湘南白百合学園中学校 入試対策
2021年度「湘南白百合学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
湘南白百合学園の満点は100点、合格者平均点は例年6割~7割程度である。満点が国語や算数と同様に100点なので、理科の学習に対してもしっかり取り組んで得点源にしたい。
標準的な問題が多く、問題の形式としては、長めの問題文・図・実験データ等を読み取った上で各設問に答える問題が中心である。今年度の出題では、各大問の中にその大問のテーマになっている文章の穴埋め問題(いずれも選択肢問題)が用意されていた。やや細かい知識を必要とする問題、計算問題、簡単な記述問題、図を描く問題も見られる。試験時間の40分に対して問題量がやや多い。慌てる必要はないが、できる問題から解答欄を埋めていくといった姿勢で臨んで欲しい。各分野の学習法は次の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は人のからだの働きに関する出題であった。基本的な知識問題に加え、呼吸に関する計算問題も見られた。近年では、動物の分類、植物の成長、光合成、プランクトンなどからの出題が見られた。この分野の学習法としては、人のからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物、食物連鎖等に関する基本知識を確実に覚えることが第一である。
学習をする際は、資料集や図鑑の写真・絵を見ながら、姿・色などを確認して欲しい。
地学分野
本年度は川の流れと地形に関する出題で、等高線を利用して考えるユニークな出題も見られた。ここ何年かでは、天体、地層、気象についての出題が見られる。この分野の学習としては、まずは地層・岩石・地震と火山・気象そして天体に関する基本知識を確実に固めることが第一である。天体の学習においては、地球の自転・公転、月の公転などとそれによって起こる現象とを結び付け、理屈を理解した上で確実に定着させておきたい。地層に関しては、ボーリング調査に関する問題演習に力を入れて欲しい。気象については、基本知識の他に今年度見られた湿度の計算問題についても練習して欲しい。
物理分野
本年は豆電球の明るさと方位磁針の振れに関する出題であった。ここ数年では、物の運動、ばねの伸び、滑車など力のつり合い、光、音についての出題が見られる。この分野の学習法として、まずは最も出題される可能性の高い力のつり合いに関してしっかり演習を行って欲しい。ばね、てこ、滑車、輪軸、浮力、振り子などについて、塾のテキストや問題集を使って計算問題の練習に時間をかけて欲しい。今年度出題された電気に関しては、電熱線の発熱やLED回路、手回し発電機に関しても学習すること。音や光についても基本を身につけた上で、演習を積み重ねて欲しい。
化学分野
今年度は水溶液と金属の反応および中和反応についての出題であった。ここ何年かでは、物の燃え方、溶解度と濃さ、気体や水溶液の性質、金属と水溶液の反応、中和などから出題されている。この分野の学習法としては、まず、水溶液の性質、気体の性質・ろうそくの燃焼などの基本知識をしっかりと固めて頂きたい。さらに、溶解度、中和、金属と水溶液の反応、燃焼などに関しては、計算問題の練習をしっかり行って欲しい。
模試や過去問はまだ仕上がっていない単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。単に得点だけを気にするのではなく、失点の多かった単元については、塾のテキストに戻るなどして、もう一度基本の確認を行うことが必要であろう。なお、苦手分野の分析やその対策については、プロの家庭教師へ是非相談して頂きたい。
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2021年度「湘南白百合学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は30題程度で100点満点。試験時間は40分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、簡単な記述問題や図を描く問題も見られた。長めのリード文やデータ・図・写真を読み取った上で設問に答える形式が中心になっている。試験時間が40分あるが、設問数がやや多い。むやみに慌てる必要はないが、できる問題から解答欄を埋めていくように心がけて欲しい。
【大問1】生物分野 人のからだの働き
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) 呼吸に関しての説明文を完成させる問題。動物による呼吸器官の名称、ヒトの呼吸器官、肋骨と横隔膜の動きなど正確な知識が求められる。
(2) 呼吸に関する計算問題。
①400mL×0.78=312mL
②400mL×(0.21-0.16)=20mL
③400mL×(0.03-0.0004)×15回=177.6mL
④1500mL(0.21-0.16)=75mL
(75mL×40回)÷(20mL×15回)=10倍
(3) 両生類の呼吸に関する記述問題。子は水中で生活するのでえら呼吸、親は陸上で生活するので肺呼吸。
(4) 血液の成分についての問題。赤血球:酸素を運ぶ 白血球:細菌を殺す 血小
板:血を固める
(5) 心臓の4つの部屋の名称を答える問題。
(6) ①酸素が最も多いのは、肺を出た直後の肺静脈
②尿素が最も少ないのは、腎臓を出た直後の腎静脈
③血液循環における小腸と肝臓の役割についての文章を完成させる穴埋め問題
人のからだの働きに関する出題。前半は呼吸、後半は血液循環を中心とした問題。いずれも正確な知識を問う問題が並んでおり、間違いが多い場合は知識不足と思われるので、テキストに戻って知識の整理を行うこと。
【大問2】化学分野 水溶液と金属の反応・中和
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1) 塩酸にマグネシウムを入れた時に発生する気体は「水素」。
(2) 水素の性質についての選択肢問題。
(3) 塩酸にマグネシウムを入れた時に発生する水素の体積についての計算問題。
表より塩酸Aにマグネシウムは0.8g溶け、その時に発生する水素は1000㎤。塩酸とマグネシウムのどちらがあまるのかに注意して計算すること。
(4) 塩酸Aと過不足なく反応するマグネシウムが0.8g、塩酸Bと過不足なく反応するマグネシウムが1.2gなので、1.2÷0.8 よりBはAの1.5倍の濃さ。
(5) BTB溶液の色の変化に関する問い。アルカリ性では青色。
(6) 塩酸、レモン果汁、お酢は酸性なので、BTB容積は黄色に変化する。
(7) 水に二酸化炭素が溶けて酸性になる。
(8) ①②塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応でできる固体は食塩。
③グラフより、塩酸A:水酸化ナトリウム水溶液C=2:3で中和している。
④Aを半分に薄めたE100㎤に含まれる塩化水素は、A50㎤に含まれる塩化水素の量に相当する。従って、それと中和する水酸化ナトリウム水溶液Cの体積は75㎤になる。
水溶液と金属の反応および中和反応についての出題。指示薬の色の変化など基本知識も必要になってくる。計算問題も複数含まれているが、いずれも標準的な内容。できなかった時は、テキストの例題・標準問題レベルの計算問題の演習をしっかり行うこと。
【大問3】地学分野 川の流れと地形
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)(2) 扇状地は川の流れが緩やかに変わる中流、三角州は河口、渓谷は上流にできる。
(3) 等高線を読むと、選択肢の中では標高290mと考えられる。
(4) 湖と川の流れに関する問題。流れ込んでいるのか流れ出しているのか、等高線から判断すること。
(5) 降った雨がどの川に流れ込むのかを考える問題。問題文中の「水の流れは等高線と垂直である」をヒントに考えること。
(6) 雨量についての計算問題。
① 底面が1㎡の容器に100mmの雨で0.1tなので、同じ容器に15mmの雨では、0.015t
② ①の計算数値より、0.015t×21390000=3208500t
川の流れと地形に関する出題。川の流れでできる地形についての知識、等高線の読み取り、雨量の計算問題で構成されている。理科の入試問題で等高線の読み取りを盛り込んだオリジナリティを感じさせる内容になっている。
【大問4】物理分野 豆電球の明るさ・方位磁針の振れ
- 難度:標準
- 時間配分:12分
(1) 並列回路および直列回路における豆電球の明るさに関する問題。
(2) C:豆電球を2個直列につなぐと、電流は1/2倍になる。D:豆電球を2個並列につないでも、豆電球1個に流れる電流は変わらない。図4の回路では合成抵抗を考える必要がある。豆電球1個の電気抵抗を1とすると、図4の回路の合成抵抗は1.5となり、電池から流れる電流は2/3倍になる。
(3) 図5の豆電球Iは両端がショートされているのでつかない。豆電球Jに流れる電流は図1と同様の120mAとなる。
(4) 図6の豆電球Mは両端がショートされているので点灯しない。
(5)(6) 右手の手のひらを方位磁針に向け、親指以外の4本の指を電流の向きに向けた時、親指側に方位磁針が振れる。
(7) 方位磁針の振れの様子を図に描く問題。乾電池を2個直列につなぐと電流が増え、方位磁針の振れは大きくなる。
(8) (7)同様に方位磁針の振れの様子を図に描く問題。電池を2個並列につないでも流れる電流は変わらず、方位磁針の振れの大きさも変わらない。
(9) 電流による磁力線と地球による磁力線に関する文章を完成させる穴埋め(選択肢)問題。地球は北極をS極とする大きな磁石と考えることができる。
豆電球の明るさと方位磁針の振れをテーマにした電気回路に関する出題。いずれの問題も標準レベルの知識が身についているかと、演習をしっかり積み重ねてきたかが問われる内容になっている。
攻略のポイント
やや細かい知識や思考力を必要とする問題や、記述問題、計算問題も含まれているが、全体としては基本~標準レベルの問題が多い。問題形式としては、長めのリード文や実験・観察の結果に基づいて解き進めていく問題が中心となっている。本校の攻略のポイントとしては、まずは苦手分野を作ることなく、基本レベルの知識を身につけることがあげられる。その上で、長めの問題文や実験・観察の結果を見ながら解くタイプの問題演演習も必要があろう。また、計算問題も出題されるので、各分野の計算問題の練習も行って欲しい。
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