湘南白百合学園中学校 入試対策
2018年度「湘南白百合学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
[答案作成力]
答案を作成する能力のうち、注目したいのは、速度と精度の、2つの能力だ。これらの能力は、一朝一夕には身につかない。単純な知識の暗記であれば(一問一答であれば)、直前の対策でも、生徒に身につけさせることはできる。しかし、答案作成能力は、短期的には伸びにくい。長期間の学習によって、少しづつ身につけていくものだ。
したがって、湘南白百合の志望者は、受験の早い段階から(理想的には小学5年生の後半から)、本番を想定した学習を心掛けたい。
標準的な演習問題を解く比率を増やし、解答速度を上げておこう。中学受験のカリキュラムは、知識の暗記に時間がかかるので、演習まで手が回らなくなりやすい。そのような形で、演習量が不足してくると、いざ過去問に取りかかる時になって、問題は解けるが、時間が足りない状態になり、焦ってしまうだろう。
そうならないために、基礎知識の暗記では満足せずに、本番を想定した演習にまで、挑戦していってほしい。学習時間を増やすことにはなるが、その演習の成果は、受験の本番が近づいてくれば、はっきりと現れてくるだろう。
[資料の読解力]
資料を読み取る能力は、合否を左右する。中学受験においては(12歳の段階では)、知識の量に、大きな差があるわけではない。そこで、湘南白百合は、志望者を選定するために、「知識の量」だけではなく、「知識の活用」を、試験していると考えられる。資料問題の比重を高くして、「ただ覚えているだけの子ども」と「覚えたことが活用できる子ども」を、判断しようとしているのだろう。
例えば、【大問1】の各設問は、ていねいに解説していけば、大半の子どもは正答できる。きちんとした基礎知識さえあれば、難しくはない。知識の量が多い志望者は、必ずしも有利にはなっていない。しかし、視点を変えて、志望者の正答までの所要時間に、注目してみる。すると、もっとも速い者で6分、もっとも遅い者で12分くらいにまで、差が開くだろう。その差の原因は、資料を読み解いていく速度にある。
[計算の工夫]
計算力には、いくつか確認しておきたい点がある。
まずは、試験時間40分の間、細かな数字を扱い続けても、息切れしないだけの持久力が求められる。設問数が多いので、単純に手をすばやく動かしていかなければならない。一問一問を解く速度を上げながら、試験の後半になっても速度が落ちないことが求められる。
また、細かい小数点以下の計算になった場合でも、計算の精度が落ちないかも気になる。この点は、小学校5年生の段階から、計算練習を積んでおけば、準備がしやすい。
最後に、試験時間内に、迅速に見直しができるように、式を整理して書き残しておく習慣が欲しい。もし、間違った解答を見つけても、あらたまって計算式を書き直している時間は、本番にはないはずだ。
志望者に求められる計算力としては、本校において、【大問2】が、全問正答できたかどうかが、目安になる。過去問の演習において、時間が足りなくなってしまったり、計算式が立てられても、計算結果を間違えてしまった場合は、対策をしておきたい。
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2018年度「湘南白百合学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は40分で、得点は100点満点だ。大問数は4問で、設問数は51問と、非常に多い。全ての設問を埋めるだけでも、受験者には相当の処理速度が要求される。答案作成の速度が重視される試験構成となっている。
【大問1】生物(動物)
- 難度:易
- 時間配分:7分
- ★必答問題
内容:動物の分類で、脊椎動物がどのような特徴を持つのかが問われている。動物の写真が登場しているが、見分けるのはさほど難しくはなかったはずだ。
形式:一問一答形式、資料読解形式が混合されている。
(1)と(2)図鑑を利用して、生物の姿形をきちんと確認しておこう。
(5)教養が求められる設問だ。脊椎動物の細かな特徴を整理しておきたい。また、進化の系統発生についても、理解しておくとよいだろう。
【大問2】化学(気体の性質)
- 難度:標準
- 時間配分:10分
内容:身近な気体の性質を問いながら、気体発生の科学実験の知識も問われている。
形式:一問一答形式、計算形式、が混合されている。
(1)物質名だけではなく、どのような物質の構成割合も合わせて、覚えておきたい。
(6)物質の構成比が一定という科学法則を用いよう。難易度は標準的なので、あらかじめ類題を解いておけば対応できる。
【大問3】地学(火山)
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
内容:火山が大地の形成に果たす役割が問われている。
形式:一問一答形式、資料読解形式、が混合されている。
(1)火成岩の性質は良く出題されるので、対策がしやすい。
(8)計算問題として、地震の波の速度が出題されています。暗記主体の学習から、計算主体の学習へと、重心を移しておきたいです。
【大問4】物理(ばね)
- 難度:難
- 時間配分:14分
内容:ばねの実験を通じて、物理における力がどのように働くのか、理解が問われている。前半は基本的な計算から始まるが、後半は複雑な計算がで要求されるので、受験者のなかで得点の差が開くであろうと予想されます。
形式:計算問題が中心です。
(1)から(2)基本的な設問で、即答したい。
(3)以降 受験者に差がつく設問だ。ばねの性質をしっかりと理解しておかないと、正答できません。このような設問は、典型的な設問をわざと外して作成されていて、どこかで見たような設問を、暗記だけ解いている受験者は失点してしまうでしょう。しっかりと演習教材を選んでおきたいものです。
攻略ポイント
難問と呼ばれる設問は見当たらず、いずれも標準的な解法を用いれば、正答できる。きちんとした学習習慣があれば、答案を埋めること自体はやさしい。合否を決めるのは、解答の速度と精度になり、着実に作業ができる受験者が有利になる。また、理科の得意と不得によって、差がつきにくい試験でもあるので、受験者との相性も考慮したい。
対策としては、難問の演習量を増やしても、あまり効果がないだろう。むしろ、過去問の演習量を増やして、答案作成の力を育てておきたい。特に、資料読解がすばやくできるように、形式に見慣れておくといいだろう。
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