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桐朋中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「桐朋中学校の国語」
攻略のための学習方法

【問題構成】

大問2つに文学的文章と説明的文章が割り当てられるのが、ほぼ定形となっている。
文量は7000~8000字ほど。漢字の書き取り・記号選択・書き抜き・記述問題などが毎年出題されている。
記述問題は字数指定の無いものが長短合わせて4~5問出題される。
特に100字ほどでまとめるものは4~5つの要素をうまくまとめる必要があるので、過去問でよく慣れておくことが大事である。

【漢字の書き取り】

毎年出題されている。極端に難しい問題は見られないので、初級~中級レベルの教材をしっかりマスターして、全問正解を目指したい。

【長文読解】

使われる素材文は中高生対象のものが多く、難しくて読むのに苦労するということはない。
設問でも、記号選択や書き抜きの問題は無理に難しいものではなく、適正な実力があれば正解できるのでミスなく得点源としたいところである。

論理的文章の読解であれば、段落分け・要点と細部・要旨と要約といった基本の技術を磨きたい。
形式段落→意味段落のまとめ。意味段落の内容を小見出しのように考えておくとわかりやすい。
各段落の最初と最後に注目して、要点に傍線を引くなどして探しやすくしておく。
最後にそれらをまとめておおまかな要約・結論を見出す。

文学的文章であれば、場面分け・心情把握・テーマの理解など。時間・場所・登場人物の動きなどから場面の変わり目をチェックする。
人物の言動・情景などから心情を考える。予断なく、文中の手がかりから正確に読み取りたい。そして、全体として作者が描きたかったのはどんなことなのかを理解する。
このような読解の基本を繰り返し練習しておこう。

【記述問題】

長短合わせた記述問題は、やはり手間がかかる部分である。
70字や100字ほどでまとめる問題は字数を埋めるだけでも大変であるし、まとめ方をよく考えずに書いてしまって失敗すると最初から書き直して大きく時間を失うはめになる。
字数に合わせて書くべきポイントを整理し、破綻のないようにまとめられるように、類似問題で繰り返し練習したい。

2018年度以降、文中からそのまま抜き出してまとめられる問題は少なくなったようである。人物の表情や行動からその気持ちを、示された例から筆者の主張したいことを、自分で考えてまとめないと内容の薄い答えになってしまう記述が多かった。
本文から適切な部分を抽出してまとめられる形が多かった従来よりも、難しくなった印象を受ける。人物の心情や筆者の意見を細かく考えながら文章を読む訓練を積んでおきたい。

答えとして求められている内容を探し出す読解力・それを条件に合うようにうまくまとめる記述力を高めよう。
満点を目指さなくても良いので、必要な字数を書いて部分点を稼ぎ、記述でも十分な得点を期待できるように力をつけておこう。

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2021年度「桐朋中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

文量は7300字ほど、総解答数は26問で例年と大きな変化はない。記述問題は長短合わせて計5問。記述問題に計17~18分ほどは見ておきたいので、素材文の読みと残りの問題を30分程度でこなせるスピードを身につけたい。選択肢はシンプルで選びやすいので、さほど時間はかからないだろう。

【大問一】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:27分

いつか西洋音楽を日本に根付かせたいという廉太郎の希望に懐疑的な新聞屋だったが、廉太郎の死後にその希望が実現したことを知り、その短い人生を儚みながらも嬉しく思う。
問一 三味線についた汚れは、良い品だからと飾っておくのではなく、日常的に手にして弾いている証拠である。
問二 新聞屋が三味線を手に取り慣れた手つきで正確に調絃する様子に、腕前の確かさが表れている。
問三 新聞屋は藩のお抱えになるほどの三味線師の血筋であり、自身も練習を積んだが家庭の事情で三味線師になることはあきらめた。しかし今でも「音楽に対する熱意」はもっており、音楽学校で学ぶことができる裕福な家庭の子息たちに対して「鬱屈した思い(羨望・嫉妬や自身の境遇へのあきらめなど)」があって、それが音楽学校に対する「敵対心」を生み出していると思われる。
問四 家のことや病弱な母親の世話などは妹さんがしているようである。
問五 「鼻を鳴らす」は不満げな様子である。ここでは廉太郎の望みに対して、それはお金持ちのおぼっちゃまの甘い考えで、そんなことができるはずはないと言いたいようである。
問六 「過渡」は「古いものが新しいものへと移り変わること・またその過程」という意味である。廉太郎の遺作を聴いた新聞屋は、生前の廉太郎の「西洋音楽を日本に根付かせたい」という希望に対してこの曲はまだその域にまで達していない「過渡期の作」であると感じたのである。
問七 直前で、廉太郎の遺作が「過渡作」であったことに「胸が詰ま」り、その短い人生を哀れんでいた新聞屋。そんな時に家族が屈託なく歌う「お正月」を聴いて、どのように感じたか?
問八 「鼻の奥のつんとした痛み」は泣きそうになっているということである。廉太郎の作
った歌が自分の家族に歌われ、幼稚園の教科書にも載せられたことを知り、その短い生
涯で成し遂げたことを思い感激すると同時に、その才能が早くに失われてしまったこ
とを悲しんでもいるのだろう。
問九 総菜屋に買い物に行く途中の新聞屋の様子に注目。

【大問二】論説的随筆文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:23分
  • ★必答問題

人が社会に合わせ属したいと思うのは当然だが、その際にも自分を客観視できる内なる自分を掘り起こし、盲目的に従わないように考えられることが大事であると説いている。
問二 ヘレンよりもその母親の様子に注目している。ヘレンがナプキンをたためたことを望外に喜ぶ様子から、社会に属せないであろうヘレンに母親がどれほどの心痛を抱いていたかが察せられる。そこから「群れに入れない、入れるがこんなに絶望と希望を与えるものだということ」を感じたのである。
問三 ヘレンはおそらく世間で普通の暮らしはできないであろうというあきらめ・教育の放棄が、さらにヘレンの社会参加を困難なものにしてしまうという悪循環を生んでいる。
問五 「仲間に入れてもらいたいと思う気持ちは本能であたりまえのこと」なのだが、それが「自分のほんとうに入りたい群れや仲間ではない」場合が問題であると書かれている。その「入りたい」が本心なのかそうではないのかで「葛藤」が生じるのである。
問六 直後の「いいかっこしないといけない」と同じ意味である。
問八 この「個人」でいることは「自分の中に自分のリーダーを掘り起こす」ことである。自分とそのリーダーを一つの群れとしてしまう「チーム・自分」を形成するのである。自分もリーダーもどちらも「自分」なのであるから、このチームは「個人」なのである。
問九・問十 自分の中に「自分を客観視できるもう一人の自分」を「掘り起こ」し、それをリーダーとする。自分についても社会についてもその批判に耳を傾けその判断に従う。そうすることで自分や社会を的確にとらえることができるのである。

攻略のポイント

合格者平均点から考えて、6割~6割5分の得点を目指したい。漢字や記号選択の問題を手堅く得点した上で、記述問題に十分解答出来るかが大事になってくる。
長文記述は繰り返し練習して字数やまとめ方の感覚をつかんでおこう。書く要素が十分思いつかなかったとしても、必要な字数を埋めれば部分点は期待できる。諦めずに泥臭く得点を狙っていこう。
漢字・記号選択などの問題は、比較的答えやすく時間も取られないので、テンポよくこなして長文記述になるべく多くの時間を残したい。

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