筑波大学附属駒場中学校 入試対策
2024年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」
攻略のための学習方法
第1(出題形式について・・・前述と同様)
1 出題形式は、ほぼ一貫している。年度による難易度の変化も(難易度が高いという意味で)、目立って異なることはないようにみられる。もっとも、算数で易化した年があることから、思い込みは厳禁である。各設問の難易度も(これもまた難易度が高いレベルで)平均しているので、各設問について50%程度の得点を(採点基準にまんべんなく触れ、0点の設問がないように)得ることを目標に学習し、いずれかの設問で加点をねらうべきである。
2 詩・短歌・俳句がほぼ例年出題されるので、この分野の学習も怠りなくする必要がある。
3 漢字については、ここでの失点は避けなければならない。日々の(毎週行われる小テスト)漢字学習を怠りなく消化するように心がけるべきである。
第2(記述式問題について)
1 記述式問題については、その採点基準、すなわち出題趣旨を把握することが重要になり、これさえできれば合格点以上の点数を得ることが可能になる。
もっとも、筑駒については、この設問の入り口の部分のハードルが(極めて)高いという特徴がある。すなわち、設問が(不親切なくらい)シンプルなため、過去問を通じて筑駒の問題検討を入念に行わない場合、出題趣旨および出題意図が捉えられず、「何について」「どの程度」「どうやって書けばよいのか」が全く分からずに、あさっての答案を書いてしまう事態になってしまう可能性が高い。
これは、受験生のレベルが(極めて)高いため、他の中学校の記述問題にみられるような丁寧な誘導をしてしまうと、ほとんどの受験生が容易に解答をしてしまう可能性が高く、その結果、出題趣旨・意図の把握も、問題の中に織り込んで出題しているからだと思われる。
2 さらに筑駒の国語の問題の難しさは、字数制限の厳しさにもある。すなわち、解答欄が小さい、すなわち書くことが許されている字数が少ないということである。麻布中学や武蔵中学のように大きな解答欄を与えてくれれば、出題趣旨・意図が正確にとらえきれない場合、採点基準に関係ありそうな事項を網羅的に数多く(言い方は悪いが、数を撃てば当たる式の考え方)書けば、その中のどれかが採点基準に引っかかることを期待できる。
しかし字数が制限されると、その方法は使えない。なぜなら、採点基準に含まれない事項を書けば、必然的に採点基準に該当する内容が書けなくなるからである。
したがって、筑駒を目指すのであれば、短い字数で解答できるように、具体的には、文章中の言葉の継ぎはぎではなく、文章中の内容を、自分の言葉でわかりやすく説明するトレーニングをすることが必要になる。
3 以上をまとめると、極めて当たり前のことになるが、過去問を教材に、シンプルな設問からその出題趣旨・意図を的確に把握し、その内容を文章中の語句の継ぎはぎではなく、自分の言葉でわかりやすく説明する学習をできるだけ早い段階からすべきといういことになる。
第3(詩・俳句・短歌の出題)
冒頭にも述べたように、筑駒は、詩・俳句・短歌からの出題がなされる。この点、多くの受験生はこのジャンルの出題を苦手とする傾向があるが、その大きな理由は、学習分量の少なさにあると考えられる。
実際、このジャンルの問題は(筑駒といえども)一定程度限定された設問にならざるを得ない。その意味では知識問題に近いともいえるので、より多くの問題を研究して、いわゆる解答の枠を身に着けてもらいたい。
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2024年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一 は「説明文」、出典は小島渉「カブトムシの謎をとく」(文字数約1800字)。小問は全3問(解答数4)。「選択肢」(1問。「複数完全解答」)、「説明記述」(3問。全て「字数指定なし」)。問題文は2分ほどで読み、設問を16分程度で解きたい。
大問二 は「慣用句の漢字変換」(1問)のみ。1分程度で丁寧に記したい。
大問三 は「小説」、出典は斉藤倫「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」(文字数約2300字)。小問は全5問(解答数5)。「選択肢」(1問。「複数完全解答」)、「説明記述」(4問。全て「字数指定なし」)。問題文は3分弱で読み、設問を18~19分で解きたい。
【大問一】「説明文の読解」(「選択肢設問」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:18分
ほんとに夜型? 天敵は何? 大きさはどうやって決まる?――カブトムシの生態を解き明かし、仮説の立て方、調査方法なども解説している。本文では、カブトムシの「角」の有無に注目し、オスが独特の形状をした大きな「角」を持つ理由や、メスが「角」を進化させてこなかった理由について、「コスト」の面にも触れつつ説明している。文章は分かりやすく内容はすぐに理解できるはず。本校としては珍しい「選択肢設問」がある。以下、2問を確認する。
[問一] 「内容説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。
傍線部①「ライバルと戦うための武器を進化させてきたのです」について、「日本のカブトムシのばあいは、ライバルと戦うための武器をどのように進化させてきたのか」を説明する。「同一意味段落」に「手がかり」を求めたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。傍線部の形式段落で、「餌(えさ)場」であり「オスとメスの出会いの場」でもある「樹液場」に来る昆虫の多くが「武器」を持っていると説明されており、次の形式段落では「カブトムシのけんかの様子」が記されている。それらの描写を「過不足なく」まとめていくことになる。たとえば、「貴重な樹液場を勝ち取るため、カブトムシは相手を木の幹からすくい上げて引きはがせるよう、熊手のような形に角を進化させてきた。」(61字)といった「答え」だ。尚、「説明記述」では、「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。
<時間配分目安:3分半>
[問二] 「理由説明選択肢」(5択/複数完全解答)。
傍線部②「それほど意味のある実験とは言えません」について、「その理由」を「すべて」答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたいが(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)、何の「実験」で、どのような「意味」なのかが不明なので、流石(さすが)に無理だ。そこで、「傍線部一文一部の法則」に手がかりを求めたい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。一文の前の部分は「そのため、クワガタムシvs.カブトムシのような異種間対決は、最強の昆虫を決めたい子どもにとって夢がありますが、進化という視点に立つと」となっている。ここから、「異種間対決」は「進化という視点」では「意味のある実験とは言えません」ということになる。さらに、「そのため」とあるので「指示語」を開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そのため」=「クワガタムシとカブトムシが野外で出会う機会は多くないため」だと分かる。当然、これも「理由」になっている。ここで、各選択肢の「文末」と照合したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「長い期間で何度も観察すべきだから」、(イ)「活動時期のピークを合わせて観察すべきだから」、(ウ)「自然界ではめったにないことだから」、(エ)「(角に見えるのは)実際はアゴが発達してできたものだから」。(オ)「同種のオスとの戦いに使うことを目的とするものだから」。さあ、どれが「消去」できるか? 「出会う機会は多くなく」、「異種間対決」も無意味なのだから、(ウ)と(オ)以外は「消去」可能だと判別できるはずだ。念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認してみる(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手かがかり」がある)。特に誤ってはいないと判断できる。したがって、「答え」は(ウ)と(オ)になる。本問は変則的だったが、「原意消去」は必ず習得して、応用できるようにしておくことが必須。
<時間配分目安:2分>
【大問二】「慣用句の漢字変換」】
- 難度:易
- 時間配分:1分
「慣用句の漢字変換」。確認したい。
[問] 示されている「慣用句」を、「カタカナは漢字に直し」、「文字の形、大きさや配置」を整えて「一行」で書く。「トんでヒにイるナツのムシ」⇒知らなくてはいけない「慣用句」だ⇒「答え」=「飛んで火に入る夏の虫」。「自分から進んで災いの中に飛び込むこと」だ。本校では「幅広い高度な語彙力」が求められているので、しっかりと習得することが必須。特に「ことわざ」「故事成語」「慣用句」、「四字熟語」は頻出だ。
【大問三】「小説の読解」(「選択肢設問」あり)」】
- 難度:やや難
- 時間配分:21分
- ★必答問題
詩人である作者による詩のアンソロジー(作品集)であり、同時に、おとなの「ぼく」と少年の「きみ」が詩を読みながら言葉について対話を重ねていく物語の一篇。本文では、「きみ」が「ぼく」と国語のテスト問題について話しながら、「ことば」とは何かを考えたり、詩を読んだりする様子が描かれている。内容は難なく理解できる。だが、本校の真骨頂発揮といった難易度だ。「少ない情報」を丁寧に読み取り、設問と結びつけて「記述」する必要がある。いくつかを検討したい。
[問二] 「発言人物特定選択肢」(全3問/各2択/複数完全解答)。
傍線部Ⓐ「そうかなあ」/Ⓑ「そうだね」/Ⓒ「へぇ。それは、どうして」について、「それぞれを発言した人物」を答える。
選択肢は、(ア)「ぼく(おじさん)」・(イ)「きみ」のどちらかだ。なかなかユニークな問題だ。どのように考えるか? 本文の登場人物は「ぼく」と「きみ」の2人だけだ。であれば、「発言」は2人の「会話」ということになる。「会話」であれば、「発言」(セリフ)のやりとりとなるはずだ。つまり、「ぼく」と「きみ」が「交互」に「発言」しているわけだ。ただし、「発言」(セリフ)の中(要は「」の中)での『ぼく』と『きみ』は登場人物の「ぼく」と「きみ」とは異なっているので、「ト書き」(=「セリフ」の直接的説明)から特定しなくてはいけないことには注意したい。以上を踏まえた上で、それぞれの「答え」を確認していく。
Ⓐの「そうかなあ」に対して「じゃあねぇ」と応じる「発言」(セリフ)直後の「ト書き」に「ぼくは、いった」とある⇒「じゃあねぇ」は「ぼく」の「発言」⇒Ⓐの「答え」は選択肢(イ)の「きみ」だ。
Ⓑの「そうだね」に対して「それは、どうして」と応じる「発言」(セリフ)直後の「ト書き」に「ぼくが、きくと」とある⇒「それは、どうして」は「ぼく」の「発言」⇒Ⓑの「答え」は(イ)の「きみ」。Ⓒの「へぇ。それは、どうして」に対しての3つ目の応答に「まあね」とあり、直後の「ト書き」は「きみは、いった」⇒「まあね」は「きみ」の「発言」→その前が「ぼく」→さらにその前は「きみ」の「発言」⇒Ⓒの「答え」は(ア)の「ぼく」となる。いかにも本校らしいややこしさだった。尚、未知の設問内容に遭遇(そうぐう)したときは冷静に対処することが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:全問で3分程度>
[問三] 「理由説明記述」(「字数指定」なし。「90字ほど」の解答欄)。
傍線部②「めんどくさいなあ、かもしれない」について、「『きみ』の、おかあさんへの『おいしいよ』という答えが、どうして『めんどくさいなあ』という意味になりえるのか」を説明する。先ずは「状況」を「同一場面」から読み取りたい(「小説」「随筆」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。朝、「オムレツ、どう」ときいてきた「おかあさん」は、本当は「呼んだら、はやくきなさいよ」といいたかったのであり、「オムレツのできぐあいを、ききたいわけじゃない」のだろうと感じとって、とりあえず「おいしいよ」といった「きみ」の真意について、「ぼく」は「めんどくさいなあ」と思ったのではないかといっている。この「ぼく」の指摘に対して、「きみ」は「ありえる。いや、ありえた」と納得していることが分かる。つまり、なんとなくいった「おいしいよ」という発言に、「きみ」の「おかあさん」をうっとうしく思う無意識の反発心がこめられていたのかもしれないのだ。こうした内容を的確にまとめていきたい。たとえば、「『オムレツ、どう』ときいてきたおかあさんは、本当は非難をこめて『呼んだら、はやくきなさいよ』といいたかったのだと『きみ』が何となく感じ取り、うっとうしいという反発がこもったから。」(89字)といった「答え」だ。「小説」では、「同一場面」から的確に「状況」を読み取ることが重要だ。
<時間配分目安:全問で4分程度>
[問五] 「内容説明記述」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。
傍線部④「さっきの詩の、じゃがいも、みたいだね」について、「何の、どのようなところが『さっきの詩の、じゃがいも、みたい』なのか」を説明する。「同一場面」の直前直後から、「何の」=「国語のテスト問題を解くときの」、「どのようなところ」=「わかる気がしなくても、ああでもない、こうでもない、と、すこしでも正解に近いものをえらぼうとするのはわるいことではないところ」だとそれぞれ読み取れるはずだ。そして、「さっきの詩」とは「じゃがいものそうだん」という題名で、「じゃがいもが二ひきで/かたまって/ああでもないこうでも/ないとかんがえたが/けっきょくひとまわり/でこぼこが大きく/なっただけだった」というものだ。したがって、「何の」「どのようなところ」と「じゃがいものそうだん」の内容を結びつけてまとめていくことになる。その際、「じゃがいも」の詩の「ひとまわり/でこぼこが大きく/なった」に着目したい。「進歩」「成長」……、といった要素を含める必要があるのだ。たとえば、「国語の問題を解くときの、ああでもない、こうでもないと、すこしでも正解に近いものをえらぼうとすることで成長するところ。」(58字)といった「答え」になる。尚、本校で必出の「韻文」では、ひとつひとつの「言葉」の細部にまでこだわることが求められると心得よ。
<時間配分目安:全問で3分半>
攻略のポイント
●「字数指定」がなく、「必要要素」の絞り込みが難しい本校の「説明記述」を如何(いか)に攻略するか? それは、実直に「記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが肝要。本校では「50~100字ほどの解答欄」が多いので、2~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきたい。「合格ライン」は7割前後(過去10年間の「合格者最低得点率」は68.8%、本年度はやや上がって70.6%)。1問あたりの配点が高い「説明記述」では(本年度は10~14点)、「減点」はともかく「失点」は大きな打撃になると心得よ。
●必出の「韻文」、攻略のためには十分な準備が不可欠だ。過去問演習などを通じて、「一語」「一音」に徹底的にこだわり、作品の世界観を読み取る練習を繰り返したい。また、「韻文」特有の「リズム感」を感得することにも慣れておきたい。尚、「短歌」「俳句」では、テキストに掲載されているような有名なものは解説も含めてしっかりと読み込んでおくこと。「韻文」は、練習次第によって「差」がつきやすい。確実に「得点源」とすることが肝要だ。
●「漢字の書きとり」では「故事成語」「慣用句」「ことわざ」が定番だ(本年度は「慣用句」だった)。数多くのものを定着させておく必要がある。無論、「四字熟語」の習得も忘れてはいけない。いずれにしても、本校では高度な語彙力」が求められていると覚悟せよ。
●本校ではほとんど出題されなかった「選択肢設問」が昨年度に引き続き本年度も出された。来年度以降も可能性があるので、新たな対策が求められる。
●試験時間は他校より短い40分。時間配分には細心の注意を要する。問題文の文章量は全体で4000~5000字(本年度は約4100字)と決して長くはないが、速く正確に読み取れる方が当然、有利だ。分速750字以上を目標に「読む練習」をしておきたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
筑波大学附属駒場中学校の科目別
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