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豊島岡女子学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「豊島岡女子学園中学校の理科」
攻略のための学習方法

くどいようだが、計算力が物を言う。上位校の理科では複雑な計算よりも、基礎的な知識と文章理解に基いて初見の科学的現象を考察させる問題が好まれる傾向にあるが、豊島岡女子の考察問題の場合、与えられた情報から答えが論理的に導ける問題が多く、基本的には「どこかで見たことがある問題」である。それだけに、「問題を知っている」ことが大きなアドバンテージとなり得るので、頻出の応用問題への習熟は重要である。特に、問題集に載っている計算問題に関しては、「目をつむってでも解ける」と言えるくらいやり込んでおくのが望ましい。

一方、知識問題では例年細かい所まで訊かれる傾向にある。本年度は基礎的なものが多かったが、モンシロチョウの脱皮の回数など、数に関する知識は要チェックである。4年生ぐらいのテキストから読み返し、数値に関する情報を拾ってまとめておくと良い。また、細かい知識が訊かれがちなのが生物分野と化学分野である。両分野については特に知識の復習を優先させておきたい。

受験生にとって最も困難な壁として立ちはだかるのが「時間的制約」の問題である。じっくり考えれば正しく答えが導けそうな問題でも、即座に考え方を特定して計算などを処理するとなると、相応の力が必要になる。その際重要なのは、「1.確実に解ける問題を解くこと」→「2.解ける問題を増やすこと」であり、その逆ではない。本年度の合格者平均点は50点中34.8点であるが、推定配点が各2点であることを考えると、合格者が間違えるのは平均して7〜8問ということになる。逆に言えば、そこまで間違えても致命的ではない。解けそうな問題に当たりをつけて、集中的に時間を配分する度胸を養っておきたい。問題を取捨選択する要領、時間配分は、過去問演習を行う際の主要テーマとして意識しておこう。

 以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

【生物分野】

知識面で言えば、注意したいのが「分類」である。本年度は昆虫の変態や羽の枚数がテーマになっていたが、動植物共に「科」のレベルで共通するものはある程度整理しておきたい。植物で言えば、双子葉/単子葉、合弁花/離弁花、単性花/両性花の分類や、花粉と種子の形状、養分の貯蔵器官なども要注意。また、数値が絡む内容もチェックしておくと良い。たとえば産卵から孵化までの日数、最適温度、プランクトンの体長や卵の直径などが挙げられる。こうした知識は、網羅的に学習出来るように専用のノートなどにまとめておき、すぐ復習やチェックテストが出来るようにしておくと便利である。

【地学分野】

地質分野では計算の出題が少ないが、天体分野が扱われる年には、公転する惑星間の位置関係について計算させる問題が出題されやすい。他には湿度に関する問題、地上からの高度に対応する気温の計算などが考えられる。いずれにしても、定番の計算は楽々とこなせるように、定義の確認と練習を怠りなく。知識については、地質分野で覚えるべきことは多くない。天体分野は知識についても要注意である。主要な一等星が含まれる星座、色、見える季節の復習は念入りに。また、太陽、月、惑星を構成する物質や表面温度といった情報も頭に入れておくと良い。ここでも数値の知識は重要である。

 

【物理分野】

力学分野は計算を伴う問題が多いが、計算自体は難しくない。それよりも、どのような計算を行うべきか、つまり力学的な原理や物体間の関係が正確に把握出来ているかどうかがより重要である。本年度見られたような、質量の違う物体の衝突によって起こる結果や、ふり子の糸が途中で切れることで生じる現象についての問題は、入試で時々扱われるものである。基本的には、初見であっても関連知識を総動員して考えられなければならないが、色々なパターンの設定を経験しておくことで、こうした問題はより考えやすくなる。たくさんの過去問や実践問題に触れておこう。また、電気の分野では電熱線の発熱による温度変化の計算に慣れておきたい。回路図に関する問題も苦手な受験生が多いが、こちらは電流を流す仕組みの制約上、複雑なものを作ろうと思ってもパターンが限られる。分かりづらい回路の代表例を頭に入れておくと良い。

 

【化学分野】

化学の計算の大部分は比例式を解くだけの問題である。物質が過不足なく反応する際の反応物と生成物の量的関係、飽和水溶液における溶質、溶媒、溶液の存在比などを書き出しておいて、それに当てはめていけば概ね答えが出せる。本年度のような単位換算も同様である。とにかく、苦手意識が拭えない場合は、まず比例計算の土台となる関係式を記述することから徹底してみよう。化学の計算が難しいのは、不完全な反応や混合物の反応が扱われる場合である。このようなケースでは、反応と未反応、あるいは物質ごとの反応に現象を切り分けて考えなければならない。豊島岡女子の対策を考えたとき、力の入れどころはここだろう。他方、化学は知識に関する目配りも必要である。物質の性質だけでなく、試薬や器具の名前と扱い方も漏れなく覚えておくこと。

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2018年度「豊島岡女子学園中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

理科と社会の2科目合計で50分。前年よりも易化したとは言え、化学の大問は全問計算であるから、ここで躓いているようだと解き終わらない恐れがある。

本年度の生物や地学は高度な思考・考察問題が含まれないので、あまり時間がかからないはず。物理分野で如何に早く的確な推論が導けるかが鍵になる。

【大問1】物理分野:運動量および力学的エネルギーの保存

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

「②の現象は、①の現象が連続して2回起こったと考えて理解することができる…」という記述が鍵になっている。一連の現象を1回の衝突の連続に分解して考える還元的思考力が問われている。また、(1)(3)については、物体が左に動く場合は「左」と書くが、右に動く場合「右」と書いてはならない点にも注意! 

(1) まず、AがBにぶつかることでAの速さは0に、Bの速さは右向きに1となる。しかし、その瞬間BはCとぶつかり、Bの速さは0に、Cの速さは右向きに1となる。ここまでが現象②で起こっている出来事である。本問ではさらにCがDにぶつかることでCの速さが0に、Dの速さが右向きに1となる現象が加わっている。つまり、A、B、Cは速さが0になり、Dのみが右向きに1の速さで進んでいく。この答えを以上のように考えられたかどうかが、(2)以降の問題を的確に考えられるかどうかの鍵になる。 

(4) Bが最高点に達するまでの時間の方は答えやすい。ふり子の周期は振れ幅や金属球の重さにかかわらず、糸の長さによってのみ影響される。よって、最高点がどこであろうとも、糸の長さを2倍にしたBの周期はAよりも長くなる。Aが最高点からBに衝突するまでの時間、Bが真下から最高点に到達するまでの時間は共に1/4周期に相当するので、Bが最高点に達するまでの時間の方が長いと分かる。一方、Bの最高点を考えるには、「力学的エネルギー」と「仕事」の理解が必要である。ふり子が振れる過程で、金属球は最高点から落下しながら加速し、真下の時点で速度が最高になっている。すると、今度はそのエネルギーを用いて金属球が最高点まで上昇していくが、この時、「真下から最高点まで金属球を持ち上げるのに必要なエネルギー」と「最高点から真下まで金属球が落下することで生まれるエネルギー」とは常に等しくなる。これが、(摩擦によるエネルギーの損失が無ければ)ふり子が同じ高さで往復し続ける理由である。さて、AとBでは糸の長さが異なるのだが、これは金属球を同じ高さまで持ち上げるうえで問題にならない。なぜならば、物体を持ち上げる高さが同じならば、必要な仕事量は経路にかかわらず同じだからである。本問の場合、糸の長さが長くなることで、金属球BはAよりも緩やかに上昇していく。その分だけ、時間あたりのエネルギー変化は小さいが、最高点に到達するまでの時間もかかるので、最終的に必要なエネルギーは変わらない。 

(5)(7) 途中でふり子の糸が切れる問題は定番なので、知っていれば楽に答えられるが、一応考え方も知っておくべき。ふり子の糸が切れると、金属球には重力によって真下へ落下しようとする運動が生じる。一方、運動していたふり子には進行方向への慣性がはたらいて、金属球は糸が切れた瞬間の向きと速さで動き続けようとする。この2つの動きが組み合わさり、金属球の軌道が決定される。(5)のようにAの衝突を受けた瞬間、Bは水平方向に運動を始める一方で、鉛直方向に落下する力も生じる。よって、Bは右方向に進みつつ徐々に高度を下げていく軌道をとるはずである。また、(6)のように上昇する途中では、Bは右上方向への運動を行っている。そこに鉛直下方への力が加わると、ボールを斜め上に投げたときと同様、水平方向へは等速直線運動を続けつつ、垂直方向への上昇は重力によって減速され、やがて落下へと転じる放物線を描く。(7)のようにふり子が最高点に達した際には、金属球の運動エネルギーは0になっている。つまり、静止している状態と変わらないので、そこで糸が切れると真下に落下するのみである。

<時間配分目安:7分>

【大問2】化学分野:状態変化と密度

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

単なる換算の問題だが、設問を読んでから何をすべきかが分かるまでの所要時間に実力差が反映される。最初に固体の水、アルコールについて体積と重さの関係を計算し、メモしておくと考えやすい。水の場合、液体1cm3の重さが1gで、固体になると体積が10%増えることから、固体の水1.1cm3の重さが1gであると求められる。同様に、アルコールについては液体1cm3の重さが0.9gで、固体になると体積が20%減ることから、固体のアルコール0.8cm3の重さが0.9gであると求められる。これを最初に求めておけば、(1)(3)までは単なる比例計算で処理できる。

(4) (3)の重さに相当する液体のアルコールの体積を求めて水の100cm3と合計する…と考えてはならない!物質は分子と呼ばれる粒で構成されている。液体に固体を加えた場合、固体の分子は固定されていて動かないので、液体の分子は固体の内部に入り込むことが出来ない。よって、全体の体積は純粋に液体と固体の体積を合計して求められる。一方、液体では分子が流動的に動き回るため、分子同士がお互いの隙間に入り込むことができる。そのため、水とアルコールのように混ざり合う液体同士を加えた場合、体積は混ぜる前の合計よりも小さい値となる。本問では、液体の水と液体のアルコールの重さが共に分かることから、混合した液体の重さと密度の情報を使って、混合液の体積を求めていく。まず、液体の水100cm3の重さが100g、(3)のアルコールの重さが112.5gであるから、重さの合計は100+112.5=212.5[g]となる。混合液1cm3の重さが0.98gであることから、「1:0.98=□:212.5」を考えれば良い。なお、四捨五入を要した問題の計算結果を用いるように指示された場合、四捨五入する前の値を用いて計算し、最後に改めて四捨五入するのが望ましい。

(5) 液体が固体になると、水は体積が10%増え、アルコールは体積が20%減少する。こおらせた前後で体積の合計が変わらなかったということは、水の10%とアルコールの20%が等しくなる、つまり水とアルコールの体積比が10%と20%の逆比である2:1であることを意味する。ここで、同じ1cm3の液体が持つ重さの比は水とアルコールで1:0.9であるから、液体時の水とアルコールの重さの比は(2×1):(1×0.9)=2:0.9=20:9である。液体の水とアルコールの重さの合計が200gであるから、水の重さは200×20/29≒138[g]と計算される。液体の水では1g=1cm3であるから、体積は138[cm3]。

<時間配分目安:9分>

 

【大問3】生物分野:幼齢と生命表

  • 難度:
  • 時間配分:6分

(3)までは知識問題。(1)がやや細かいほかは、昆虫に関する基礎的な質問である。(1)以外は全問正解できないと厳しい。

(4)(5) 生命表を見たことがなくても、表の数字から(死亡率)=(死亡数)÷(生存数)×100であることは見当がつけられる。

 (6) 4〜7齢幼虫になると、3齢までと比べて死亡率が急激に上昇し、主な捕食者にも変化が見られることに注目すれば難しくない。鳥やハチによる捕食が増えるということは、生活環境が見通しの良い開放空間へと変化することを示唆している。

<時間配分目安:6分>

【大問4】地学分野:岩石の風化

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

あまり見たことのない問題かもしれないが、文章を読んで知識と関連付ければ、大体の問題は正解できるはずである。

(1) 物理的風化については、「割れ目に入り込んだ水がこおる」という表現から、寒冷な地域で起こりやすいと分かる。また、砂漠では昼夜の気温差が大きいという知識を思い浮かべれば、乾燥地域で起こりやすいと見当がつけられるはずである。この時点で、答えは「う」の一択に絞られてしまう。一応化学的風化についても考えておくと、まず「水に溶けだしたり」や「水に含まれる物質と化学反応を起こす」といった記述から、水が関与しやすい湿潤な地域で起こりやすいと考えられる。温度については少し難しいが、化学反応は温度が高ければ高いほど進みやすくなるので、温暖な地域の方が化学的風化は起こりやすい。

(2) ハンマーで叩いても壊れそうにないものが答え。物理的風化は結晶構造が強固であるが、一度構造が破壊されると元に戻らない物質で生じやすい。金属は力を受けて結晶が歪んでもすぐに新しい結合を作れるため、プラスチックは明確な結晶構造を作らず流動的に動き回る分子が一定量含まれるため、力に対して柔軟に変形し、崩れにくい。

(3) 鍾乳洞が見られるカルストは石灰岩質の地形であるという知識が必要。これが化学的風化の例であることは分かると思うが、石灰岩が二酸化炭素の溶けた水、つまり炭酸水に溶ける原理は小学生にとって馴染みが薄いはず。化学的には、水に溶けにくい炭酸カルシウムに多量の二酸化炭素を加えると、水に溶けやすい炭酸水素カルシウムが生成されることによって生じる現象であると説明できる。たとえば、石灰水に二酸化炭素を吹き込むと白く濁るが、さらにしつこく二酸化炭素を加え続けると白濁が再び無くなってしまうというのもこの原理である。そして、炭酸水素カルシウムを含んだ水が流れる過程で、一部の炭酸水素カルシウムが再び水に溶けにくい炭酸カルシウムに戻ってつらら状に出現することで、鍾乳洞の地形は形成されている。

<時間配分目安:6分>

攻略のポイント

大問2のように、極端に難しくはないが算数的な思考を要する計算問題が多いのが、豊島岡女子の理科の特徴である。制限時間が短いことから、ここを時間内にどれだけ突破できるかが勝負の分かれ目となる

本年度は物理分野、地学分野で骨のある計算問題が見られなかったため、過去問で練習を積んだ受験生には一見易しく思えたかもしれない。ただし、各大問に1つずつぐらいの割合で、正答率が低くなりそうな問題が含まれている。こうした「地雷」で引っ掛かってしまうと他の問題を解くのに障りが生じてしまうため、すぐに答えや解き方が思い浮かばない問題は思い切って放置し、ひと通り解ける問題だけ解いてから、じっくりと挑み直すのが良い。社会との兼ね合いも含め、時間の使い方は大きな鍵になる

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