筑波大学附属駒場中学校 入試対策
2016年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」
攻略のための学習方法
第1(出題形式について・・・前述と同様)
1 出題形式は、ほぼ一貫している。年度による難易度の変化も(難易度が高いという意味で)、目立って異なることはないようにみられる。もっとも、算数で易化した年があることから、思い込みは厳禁である。各設問の難易度も(これもまた難易度が高いレベルで)平均しているので、各設問について50%程度の得点を(採点基準にまんべんなく触れ、0点の設問がないように)得ることを目標に学習し、いずれかの設問で加点をねらうべきである。
2 詩・短歌・俳句がほぼ例年出題されるので、この分野の学習も怠りなくする必要がある。
3 漢字については、ここでの失点は避けなければならない。日々の(毎週行われる小テスト)漢字学習を怠りなく消化するように心がけるべきである。
第2(記述式問題について)
1 記述式問題については、その採点基準、すなわち出題趣旨を把握することが重要になり、これさえできれば合格点以上の点数を得ることが可能になる。
もっとも、筑駒については、この設問の入り口の部分のハードルが(極めて)高いという特徴がある。すなわち、設問が(不親切なくらい)シンプルなため、過去問を通じて筑駒の問題検討を入念に行わない場合、出題趣旨および出題意図が捉えられず、「何について」「どの程度」「どうやって書けばよいのか」が全く分からずに、あさっての答案を書いてしまう事態になってしまう可能性が高い。
これは、受験生のレベルが(極めて)高いため、他の中学校の記述問題にみられるような丁寧な誘導をしてしまうと、ほとんどの受験生が容易に解答をしてしまう可能性が高く、その結果、出題趣旨・意図の把握も、問題の中に織り込んで出題しているからだと思われる。
2 さらに筑駒の国語の問題の難しさは、字数制限の厳しさにもある。解答欄が小さい、すなわち書くことが許されている字数が少ないということである。麻布中学や武蔵中学のように大きな解答欄を与えてくれれば、出題趣旨・意図が正確にとらえきれない場合、採点基準に関係ありそうな事項を網羅的に数多く(言い方は悪いが、数を撃てば当たる式の考え方)書けば、その中のどれかが採点基準に引っかかることを期待できる。しかし字数が制限されると、その方法は使えない。なぜなら、採点基準に含まれない事項を書けば、必然的に採点基準に該当する内容が書けなくなるからである。
したがって、筑駒を目指すのであれば、短い字数で解答できるように、具体的には、文章中の言葉の継ぎはぎではなく、文章中の内容を、自分の言葉でわかりやすく説明するトレーニングをすることが必要になる。
3 以上をまとめると、極めて当たり前のことになるが、過去問を教材に、シンプルな設問からその出題趣旨・意図を的確に把握し、その内容を文章中の語句の継ぎはぎではなく、自分の言葉でわかりやすく説明する学習をできるだけ早い段階からすべきといういことになる。
第3(詩・俳句・短歌の出題)
冒頭にも述べたように、筑駒は、詩・俳句・短歌からの出題がなされる。この点、多くの受験生はこのジャンルの出題を苦手とする傾向があるが、その大きな理由は、学習分量の少なさにあると考えられる。実際、このジャンルの問題は(筑駒といえども)一定程度限定された設問にならざるを得ない。その意味では知識問題に近いともいえるので、より多くの問題を研究して、いわゆる解答の枠を身に着けてもらいたい。
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2016年度「筑波大学附属駒場中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、角野栄子著作、「トンネルの森 1945」より。記述式問題が4問(目標時間15分以内)。
大問2、園氏温著作、「死を刻む」(「特別授業 “死”について話そう」収録)より。記述式問題が3問。選択式問題が2問(目標時間15分以内)。
大問3は、漢字の書き取り1文(目標時間2分以内)。
大問4は、木坂涼著作、「秋の砂」より。記述式問題が2問(目標時間8分以内)。
【大問一】文学的文章
- 時間配分:15分
戦時中、疎開を余儀なくされた主人公西田イコ。実母の死後に継母となった光子、異母弟のヒロシと疎開先で生活を送る中での一場面を取り上げて、幅広く設問が作成されている。本文を、概ね5分前後で一読・確認した上で、残り10分程度で、答案構成を行って、記述および解答することが望まれる。
問1 光子の着物を「きれい」と言いかけながら、「口を押さえ」る必要があったことの理由が求められている。文中の記載に根拠を求め、客観的・論理的に説明する必要がある。概ね70字から80字程度で解答することが求められている(採点基準を考慮しながら答案作成に(以下、「解答時間」という。)2分30条程度)。
問2 着物を手にした光子が、その着物の由来を懐かしく、かつ未練たっぷりに話す様子を、主人公が傍線部に記載されている様子で聞いている際の気持ちの説明が求められている。主人公と光子の関係を踏まえ、客観的に説明する必要がある。概ね70字から80字程度で解答することが求められている(解答時間2分30条程度)。
問3 傍線における「光子さん」の気持ちの説明が求められている。「苦笑い」の意味、「チエコさん」の持つ意味、さらには主人公と光子の関係を踏まえて、矛盾なく説得的な解答をする必要がある。概ね70字から80字程度で解答することが求められている(解答時間2分から30秒程度)。
問4 周囲に誰もいない中、「声を張り上げて」歌っていることの理由を説明する問題である。誘導が全くない問題であるから、問題文全体の内容を踏まえて、解答欄にあう字数を考慮し、自分の言葉でわかりやすく説明する必要がある。大問1の中で、一番難しい問題であったと思われる。主人公のおかれている立場を客観的に読み取って、過不足なく説明することが求められている。概ね70字から80字で解答することが求められている(解答時間2分30秒程度)。
【大問二】説明的文章
- 時間配分:15分
筆者のいう「死」とは、「過ぎていく時間」のことであると理解することから、読解をすべきである。本文中の具体例自体が抽象的表現であるから、必要に応じて各受験生は自分なりの具体例を想定して読解するようにしてほしい。本文を、概ね5分前後で一読・確認し、残り10分程度で答案構成および解答・記述することが望まれる。
問1 筆者が本文中で用いている「死」とはどういうことなのか、その意味が問われている。この意味が分からないと、本文全体が理解できなくなることから、ある意味で、誘導としての設問であるといえる。概ね50字程度で説明できる(解答時間2分程度)。
問2 傍線部の説明を、選択肢の中から選ばせる問題。「ふりだしに戻」すという表現の意味から、本文と選択肢を比較対照しつつ、設問を検討すべきである。(解答時間2分程度)。
問3 「小さな自殺」という表現の説明が求められている。直前部分の言い換えであることは容易にわかると思われるが、抜き出してつぎはぎするだけでは、出題者の意図に沿わない。自分の言葉でわかりやすく説明することが必要である。概ね70字から80字程度で解答
することが求められている(制限時間2分程度)。
問4 文章を読みながら、各空欄補充を行うべきである。論理矛盾を起こさないように、丁
寧に埋めていってほしい。解答自体は平易である(制限時間1分程度)。
問5 傍線部の説明が求められている。「完全な死体」「秘密」「熟す」等、それぞれの意味する内容を、本文に即して客観的に読み取る必要がある。丁寧に答案構成して解答する必要がある。概ね80字前後で解答することになると思われる(制限時間3分程度)。
【大問三】漢字の書き取り
- 時間配分:2分
「リョウヤクはクチにニガし。」を楷書で丁寧に記載する必要がある。はね・とめ・はらい・全体の形、に注意しながら、減点対象にならないように注意深く解答してほしい(制限時間2分程度)。
【大問四】詩
- 時間配分:8分
例年出題されている詩・短歌・俳句からの出題で、本年は詩である。海をみている筆者の状況(情況)を推測して、解答することが求められている。2分程度で読み込んで、各設問を3分程度で解答する必要がある。
問1 なぜ「そんなに/いいことはない」のか。その理由を考えるところから、思考をスタートする。「陸にあがる」ということはどういうことか、そのことが、人間の世界に入り込むということであると想定できれば、何とか解答できると思われる。難易度はかなり高い。80字程度で説明できればよいと思われる(制限時間3分程度)。
問2 「足あと」を「波のさきにのこ」すとはどういうことなのかを考える必要がある。
問1を解答する際に、海(波)に対して、人間の世界にきてもいいことはないと言っていたこと、「海に嫌味を言ったあとの/苦笑」とあることから、これらを総合的に考えて解答を組み立てる必要がある(制限時間3分程度)。
攻略のポイント
1 出題形式は、ほぼ一貫している。年度による難易度の変化も(難易度が高いという意味で)、目立って異なることはないようにみられる。もっとも、算数で易化した年があることから、思い込みは厳禁である。各設問の難易度も(これもまた難易度が高いレベルで)平均しているので、各設問について50%程度の得点を(採点基準にまんべんなく触れ、0点の設問がないように)得ることを目標に学習し、いずれかの設問で加点をねらうべきである。
2 詩・短歌・俳句がほぼ例年出題されるので、この分野の学習も怠りなくする必要がある。
3 漢字については、ここでの失点は避けなければならない。日々の(毎週行われる小テスト)漢字学習を怠りなく消化するように心がけるべきである。
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