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東洋英和女学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「東洋英和女学院中学部の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

2017年度から長文読解が文学的文章1問という形式になっていたが、2020年度では小説と随筆文の2題と、以前の形式に戻った。素材文は7000~10000字ほどで、そこに言語事項や文法などが織り込まれるという形になっている。

内容は、漢字7~8問、文法・言語事項10問前後で、残りは読解問題が20問程度といった割合である。

形式的には、記号選択・書き抜き・短文記述・50~100字ほどの記述・字数指定無しの記述と多彩だが、記号選択が多めである点と記述問題が必ず出される点に留意して、類似問題で練習しておきたい。

 

長文読解

〈文学的文章〉

本校は物語文・随筆文の読解の比重が大きく、7000~10000字の本文がつく場合もあるので、読むスピードは必須である。ただし出典は、無駄に大人向けの難解な話ではなく、小中学生にも理解でき、また読んでも面白い、「読む楽しみ」が感じられる話なので、変に身構える必要無しに読書を楽しむくらいの気持ちで臨みたい。

人物の心情理解・筆者の考えの理解という問題が大半だが、選択肢問題も意地悪なものではなく、問題の箇所の前後や、人物の全体を通しての行動を注意深く読めば間違いなく選べるだろう。なお、長文・字数指定無しの記述問題はこちらの文学的分野で出題される。

 

〈説明的文章〉

2017年度以降、3年続けて説明的文章の出題が無かったが、2020年度では論説的随筆文が出され、ここで記述問題も出されている。

今後も年度により傾向が変わることが考えられるので、対策はしておきたい。過去、この分野では記述問題は見られず、書き抜き問題が多かった。また、漢字や言語事項が合わせて出される場合も多く、そうなると文章読解自体の問題数はかなり少なくなる。それほど難解な文章は出されていなかったので、一般的な説明文・論説文の問題集などで練習できるだろう。論理的な文章も多く読んで慣れておこう。

 

記述問題

文学的文章の問題の中で、字数指定の無い・「自分の言葉で」書く記述問題がよく出されている。解答欄から考えると100~150字程度でまとめられそうである。本文に直接は書かれていない物語の展開を考えるものや、下線の意味するところを考えて具体的に書くものなどがある。

「自分の言葉で」とは言っても、当然ヒントや答えを暗示させる内容の部分が本文中にあるはずで、それをそのまま使ってはいけないということである。別の言葉・表現を用いたり、散らばって書かれている部分を自分でまとめたり、自分の経験に当てはめて言い換えたりすれば良いのである。満点を取れる綺麗な答えでなくても良いので、空欄にすることだけはなんとしても避けて、部分点は取れるよう、過去問で経験を積んでおきたい。

なお2019年度から作文タイプの記述問題が出されており、2020年度では「一座建立にあたる例を挙げ、その理由も答えよ」という記述が出された。新傾向として注意しておいて欲しい。

 

知識

文法では、係り受けや接続詞、言語事項ではことわざ・慣用句や熟語などが多く出題されている。漢字と合わせて、特に難問が出されるわけではないので、手を抜かずに学習して得点源にしたい。

 

まとめ

素材文を読むスピードをつけること。特に、文学的文章の比重が大きい試験なので、試験勉強としてだけでなく、日常的に読書する習慣を持ちたい。主人公が受験生と年齢の近い少年少女である物語が多いので、そのような本を読めばある種、共通するテーマにも触れることだろう。

「自分で考える」型の記述問題は、やはり社会や人間について深く考えた経験が役に立つ。少し「大人な」視点で多くの書物に触れておけば有利である。新傾向の作文タイプの記述も意識した対策を。

・知識問題はよく出されている範囲があるので、基本的なレベルの事項は、一通りは頭に入れておこう。

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2020年度「東洋英和女学院中学部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

2020年度では小説と論説的随筆文の2題の長文読解が出題された。総解答数は35問。そのうち40字から100字ほどの記述問題・計5問が出されている。

以前よりも本文を読む時間の余裕が少なくなった。読むスピードと正確さを意識して練習しよう。長文記述はやはり時間がかかるので、他の問題はなるべく早く終えて十分な余裕を残したい。他の問題の難易度はさほど高くはないので、時間と得点を稼ぎたいところである。

【大問一】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分

主人公は、暇にまかせて兵太郎とふざけて取っ組み合っているうちに、本気か冗談かわからなくなり、相手が見知らぬ人間であるかのような不思議な意識を覚える。

問一 ・品行方正――行いや心がきちんとしているさま。

   ・唱和――最初の一人が唱えたのに合わせて、ほかの多くの人が同じことを言うこと。

   ・体操

問二 「意気込む」は張り切る・力を入れるという意味。

問三 (1) 友だちが遊んでいる気配を音で探ろうとしている場面。森の方からはそれらしい音がしなかったのである。

   (2) 「森は――返事をしない」で擬人法が用いられている。

問四 鰻の大きさについて誇大に表現していたエピソードが紹介されているので、そこを使う。

問五 「所嫌わず」は「どこでもかまわず」の意。「ところかまわず」という言い方もある。

問六 生返事――いい加減な受け答え。

問七 小説において、作者が神の視点として自分の意見を述べたりして文中に現れてしまうことがある。

問八 ふわりと――うけとった。「ふわりと」は「うけとった」ことの様子・状態などを表している。

問十 猫が無邪気に遊んでいるときのように、ということであろう。

問十一 本気なのか、冗談のつもりなのか、という「二つ」である。

問十二 よく知っているはずの兵太郎が見知らぬ人間のように感じられた。人の本当の姿はわからないものではないかという新たな発見で、世界がそれまでとは少し違って見えているのである。

【大問二】論説的随筆文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:25分
  • ★必答問題

「一座建立」という考えを説明し、具体例を挙げている。

問一 ・門外漢――その物事について専門家でない人。

   ・感傷的――感情を動かされやすく、涙もろくなっている様子。

   ・劇

問二 茶の世界で生み出された素晴らしい時間も過ぎてしまえば跡形もなく消えてしまうのだから、「ぜいたく」なことである。

問三 「茶」や「連句」は意図して集まって催されるもので、皆が最初からその場に協力している。一方、作者が挙げている四つの例は参加者の皆が計画的に協力したようなものではなく、気分や環境などによって偶然にもたらされた場合であった。

問四 「ざら」は「いくらでもあって、珍しくない」という意味。

問六 「何の関係もなかった」私が「会ってみたいと口走ったただそれだけのことで」わざわざ自宅に招くという手間を取らせることになってしまったわけであるから、まずは申し訳ないという気持ちがあったはずである。

問七 「一座建立」とは、複数の者が一座に集い、互いに尊敬し心を合わせ心なごむ時間を共有しようという気持ちがあって初めて生み出すことができる、楽しさ・純粋さ・高い雰囲気などであると定義できる。小学六年生であれば、移動教室などの学校行事での友人とのひと時や、目上の人とともに何かを経験し語らった時間などが実体験として思い浮かぶのではないだろうか。

攻略のポイント

小説は必ず出題があると思って十分対策を講じておくのは当然として、説明的文章も年度により出される可能性はあるので油断してはいけない。

選択肢問題が多いのも変らぬ傾向なので、類似問題で練習を。長文記述も同程度の字数で物語の主題・あらすじをまとめてみるなどすれば良い練習になるだろう。

作文タイプの記述は間違ったことさえ書かなければ、いくつもの正解が存在するわけで、点を取りやすいとも考えられる。気後れせずにしっかり記述しよう。

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