昭和学院秀英中学校 入試対策
2015年度「昭和学院秀英中学校の国語」
攻略のための学習方法
[知識]
「昭和秀英の国語」での攻略ポイントのひとつが、「総合的知識問題」。どう対応するか？ 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ずは「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることもあり、無論、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
[速読]
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読のコツ」を習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。こうした手法によって、昭和秀英おなじみの「フツーの難問」にも的確に対処できるようになる。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみること。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。昭和秀英に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
[解法]
前述したように、昭和秀英の「フツーの難問」でミスをしないための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか？ その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[記述]
「昭和秀英の記述対策」は前述の通りだが、その前に前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。では、何を「書く」か？ 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50～60字で書いてみる(昭和秀英の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最も重要な要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
[意識]
いつでもどこでも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく机に向かっていても無駄なだけ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」に合致しているか？ 「細部」は大丈夫か？ 「必要な要素」は満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
50分という時間で解き進めていかなくてはならない昭和秀英では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2015年度「昭和学院秀英中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢随筆｣、出典は森毅｢まちがったっていいじゃないか｣(文字数約1900字)。小問は全８問(解答数14)｡｢選択肢｣｢空所補充｣｢抜き出し｣、｢説明記述｣(｢40字以内指定｣１問)。｢漢字の書きとり｣(全５問)あり。問題文は３分弱で読み切り、設問を20数分程度で解きたい。
大問二は｢小説｣、出典は岩瀬成子｢くもりときどき晴レル｣所収の｢恋じゃなくても｣(文字数約3000字)。小問は全７問(解答数は８)｡｢選択肢｣(｢不適切｣｢複数解答｣あり)、｢説明記述｣(｢５字｣｢30字｣｢45字｣以内指定、各３問)。問題文は４分強で読み切り、設問を20分強で解きたい。
【大問一】
- 時間配分：
｢まちがったら、やり直せばよい｣と、若者に｢人間の複雑さ、面白さ｣を伝えている｢人生論｣。本文では、｢ことばを大事にする人は人間を楽しみ、人間を大事にする人だ｣と述べている。平易な文章で内用も理解しやすいはずだ。｢設問｣も昭和秀英らしい｢フツーさ｣だ。ただ、｢選択肢設問｣の｢長い説明｣で苦労するかも。
以下、いくつか検証してみたい。
[１] ｢漢字の書きとり｣(全５問)。平易で基本的なものばかり。志望者は｢全問正解｣が必須｡
あえて、｢失点｣しやすいものを挙げれば、
(ｃ)｢クらしながら｣(＝｢暮(らし)｣)、
(ｅ)｢ダンゼン有利｣(＝｢断然｣)｡
｢トメ｣｢ハネ｣等にも要注意だ。
＜時間配分目安：１分以内＞
[２] ｢語句の空所補充選択肢｣(３問/５択)。
本文中の｢ Ａ ～ Ｃ の空所｣に入れる｢接続詞｣などを答える。
昭和秀英に限らず定番の問題。
｢接続詞｣では｢逆接｣はともかく、｢順接｣には十分に注意すること。同じ｢順接｣だと、どれも当てはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣などの｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。
また、段落冒頭の｢接続詞｣などは前段落全ての内容を受けているので注意すること。ここでは、｢逆接の接続詞｣である選択肢(イ)｢ところが｣が Ａ に入ることはすぐ分かるはずだ。 Ｂ には、｢形容動詞｣の(エ)｢たしかに｣、 Ｃ には、｢副詞｣の(ア)｢むしろ｣が入ることも判別できなくてはいけない。
＜時間配分目安：１分＞
[４] ｢換言説明選択肢｣(５択)。
傍線部②｢文章に書いて形を作る｣について、｢どういうことだと考えられるか｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡
先ずは｢原意消去｣(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
｢換言説明｣なので、傍線部の｢形を作る｣と、それに対応した各選択肢の｢文末｣(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)とを比較検討する。
選択肢
(ア)｢形にまとめる｣、
(イ)｢見た目になるよう整える｣、
(ウ)｢つたわるようにまとめる｣、
(エ)｢文字にしていく｣、
(オ)｢メモを作っておく｣｡
さあ、どうか？ (ア)以外は、｢形｣ではないので不適切と｢消去｣できなくてはいけない。(ア)の｢文末｣以外の説明も特に誤っていない。よって、｢答え｣ということ。｢一発消去｣だ。
｢原意消去｣、必ず活用すること。
＜時間配分目安：１分以内＞
[５] ｢条件つき理由説明記述｣(｢40字以内｣指定)。
傍線部③の｢一方がわかっていて、教えようとしたりすると、こうはいかない｣について、｢なぜ『こうはいかない』のか｣を説明する。
｢条件｣は｢わかっている人の方が一方的に話しても｣に｢続く形にする｣こと。｢こうはいかない｣、指示語なので開く(｢指示語｣が出たらすぐ開くこと)｡
｢こう｣＝｢あるとき二人ともが、同時にパッとわかってしまったりする｣ことだとすぐに分かる。なぜか？ ｢根拠｣｢手がかり･ヒント｣は｢同一段落｣にある(｢論説文｣｢随筆｣の｢基本的解法｣)はずなので、確認する。
傍線部を含むの前３段落だ。｢二人以上になると、ことばを通じて、考えがまざりあう｣｢思わぬところに意味があり｣｢思いもかけぬものが出てきたりする｣といった説明がされている。だから、｢同時にパッとわかってしまう｣ということだと判断できるはずだ。
以上を、｢条件｣に合わせて｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢(わかっている人の方が一方的に話しても)ことばを通じ考えがまざりあうことがなく、思いもかけぬものが出てきたりしないから｡｣といった｢答え｣になる｡
｢説明記述｣では、正否の分岐となる｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣とすること｡
＜時間配分目安：３分半＞
[問６] ｢条件つき内容説明抜き出し｣(｢15字以内｣指定)。
傍線部④｢フィーリングをつかむ｣について、｢『フィーリング』とは何か｣を抜き出す。
｢条件｣は｢おしゃべり｣においての場合を答えること。｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を捉えた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。
先ずは、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)から｢内容｣を捉えていきたい。直前から｢フィーリング｣＝｢『数学』の『味や匂い』｣だと分かる。
また、直後にはそれらが分からない｢ハナの悪い学生が増えてきた｣とある。共に｢比喩表現｣だ。次に、｢抜き出し範囲｣だ。最優先は｢同一段落｣なので、｢段落相互関係｣(｢論説文｣｢随筆｣の｢重要解法｣のひとつ)で捉えていく。傍線部からの４段落が｢同一段落｣。
その中で、｢条件｣である｢おしゃべり｣について説明されている段落を確認する。すると、最後の段落に｢ことばのはしばしのニュアンスまで、気をくばって味わったほうが、楽しみは大きくなる｣とある。｢字数｣も｢条件｣に合致する。従って、｢ことばのはしばしのニュアンス｣が｢答え｣になる｡
｢抜き出し設問｣では、｢内容｣→｢範囲｣と段階的に解いていくこと。
また、｢条件｣には十分留意せよ｡
＜時間配分目安：１分半＞
【大問二】
- 時間配分：
｢家族や友達、自分の思いや言動で、揺れ動いていく少年少女の感覚｣を｢心に吹く一瞬の風｣のように捉えた短編集の一篇。本文では、｢ぼく｣が登校途中に、学校へ向かわない様子の｢桃井さん｣に声をかけ、｢いじめが理由で学校を休むようになった｣と聞き、それまで考えずにきた色々なことに向き合っていく姿を描いている。
昭和秀英らしい｢ごくフツーの問題に潜むワナ｣が仕掛けられている大問だ。
以下、いくつか確認する。
[２] ｢条件つき換言説明記述｣(｢５字以内｣指定)。
波線部の｢首をかしげた｣について、｢『首をかしげる』とはどのようなことを表す動作なのか｣を説明する。
｢条件｣は｢こと｣につなげること。
一体、何が問われているのか？ ｢慣用表現｣の意味なのか？(｢知識問題｣？)｡そもそも、｢５字以内｣で説明可能なのか？ 等々、悩むに違いない。まさに、｢ごくフツーの問題に潜むワナ｣だ。無論、｢原意｣が分からなくては答えようがない(｢首をかしげる｣＝｢疑問に思う。不審に思う｣ということは知っているはず)｡
だが、傍線部について問われている以上、本文での｢動作｣が｢何を表しているか｣を説明する必要がある。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣から、｢首をかしげた｣のは｢桃井さん｣だとすぐ分かる。そして、｢同一場面の直前直後｣を確認すると(｢小説は同一場面の直前直後に根拠あり｣は｢小説｣の｢最重要解法｣)、｢ほく｣の質問に対しての｢動作｣であり、直後に｢桃井さん｣の｢かもしれない｣という言葉が続いていることが分かる。
ということは、ここでの｢動作｣は、何をどのように答えればいいのかを｢悩み、探している｣ということを表現していると判断できる。従って、たとえば、｢答えに悩む(こと)｣あるいは｢答えを探す(こと)｣といった｢答え｣になる｡
仕掛けられた｢ワナ｣を避けて、｢解法｣に則して冷静に解き進めていくことが肝要だ。
＜時間配分目安：１分半＞
[４] ｢内容説明記述｣(｢45字以内｣指定)。
傍線部③｢ぼくは桃井さんが言おうとしていることを理解したいと思った｣について、｢『ぼく』は『桃井さん』が言おうとしていることをどのようなことだと理解したか｣を説明する。
当然、｢桃井さん｣が実際に言っていることが分からなくては考えようがない。直前だ。｢わたしたちって、ここにいちゃいけないのに、ここにいるんだよね｣｢中学生から｣｢あるべきものから｣｢わたしたちは抜け落ちちゃっているんじゃないのかな｣といった言葉だと分かる。それらを｢ぼく｣はどのように｢理解｣したのか？ ｢同一場面｣の後半で、｢家｣で｢昼ごはん｣を食べている描写があり、｢家の周囲は静かだった。みんな会社や学校へ出かけているからだ。桃井さんの言っていた『抜け落ちてる』って言葉の意味が分かるような気がする｣｢今、自分は何者でもない気がする。名づけられないものになっている｣という説明がある。つまり、｢ぼく｣はこのように｢理解｣したということだ。
あとは、｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢学校にいるべきぼくたちが別の所にいて、中学生とは名づけられない者になっているということ｡｣といった｢答え｣になる｡
問われていることのポイントとなる｢原意｣を適切に表現すること。
＜時間配分目安：３分半＞
[５] ｢理由説明不適切選択肢(複数解答)｣(５択)。
傍線部④｢わたしの小指ってね、育ってるよ｣について、｢どうして桃井さんは話題を変えたのか｣の説明で｢ふさわしくない理由｣を｢二つ｣答える。
｢理由｣を問われているのだが、各｢選択肢｣の｢文末｣に着目してほしい。全て｢ため｣となっている。厳密に｢原意｣を捉えると、｢ため｣は｢理由｣というより｢目的｣だということが分かるはずだ。
ということは、｢話題を変えた｣後の｢会話｣で判別すればいい。｢小指｣のことから、｢ピアノ｣→｢人の体｣へと話が進んでいる。選択肢(エ)に｢ピアノが弾けないのが残念｣とあるが、｢ぼく｣の｢ピアノが弾けないことは問題でもないよ｣という言葉に｢そうだけど｣と｢同意｣しているので不適切だ。
また、(オ)には｢自分の体温ばかり気がかりだった｣とあるが、｢体温｣については触れていないのでやはり不適切。よって、｢答え｣は｢(エ)(オ)｣だ。
｢説明記述｣でもそうだが、｢ため｣＝｢目的｣、｢から｣＝｢理由｣と明確に区別することを意識せよ。
＜時間配分目安：２分半＞
攻略のポイント
●｢ごくフツーの問題｣に潜む｢ワナ｣を見抜き、いかにミスを防ぐかが｢最大の攻略法｣。
そのためには、｢設問内容｣に対応した｢解法｣を的確に用いて解くことが重要だ。
従って、基本的｢解法｣を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが必要になる。そのことで、ミスによる｢失点｣を防ぎ、｢得点力｣を安定させたい。４科目の中で、｢国語｣の｢合格者平均｣は高めだ(本年度は59.4%)。それだけに、｢国語｣での｢失点｣は致命的になると心得よ。
●｢記述対策｣も怠ってはならない。
出題数が少ないだけに、ひとつの｢失敗｣でもライバルに差をつけられてしまう。当否の分かれ目となる｢最重要な要素｣を｢文末｣として他の｢必要な要素｣を積み上げていく手法を完璧に習得し、応用できるようにすること。｢内容｣から優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく。それぞれの｢要素｣を｢20～30字程度｣でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。
本校では｢30～50字程度｣の｢字数指定｣が多いので、２～３つほどの｢要素｣でまとめることに慣れておきたい。
●ミスが許されない｢総合的知識問題｣にはどう対処するか？
｢高度な語彙力｣だけではなく、｢あらゆる知識｣が問われる。独自に｢幅広い知識｣を常に習得していくことが必要だ。塾での学習だけでは不十分なので、｢独習｣は欠かせない。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で5000字程度とそれほど多くはないが、やはり、できるだけ速く要領よく読み取っていきたい。分速650字以上を目標に｢読む練習｣を常にすることが重要だ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
昭和学院秀英中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
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