桐朋中学校 入試対策
2023年度「桐朋中学校の社会」
攻略のための学習方法
傾向
試験時間30分で、大問が3つに総解答数30前後という構成。
ここ数年は大問1・2・3がそれぞれ歴史分野・政治分野・地理分野の問題と、3つの分野が決まった形式でバランス良く出題されている。記号選択と用語記入が大部分で、字数指定の無い4~5行程度の記述問題が2問含まれるという形も毎年変わりない。
基本レベルの知識を問う問題が中心で、オーソドックスな試験と言える。
地理分野
日本の国土・地勢・各地の産業に加えて、日本と関わりの深い国々の問題も見られる。
地図や資料を使った問題やグラフの読み取りもよく出されている。
基礎的な知識を問う問題が多いが、この地理分野では、「○○の第2位と第3位の県」というような、1位を覚えているだけでは答えられない質問や、人口100万人以上の都市についての問題なども出され、細かい知識を訊かれることもある。地図帳・白地図で地名や地形等の基本的な事柄や位置を確認しながら、資料集で産業や経済のデータを億劫がらずに第3位まで暗記するなど、丁寧に取り組みたい。
また、ヨーロッパ・アジア・中東地域など、日本とつながりのある国や地域についてもしばしば出題されるので、こちらも地図や資料集で位置や基本的なデータは頭に入れておくようにする。
歴史分野
各時代から幅広く出題されている。
基礎的な知識で答えられる問題がほとんどで、漢字で書きづらい難しい人物名なども出されていない。
政治史・文化史といった一つのテーマに沿った出題が多く見られるので、年表で各分野の流れを整理しておくと良い。資料もよく使われるので、資料集で図版などもよく見ておく。
ここしばらく、2問の記述問題の内、1問がこの分野で出されるパターンが続いている。
歴史上の出来事や重要語句について説明させるような内容が多かったが、近年は史料をもとに考えさせるような思考型の記述も増えている。基礎的な知識に加えて、原因や結果を考えて記述するような問題も多くこなしておこう。
記述と訊くと難しいと思いがちだが、自分の知識をまとめれば答えられる問題も多く、字数の細かい指定もないので比較的書きやすい形式でもある。苦手意識を持たず、しっかり答えて欲しい。
政治分野
まずは日本国憲法・三権の仕組みなどの基本をしっかり頭に入れておこう。そのうえで
この分野と関連づけて出される時事問題にも対応できるよう、環境問題や世界情勢などの最新の動きにも目を向けておく。
そして、2問の記述の内、もう一問がこの分野で出題される。
こちらは歴史分野と少し違っていて、「社会の問題点を、統計などの特徴から読み取らせる」といった内容が多く、少し難しくなっている。
ただし、これもよく話題になる事柄が多く、テキストや副教材にも解説が載っている場合も多いので、初めて聞いたなどということにはならないだろう。記述用の問題集を使っての練習も有効である。
まとめ
男子上位校の割に、社会の問題は素直で基本的な出題傾向となっている。
難問集などは必要無いので、テキスト・副教材を丁寧に学習して基本をしっかり身につけるべきである。
地図帳や白地図で名前や位置、地域の特色なども整理しておく。
並べ替えの問題など、一般に難しいとされる形式の出題もあるが、先で述べた記述問題の場合と同じく、基本的には十分な基礎知識があれば答えられるような問題となっている。
特別変わった対策は要らないので、基本事項とその周辺知識は弱点を作らずしっかりマスターするということを心がけて欲しい。ただし、記述問題などはただ知識を問うだけではない考えさせる問題も増えてきているので、類似の記述問題でしっかり練習しておこう。
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2023年度「桐朋中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数34問で時間は30分。リード文はさほど長くない。40~80字ほどの解答欄でまとめる記述2問に5~7分程度の時間を取って、残りは迷わずてきぱき答えていこう。
記述問題以外は、考え込むような時間を取られる問題はほとんど無いので、テンポよくすすめて、記述問題に時間を残そう。
【大問1】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:11分
- ★必答問題
各時代の資料をもとに、出来事や人物について訊かれている。
問1 エ(平安時代)→イ(鎌倉時代)→カ(明治時代前半)→ア(明治時代後半)→ウ(明治時代末期)→オ(昭和時代)。
問2 ① 平安時代の建物や風俗について説明されているので、エ。
② 日中戦争から太平洋戦争と戦争が長引いた昭和時代のことで、オ。
③ 鎌倉時代の茶道の大成や建築様式の話なのでイ。
問3 ① 日露戦争で徴兵された弟を想って詠んだ歌人・与謝野晶子の詩である。
② 日本軍はロシア軍と激戦の末、旅順(リュイシュン)を陥落させた。
問4 ①・② 資料は承久の乱の際、御家人を鼓舞した北条政子の演説で、夫である源頼朝の御恩を説いたものとなっている。
問5 資料は平塚らいてうが行った雑誌『青鞜』の創刊宣言。らいてうは市川房江らとともに女性解放運動の中心となって活動した。
問6 清少納言による随筆『枕草子』の冒頭の一節。
問7 ひめゆり学徒隊の悲劇を記した資料やひめゆりの塔が戦争の悲惨さを後世に伝えている。
問8 ① 津田塾大学を設立した津田梅子。
② 岩倉具視率いる遣欧使節団の一番の目的は、江戸時代に締結された不平等条約の改正を取り付けることにあった。
【大問2】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
輸入資源を話題に、各地の産業や特徴などについて訊かれている。
問1 ① 九州や北海道の炭田は、石油への切り替えや海外の安い石炭に押されるなどして閉鎖されていった。
② かつて鉄は産業のコメと呼ばれた。原料となる鉄鉱石は全て輸入に頼っている。
問2 鮮度や輸送費の安さという面で、大消費地である東京の周辺で酪農を行う利点がある。
問3 北東北(青森・岩手・秋田)と北海道の縄文遺跡群がまとめて登録された。
問4 現在の産業のコメは半導体である。
問5 インドの国土は全て北半球にある。
問6 道路に消雪パイプが埋め込まれ、常時水を流すことによって雪が積もるのを防いでいる。
問7 カザフスタンは中央アジア、パキスタンは南アジアに分類される。
問8 発電量の合計から(あ)は中国と考えられる。同様の観点で(い)と(う)がドイツと日本を示していると思われるが、日本は風力発電がまだ少ないので(う)がドイツ、(い)が日本とわかる。
問9 (あ)はタイ、(い)はベトナム、(う)はフィリピンである。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
コロナ禍の日本を話題に、政治のしくみや経済について訊かれている。
問1 1. 経済・産業や企業に関する行政を所管するのは経済産業省。
2. 成長と分配の好循環・コロナ後の新しい社会の開拓などを理念とする、岸田政権の「新しい資本主義」。
問2 A. 臨時国会 B. 特別国会 C. 通常国会
問3 い(1989年)→え(2002年)→あ(2012年)→う(2018)
問4 ウ. 市場に出回る通貨を調整しているのは日本銀行である。
問5 従業員数で7割近くを占める中小企業だが、生産額でみるとおよそ5割しかない。ここに中小企業と大企業の生産性の差が表れており、中小企業の経営の難しさや従業員の賃金の低さといった問題の原因ともなっている。
攻略のポイント
出題形式や難易度など、例年通りのイメージである。
合格者平均点は7割を超えることも多いので安易なミスは命取りである。難問・奇問は出題されないので、テキスト・副教材を丁寧に抜けがないように学習し、基礎の徹底を図りたい。どちらかと言えば、地理に細かい知識を問う問題が多いので、意識して取り組んでおこう。
2題ある記述問題は、過去問で出題傾向をよく確認しておくと良い。
また、データを読み取ってそこから考えられることを書く記述問題が毎年出されているので、類似問題をこなして経験を積んでおきたい。
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