早稲田中学校 入試対策
2017年度「早稲田中学校の国語」
攻略のための学習方法
【問題構成】
大問は物語と論説文の2題というのが定形となっている。文章量は2017年度では約10000字と多くなった。
特徴的なのは問題数の少なさで、最新年度では16問であった。うち、記号選択10問・記述2問・書き抜き1問と漢字の読み書き3問という構成である。記述問題は40~60字ほどでまとめるもので、さほど長文ではない。
時間は50分なので十分足りるのだが、素材文自体がやや難しかったり、設問にも難しいものが織り交ぜられていたりと、簡単な試験ではない。時間を充分使ってやや難しい問題をじっくり考える試験であると言える。
【文学的文章の読解】
家族や友人との関わりを描いたものが多く見られる。また、フィクションとしてユニークな設定の物語も用いられる。
例えば2017年度では、主人公は車である。車の目から、その所有者家族やその友人の言動・隣家の車との会話などを通して、周囲の人間、さらには車の気持ちまでもが描かれている。多分に想像力を要する問題である。読書経験の中でも、現実に近い設定のものやSF・ファンタジーのような時空を超えた壮大なものなど、様々な書物や多様な設定・形態の小説に多く触れておくことが、このような問題では力となるだろう。
ともあれ、まずは長文読解の基本的な力をつけることが第一である。時間・場所・登場人物などの変化で場面の変わり目をチェックする。人物の性格も考慮し、その言動や情景などから、心情を理解する。あらすじをまとめ、誰のどんな気持ちを描いた話なのか・主題を考える、といった基本の取り組み方を練習しておこう。
【説明的文章の読解】
国際化・日本文化・哲学など、幅広いテーマの文章が使われている。
選択肢問題でも記述問題でも、要点・要旨がしっかり見抜けているかどうかがポイントになる。論理的文章の読解の基本をしっかり身に着けよう。
段落の整理。形式段落を意味段落でまとめ、小見出しをつけるとわかりやすい。段落のつながりをよく確認しよう。各段落の要点を傍線などで目立つようにしておく。要点をまとめ要旨を把握する。おおまかに要約も考えておくと良い。問題を多くこなして論理の流れを正確にたどれるようになっておこう。
【選択肢問題と記述問題】
選択肢問題は、似たような選択肢で紛らわしいとか文が長すぎて手間がかかるとか、いわゆる意地悪な選択肢ではない。しかし、素材文の細かい部分まで正確に読み取れていないと正解できない問題が多く、また、正解をあるだけ選びなさいといった全体を正確に読むことが必要な設問も多い。
選択肢問題のコツというよりも、読解力そのものが必要な問題という印象である。類似問題を多くこなすことはもちろんだが、本文を細部まで正確に読み取る注意力も十分に高めておきたい。
記述問題は50~60字以内・40~50字以内など、10字の範囲内でまとめる問題が多いので、字数調整に慣れておかなければならない。問われる内容は、傍線部近くだけ読んでも答えられないものが多い。次の場面や、さらに先の段落、全体のテーマなども含めて答えを探さなければならないものがある。
要点のまとめや気持ちの変化の流れなど、やはり読解がしっかりできていることが重要となる。「自分の考えを述べよ」といった論説タイプの記述ではないので、本文をしっかり読めていれば得点できる。過去問で慣れておかれたい。
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2017年度「早稲田中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2題合わせて10000字超と文章量は多い。ただし総解答数は16問しかないので時間は十分にある。記述問題2問も40~60字とさほど重いものではない。素材文の細部まで見落としのないように正確に読み取り、選択肢問題でも注意を怠らず、正確に読み着実に答える。過去問で時間の感覚をつかみ、確実な読解を心がけるようにしたい。
【大問一】物語文
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
車を主人公に設定した物語。車の目から、他の車との会話を通して、その所有者家族や友人の言動が描かれる。
問一 傍線1の近くではまだ詳細はわからない。後半の、3日くらいたった場面での隣家の車との会話で、圭一がなぜ享に会いに来たのかが語られる。圭一がためらっていた理由もわかる。
問二 正解以外の3つの選択肢には、文中からは判断できない事柄が書かれている。素材文のヴィッツの発言を注意深く見る。
問三 「飄々と」は世俗から離れていて、つかまえどころがないさま。
問四 「緑デミは思っていますか」という質問がポイント。緑デミはお漏らしを「水が垂れているようなもの」と大したことではないと思っているが、野菜トリオは圭一を脅す重大なネタだと思っている。そのことを緑デミはなんと表現しているか。
問五 お漏らしを馬鹿にして騒いでいる様子なので「やいのやいの」がふさわしい。
問六 傍線部5の前半は車の立場・後半は人間の立場を説明している。
問七 選択肢エの後半は正しくない。良夫のことを気にしているあたりは未練が感じられる。
<時間配分目安:23分>
【大問二】論説文
- 難度:やや難
- 時間配分:27分
- ★必答問題
社会の分業が進み責任が委託されるようになった結果、人は弱体化した。無力な状態から脱するために、正解のない問題でもしっかり受け止め考え続けて、自ら責任を取れる人間になろうと説いている。
問一 やや難しい漢字も出題される。できれば中級~上級レベルの漢字まで取り込んでおきたい。
問二 近代以前の社会の状態(不平等・職業選択の不自由など)ではない選択肢を選べばよい。「スタートラインは平等で選択の結果は各自の責任」という筆者の意見からすると、選択肢ウの「選択した結果が平等」はおかしい。
問三 傍線部2以降で具体的に説明している。(中略)の直前にまとめた部分があるので、そこが使える。
問四 文中で筆者が説明しているので、一点一点、見落としのないように確認する。
問五 傍線部4以降で、答えのない問題でも逃げずに考え続けることが大事だと述べている。「考えること自体」に意味があるのである。
問七 筆者が求める「賢さ」と単なる「頭の良さ」との違いをよく考える。
<時間配分目安:27分>
攻略のポイント
まず、文量の多い素材を読むスピードが欲しい。問題数は少ないので考える時間の余裕はある。本文に注意深く目を通し、ポイントを見逃さないように正確に読む。解答のテクニックというよりもまっとうな読解力が求められているようである。
記述問題は字数指定の幅(10字)が狭いので、過去問で範囲内にまとめる感覚を養っておこう。
素材文・設問の難易度がやや高めではあるがクセの無い試験なので、他の難関校の問題なども利用するとよいだろう。
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