東邦大学付属東邦中学校 入試対策
2023年度「東邦大学付属東邦中学校の社会」
攻略のための学習方法
地理分野
日本地図・北海道・関東地方と長野県・さまざまな河川についてなど、テーマを設けてその中でさまざまな内容を問われる。地図やグラフ、図版なども多く用いられ、統計資料をもとにした質問も多い。
過去には歴史的行政区分・地形グラフ・人口増加率・模式図・農産物・気温・霧日数・降雪日数の月別平均値・全国に占める人口割合・人口密度・外国人人口・第2次産業就業者数などなど……多彩な地図・グラフ・統計資料で問題が作られている。
過去の問題では、緯度・経度で範囲を区切って面積を比べたり、2地点間の距離を比べたりといった設問もあった。
日本の各県や重要地点の位置などがよく頭に入っていないと厳しい。他分野と比べて、地理分野は難易度が高い傾向にある。
まずは日本の地名・地勢・気候や産業の特色など、基本事項をしっかり頭に入れることだが、地名を答えれば済むような単純な問題は出ない。いくつかの事項を組み合わせて問題が作られており、それぞれについての統計や関連事項も合わせて考えて正解を選ぶ必要がある。
地図もよく使われるので、日本地図や白地図も活用し、覚えた知識を地図上で結びつけておく。資料集で最新の数値も合わせて関連付けておこう。
テキスト・地図・資料集を総合的にまとめて、どの角度から質問されても答えを引き出せるように準備しておきたい。
歴史分野
干支や人口、国宝の建造物など、ある資料・テーマに沿って、各時代から幅広い内容の問題が出されている。この分野も、人名・事件名や年号を単純に答える問題にはなっていない。
特徴的なのは、正誤の組み合わせを選択肢で選ぶ形式が多いことである。訊かれている内容は歴史の基本的事項が多いのだが、選択肢一つ一つについて細部まで正しいか間違っているかを判断していかなければならないので、結果として相当な知識量が必要とされ難易度が高くなってしまう。正確な知識とともに集中力の持続も必要で時間もかかる。
地理分野と同様に、用語や年代を単純に暗記しただけでは正解を選べない。事件の背景や関連事項まで含めた細かい知識の統合が必要である。時代の前後が判断の決め手になる問題も多いので、年表などで流れを正確に覚えておくことも重要である。
政治経済分野
歴史分野と同じく正誤の組み合わせ選択問題が多いが、他の2分野と比べて難易度は低めである。政治の仕組みや憲法など、政治経済分野の重要事項をしっかり学習してあれば対応できるだろう。得点源にできる部分なので怠りなく勉強しておく。
問題量について
記号選択問題ばかりの試験ではあるが、前述のように特に地理分野では難問も目立つ。さらに、リード文・問題文・選択肢部分と使われている資料などを合わせると相当な分量の試験問題となる。計25問なので1問2分弱で答えていけばよい計算だが、考えるのにそれ以上に時間がかかる問題がある。
できる問題を速やかにこなすスピードと時間配分の工夫が必要である。
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2023年度「東邦大学付属東邦中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
適語記入が1問で残り24問はすべて記号選択問題であるが、正誤の組み合わせを選ぶものが多い。すべての選択肢を細かく吟味しなければならないので手間がかかる。
さらに、リード文や問題文、資料など全て合わせると相当な分量の試験となり、スピードが要求される。
1問に2分弱使える計算だが、資料やリード文の量が多いので、特に読むスピードはつけておきたい。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
地図やグラフを用いて、各地の気候・地形や産業について訊かれている。
問1 円グラフは円の大きさで量の違いが視覚的にわかりやすいので農産物収穫量を表すのに向いている。都道府県を色の違いで分けたグラフは、数値の違いと分布が明確で、人口密度のグラフに適している。
問2 (1) 求める面積は、半径1.25㎞の円の面積の4分の1であるから、1.2平方キロメートルが最も近くなる。
(2) 「ゆるやか」・「おだやか」など。
問3 県の形が横に長く、半島の形などもみられることから、(あ)の地図が静岡県と考えられる。同様に横に長い形で、日本海側の都市と推測できる点がある(え)が山口県である。
問4 (1) 冬に氷点下を記録しているCは中央高地の気候に属する諏訪と考えられる。同様に中央高地気候の特徴から降水量が少なく雪は多いという点でイのグラフが諏訪と見分けられる。
(2) 人口の移動は距離が近い都市の間で多いと考えられるので、最も多いYZは大阪と愛知、次に多いXYは大阪と福岡と推定され、共通するYが大阪とわかり、以下Yが福岡、Zが愛知となる。
問5 (1) イ. ともに路線の終点となっていて、2つの駅の間に線路は見られないので正しい。
(2) あ. 両側に竹林が見えるのでBの位置。
い. 直線の道を見通し、両側に建物があるのでCの位置。
う. 残ったAとなる。
問6 Cのゾーンは収穫量が多く米が農業生産の中心である地域・新潟県。Aは米も多いが他の作物の生産も多い北海道、Dは米の生産量は少ないが他の作物も多くない滋賀県、Cは生産量も少なく割合も低いので鹿児島県が示されている。富山県は生産量こそ新潟県のように多くはないが他の作物が少ないので、割合が高くなるDに属する。山梨県は稲作に適した土地は少なく果樹栽培が盛んなのでBに入る。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
江戸時代に河村瑞賢が整備に尽力した航路についての文章を読んで、各時代の出来事や人物について答える問題。
問1 あ 福島から荷を運ぶなら阿武隈川を通って宮城県で太平洋に出るルートになる。
い 山形県の最上川を下って河口にある酒田に運び、日本海を西に廻って大阪に向かう。
問2 伊勢は現在の三重県、信濃は長野県にあたる。
問3 五街道のうち伊勢を通るのは東海道である。
問4 西洋奇聞(1715年)→蕃藷考(1735年)→解体新書(1774年)→伊能図(1800~16年)
問5 越前国(福井県北部)を治めていたのは朝倉氏。
問6 エ. 大津を戦場とした壬申の乱。大海人皇子が大友皇子を破ってのちに天武天皇となり、藤原京への遷都を命じたが完成前に亡くなった。
問7 イ. 朝鮮への進出を狙っていた日本は朝鮮が独立国であることを清に認めさせ、支配への道筋をつけた
問8 エ. 吉野ケ里遺跡は佐賀県にあり西廻り航路では通らない。
【大問3】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:17分
アイヌ人である萱野氏の演説を題材に、憲法や政治のしくみについて訊かれている。
問1 い の写真は毛のようなものが見えるのでシカの皮が使われているようである。
う は「切るな」と言われているので木、 あ がシャケとなる。
問2 環境保全に関わる仕事なので、環境省。
問3 ウ. 「地方公共団体ごとのちがいをなくし」は、地方自治の理念・原則に反している。
問4 ウ. 不逮捕特権があるのは「議員の任期中」ではなく「国会の会期中」である。会期中であっても現行犯であれば逮捕される。
問5 ウ. 北海道の開拓の歴史として正しい。
問6 ア. 違憲立法審査権はすべての裁判所が有する。
ウ. 国民投票が行われるのは憲法改正についてだけである。
エ. 新しく制定された法律自体を判断するのではなく、具体的な事例について審査されるので、説明のような手続きはない。
問7 アイヌの文化についての判断であるから、国連教育科学文化機関の認定である。
問8 与えられた条件から逆算する。まず、友人の到着時間が13時34分と計算できる。それより遅く着くのは13時54分の普通列車しかない。これに乗るために苫小牧駅→南千歳駅→新千歳駅とルートを逆にたどり、新千歳空港に11時30分にいる必要があることを計算し、その時間に間に合う最も遅い便であるピーチアビエーション567便を導き出す。
攻略のポイント
ほとんどが記号選択式の問題というシンプルな問題構成だが、組み合わせ問題が多いので問題数以上の知識を要求され、けっして易しい試験ではない。
特に地理分野はポイントを絞った詳しい知識を問われる問題が多く、他ではあまり見ない種類の出題もあり、難しい。地理分野は重点的に実力アップを図りたい。
他方、歴史分野と政治経済分野は基本事項がしっかり頭に入っていれば得点源にできる。
100点満点で6割5分~7割の受験者平均点なので、皆ができるところではミスをしないよう、着実な実力をつけよう。
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