東邦大学付属東邦中学校 入試対策
2021年度「東邦大学付属東邦中学校の算数」
攻略のための学習方法
はじめに
本校の入試問題は、標準的な問題とやや複雑な問題が出題される。合格に必要な点数を取るためには、標準的な問題をきちんと正解できれば十分である。ただし、算数で得点を稼ぐには、やや難しめの問題にもある程度対応できるようにする必要がある。
標準的な問題をしっかり得点していくつもりで、本校の過去問に取り組んでみると、意外と点数が伸びないこともある。
考えられる原因の一つは、試験時間の不足だろう。本校の試験時間は45分とやや短いのだが、手間のかかる問題なども見られる。このため、時間配分を間違えたり、解くべき問題の取捨選択の判断を誤ったりすると、点数は伸びなくなる。
そこで、短時間で解けるように練習していく必要が生じてくる。しかし、短時間で解くことと慌てて解くことは根本的に異なる。本校の試験時間はたしかに短めではあるが、過度にスピードを要求しているわけではない。本校の問題をよく分析すると、解法の選択を誤ると、時間がかなりかかるような問題が少なからず見られる。また、問題の出題意図を理解できると、解きやすくなる問題もある。したがって、慌てて解くのではなく、無駄のない解法を選択できる能力を身につけることを重視したい。
具体的な学習法
基本事項については、各分野とも理解できていることを前提に、具体的な学習法について述べていくことにする。標準~やや難レベルの問題を中心に取り組んでいくことになるが、単に問題を解くだけでなく、様々な解法で解いてみるとよい。複数の解法で解くことによって、テストで無駄の少ない解法を選択できるようになってくる。また、問題を解き終えてから、自分の解法をもう一度ふりかえることも大切である。改めてふりかえることによって、問題の本質の部分が見えてくる。こういう経験を積んでいくと、問題文を読んでから、解く方針を立てるまでの時間を短縮できるようになってくる。なかなか大変なことではあるが、ぜひとも実践してみていただきたい。
一方で、本校の問題では序盤に計算と一行問題が出題されている。計算では、素早く正確な処理能力と工夫する力が必要である。一行問題では、なるべく楽に求める能力が必要である。各塾などで配布される計算問題・一行問題には毎日コツコツ取り組むようにしたい。
過去問演習について
当たり前のことではあるが、過去問にはしっかり取り組んでおきたい。本校の問題は、標準的な問題の中に、手間のかかる問題や考えにくい問題が一部混ざっていることが多い。そして、問題の配列が難易度順になっておらず、正解を求めにくい問題が中盤に出題されることが少なくない。問題を取捨選択する練習を重ねるためにも、過去問演習は多めに行っておきたい。
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2021年度「東邦大学付属東邦中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度は難化しており、受験者平均点は42.0点となった。これは、過去10年間で最も低い平均点である。また、試験時間も45分で解くにはかなり厳しい出題内容である。慌てずに、解くべき問題を確実に解いていくことを心がけたい。
【大問1】計算問題
- 難度:易
- 時間配分:2分
- ★必答問題
通常の計算問題。確実に正解しておく必要がある。
【大問2】小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:13分
小問集合とはいえ、それほど易しくはない。
(1)は13で割ったときの余りを求める問題。与えられた式をそのまま計算するのではなく、剰余類の考え方を利用したい。
(2)は速さの問題。ダイヤグラムを書いて整理するとよいだろう。
(3)も平面図形。ひし形の面積が、内接円の半径の何倍になるかを考えるとよい。
(4)はタクシーの料金を題材にした問題。走行距離と停車時間を考える必要がある。
(5)は食塩水の問題。応用力が必要である。
【大問3】流水算
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1)は、A地点からB地点の距離を求める問題。上りと下りの速さの和は、川の流れの速さに依存しないことに注目すればよい。
(2)では流れの速さを求める。(1)が正解できていれば易しい。なお、最初に上りと下りの速さの比に注目すると、(1)より(2)の方が先に求められる可能性もある。
(3)は、最初にすれちがってから、再びすれちがうまでの時間を求める問題。ダイヤグラムを書いておくと解きやすい。
【大問4】約束記号
- 難度:標準
- 時間配分:5分
2種類の記号が登場する。どちらの記号も、計算しやすいように式変形をするとよい。式変形に成功すると、(1)(2)ともに鮮やかに解くことができる。ただし、この式変形がやや実行しにくい。
【大問5】平面図形
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)はCDの長さを求める問題。2つの三角形の面積が等しいことから、BCとCDの長さの比を求めるとよい。底辺の比と高さの比の関係に注目する方法が一般的であろう。実は、ECとADが平行ということに気づくと、すぐに求めることができる。
(2)ではAP:PCを求める。面積比から、辺の長さの比を求めればよい。
【大問6】平面図形・立体図形
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
(1)は平面図形。正六角形の分割に関する問題である。
(2)は、正六角柱を切断する問題で、三角すい台の体積を求めることになる。(1)の結果を利用しないと求めることができない。
【大問7】場合の数
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
模様の作り方が何通りあるかを考える問題。回転して同じになるものは1通りとするタイプで、かなり解きにくい。
(1)は、場合分けの仕方がポイントになる。類題をある程度経験していないと解きにくい問題である。
(2)も場合分けの仕方がポイント。(1)との関連にも目を向けないと困難な問題である。
攻略のポイント
全体的に難しめの問題なので、【大問1】の計算は落とせない。
【大問2】の小問集合は、意外と解きにくく時間もかかる。5問中3問正解できれば、それほど心配する必要はない。これらの問題で時間を使いすぎると、終盤で時間が足りなくなる可能性が高いので注意したい。
【大問3】~【大問7】は、問題の難易度差がやや大きい。比較的解きやすい【大問3】【大問5】はしっかり得点しておく必要があるだろう。一方で、【大問7】はかなり解きにくいので、無理に深追いする必要はない。正解すべき問題の見直しに時間を使うことも検討したいところ。
なお、時間配分目安は、すべての問題にきちんと取り組むことを前提としている。実際には目安の時間で解くのはやや厳しいかもしれない。多少の目安時間オーバーは気にしなくてもよい。むしろ、正解すべき問題をきちんと得点できているかが重要である。
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