｢東海道新幹線の中での、主に歴史にまつわる父子の会話文｣からの出題。｢歴史｣単元と一部｢地理｣単元についての、｢年表｣｢統計資料｣｢図版｣｢地図｣｢地形図｣などからの小問が連なっている。｢説明記述｣以外は平易なものが多い。短時間で一気呵成に得点していきたい大問だ。以下、少しだけ｢設問｣を確認してみよう。

[問７]　｢下線部に関しての年代整序設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢会話文｣中の下線部⑥の｢祇園祭(ぎおんまつり)｣の起源は｢亡くなった人の怨霊(おんりょう)をしずめる御霊会(ごりょうえ)にあるとされている｣が、｢歴史上で怨霊となった人物に関する出来事｣を｢古い順｣に並び替える。

｢年代整序｣は｢うろ覚えの年代｣で整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが肝要だ。各選択肢の｢キーワード｣から｢時代･時期｣を特定していく。

(ア)｢承久の乱｣

　　⇒｢鎌倉時代前半｣ということは必須定着事項。

(イ)｢菅原道真｣｢藤原氏と対立し左遷｣

　　⇒｢平安時代｣で｢摂関政治｣の直前だと結びつくはず。

(ウ)｢桓武天皇｣｢平安京遷都(せんと)｣

　　⇒無論、｢平安時代｣直前。

(エ)｢平将門｣｢関東一帯を支配｣

　　⇒｢平将門の乱｣、｢摂関政治｣によって地方の政治が乱れ、｢武士の反乱｣が起きるという｢流れ｣だと知らなくてはいけない。

よって、｢答え｣は｢(ウ)→(イ)→(エ)→(ア)｣となる。

このように｢流れ｣や｢背景｣で特定できなかった諸君は｢レベルアップ｣が必須だ。尚、｢平将門の乱｣と｢藤原純友の乱｣を合わせて｢承平天慶の乱(じょうへいてんぎょうのらん)｣ということも押さえておきたい。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問８(４)]　｢下線部に関連する条件付き背景説明記述設問｣(｢字数指定｣なし｡｢80字ほど｣の解答欄)。｢歴史｣単元。｢会話文｣中の下線部⑦｢北陸本線｣に関連して示されている｢表｣(本国以外の統治区域である外地の２つの鉄道事業の開始時期を記載)について、｢日本が２つの外地に鉄道を開業することになった歴史的な背景｣を説明する。｢条件｣は｢戦争名や条約名をあげて説明する｣こと。

｢表｣には｢1896年:台湾で日本の国営鉄道が開業｣･｢1906年:中国東北部に鉄道が開業｣と記されている。｢条件｣と｢年代｣結びつければ、前者は｢日清戦争の勝利で台湾が植民地になったこと｣、後者は｢日露戦争の結果として南満州鉄道の営業権を得たこと｣がそれぞれの｢背景｣だと判断できるはずだ。あとは、｢条件｣を満たすように｢過不足なく｣まとめていけばいい。

たとえば、｢日清戦争勝利後の下関条約によって台湾が日本の植民地になったことと、日露戦争の講和条約であるポーツマス条約によってロシアから南満州鉄道の営業権を譲り受けたこと｡｣(79字)といった｢答え｣になる。

当然ながら、｢条件｣は｢手がかり･ヒント｣でもあると心得よ。

＜時間配分目安：２分半＞

[問９(１)]　｢会話文についての資料読み取り判別および県名記述設問｣(全２問/５択)。示されている｢表｣中の(ア)～(オ)は、同じく示されている｢地図｣(東海道新幹線の路線を明示)の中の(Ａ)～(Ｅ)の｢都道府県いずれかの６項目の指標｣だが、このうち(イ)･(オ)に｢あてはまるもの｣をそれぞれ(Ａ)～(Ｅ)の中から選び、｢都道府県名｣も答える。

｢地図｣中の(Ａ)～(Ｅ)は順に、｢神奈川県｣･｢愛知県｣･｢岐阜県｣･｢京都府｣･｢大阪府｣だということはすぐに分かる。

で、｢表｣の｢指標｣の｢夜間人口｣(要は各府県の｢人口｣)に着目したい。｢人口順｣に(オ)→(ア)→(イ)→(ウ)→(エ)となっている。上記各府県の｢人口順｣は誰もが定着しているはずなので結びつければ、(オ)＝｢神奈川県｣･(ア)＝｢大阪府｣･(イ)＝｢愛知県｣･(ウ)＝｢京都府｣･(エ)＝｢岐阜県｣だと特定できる。

したがって、｢答え｣は(イ)＝｢(Ｂ)･愛知県｣と(オ)＝｢(Ａ)･神奈川県｣となる。

なんと、｢６項目の指標｣のうちのたったひとつで解けたことになる。｢統計資料の読み取り｣では、特徴的で分かりやすい｢項目｣(指標)に着目することが肝要だ。

＜時間配分目安：全問で２分弱＞

※尚、[問10]は｢地形図｣の問題。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

｢2020年夏、東京オリンピック開催｣という時事ネタを切り口として(無論、｢2021年夏予定｣に延期された)、｢昨今注目されている『ラストワンマイル』の問題の重要性に関するリード文｣からの出題。｢地理｣｢歴史｣｢公民｣｢時事｣の各単元、および｢考察問題｣等の｢総合問題｣だ。猫の目のようにコロコロと単元や出題形式が変わるので、混乱しないことが最も重要だ。ただ、難易度はさほど高くない大問。ここも、手際よく解き進めていきたい。３問を検討したい。

[問２(２)]　｢下線部についての条件付き内容説明考察記述設問｣(｢字数指定｣なし｡｢40字ほど｣の解答欄)。｢考察問題｣。｢リード文｣中の下線部②｢通信業界｣について、｢通信のラストワンマイル(通信を利用する建物に接続させる最後の部分)は無線で提供されることもある｣が、｢有線と無線とを比較した時、無線で提供され場合のメリットは何か｣を説明する。｢条件｣は｢示されているイメージ図を参考にして説明する｣こと。

｢イメージ図｣には｢無線の例｣として、｢ケーブルを設置することが困難そうな山間部の建物にも接続されている様子｣が描かれている。これがまさに｢手がかり･ヒント｣だ。｢無線｣の場合、｢ケーブルを設置する工事が不要｣という大きな｢メリット｣があるわけだ。

したがって、たとえば、｢有線ではケーブル設置が困難な山間部などの地域にも通信を接続できるというメリット｡｣(40字)といった｢答え｣だ。｢考察問題｣では、与えられているあらゆる｢情報｣を用いて｢考察｣することが肝要。

＜時間配分目安：２分強＞

[問４(１)]　｢下線部に関連する条件付き事項記述設問｣。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部④の｢宅配便｣をはじめ、｢多くの産業で長時間労働や人手不足が問題｣になっており、政府はそれらを解決するための取り組みを進めているが、｢この取り組みのための一連の法律を何と呼ぶか｣を答える。｢条件｣は｢解答欄に合う形で答える｣こと。解答欄は｢～関連法｣となっている。

典型的な｢時事問題｣だ。誰もが知っているはず。｢答え｣は無論、｢働き方改革(関連法)｣だ。尚、｢時事問題｣では、受験前年のネタだけではなく数年前からのものを理解し、定着させておく必要がある。

＜時間配分目安：30秒＞

[問４(３)]　｢下線部に関連する統計資料読み取り理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし｡｢80字ほど｣の解答欄)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部④｢宅配便｣に関連して示されている｢表｣(年齢階級別非正規の職員の割合)について、｢15～24歳｣(学生のアルバイトを多く含む年代)の他にも｢非正規雇用の比率の高い性別･年代が複数あり｣、｢それらは非正規雇用の比率の高くなる理由によって２つのグループに分けられる｣が、｢この２つのグループはそれぞれどのような性別･年齢の層か、また、なぜその層は非正規雇用の比率の高くなるのか｣を説明する。

先ずは、問題文を沈着冷静に正しく理解する必要がある。その上で、｢性別･年代｣に着目して｢表｣を読み取ると、｢35歳以上の女性｣(52.5%～81.3%)と｢65歳以上の男女｣(76.3%)の２つのグループが、他と比べて｢非正規雇用の比率が高い｣ことが分かるはずだ。では、なぜそうなるのか？ ｢公民｣の｢知識｣を駆使して考えていく。前者は｢Ｍ字カーブ｣(30代で出産･育児に専念、子育てが一段落した40代で再び職に就くという、日本女性の働き方の特徴)、後者は｢老年人口｣(企業を定年退職した後の世代)と結びつくと気づきたい。あとは、こうした要素を整理してまとめていく。

たとえば、｢35歳以上の女性と65歳以上の男女の２つのグループで、前者は出産･育児のために自由な働き方を選ぶ人が多くなり、後者は定年退職した後に再び働き始める場合が多いから｡｣(79字)といった｢答え｣だ。

本校では｢社会｣でも、問題文を的確に理解するために｢高度な読解力｣が求められていると心得よ。

＜時間配分目安：３分半＞

｢2019年は多くの台風が日本に上陸した｣という時事ネタを切り口として、｢過去に被害の大きかった台風の例や、台風に対する備えなどを説明したリード文｣からの出題。｢地理｣単元がメインで、一部に｢歴史｣単元と｢考察問題｣の混在がある大問だ。慎重なチェックが求められている｢統計資料読み取り問題｣以外は、基礎的な知識を問う小問が並んでいる。２問だけ検証する。

[問３]　｢下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問｣(12択)。｢地理｣単元。｢リード文｣中の下線部②｢(2019年10月の台風19号で)大雨特別警報が出された13都県｣のうち、｢新潟県｣･｢宮城県｣･｢群馬県｣･｢静岡県｣について示されている｢表｣(漁業生産量と産出額)の中の(Ａ)･(Ｃ)に入る｢県名の組み合わせ｣を答える。

なんと、前代未聞の｢12択｣。先ずは、バッサリと｢消去｣したい。｢表｣の｢漁業生産量｣のうちの｢海面｣の｢項目｣に着目すると、(Ｄ)だけが｢ゼロ｣だ＝｢内陸県｣と判断できる⇒上記の４県の中では｢群馬県｣だと特定可能。よって、(Ｄ)以外を｢群馬県｣としている６つの選択肢は｢消去｣だ。半分になった。次に、残り３県で｢漁業生産量｣が最も多いのは｢宮城県｣だと判別できるので、最多の(Ａ)が同県以外のものも｢消去｣、ここで２択になる。そこで、｢漁業生産量｣が｢２位｣の(Ｂ)は｢静岡県｣で、｢３位｣の(Ｃ)が｢新潟県｣だと特定できるはず。

したがって、｢答え｣はその｢組み合わせ｣になっている(シ)となる。｢組み合わせ選択肢｣では、自分が知っている｢項目｣で一気に絞り込むことが肝要だ。

＜時間配分目安：１分強＞

[問７]　｢下線部に関連する選択肢設問｣(５択)。｢歴史｣単元。｢リード文｣中の下線部⑥の｢千曲川｣は｢川中島の戦い｣で有名だが、｢歴史上の有名な戦場と敗者の組み合わせ｣を答える。各選択肢は、(ア)｢関ヶ原:豊臣秀吉｣･(イ)｢桶狭間:今川義元｣･(ウ)｢五稜郭:坂本龍馬｣･(エ)｢長篠:上杉謙信｣･(オ)｢壇ノ浦:源義経｣。

実に平易なのだが、最終問題で時間に追われてあせっていると、最初に目に入った｢関ヶ原:豊臣秀吉｣に反応し⇒｢関ヶ原の戦い｣では｢豊臣方｣が敗れた＝｢答え｣などとしかねないので要注意。｢秀吉｣はすでに亡くなっており、敗れたのは｢西軍｣を率いた｢石田三成｣だ。で、｢正解｣は(イ)になる。｢桶狭間の戦い｣で｢今川義元｣は｢織田信長｣に敗れている。ちなみに、｢五稜郭の戦い｣では｢榎本武揚｣の｢旧幕府軍｣が｢新政府軍｣に、｢長篠の戦い｣では｢武田勝頼｣が｢信長･家康｣の連合軍に、｢壇ノ浦の戦い｣では｢平氏｣が｢源氏｣にそれぞれ敗れている。どれほどあせっていても決して慎重さを失わないこと｡

＜時間配分目安：30秒強＞