本校が求めている｢鑑賞力･想像力･創造力･表現力｣の全てが網羅されているので、｢白紙｣のままというのは絶対に避けたい(本年度の配点は｢８点｣)。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：５～６分＞

親の夜逃げのため、｢佐々良(ささら)｣という全く知らない町に住むことになった中学生の｢照代(てるよ)｣(私)。一緒に暮らすのは、遠い親戚(しんせき)だという｢久代(ひさよ)さん｣。なかなか心を開こうとしない｢照代｣の元にある日、差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、｢照代｣を包む温かい真実が明らかになる――｢照代｣を取り巻く人々との触れ合いと季節の移り変わりを通じて鮮明に語られていく｢癒(いや)しと再生｣の物語。本文では、｢佐々良｣で知り合った｢サヤさん｣とともに｢吹きガラス｣の工房を訪れ、そこで｢職人のおじいさん｣と出会う｢照代｣の姿が描かれている。内容は問題なく理解できるはずだ。本校としては標準レベルの小問構成。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみたい。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全３問/各４択)　｢総合的知識問題｣
波線部(Ⅰ)～(Ⅲ)の｢語句の意味｣を答える。それぞれの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、本文中での意味を意識し過ぎると間違ってしまう可能性があるので、要注意。｢答え｣を確認していく。
(Ⅰ)｢殺風景｣＝｢景色などに目を楽しませるものがないこと｣⇒｢答え｣は(エ)｢物が何もなくて単調でつまらない様子｣⇒本校志望者であれば知っているはずの語句だ。
(Ⅱ)｢にべもない｣⇒馴染みが薄くてやや戸惑うか？⇒｢愛想がなくそっけない｣という意味だ⇒｢答え｣は(ウ)｢冷たい話し方で愛想がない｣⇒知らなかった諸君は覚えておくこと。
(Ⅲ)｢こともなげに｣＝｢何も特別なことではないかのように平然と行うさま｣⇒これは知っていてほしい⇒｢答え｣は(イ)｢何でもないかのように平然と｣⇒しばしば｢やってのける｣という表現が後に続くことも押さえておきたい。こうした｢語句の意味｣では、｢原意絶対優位の原則｣を徹底させることが肝要。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問三]　｢空所補充の文字記述｣(｢漢字１字｣指定)　｢総合的知識問題｣
｢慣用句｣だ。本文中の空所?にあてはまる｢体の一部を表す漢字１字｣を答える。空所部は｢値段を聞いて?で笑っていた｣となっている。｢文脈｣を読み取るまでもなく、｢〇で笑う｣で｢体の一部を表す漢字｣といえば｢鼻で笑う｣に決まっている。したがって、｢答え｣は｢鼻｣。無論、｢相手を見下してあざけり笑う。 鼻先でふんと笑う｣という意味も定着していなくてはいけない。
尚、本校では｢慣用句｣はもちろん、｢ことわざ｣｢故事成語｣｢四字熟語｣なども完全に定着させておく必要があると心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：30秒＞

[問五]　｢心情説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢90字ほど｣の解答欄)
傍線部①｢そうなったのはむしろ、私の心だ｣について、｢この時の『私』の気持ち｣を説明する。｢私の心｣が｢そうなった｣のだから、｢私の心情｣は｢指示語｣の内容になる。確認すると、直前から、｢そうなった｣＝｢粉々に砕け散った｣だと分かる。もちろん｢比喩表現｣だが、｢私｣の｢気持ち｣の核心となる。｢状況｣を｢同一場面｣から読み取っていきたい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)。ここでの｢同一場面｣は、本文冒頭から傍線部の後の(中略)の前までだと判断できる。確認すると、｢私｣にとって非常に大切で｢心の支え」になっていた｢ガラスのりんご｣が棚から落ちてしまい、｢粉々に砕け散ったりはしなかった｣が、｢あちこち欠け｣｢無数の細かい傷｣ができてししまった。そうした状態に対して。｢私の心｣が｢粉々に砕け散った｣ことが読み取れる。つまり、｢落胆した｣｢絶望した｣ことになる。あとは、こうした内容を整理して｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢非常に大切で心の支えにもなっていたガラスのりんごが棚から落ちてしまい、粉々に砕けはしなかったが、あちこちが欠けて、無数の細かい傷ができてしまったことにとても落胆し、絶望する気持ち｡｣(90字)といった｢答え｣になる。｢小説｣の｢説明記述｣では、｢同一場面｣から｢状況｣を正確に読み取ることが肝要だと心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分半＞

[問八]　｢心情説明選択肢｣(４択)
傍線部④｢『え、ええ』サヤさんはにっこり笑ってうなずいた。ちくり、と胸が痛む｣について、｢この時のサヤさんと『私』の気持ち｣を答える。ここでは、２人の｢気持ち｣が問われている。よって、各選択肢の説明もとても長くなっている(それぞれ100字以上もある)。そこで、どちらかひとりの｢心情｣で｢原意消去｣をしたい。｢ちくり、と胸が痛む｣とある｢私｣の方が分かりやすい。各選択肢の｢文末｣で述べられている｢心情｣で結びつかないものを｢消去｣する。照合する｡
(ア)｢黙っている｣､(イ)｢心配している｣､(ウ)｢ありがたいと思っている｣､(エ)｢申し訳なく思っている｣｡｢ちくり、と胸が痛む｣ときの｢心情｣なのだから、｢申し訳なく思っている｣以外は｢消去｣できると分かるはずだ。(エ)の他の部分の説明を｢同一場面｣で確認しても、特には誤っていないと判断できる。したがって、｢答え｣は(エ)でＯＫ。見事に｢一発消去｣ができた。｢100字以上｣の説明をチェックしていては時間ばかりがかかってしまうし、そもそも混乱することは必至だ。やはり、｢原意消去｣は本校合格のための必須ツールだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞