昭和学院秀英中学校 入試対策
2024年度「昭和学院秀英中学校の社会」
攻略のための学習方法
〇問題構成
大問6~7つが地理・歴史・政治経済におおむね2~3問ずつ振り分けられるパタ-ンが多いが、問題数や配点では歴史の比重が多くなっており、歴史重視の傾向がある。
解答数は30~40問前後。設問は2024年度では記号選択22問・適語記入7問・記述3問といった割合になっている。近年、記述問題も出されるようになった。
〇地理分野
地形や気候・産業や貿易など、幅広い分野からいろいろな問題が出される。地形図の読み取りやある地域にポイントを絞って詳しく訊くような問題もある。地理分野のあらゆる形の出題があると思って良い。
なかでも、資料が多く用いられる点は特徴的である。地図・グラフ・統計資料が多用され、模式図・歴史史料・写真なども使われる。過去にも産業の都道県別ランキング・都道府県別昼夜人口比率・雨温図など、様々な資料が提示されている。
特に、あまり見慣れない資料が使われる点に注意が必要である。2017年度でもカロリーベースの食料自給率・人口増減率・地域の月別日照時間・海抜高度別の面積割合など、他校ではあまり見られないデータ・統計が用いられている。統計の上位1~3位まで覚えていれば答えられるような単純な問題ではない。いわゆる難問・奇問の類ではないのだが、なぜそのような数値になるのか、背景や理由をその場で考えなければならないので、思考力が求められる。
まずは基本レベルの問題を落とさないよう、地名・地形・気候・産業などの基礎知識を固める。基礎知識は難しい問題の手がかりを探す土台ともなる。その上で多くの統計資料・グラフの読み取りを練習し、なぜそのようなデータになるのか、そのデータから予想される結果は何かなど常に考える習慣をもち、基本事項と関連させて知識に厚みを持たせよう。
知らない統計などが出された時にヒントを得られる情報を、少しでも多く頭に入れておきたい。
〇歴史分野
地理分野の難易度が高い傾向にある本校であるが、年度により多少のばらつきはあるようで、歴史分野に難問が見られる年度もある。
各時代の法令などの一つのテーマに沿った出題や、ある範囲の時代の地名・人物名・貿易・時代順の並べ替えなどを広く尋ねる問題など、歴史に関するあらゆる種類・内容の問題が出されている。
だいたい基本レベルの問題が多いので、テキストを丁寧に学習することが第一である。年代を問う問題も多いので、時代や年号を正確に覚え、年表などで流れもすぐ思い出せるようにしておこう。
〇政治経済分野
他の2分野と比べて問題数は少なめである。憲法や政治の仕組みと合わせて時事問題も出題されている。テキストで基本事項を覚えたら、直近の1~2年の重大ニュースをチェックして、ニュース・新聞で社会で起こる出来事にアンテナを張っておこう。
〇記述問題
ここ数年、出されるようになった。30~40字程度で出来事の理由・原因を答えるような問題が多い。用語を覚えるだけでなく、その物事の背景や理由・周辺事項も合わせて取り込むように学習しておこう。
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2024年度「昭和学院秀英中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は32問。1問に1分強はかけられる計算だが、地理分野は資料を用いた問題が多くなっている。歴史分野はテンポ良く答えられる問題が多いので、例年通り地理の問題が重そうだったら歴史・政治経済などから手を付けると良いかもしれない。全く歯が立たないような問題で時間を取られては損である。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
岩手県の気候や産業を中心とした問題。
問1 A・Bでは、食生活の変化から近年は食用肉などの生産が盛んになっていると考えられるので、Aが2021年、Bが1971。CとDでは、畜産が盛んなCが岩手県、Dが秋田県と考えられる。東北地方ではやませと呼ばれる北東からの冷たい季節風で冷害が起こることがある。太平洋側の岩手県のほうが影響を受けやすい。
問3 (1) 陸地の谷部分に海水が入り込んだ複雑な海岸線をリアス海岸という。図中では愛媛県の宇和海沿岸に同様の地形がみられる。
(2) 太陽光発電所が分布しているのは、開けた土地で日照が多い北上盆地周辺である。
問4 焼津港はカツオ・マグロの国内有数の水揚げ港であるから、Hがカツオ。かつて大量に獲れて価格も安かったサンマは近年漁獲量が減り、価格も上がっている→Gがサンマ、Iがイワシ。
問5 J. 将棋の駒の製造が盛んなのは山形県天童市。
K. 小さくて輸送しやすい半導体などの工場が多く建てられている。
問6 (1) 北上川
(2) M. 図5では桜台付近に住宅街は形成されていない。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
- ★必答問題
戦争の技術を題材とした問題。
問1 ア. 埴輪は土器である。
イ. 桓武天皇ではなく、聖武天皇。
エ. 和同開珎の使用と座の結成は、時代が異なる。
問2 イ. 538年、百済を通じて仏教が日本に伝来した。
問3 イ. 天武天皇ではなく、文武天皇。
ウ. 「律」が刑法、「令」が民法・行政法にあたる。
エ. 郡司には地方の豪族が任命された。
問4 ア. 足利尊氏ではなく、足利義満。
イ. 日明貿易で用いられたのは勘合府である。
エ. 明は銅銭を使って銅や刀などを輸入した。
問5 ア. 関所の撤廃や、楽市・楽座などの政策についての説明として正しい。
問6 当初の武家諸法度は武芸に励んで幕府のために戦いことを望み、武士を厳しく統制するという意図が見えるが、改定されたものは「忠義・孝行」など、主君に忠実に従うことを期待されているようである。
問7 ア. 外国船打ち払い令は第十一代将軍・家斉の時代である。
イ. 株仲間の解散は水野忠邦の天保の改革の施策である。
ウ. 御成敗式目の制定は鎌倉幕府の第三代執権・北条泰時のときである。
問8 ア. 井原西鶴は浮世草子の作家である。
ウ. 『東海道中膝栗毛』の作者は十返舎一九である。
エ. 元禄文化は上方を中心とする文化であった。
問9 ア. 綿糸ではなく、生糸。
ウ. 不況の影響を受け、アメリカ向けの生糸の輸出が大きく減った。
エ. 原油価格の高騰により石油化学工業などは生産が減り、機械工業が伸びた。
問10 北里柴三郎は破傷風の血清療法やペスト菌の発見など、大きな功績を残した。
問11 ア. ベルサイユ条約の全権大使は西園寺公望であった。
ウ. イタリアは連合国側で戦勝国である。
エ. 実際に軍縮に関する条約が締結されたのは、しばらく後である。
問12 ウ. 沖縄返還が実現したのは佐藤栄作内閣のときであった。
問13 ア. 自衛隊の前身である警察予備隊が結成された。
ウ. 農地改革の結果、多くの自作農が生まれたので、×。
エ. 日本とソ連の国交は1956年の日ソ共同宣言で回復した。
問14 国連でのCTBTの採択は1996年である。
問15 (1) 高句麗 (2) 倭寇 (3) 種子島 (4) ジュネーブ
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:5分
憲法や税制について訊かれている。
問1 弾劾(裁判所)
問2 資料はモンテスキュー著『法の精神』の一部である。
問3 1989年に消費税が導入されて、その後税率が徐々に引き上げられ、間接税の占める割合が大きくなった。
【大問4】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
国民の政治参加を題材とした問題。
問1 ア. アダムズ方式では、人口比の議席数がより公平に算出される。
問2 ウ. 地方公共団体の首長のリコールは、有権者の3分の1以上の署名を集めて請求できる。
問3 Aの解釈を採れば賛成が50%を上回り改正が認められる。Bの解釈だとわずかに過
半数に足りないので改正は実現しない。Cの解釈では過半数に大きく届かない。
攻略のポイント
今年度も地理分野で資料について考察する問題が見られた。たとえ見慣れない資料でも、基本事項を土台に考えたり、最近の世の中の動きを考えたりすることで正解を導き出せる。統計やグラフの読み取りをしっかり練習して、思考力を養おう。そのためにも地理分野は特に念入りに学習して抜けが無いように。
記述対策として、物事の理由や背景までよく考える訓練も積んでおこう。
その他の分野も、難しい問題以外は確実に得点できるよう、テキストレベルの実力を着実につけておきたい。
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