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淑徳与野中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「淑徳与野中学校の国語」
攻略のための学習方法

[問題構成]

大問4つに小説の読解・論説文の読解・漢字の書き取り・記述問題が割り当てられるのが定型となっている。素材文は計7000~9000字程度で総解答数は20~25問ほど。記号選択・書き抜きと計6問ほどの記述問題が出される。記述問題は「説明しなさい」という自分で考えて書くタイプで、特に最後に出される記述問題は示された材料からわかることを読み取り、それに対する自分の意見や解決策を答えるという小論文形式になっている。記述問題に対する対策を怠りなくしておきたい

[小説の読解]

4000~5000字ほどの文量で、大人が主人公の設定が多い。その分、内容も一般社会を舞台にした話が多く、生徒・学生があまり知らない分野・職業が出てくる。難しい小説でなくてよいので、一般向けの小説も読み慣れておいた方がよさそうである。

選択肢の問題は紛らわしい文章ではなく、選びやすい。記述問題も、傍線部の周辺を読めば書くことが見つかるようになっている。ただ「説明しなさい」という指示なのでそのまま書き抜いてはいけない。自分なりにかみ砕いて、表現を変えるなり短くまとめるなりのちょっとした工夫が求められる。過去問で慣れておこう。

場面分け・登場人物の整理・心情把握といった読解の基本の技を磨き、類似問題で記述問題も多くこなしておこう

[論説文の読解]

3000~4000字くらいで、ここ数年は自然科学的な内容の文章が多く使われている。理科の好きな人は楽しく読めそうな内容である。こちらの選択肢の問題も無理に迷わせるような意地悪なものではない。記述問題は、論理的文章なので文中の適切な部分をまとめれば答えになる場合が多い。要点・要旨を見つけて目立つようにしておけば、スムーズに解答できる。

形式段落と意味段落の整理・要点と細部の区別・要旨と要約のまとめといった読解の基本を身に着け、大事な部分を短くまとめるなどして記述問題の練習もしておこう

[小論文的記述問題]

試験の最後に置かれている記述問題の対策が必要である。

2023年度では素材文と同じような具体例を自分で考え、条件に従って説明するという内容だった。過去には新聞の投書を題材とした問題なども出されている与えられた材料を分析し、さらに自分の考えを述べるという2点を訊かれる小論文のような記述問題になっている。普段から自分でも同様の文章を書き慣れていないとうまくまとめられないだろう。

小説であれば、主人公の心情を書き出してみる。それに対して自分だったらどう感じるだろうかと想像し、文にしてみる。論説文であれば、要旨をまとめてみる。それに対する自分なりの意見や対処法を考え、文にしてみる。大事なのは頭で考えるだけでなく、実際に書いてみることである。求められる字数は50~80字程度でそれほど長くない。同じような字数で、読んだものに対して自分の意見を書いてみるのである。読解の練習にも、記述の練習にもなるので実行してみてほしい

2024年度の変更点

時間が50分と短くなり、例年出されていた小論文的記述問題が出されなかった。特に時間の変更は大きな傾向の変化と言えるので、入試説明会などで得られる情報を確認しておこう。

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2024年度「淑徳与野中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

計8300字ほどの素材文で総解答数は37問。記述問題は長めものが計2問、例年出されていた独立した小論文記述は2024年度では出されなかった。

その他の選択肢問題や書き抜き問題はさほど時間はかからない。読解問題と漢字を早めに済ませ、記述問題に10分くらいは残したい。なお、今年度から時間が50分と短くなっている。

【大問一】小説の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:22分

ヴァイオリンの演奏に没頭する母から十分な愛情を受けられなかった主人公だったが、みずからが小説家を目指す中、母の芸術への情熱や才能を尊敬し、母を理解しない妻や父に軽蔑を覚える。

問一 A. 諭す――目下の者に物事を言い聞かせて納得させること。

   B. 暗に――それとなく・はっきり口に出さずに。

問二 エ. 言葉を掛けたくらいでは気づいてもらえず、空腹のまま放っておかれて主人公は「不安にかられ」ている。母親から愛されていないのではないかという不安であろう。

問三 妻は子どものことを放ったらかしで演奏に夢中になっている主人公の母を、親として失格だと非難している。しかし主人公はそんな妻を「お前などに母の芸術への向き合い方が理解できでたまるか」と、母を尊敬している。「こわい」という意味のとらえかたが、この点で食い違っているのである。

問四 直前の父の発言は、自分の妻の芸術への取組みを認めなかったこの父であるから、心のこもっていない口先だけの言葉である。それに気づかずほめられたことに素直に喜んでしまうのは妻の単純さゆえであり、主人公は双方に苛立っている。

問五 「子の芸術的才能を伸ばすのは親の義務」などと、過去の母に対する言動と矛盾する発言をする父に、どの口が言うのかと主人公は怒りを覚えている。

問六 自分の職業は自分で選ぶ権利があるという主人公の主張を「馬鹿言うな」とにべもなく否定している→選択肢が合う。

問七 ゴミ屑や糸の捨て方で妻を非難している主人公だが、同じことをしていた母に対して非難めいた発言はしていない→選択肢イが合う。

問八 ア(母の生前)→(母の死)→(父との二人暮らし)→(現在の少し過去)→ウ・カ(現在)

問九 ア. 母は自分の芸術を追求していただけであって、勝呂との関係において理解者だったわけではない。

エ. 「小説に対する情熱」は母から譲り受けたものではない。

【大問二】論説文の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:18分
  • ★必答問題

承認欲求についてのヘーゲルの論を紹介し、SNS時代における承認欲求への向き合い方を提案している。

問一 泥沼――いちどはまるとなかなか抜け出せないような悪い環境・状態。

問二 「それくらい、私たちは自分のことをわかっていない」とあるように、他人から見た自分と自分で認識している自分とは異なる、ということであろうから、選択肢がよい。

問三 傍線について、直後の段落でヘーゲルの言葉を借りて、「これが自分だという確信を持つことで、そのためには他者から承認されることが必要だ」と述べている。これとほぼ同じ内容を述べているのが、第三段落二番目の文「すなわち、『自分が~あるかを知る』ということです。』である。

問四 次の段落に示されている。周りの人から認められた自分を演じてしまい、そうでない生き方もできるはずの自分との間で引き裂かれ、自分を見失ってしまうのである→選択肢

問五 「私」が他者に承認を求めるとき、その他者もまた「私」に承認を求める、のであるから「相互」的な関係と言える。

問六 「本来承認は」、承認してくれる相手が自由でなければ「私」は満足できないのだが、他者を自分自身を確信するための手段・道具として扱っている限り、相手から満足のいく承認を得られないという矛盾に陥ってしまう。

問七 「私」が他者に承認を求めるとき、その他者も「私」に承認を求めるのであり、自分もまた他者の承認欲求を満たす道具になってしまっているわけである→選択肢

問八 ヘーゲルはこの点について「一方的な承認のぶつけ合いではない相互承認」を提案している。相手の自由を認め、自分も自由であることを他者から承認され、相手からの見え方を気にせず、自分の感じ方や考え方を尊重してよいというのが相互承認のあり方だと説いているのである→選択肢イ。

問九 ア. 「アイデンティティは他者とのやり取りを通じて徐々に形成されていく」とは述べられていない。

イ. 「自分自身でイメージを一から作り上げる必要がある」とは書かれていない。

ウ. 「相互承認から距離を取ることが必要」などという主張はない。

問十 ア. ヘーゲルの時代から変わらぬ普遍的なテーマであることが語られている。

【大問三】漢字の読み書き・熟語の構成

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問一 ① 操縦   衛星   均整   執筆   和(やか)   備(えて)

問二 ① きんもつ   ちゅうさい   しゅうとく   かっきてき   ね(る)

問三 ① エ. 望郷――郷に望む  他は上の字が下の字を修飾。

   ② ウ. 改善――同意字   他は目的語+動詞(○○に・を××する)。

   ③ オ. 否定――打消し   他は対になる字の組み合わせ。

攻略のポイント

選択肢問題でしっかり得点できるよう、記述問題でうまくまとめられるよう、過去問を中心にしっかり場数を踏んで十分に練習しておこう。

今年度は最後の小論文的記述文が出されなかったが、50~80字程度で物語の主題や自分の意見を簡潔にまとめてみるという練習はしておこう。あるいは同様の記述問題が出される学校の過去問で練習してみるなど、こちらも経験値を上げておきたい。面倒くさがらずに実際に書いてみることが重要である。また、内容も大事だが、文章としておかしくないか・誤字脱字はないかも見られているので、丁寧に書くことも意識しよう

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