｢漢字の書きとり｣(全５問)。
示されている各文の二重傍線部の｢ひらがな｣を｢漢字｣に直す。
本年度は本校の標準レベルの難易度だ。本校志望者は｢全問正解｣したい。それぞれの｢答え｣を確認する。
(１)｢カイコを飼ってようさん業を営む｣＝｢養蚕｣⇒｢カイコ｣＝｢蚕｣⇒｢社会科｣でも必須定着事項だ。
(２)｢せいざの観察｣＝｢星座｣⇒問題なし。
(３)｢電車のうんちん｣＝｢運賃｣⇒一瞬戸惑うか？
(４)｢詩をろうどくする｣＝｢朗読｣⇒よもや｢郎｣と混同するまい。
(５)｢法律案についてかくぎ決定する｣＝｢閣議｣⇒｢社会科｣でお馴染みのはず。
ひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は相当ヤバイ。必ず確認しておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分＞

十代の三姉妹が慕う、お姉さんのような叔母｢るり子｣、自由で愉快で感激屋、一緒にいると世界がたちまちカラフルに色づく――誰もがハッピーになれる家族の物語の一篇。
本文では、子どもは苦手だと感じていた｢るり子｣が、姉の子どもたちとの交流を通して、気持ちを変化させていく様子が描かれている。平易な文章で内容はすぐに理解できる。本校としてのオーソドックスな小問が並んでいる。以下、いくつかを確認してみたい。

[問二]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)　｢総合的知識問題｣
傍線部(ａ)｢金切(かなき)り声｣､(ｂ)｢にわかに｣の｢本文における意味｣を答える。
これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、｢本文における意味｣を意識し過ぎると間違ってしまう可能性があるので要注意だ。それぞれの｢答え｣を確認したい。
(ａ)｢金切(かなき)り声｣＝｢金属を切るときに出る音のように、高く張り上げた鋭い声｣という意味⇒｢答え｣は選択肢(エ)｢高く張り上げた鋭い声｣⇒馴染みが薄いか？ 知らなかった諸君はこの機会に覚えておこう。
(ｂ)｢にわかに｣＝｢突然に。急に｣という意味⇒｢答え｣は(ア)｢いきなり｣⇒流石(さすが)にこれは知っているはず。
尚、こうした｢語句の意味｣では、｢設問｣に惑わされずに｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させること。

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[問三]　｢様子説明選択肢｣(４択)
傍線部(１)｢息を吐き出して｣･(２)｢言う前に深く息を吸った｣について、｢こうした『息』に関する描写を通して読み取れるそれぞれの『るり子』の様子｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意絶対優位の原則｣に基づき｢原意消去｣をしたい。本問ではふたつの説明が同時に問われているので、どちらか分かりやすい方から判別してく。ここでは、(２)の｢言う前に深く息を吸った｣の方が｢消去｣しやすいはずだ。この表現の｢原意｣と結びつかない｢説明｣を｢消去｣する。各選択肢の説明は前半が(１)、後半が(２)についてなので、後半の｢文末｣と照合したい(｢選択肢｣の｢説明｣では｢文末｣が最重要ポイント)。
(ア)｢(納得させる言い方を)探り出そうとしている様子｣､(イ)｢勢いこんでいる様子｣､(ウ)｢冷静になろうとしている様子｣､(エ)｢仲間に入り込もうとしている様子｣｡
さあ、どうだろうか？　｢深く息を吸った｣のだから当然、｢冷静になろうとしている｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。念のために、｢同一場面｣で他の部分の説明も確認する(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)。特には誤っていないと判断できる。
したがって、｢答え｣は(ウ)になる。見事に｢一発消去｣だ。｢原意消去｣は必ず試みるべし。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分＞

[問六]　｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢90字ほど｣の解答欄)
傍線部(５)｢るり子は大げさに頭をふって、世界中の人にきこえるようなため息をついた｡それから、フェンスにぴたりとからだを寄せて、川を覗(のぞ)き込んだ｣について、｢その理由｣についてわかりやすく説明する。
先ずは、傍線部の｢大げさに頭をふって｣｢世界中の人にきこえるようなため息をついた｣といった動作から、｢るり子｣は｢気持ちを入れかえようとしている｣ことが分かるはずだ。どうして｢気持ちを入れかえる｣必要があるのか？ また、｢フェンスにぴたりとからだを寄せて、川を覗き込んだ｣のはなぜかといったことを｢同一場面｣から読み取っていきたい。｢るり子｣が姉の３人の｢子どもたち｣(三姉妹)と一緒に近所の川辺で遊んでいたとき、すずめのえさをまいた｢子どもたち｣に対して｢年配の女｣が金切り声でしかりつけた｢状況｣が読み取れる。そのことで｢子どもたち｣の心が深く傷ついたことで、｢るり子｣自身もとても嫌な気持ちになっていることも分かる。つまり、そうした｢気持ち｣を｢入れかえようとしている｣のであり、｢年配の女｣から身体的にも精神的にも離れたいと思い、｢フェンスにぴたりとからだを寄せて、川を覗き込んだ｣のだと考えられるに違いない。以上のような内容を整理して｢過不足なく｣まとめていく。
たとえば、｢近所の川で一緒に遊んでいた姉の子どもの三姉妹がすずめのえさをまいて年配の女からはげしくしかられ、彼女たちの心が深く傷ついたことによる自分自身のとても嫌な気持ちを入れかえたかったから｡｣(91字)といった｢答え｣になる。
尚、｢説明記述｣では｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣にすること。

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[問八]　｢内容説明選択肢｣(４択)
傍線部(６)｢父はいつも正しかった｣について、｢そのように振り返る『るり子』の説明｣を答える。
無論、｢原意消去｣から。ここでは、｢父はいつも正しかった｣と振り返る｢るり子｣の｢思い｣と結びつかない｢説明｣を｢消去｣していく。
各選択肢の｢文末｣をチェックする。
(ア)｢(自分自身に)複雑な思いを抱いている｣､(イ)｢父になお憧(あこが)れている自分に改めて気づいている｣､(ウ)｢自信を持って生きていこうと固く誓っている｣､(エ)｢気持ちを新たにしている｣｡
｢父｣のことを｢振り返る｣という｢原意｣を考えれば、｢最重要要素｣である｢文末｣で｢父｣に言及していない(ア)･(ウ)･(エ)は｢消去｣に決まっている。念のために、｢同一場面｣で(イ)の他の部分の説明も確認する。特には誤っていないと分かる。
よって、｢答え｣は(イ)でＯＫだ。再びの華麗なる｢一発消去｣！ ｢原意消去｣は完全にマスターし、応用できるようにすべし。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分強＞

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語――なぜヒトはことばを持つのか？子どもはいかにしてことばを覚えるのか？ ヒトとＡＩや動物の違いは？……。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎からヒトの根源に迫っている。本文では、鍵となる｢オノマトペ｣は｢感覚イメージを写し取る語である｣という定義について考察している。
難解な語句があるが、｢＊注｣を活用して内容を理解したい。ややひねりのきいた設問など、多彩な小問が並んでいる。設問を正確に理解して、落ち着いて解き進めたい大問だ。以下、いくつかを考えてみたい。

[問一(ｂ)]　｢類義語判別選択肢｣(４択)　｢総合的知識問題｣
傍線部(ｂ)の｢具象的な｣と｢意味が近い言葉｣を答える。
各選択肢は、(ア)｢写実的な｣･(イ)｢抽象的な｣･(ウ)｢主観的な｣･(エ)｢感覚的な｣。
もちろん、｢具象的｣＝｢抽象的｣が対義語で｢直接それとわかるようなはっきりした形をもっているさま｣を表すということは知っているはず。
よって、｢答え｣は｢事実をありのままうつし出そうとする傾向のあるさま｣である(ア)の｢写実的な｣になる。無論、誰もが｢正解｣して当然だ。
尚、本校ではありとあらゆる｢知識｣が問われると心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：30秒弱＞

[問二]　｢根拠説明不適切選択肢｣(４択)
傍線部(１)｢オノマトペは形容詞よりもさらに感覚を中心に据(す)えた言葉と言えるかもしれない｣について、｢筆者がこのように判断する根拠｣として｢適当でないもの｣を答える。
無論、｢原意消去｣からだ。本問は｢不適切｣な｢根拠説明｣を答えるので、｢オノマトペは形容詞よりもさらに感覚を中心に据えた言葉｣の｢根拠｣として結びつかない、｢消去｣すべき｢説明｣が｢答え｣になる。
各選択肢の｢説明｣がとても短いので、ここでは全文と照合する。
(ア)｢形容詞は感覚特徴を表すことが多い｣､(イ)｢動詞や名詞に比較して、オノマトペは身体感覚や心的経験と関連するものが少ない｣､(ウ)｢感覚的でない意味を表すオノマトペは想像しがたい｣､(エ)｢形容詞は『正しい』『愛おしい』『迷惑な』といった語で感覚的でない意味を表せる｣｡
｢オノマトペ｣は｢感覚を中心に据えた言葉｣の｢根拠｣なのだから、｢オノマトペは身体感覚や心的経験と関連するものが少ない｣は明らかに｢消去｣でいいと判別できるはずだ。念のために、他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認する(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠｣｢手がかり｣がある)。特に誤ってはいない。
したがって、｢答え｣は(イ)になる。やはり｢一発消去｣だった。畏るべし！｢原意消去｣、本校合格のためには必ずマスターせよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分半＞

[問三(２)]　｢内容説明記述｣(｢45字以内｣指定)
傍線部(２)｢次の五つの問題に答えてみてほしい｣について、｢この『問題』を通して筆者が言いたかったことは何か｣を｢四十五字以内｣で説明する。
当然ながら、最初に｢五つの問題｣を確認したい。直後から｢いずれも外国語のオノマトペに関する問題｣だと分かる。無論｢具体例｣なので、それらを通して｢一般論｣として｢筆者が言いたかったこと｣を｢同一意味段落｣から読み解いていきたい。｢問題｣の｢答え｣を示した後、傍線部から３つ目の形式段落が｢一般に｣で始まっており、｢オノマトペはその言語の母語話者(＝幼いころに習得する言語を話す人)にはしっくりきて、感覚経験を写し取っているように感じられるが、非母語話者には必ずしもわかりやすいとは限らない｣と述べられている。まさに、｢五つの問題｣とその｢答え｣を通じて導かれた｢一般論｣としての｢筆者が言いたかったこと｣になる。あとは、｢指定字数｣に応じて、的確にまとめていきたい。
たとえば、｢オノマトペは母語話者にはしっくりくるが、非母語話者には必ずしもわかりやすくないということ｡｣(45字)といった｢答え｣だ。
尚、｢具体論｣⇔｢一般論｣の関連についての設問は昨今、本校に限らず頻出なので、確実に練習しておきたい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：３分半＞

[問四]　｢内容説明抜き出し｣(｢22字｣の｢はじめの５字｣指定)
傍線部(３)｢『感覚を写し取る』というのはそもそもどういうことなのか｣について、｢筆者は『感覚』をどのようなものとして定義しているか｣が分かる｢二十二字｣の｢はじめの五字｣を抜き出して答える。
｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んで探していくことがポイントだ。先ずは｢内容｣、設問のとおりだが、要は｢筆者｣による｢感覚｣の｢定義｣だ。次に｢抜き出し範囲｣、無論、｢同一意味段落｣だ｡ここでは、傍線部の前後を含めた３つの形式段落だと判断できるはず。丁寧に探していく。すると、次の段落の最後に｢しかし『感覚』は、外界にあるものではなく、表現者に内在するものである｡｣という一文がある。
まさに、｢外界にあるものではなく、表現者に内在するもの｣(22字)が｢感覚｣の｢定義｣になる。｢抜き出し範囲｣には他に候補はない。
よって、｢指定字数｣を勘案して、｢答え｣は｢外界にある｣(５字)になる。尚、｢抜き出し｣では｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全ての｢範囲｣を確認することが肝要だ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分強＞

[問五(２)]　｢内容説明選択肢｣(４択)
傍線部(４)｢絵画はどうだろう｣について、｢『絵画』と『オノマトペ』の関係性についての説明｣を答える。
｢原意消去｣を試みたいが、この設問内容では不可能だ。そこで、先ずは｢同一意味段落｣から｢『絵画』と『オノマトペ』の関係性｣を読み解きたい。傍線部の次の形式段落でまとめられている。①｢オノマトペは絵画でいうと抽象絵画より具象絵画に近い｣、②｢絵画は鑑賞者の使う言語や文化に関係なく受け止められるが、オノマトペは特定の言語の枠組みの中で理解される｣といった２つの関係性が指摘されている。ここで、各選択肢の｢要点｣を確認し、正誤判別していく。
(ア)｢絵画もオノマトペも抽象的であると同時に具象性も兼ね備えている｣⇒上記①より｢不適切｣。
(イ)｢絵画は鑑賞者の使用言語や文化的背景に関係なく楽しむことが可能だが、オノマトペはその言語が通用する範囲の中でないと理解されにくい｣⇒上記①②より｢適切｣。
(ウ)｢絵画は作品の文化的背景が共通する鑑賞者にとっては理解しやすい｣⇒上記②より｢不適切｣。
(エ)｢絵画は表現者と鑑賞者相互のはたらきかけによって成立する｣⇒上記①②より｢不適切｣。
よって、｢答え｣は(イ)だ。本校では、こうした｢選択肢設問｣もある。臨機応変に対応することが求められる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：３分＞