東洋英和女学院中学部 入試対策
2021年度「東洋英和女学院中学部の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
2017年度から長文読解が文学的文章1問という形式になっていたが、2020年度では小説と随筆文の2題と、以前の形式に戻った。そして2021年度ではまた小説の読解1題だけの形式になった。来年度がどちらのパターンになるかわからないので、少し前からの過去問もよく見て、どちらの形式でも練習しておこう。素材文は7000~10000字ほどで、そこに言語事項や文法などが織り込まれるという形になっている。
内容は、漢字7~8問、文法・言語事項10問前後で、残りは読解問題が20問程度といった割合である。
形式的には、記号選択・書き抜き・短文記述・50~100字ほどの記述・字数指定無しの記述と多彩だが、記号選択が多めである点と記述問題が必ず出される点に留意して、類似問題で練習しておきたい。
長文読解
〈文学的文章〉
本校は物語文・随筆文の読解の比重が大きく、7000~10000字の本文がつく場合もあるので、読むスピードは必須である。ただし出典は、無駄に大人向けの難解な話ではなく、小中学生にも理解でき、また読んでも面白い、「読む楽しみ」が感じられる話なので、変に身構える必要無しに読書を楽しむくらいの気持ちで臨みたい。
人物の心情理解・筆者の考えの理解という問題が大半だが、選択肢問題も意地悪なものではなく、問題の箇所の前後や、人物の全体を通しての行動を注意深く読めば間違いなく選べるだろう。なお、長文・字数指定無しの記述問題はこちらの文学的分野で出題される。
〈説明的文章〉
2017年度以降、3年続けて説明的文章の出題が無かったが、2020年度では論説的随筆文が出され、ここで記述問題も出されていた。そして2021年度ではまた小説1問だけの出題となった。
今後も年度により傾向が変わることが考えられるので、対策はしておきたい。過去、説明的文章の分野では記述問題は見られず、書き抜き問題が多かった。また、漢字や言語事項が合わせて出される場合も多く、そうなると文章読解自体の問題数はかなり少なくなる。それほど難解な文章は出されていなかったので、一般的な説明文・論説文の問題集などで練習できるだろう。論理的な文章も多く読んで慣れておこう。
記述問題
文学的文章の問題の中で、字数指定の無い・「自分の言葉で」書く記述問題がよく出されている。解答欄から考えると100~150字程度でまとめられそうである。本文に直接は書かれていない物語の展開を考えるものや、下線の意味するところを考えて具体的に書くものなどがある。
「自分の言葉で」とは言っても、当然ヒントや答えを暗示させる内容の部分が本文中にあるはずで、それをそのまま使ってはいけないということである。別の言葉・表現を用いたり、散らばって書かれている部分を自分でまとめたり、自分の経験に当てはめて言い換えたりすれば良いのである。満点を取れる綺麗な答えでなくても良いので、空欄にすることだけはなんとしても避けて、部分点は取れるよう、過去問で経験を積んでおきたい。
なお2019年度から作文タイプの記述問題が出されており、2021年度では「何かを越えた経験を作文し、その要因も答えなさい」という記述が出された。新傾向として注意しておいて欲しい。
知識
文法では、係り受けや接続詞、言語事項ではことわざ・慣用句や熟語などが多く出題されている。漢字と合わせて、特に難問が出されるわけではないので、手を抜かずに学習して得点源にしたい。
まとめ
・素材文を読むスピードをつけること。特に、文学的文章の比重が大きい試験なので、試験勉強としてだけでなく、日常的に読書する習慣を持ちたい。主人公が受験生と年齢の近い少年少女である物語が多いので、そのような本を読めばある種、共通するテーマにも触れることだろう。
・「自分で考える」型の記述問題は、やはり社会や人間について深く考えた経験が役に立つ。少し「大人な」視点で多くの書物に触れておけば有利である。新傾向の作文タイプの記述も意識した対策を。
・知識問題はよく出されている範囲があるので、基本的なレベルの事項は、一通りは頭に入れておこう。
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2021年度「東洋英和女学院中学部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2020年度とは変わって、小説1題の長文読解となった。総解答数は34問。1行の短文記述数問と150字ほどの作文問題1問が出されている。
以前よりも本文を読む時間の余裕が少なくなった。読むスピードと正確さを意識して練習しよう。長文記述はやはり時間がかかるので、他の問題はなるべく早く終えて十分な余裕を残したい。他の問題の難易度はさほど高くはないので、時間と得点を稼ぎたいところである。
【大問】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:45分
- ★必答問題
ある和歌を書き続けるもうまく表現できない主人公。ひそかに想いを寄せる書道教室の先生から助言をもらい書き続ける中、過去の何らかの出来事が先生の人生に影を落としていることをある先輩から聞かされる。
問一 無造作・背筋・操作
問二 (1) ウ. 本来の意味としては「春に浮かれている歌」であると解説されている。
(2) 上手く書けなかった自分の書を評して「呑気さも、穏やかさも、すべて壊してしまっていた」と述べているので、「呑気さ・穏やかさ」をこめるのが本意だったのだとわかる。
問三 書いた字を見ただけで自分の心の動きまでわかってしまう先生に対してうなずいているのだから、「心外」はありえない。
問四 直前の先生の「書くということを、ただ追い求めている」「真摯な目の光」に比して自分を恥ずかしいと思っているのであるから、選択肢イがよい。
問五 先生の直した字については「落ち着きが増すと同時に不確かさも増した」「危ういくせにぎりぎりのところで保っている」という説明があるが、後者は漠然としてはっきりしないので、前者のほうがよい。
問六 (1)・(2) 先生が実際に何といったかをみてみると、主人公の質問に対して「意味を考えすぎてそれに捕らわれる(噛んでいて味がわかる)」のが良くないので、「歌の意味を自然と受け入れる(飲み込んでお腹がふくれて満足した状態)」のが良いと答えている。
問七 「明るくてだれとでも気軽に話せる」「いつも笑っている」「人との触れ合いをまったくためらわない」といった明るく社交的な性格がひとつ。もうひとつは、「圧倒されてしまう勢いの彼女の字」もうらやましいと思っている。
問八 (1) 傍線部には「~のような」という「比喩」と、述語を前に置く「倒置法」が用いられている。
(2) 「太陽の光を受けた花のように――(微笑んでしまう)」と「彼女の字を見るとだれもが――微笑んでしまう」で対応関係となっている。「太陽の光を受けた=彼女の字を見る」「花=字を見るだれもが」という関係になっている。
問九 音(ね)を上げる
問十 (1) 律儀――きわめて義理堅いこと・実直なこと。
(2) はばかる(憚る)――差しさわりを覚えてためらう・遠慮する。
問十一 直前で、主人公は教室の明かりを消す先生の姿に孤独と深い闇を感じて怖くなっている。傍線部はそのような心理を表した情景描写であると考えられる。
問十二 ① 「先生と奥さんは私たちとは違う」「とても小さな場所」「先生と奥さんだけしかいない」など、先生夫婦がなにか世間とは隔絶している雰囲気が感じられる。→「時の流れさえ止まっている」
②・③ 主人公「どういうことか教えてもらえますか」→里奈「全部は無理かな」→主人公「なにかあったんですね」→里奈「そう」→主人公「わたしは知りたいです」→里奈「どうして」と質問されたが、わたしは口にできなかった。
④ 「あんなに書ける人が~」の発言の前に「先生はとても書けるよね」がある。
⑤ 「あの人たちはああして生きていくしかないの」「それでいいのかもしれない」「だって、それを選んだんだから」でつながる。
問十三 「世に出る」とは書道家として世間で高く評価されて、その書も高額で売れるような存在になるという意味であろう。町の書道教室の先生などに甘んじているのは、持っている才能・実力に見合わないと思っているのである。
問十四 意を決する――決心する。
問十五 「大切なものを得た代わりに別の大切なものを手放した。それを悔いているのか満足しているのか確かめに来た」という里奈に、「闇の中にひとりたたずむ先生の姿」を思い出した主人公はうなずけないでいる。そして先生夫婦が幸せそうであると確認した里奈は「幸せそうに寂しそうに笑って」おり、「それでいいのかもしれない」と思っている。主人公と里奈の気持ちの違いがあらわれている場面である。その食い違いを思い切るように主人公は「ペダルをいっぱいに踏み込んだ」のである。
問十六 その要因として先生は、「無心にやっている」ことを挙げている。主人公は無心に書き続けることで自分の字を見つけられたのである。同じように、無心・夢中で何かをし続けたことで壁を乗り越えられた、といった経験を思い出して書けばよいだろう。
問十七 (1) 目指していた「呑気さと穏やかさ、そして寂しさ」まで表現できたことに手応えを感じ気が高ぶっている様子なので、選択肢オとカが選べる。
(2) 文ひとつひとつを短くまとめる書き方は、気持ちの高ぶりや緊迫感を表現するときに効果的である。
問十八 影が動くのが意識されるというのは、かなりの時間が経っているということである。
問十九 直前の先生の熱のこもった語り方で、主人公の飛躍に先生も興奮しているのがわかる。そんな自分の熱い口調とピンとこずぼんやりした様子の主人公とのギャップに、自分で恥ずかしくなってしまったのだと思われる。
攻略のポイント
小説は必ず出題があると思って十分対策を講じておくのは当然として、説明的文章も年度により出される可能性はあるので油断してはいけない。
選択肢問題が多いのも変らぬ傾向なので、類似問題で練習を。長文記述も同程度の字数で物語の主題・あらすじをまとめてみるなどすれば良い練習になるだろう。
作文タイプの記述は間違ったことさえ書かなければ、いくつもの正解が存在するわけで、点を取りやすいとも考えられる。気後れせずにしっかり記述しよう。
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