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東洋英和女学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「東洋英和女学院中学部の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

2016年度まで大問2~3問に物語・随筆文が1問、説明・論説文が1問というパターンだったが、2017年度から長文読解の大問1つという形式に変わった。2017年度以降は素材文は文学的文章(小説)となっている。素材文は7000~10000字ほどで、そこに言語事項や文法などが織り込まれるという形になっている。

内容は、漢字7~8問、文法・言語事項10問前後で、残りは読解問題が20問程度といった割合である。
形式的には、記号選択・書き抜き・短文記述・50~100字ほどの記述・字数指定無しの記述と多彩だが、記号選択が多めである点と記述問題が必ず出される点に留意して、類似問題で練習しておきたい。

長文読解

〈文学的文章〉
本校は物語文・随筆文の読解の比重が大きく、7000~10000字の本文がつく場合もあるので、読むスピードは必須である。ただし出典は、無駄に大人向けの難解な話ではなく、小中学生にも理解でき、また読んでも面白い、「読む楽しみ」が感じられる話なので、変に身構える必要無しに読書を楽しむくらいの気持ちで臨みたい。
人物の心情理解・筆者の考えの理解という問題が大半だが、選択肢問題も意地悪なものではなく、問題の箇所の前後や、人物の全体を通しての行動を注意深く読めば間違いなく選べるだろう。
なお、長文・字数指定無しの記述問題はこちらの文学的分野で出題される。

〈説明的文章〉
2017年度以降、3年続けて説明的文章の出題が無かった。
今後もこの傾向が続くかは不明だが、昔の形式が復活する可能性もあるので、対策はしておきたい。過去、この分野では記述問題は見られず、書き抜き問題が多かった。また、漢字や言語事項が合わせて出される場合も多く、そうなると文章読解自体の問題数はかなり少なくなる。
それほど難解な文章は出されていなかったので、一般的な説明文・論説文の問題集などで練習できるだろう。論理的な文章も多く読んで慣れておこう。

記述問題

文学的文章の問題の中で、字数指定の無い・「自分の言葉で」書く記述問題がよく出されている。解答欄から考えると100~150字程度でまとめられそうである。
本文に直接は書かれていない物語の展開を考えるものや、下線の意味するところを考えて具体的に書くものなどがある。
「自分の言葉で」とは言っても、当然ヒントや答えを暗示させる内容の部分が本文中にあるはずで、それをそのまま使ってはいけないということである。別の言葉・表現を用いたり、散らばって書かれている部分を自分でまとめたり、自分の経験に当てはめて言い換えたりすれば良いのである。
満点を取れる綺麗な答えでなくても良いので、空欄にすることだけはなんとしても避けて、部分点は取れるよう、過去問で経験を積んでおきたい。
なお2019年度では、「主人公が経験したことと同じような自分自身の体験を具体的に書け」という記述が出された。いわば作文タイプの記述であり、新傾向として注意しておいて欲しい。

知識

文法では、係り受けや接続詞、言語事項ではことわざ・慣用句や熟語などが多く出題されている。漢字と合わせて、特に難問が出されるわけではないので、手を抜かずに学習して得点源にしたい。

まとめ

素材文を読むスピードをつけること。特に、文学的文章の比重が大きい試験なので、試験勉強としてだけでなく、日常的に読書する習慣を持ちたい。
主人公が受験生と年齢の近い少年少女である物語が多いので、そのような本を読めばある種、共通するテーマにも触れることだろう。

「自分で考える」型の記述問題は、やはり社会や人間について深く考えた経験が役に立つ。少し「大人な」視点で多くの書物に触れておけば有利である。新傾向の作文タイプの記述も意識した対策を。

知識問題はよく出されている範囲があるので、基本的なレベルの事項は、一通りは頭に入れておこう。

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2019年度「東洋英和女学院中学部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

2019年度では小説1題のみ8600字ほどの長文読解が出題された。総解答数は27問。うち、9問が記号選択の問題で、40字・25字・70字ほどの記述問題・計3問が出されている。
本文を読むスピードがあれば、時間は足りるだろう。
長文記述はやはり時間がかかるので、他の問題はなるべく早く終えて十分な余裕を残したい。
他の問題の難易度はさほど高くはないので、時間と得点を稼ぎたいところである。

【大問】小説の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:45分
  • ★必答問題

元イラストレーターのホームレス・バンさんに教わることによって、絵を描くことに対する固定概念を覆された主人公は個性を確立させてゆくが、バンさんが暮らす河川敷を台風が襲う。

問一 常常(つねづね)――訓読みになるので注意。
   指針――考えや行動を決めるうえでたよりとするもの。方位磁石の針はまさに指針である。
   ~冷めやらぬ――~(感情など)がまだ収まらない。

問二 年の離れた主人公を仲間たちに友達だと紹介して笑う様子から、おおらかで親しみやすい性格が感じられる。

問三 魚を下から見上げるという視点の変化を教えられて、正面や上からだけ見ていたときとは違う見方ができることを知ったので、が選べる。

問四 a. 「にもかかわらず」とあるので、梅雨と逆の内容が入るはずである。
   b. 「つるは茂みをおおうように巻いて」いるのだから、勢いよく伸びはえている感じである。

問五 ヒルガオの花の真珠色が作り出せなくて悩んでいたところ、バンさんは「葉の汁を混ぜる」ことで、「的確な色を作り出し」て、「色は絵具を混ぜて作る」という主人公の思い込みを取り払ってしまったのだから、が選べる。

問六 バンさんが寝言でつぶやいた「たかちゃん」という人物については文中には書かれていないが、おそらくはバンさんの家族・友人などの大切な関係にあった人だと想像される。バンさんと仲良くなった主人公だが、本人の知らないところで聞いてはいけない事柄なのだろうと感じて戸惑っているのである。

問七 主人公は写実をスタイルとしているようだが、ただ見たままを描くことにこだわり過ぎて、表面的で面白みのない絵になってしまっていると、バンさんは言いたいようである。

問八 それまで描いていた表面的な「植物の可憐さ」ではなく、「生きものとしてのなまなましい存在感」を感じている。

問九 (2) この「距離感」は、ホームレスに対する考え方の違いや主人公に対する否定的な決めつけなどから生じている。本来なら主人公を最も理解してくれているはずの母親だから「こそ」、かえって距離が遠く感じられるのである。

問十 「絵に向かうことでささくれ立っている自分から目をそむけることができた」とある。バンさんに会えないつらさや両親との軋轢に、絵に集中することで耐えようとしていたのだと思われるので、は良さそうである。
また、「バンさんに教えてもらったものの見方を、技術として具体化することに熱中していた」ともあるので、バンさんに教わったことを会得しようと励んでいたこともわかるので、も選べる。

問十一 以前の主人公は学校で友達もできずに孤独だった。しかし、バンさんの教えで新たな絵の描き方に開眼し、そのことで周囲の人たちが主人公を認めてくれるようになった。傍線部は、暗→明という主人公の境遇・気持ちの変化を比喩で表現した部分である。暗さ・孤独・鬱屈→→明るさ・友愛・解放など、自分が経験した大きな変化をそのきっかけを明らかにして記述すればよい。

問十二 「まんじりともできない」は不安や緊張などでよく眠れないこと。ここは当然、台風が来ているので河川敷に住んでいるバンさんのことが心配なのである。

問十三 傍線部の時点ではバンさんの安否はまだ明らかでない。その不安な気持ちを台風にかけて表現した比喩表現である。

問十四 途中途中に回想シーンが挟まっているので、時間の前後をよく確認しよう。

攻略のポイント

小説は必ず出題があると思って十分対策を講じておくのは当然として、説明的文章も年度により出される可能性はあるので油断してはいけない。
選択肢問題が多いのも変らぬ傾向なので、類似問題で練習を。長文記述も同程度の字数で物語の主題・あらすじをまとめてみるなどすれば良い練習になるだろう。
作文タイプの記述は間違ったことさえ書かなければ、いくつもの正解がするわけで、点を取りやすいとも考えられる。気後れせずにしっかり記述しよう。

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