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豊島岡女子学園中学校 入試対策

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2017年度「豊島岡女子学園中学校の算数」
攻略のための学習方法

豊島岡の算数は他の女子校と一線を画した仕上がりになっている。
ほとんどの女子校においては、ある程度の「速さ」と「正確さ」があれば合格ラインを超えることは出来る。どちらかだけでも十分、という学校もたくさんある。中堅校の場合は「どれだけ出来るか」というよりは「どれだけ間違えないで進めるか」によって勝負が決まり、初めからミスの数も計算のうちに入っている。相手よりもミスを減らせばよいのであって、ノーミスは眼中にない。

しかし豊島岡の場合、この二つの要素に加えて「深さ」-難易度の高い問題に対処し、しかも正解できるという条件が加わってくる。
受験勉強を真摯に続けていれば「速さ」や「正確さ」は身についてくる。本人の学力が落ちていくと言うことはあり得ないからだ。しかし「深さ」だけは最後まで持てない可能性がある。指導の中で時間をかけて問題を解説してもらい理解したとしても、「自分で一から解く力」を身につけるのは非常に大変なことだ。ここが最後の関門となる。普通の学校であれば「ここまでできていれば必要十分」という範疇を超えて解いていかなければいけない。

豊島岡の過去問をやらせてみて、たとえばある生徒が60%くらいの得点を取ったとしよう。基本的にはほぼパーフェクトと言える。スピードも正確さも申し分ない。生徒としては勉強法をたしなめられたり、注意を受けたりする箇所はほぼないわけだ。しかしそれでも合格点には10点以上不足していることと思われる。
なぜか。
豊島岡の受験生たちはそれを超えて解けてしまうからである。当たり前のことを言っているようだが、これは相当な厳しさと言える。問題作成者がたまたま手心を加え少しでも問題をやさしくしようものなら、平均点は優に80点を超えてしまう(第2回・第3回のテストを含めると今まで何度も起こっていることだ)。平均が80点と言うことは、90%を目指さなくてはいけないことになる。これはどこの学校にもあり得ないことなのだ。

ただ、算数のテストとしてみた場合、その難度というのはきわめて正統的なものだ。
奇をてらった問題もなければ、途方もなく時間のかかる作業を含む問題もない。算数の入試問題としてオーソドックスに発展した形がそこにある。中学年から真面目に問題演習を積み重ね、数え切れないほどの解法を身につけてきた生徒のみがその問題への解き方を頭に浮かべることができるだろう。
たいていの問題は典型題の先にあるものであり、一部の男子上位校のように「センスがなければ解けない」とか「ひらめきが必要だ」と言うことはない。あくまでも受験算数の頂点の一つとして受験生たちの挑戦を待っているのである。

また、豊島岡の場合、その難易度は他の科目にも波及している。やはり「深さ」がどの科目でも必要となる。そんな中で、ある程度実力アップの道筋がわかりやすい算数はましな方かもしれない。

 分野別に二つほど。
「立体図形」は豊島岡克服のための重要な分野である。ここ数年は最後の大問として登場することが多く、そしてどの問題の難易度も高い。普通の学校であればいわゆる「捨て問」として処理してもいいレベルなのだ。しかし、この学校においては、「解くための」問題として存在している。
この分野の問題を手がける場合には、十分な時間をかけよう。「何分で解く」という答えだけを導く要領よりも「解くために必要な技術」を身につける時間を作りたい。

具体的に言うと、与えられた図以外の作図をこなせるようになっておきたい。
本年度【大問Ⅵ】においては、斜めから見た断面図が必要だった。これは、模範解答を見て納得したからと言って次に書けるものではない。フリーハンドで図が書けるように練習しなくてはいけない。立体図形の見取り図・展開図などをササっと書けるだろうか。作図できる能力をハイスペックで自分のものにしておきたい。

また、切断問題も多いことから、立体的視点もできれば養っておきたい。切断後に出来る立体のイメージを頭に浮かべて、それを手かがりに解法を考えつくということだ。
これも容易ならないレベルの技術であるがいくつもの類似問題をこなしていきながらなんとか身につけてもらいたい。

さらに立体図形の問題にもかかわらず、図が書かれていないものもある。
この場合は、一から自分で図を書いて問題を整理することになる。そのとき、最も適切な図を選択できるかどうか。立体図形の場合は、普通は見取り図から書くことが多いが問題によっては断面図で問題が解決するときもある。これも模範解答を見て納得、ではなくて自分自身がその図を選んで書けるよう訓練しておきたい。

繰り返すことになるが、ここでいう最後の大問「立体図形」は通常であれば「捨て問」といえる水準のものなのだ。しかしここを落とすと、他の問題をほぼ正解しない限り合格ラインに届かなくなる。
では、他の分野が簡単かというとそんなことはないわけで、最後の設問ひとつに至るまでしっかり目を通して解き方、またそのための技術を確認しておきたい。

「しらべる問題(場合の数ふくむ)」ではそつのない手順を繰り出せるかどうか。
しかし本年平成29年度【大問5】では、すべての場合において調べておくという作業が必要とされ、ただただそつなく問題をこなしさえすればよいというものでもない。ときには愚直とも思える作業も必要となり、まさに臨機応変、その場での対応力が合否を分ける結果となる。

他にも「速さの問題」「割合と比」など重要な分野ではあるが、十分に解ける範囲であると言うことで割愛したい。

豊島岡の算数ではこれ以外にも、標準的難易度をもつ前半の一行問題を2・3分で完璧にこなしていかなくてはならないというスピード養成が必要となる。
問題を解く速さに関しては、自覚的にスピードを上げるよう心がけることだ。マイペース、という耳あたりのよい言葉は捨ててもらいたい。鉛筆を動かす筋肉さえ早く動かすよう脳に伝達し、無駄のない思考で正解に到達できるよう鍛えていくしかない。姿勢を正して問題に相対し、問題文を読み終わったときにはもう正解までの道筋がたっていて、すでに手は作図や立式に入っているくらいに、イメージで言えば陸上の短距離の選手のような切れ味で問題にあたっていってもらいたい。

豊島岡の算数は確かに難しいものである。しかし受験生の相手は大学生や大人ではない。同じ小学6年生の女子なのだ。小学6年生として成熟した学力を持てるよう、残された時間を有効に使っていけば必ず合格までの道が見えてくる。
こころざしを高く持ち、豊島岡の校門をくぐる日を夢見て、難問に挑戦してもらいたい。

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2017年度「豊島岡女子学園中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が6、小問が18。この分量は本年度も不変。
時間に対して適量ではあるが、この適量には若干の説明が必要となる。前半の小問を1問2・3分でこなせたとしての「適量」なのであって、ここに多くの時間を費やすようでは最後まで行き着けない。そういう意味では分量は多く、全般的に見て難易度はかなり高い。

本年度は後半に難問が見られるにもかかわらず、例年なみの受験者平均点・合格者平均点となっており、受験生全体のクオリティの高さを示している。

前半の基礎~標準的な問題をそつなくこなし、ほぼノーミスで通過して、後半のボリュームあふれる大問に挑戦していきたい。

【大問1】計算・場合の数・のべ算・比

  • 難度:
  • 時間配分:5分

(3)の「のべ」で考える問題はずいぶんと古典的な内容である。一度やっていれば容易に解けたと思われる。他の問題は平易そのもの。
ここは全問正解のみ!

【大問2】数の性質・分配算・仕事算・平面図形の求積

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

この4問をノーミスまたは1問ミス程度で乗り切れるようがんばろう。

(1)は24で割ったときの操作なので、24を素因数分解して割れる回数を求める。本校受験生であればやったことがある問題だと思う。
(2)が一番てこずるはずで、線分図を用いて解こうとしてみたり年齢を1⃣  と置いて解こうとしてみたりしてもしっくりいかなかったはず。結局、数年前の二人の年齢と現在の年齢の和が84となることを導き、比例配分して解くしかない。ミスするとしたらここか。
(3)は定番の仕事算。比を使ってあっさりと解けたはず。
(4)の面積は、難しくはないが色のついた部分をどう分割するかによって解き方が若干異なる。少し時間がかかってしまうかもしれないが正解はしておきたい。

【大問3】食塩水

  • 難度:
  • 時間配分:3分

この大問は問題文に(2)の設問内容だけつけて【大問2】の小問として出されていれば十分な内容だった。問題には面白い部分もあるのに(1)の設問が(2)の大ヒントになっているので全員解けてしまったであろう。豊島岡の食塩水としては少し残念な問題となってしまった。

【大問4】速さと図形の融合問題

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

本年度の最もカギを握ったのは【大問4】に違いない。ここを3つ取れれば限りなく合格に近づいたと思うし逆に0または1つでは苦戦したことだろう。
内容としては豊島岡に頻出のものなので、過去問などで何度もお目にかかっているはずだ。点が動く速さを1秒間に動く角度の大きさに置き換えて解くやり方もしっていなくてはいけない。そういう意味では、過去問をしっかり解いて解き方を身につけたものと身につけることができなかったものとの差がはっきりと出る問題である。

(1)は時計算の解き方を用いる。
(2)からは、どこの角度が直角になるかを調べていくところで作図の能力が問われる。
(3)は(2)が解けた生徒のみに正解する権利が与えられる。また、(2)が解けた生徒は案外正解できたのではないだろうか。
これからでも遅くはない。過去問への執念を見せよ。

【大問5】条件整理の問題

  • 難度:
  • 時間配分:10分

本年度最も時間を費やすことになった問題で、あまりいい方法はない。愚直に調べていくという問題で、条件が細かい上に作業に時間がかかる。ただ、少なくとも1つは正解しておきたい。

(1)を解く前に5つすべての場合について調べておく必要がある。そして、全員が3個ずつになる場合を想定して表または樹形図などにまとめておくと以降の設問にも使える。
つまり、お膳立てが大変な問題なのだ。あとは設問の指示に従ってボールの配り方を順番に選択していけばよい。(1)(2)までできていれば上出来だと思う。

【大問6】立体図形(図形の切断)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

最後に超難問が控えていた。合格だけを考えるのであれば(1)の正解だけで十分である。しかし、豊島岡の頻出問題でもあるので、切断の得意な生徒は(2)に挑んでもよいかもしれない。
ただし(1)が解けないというのでは心もとない。しっかり復習しておこう。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。
受験者平均は約65%、合格者平均は76%と問題の質から見れば大変に厳しい数字であると言える。合格には70%強の得点を期待されるが、まったく平易な要求とはいえない。
1問5点ないし6点の点数配分から見て、18問中12・3問の正解が必要となる。

【大問1】・【大問2】はできるだけ速く正確に全問正解を目指したい。本年度だとせいぜい1問ミスまでが限界だ。

【大問3】~【大問6】では【大問4】(2)(3)、【大問5】(2)(3)が難問、さらに【大問6】(2)は超難問。この5問を落とすともう合否のボーダーラインすれすれなので、この中からも正解を出すという力も必要になる。

そのための攻略法としては、
・女子校全体に必要とされる「速読即解」の力は普段の勉強の中で身につけておきたい。どんな問題にもていねいにあたる態度、それを忘れてはいけない。
・質の高い問題が解けるようになることは一朝一夕に成立することではない。1歩1歩の積み重ねである。難易度を急に上げるのではなく教えていただいている先生方のアドバイスを聞いて問題を選択してもらおう。
・算数だけに偏らず、どの科目にもまんべんなく時間が注げる余裕と勉強量を誇りたい。

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