東邦大学付属東邦中学校 入試対策
2019年度「東邦大学付属東邦中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
論説文・小説の読解問題2題と、漢字・言葉の知識が数問という形式が定着している。
素材文の長さは各2500~3500字の2問で計5000~7000字ほど。平均的な文量と言えるが、時間は45分と少し短いので注意。
選択肢問題がほとんどで、短い記述問題が出される年度もある。
県下でも有数の高偏差値の学校であるが、国語の試験は非常にシンプルな構成になっている。
長文読解
論説文と小説の2問。同程度の難易度の学校では10000字を超える長文も多く見られる中、5000~7000字は文量としては少なめである。設問でも、長大な記述問題や答えを探すのに手間取りそうな書き抜き問題はほとんど出されない。
最新年度では書き抜きが2問ある以外はすべて記号選択問題であった。選択肢は四択で文は少し長いのでここで多少時間を取られるが、内容は無理に迷わせるような意地悪なものではない。全体的にクセのないシンプルな試験である。
45分と少し時間は短いが、本校を志望するレベルの生徒であれば時間・難易度ともにさほどの困難は感じないであろう。
特別な対策は要らないので、長文読解の基本に沿って学習を進めればよい。
・論説文 段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、各意味段落の内容を小見出しのようにつけてしまうとよい。
各段落の要点。段落の最初と最後に特に注意しながら、要点と思われる1文に傍線を引くなどしてマークしておく。細部でも、言い換えた部分などは手がかりになる場合も多いので、チェックしておく。
要旨の読み取り。どのような問題でも訊かれることが多いので、要旨の中でも特に重要な部分を目立つようにしておく。
・小説 場面分け。時間・場所・人物の移動などに注目し、場面の変わり目をチェックしておく。だれのどんな場面なのか、他の場面との関連なども考えておく。登場人物の性格を把握し、言動や情景から心理を読み取る。気持ちに変化があった場面は問題にされやすいので、特に注意しておく。全体を見渡して、何が中心テーマとして描かれていたのかを考える。
漢字・その他
漢字はここ数年、同音異字の選択肢問題という形で3問程度出題されている。語句の意味も数問、出されている。標準的な難易度である。
まとめ
選択肢問題が多いので、類似問題で慣れておくことは重要である。しかし、本校の高い偏差値からすると難易度は控えめであり、全体としても取り組みやすい試験になっている。
それだけに、合格者平均点は7~8割と高いことが予想され、高得点での争いになると思われる。確かな実力と、ミスのない答案作成が求められる。
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2019年度「東邦大学付属東邦中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2問で計4500字ほどと、例年と比べても少なめの文量であった。
時間のかかる記述問題が無い点でも、手間が少ない。ただし、選択肢の文は長めであり、45分の試験時間も、50分の学校が多い中、短く感じるだろう。
問題の難易度もさほど高くはないので、他の学校の過去問でスピードに慣れておけば、あまり苦労は感じないであろう。
【大問1】説明的随筆文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
- ★必答問題
微生物の人間との関わりや、ウイルスとの違いなどが述べられている。
問1. ①深海――意味深長 ②共生――共通 ③視野――野心
問3. 様々に違いがあること、の意。
問4. イ 後半部分は文中に言及が無いので×。
ウ 日本人の話なので「だれでも」はおかしい。
エ 「人間の生活に害をおよぼすものが多い」とは言っていない。
問5. 人間だけでなくシロアリも、という点に驚いたと思われるので、アが合っている。
イ 消化は「体内にある器官の働きではない」はおかしいので×。
ウ 微生物が「食物や木造家屋」を「消化してしまう」わけではない。
エ 害をおよぼす微生物についてはすでに述べられているので、 文章の流れからしてここで驚く理由はない。
問6. イは前半は良いが「自分自身の存在を否定」は言い過ぎなので選ばない。
問7. イ 口蹄疫の感染力が強いことは述べられているが、微生物との比較はされていないので×。
問8. 文意からウイルスは生物ではないことがわかるのでイかウにしぼられ、同じ理由でウの前半は文意に合わないのでイを選ぶ。
問10. 傍線部の直前の表現から、ウイルスには良いところは一つもないと筆者が思っていることがわかる。
【大問2】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:21分
戦後の時代の移り変わりの中でミンク養殖を生業とする主人公の、複雑な胸中が描かれる。
問1. 「足取りが重い」とあるので、楽しい元気な雰囲気ではない。
問3. 「心の中で制止を促す声が聞こえた」とあるのが、このことであろう。
問4. 読み進めると、久美子と修平がしばらく主人公宅を訪れなかったのは「ばあちゃん」の意向であったことがわかる。もらったキーホルダーも捨てられてしまっており、主人公の職業に否定的な祖母の態度を説明しなければならないのが、憂鬱なのだと思われる。
問5. キーホルダーをあげるくらいだから、この時まで主人公は自分の職業を「ろくでもない」と思う人がいるとは考えていなかったようである。「久美子の口調」はきつくはないのでウは選ばない。
問6. 久美子はもっと後で主人公が傷つくようなことをはっきり言っているし、話して悪いと思えば話さないだろうからイやウは適切ではない。
問7. 父親から聞いてはいた戦争中の状況が、身近でも起こっていたことを知っての反応である。ウの「こんな山奥にまで」と主人公が感じるような理由・根拠は文中からは読み取れないので選ばない。
問8. ウのような気持ちもあったことは考えられるが、その話「だけ」しかしなかったのは他のことを話したくなったからだと考えられる。子供を相手に凄惨な場面を語りたくなかったのだろう。
問9. 2か所ほど適切な部分があるが、終戦にも言及して字数に収まっている箇所のほうが内容がはっきりして良い。
問10. 最後の部分の描写で、主人公の自分の仕事に対する信念が揺らぎ始めていることがわかる。イは「後ろめたさが増大」などと、もともと後ろめたさがあったかのような表現が合わないし、ウの「取り返しのつかない仲になってしまった」かどうかもわからない。
攻略のポイント
高い偏差値のわりに、問題構成もシンプルで難易度も控えめである。ただし、年度によって難しさに多少のばらつきはあるので、過去問に多く当たり、年度による違いに慣れておきたい。
また、選択肢問題が多い傾向は今後も続くと予想されるので、類似問題で経験を積んでおくこと。漢字の選択肢形式の問題や45分という時間にも慣れが必要である。
当然、高得点での勝負となり不用意なミスは致命傷になりかねないので、最後まで集中を切らさない持久力をつけておきたい。
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