東邦大学付属東邦中学校 入試対策
2024年度「東邦大学付属東邦中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
論説文・小説の読解問題2題と、漢字・言葉の知識が数問という形式が定着している。
素材文の長さは各2500~3500字の2問で計5000~7000字ほど。平均的な文量と言えるが、時間は45分と少し短いので注意。選択肢問題がほとんどで、短い記述問題が出される年度もある。
県下でも有数の高偏差値の学校であるが、国語の試験は非常にシンプルな構成になっている。
長文読解
論説文と小説の2問。同程度の難易度の学校では10000字を超える長文も多く見られる中、5000~7000字は文量としては少なめである。設問でも、長大な記述問題や答えを探すのに手間取りそうな書き抜き問題はほとんど出されない。
最新年度では書き抜きの3問以外はすべて記号選択問題であった。選択肢は四択で文は少し長いのでここで多少時間を取られるが、内容は無理に迷わせるような意地悪なものではない。全体的にクセのないシンプルな試験である。
45分と少し時間は短いが、本校を志望するレベルの生徒であれば時間・難易度ともにさほどの困難は感じないであろう。特別な対策は要らないので、長文読解の基本に沿って学習を進めればよい。
・論説文 段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、各意味段落の内容を小見出しのようにつけてしまうとよい。各段落の要点。段落の最初と最後に特に注意しながら、要点と思われる1文に傍線を引くなどしてマークしておく。細部でも、言い換えた部分などは手がかりになる場合も多いので、チェックしておく。
要旨の読み取り。どのような問題でも訊かれることが多いので、要旨の中でも特に重要な部分を目立つようにしておく。
・小説 場面分け。時間・場所・人物の移動などに注目し、場面の変わり目をチェックしておく。だれのどんな場面なのか、他の場面との関連なども考えておく。登場人物の性格を把握し、言動や情景から心理を読み取る。気持ちに変化があった場面は問題にされやすいので、特に注意しておく。全体を見渡して、何が中心テーマとして描かれていたのかを考える。
漢字・その他
漢字はここ数年、同音異字の選択肢問題という形で3問程度出題されている。語句の意味も数問、出されている。標準的な難易度である。
まとめ
選択肢問題が多いので、類似問題で慣れておくことは重要である。しかし、本校の高い偏差値からすると難易度は控えめであり、全体としても取り組みやすい試験になっている。
それだけに、合格者平均点は7~8割と高いことが予想され、高得点での争いになると思われる。確かな実力と、ミスのない答案作成が求められる。
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2024年度「東邦大学付属東邦中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2問で計6400字ほどと、ほぼ例年どおりの文量であった。
時間のかかる記述問題が無い点でも、手間が少ない。ただし、選択肢の文は長めであり、45分の試験時間も、50分の学校が多い中、短く感じるだろう。問題の難易度もさほど高くはないので、他の学校の過去問でスピードに慣れておけば、あまり苦労は感じないであろう。
【大問一】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
東京が緑の多い都であることを指摘し、都心の再開発への反対を表明している。
問1. 宝庫――F(重宝)・ H(宝石)
問2. a. ピンとこない――直感的に感情が動かない・ひらめかない
b. 潔しとしない――許すことができない
問3. Eに入りそうな気もするが、具体的な「時間」について述べている段落であるDに置けば、その前段落の内容を受ける形にもなり、しっくりくる。
問4. Ⅰ. ピンとこない人は~ではあるまいか。「もっとも(とはいえ)」、言われれば気づく人もあろう。
Ⅱ. 本国に近いところ、「すなわち」万里の長城に近い場所。
Ⅲ. 首都機能のほとんどは旧社寺地、旧武家屋敷跡を利用した。「ところで」、(その)武家地は将軍からの借地・社宅であった。
問5. 前文の「商業都市として発展すれば、そうなるのは当然」を受けている。
問6. 「諸外国に見られるような人工的なわざとらしさがない」とある。ただし、社寺も武家屋敷も人間が作ったものである以上、人の手が加えられており自然そのものとは言えないので、選択肢Bがよい。
問7. すでに鳥羽・伏見の戦いが起こっている時期なので、選択肢Aが合う。
問8. せっかく多く残っている緑を損なってまで東京を変容させる再開発に、筆者は反対している。「このまま緑を増やす」という状況にはないので、CではなくDを選ぶ。
問9. 直前二つの段落の「今からたかだか百六十年前」からの「急進的」な都市開発を指しており、短い時間での性急な再開発を短絡的であると批判する表現になっている。
問10. 「江戸時代の旧寺社地や旧武家屋敷を利用したから」であり、その内容を具体的に三十字以内であらわしているのが、「(東京には)十分な土地、それも大名庭園まで備えた広大な緑地が残されていた」の部分である。
問11 B. 最後の二段落の筆者の意見と合致している。
【大問二】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
受験期を迎えて落ち着かない気持ちを抱えるなか、いつもは絵麻の独断的な意見にうなずいていた主人公だったが、「努力」についての絵麻の意見に反発を覚え、わざと傷つけるような言葉を投げてしまう。
問1. 主人公の「伊原、ずいぶん早くから受験の準備してたでしょ」に対して、絵麻は「小心者だから(早く始めないと不安なんでしょ)」と伊原を気の小さいやつだと評価しているのである。
問2. 「努力してできた結果は信用ならない」などと言って、世間一般の「努力して得た結果は素晴らしい」という認識に疑問を持っていることがわかる→選択肢ア。
問3. 「もたらされた」という表現には、本人の努力と関係なく外から降るように与えられたというニュアンスが感じられる。
問4. Ⅰ. 「結果は結果なんじゃないの?」は反論口調になっている。直前の絵麻の「~もたらされた結果云々~」の発言に反発した主人公の言葉である。
Ⅱ. 絵麻の「もたらされた結果を自分のものみたいに思ってしまうのは怖い」という意見への反論であるから、結果は本人の努力を反映したものだから評価してよい、という選択肢Eが合う。
問5. 尚美の「伊原が東大に合格したら」という例え話から考えるとわかりやすい。「努力の結果で東大に合格しても伊原本人に東大ブランドの価値があるわけではない」と、努力の結果と本人の価値は一致しないと尚美は考えているわけである。他に「努力しなければ出せない結果を自分の価値とは結び付けられない」の発言もヒントになる。
問6. ここまで主人公は絵麻の意見に反論しているが、絵麻は自分の意見は変えず、かといって主人公の考えを非難するわけでもない。黙ってしまった主人公に「価値観が違うところがいい」と笑顔で話しかけ話題を変えようとしていることから、選択肢Aが合う。
問7. 「絵麻なりの手打ち」に対して主人公は「絵麻はみんなを馬鹿だと思っている」という意味の発言を返しており、絵麻を傷つけようというあからさまな悪意を込めている。絵麻もそれを感じとり、傷ついている。
問8. 主人公がわざと傷つけるような言葉を投げたのにも関わらず、絵麻はそんなことはなかったかのように当たり障りのない会話を続けている。そんな絵麻に対して、先の自らの発言を後悔しつつ通常の会話を返すことで、気まずい雰囲気を修復しなんとか今まで通りの関係性にもどろうとしているのだろう。
問9. これまでの二人の関係性、この日の主人公のいつもと違う精神状態、最後の場面での二人のやり取りなどから考えて、選択肢Dが最も的確に説明できている。
問10. A. 「沈黙をかき消されることに安心して、雑踏へ雑踏へと歩き続けていたのだ」の部分と合致する。
攻略のポイント
高い偏差値のわりに、問題構成もシンプルで難易度も控えめである。ただし、年度によって難しさに多少のばらつきはあるので、過去問に多く当たり、年度による違いに慣れておきたい。
また、選択肢問題が多い傾向は今後も続くと予想されるので、類似問題で経験を積んでおくこと。漢字の選択肢形式の問題や45分という時間にも慣れが必要である。当然、高得点での勝負となり不用意なミスは致命傷になりかねないので、最後まで集中を切らさない持久力をつけておきたい。
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