早稲田中学校 入試対策
2018年度「早稲田中学校の国語」
攻略のための学習方法
【問題構成】
大問は物語と論説文の2題というのが定形となっている。文章量は2018年度では約12000字にもなり、昨年度よりさらに増えている。
問題数は最新年度では19問であった。うち、記号選択9問・記述2問・書き抜き5問と漢字の読み書き3問という構成である。記述問題は40~60字ほどでまとめるものだが、制限字数の幅が5字しかないので、指定の字数にうまく収める難しさが生じてしまっている。
時間は50分なので十分足りるのだが、素材文自体がやや難しかったり、設問にも難しいものが織り交ぜられていたりと、簡単な試験ではない。時間を充分使ってやや難しい問題をじっくり考える試験であると言える。
【文学的文章の読解】
家族や友人との関わりを描いたものが多く見られる。また、フィクションとしてユニークな設定の物語も用いられる。
例えば2017年度では、主人公は車である。車の目から、その所有者家族やその友人の言動・隣家の車との会話などを通して、周囲の人間、さらには車の気持ちまでもが描かれている。多分に想像力を要する問題である。読書経験の中でも、現実に近い設定のものやSF・ファンタジーのような時空を超えた壮大なものなど、様々な書物や多様な設定・形態の小説に多く触れておくことが、このような問題では力となるだろう。
ともあれ、まずは長文読解の基本的な力をつけることが第一である。時間・場所・登場人物などの変化で場面の変わり目をチェックする。人物の性格も考慮し、その言動や情景などから、心情を理解する。あらすじをまとめ、誰のどんな気持ちを描いた話なのか・主題を考える、といった基本の取り組み方を練習しておこう。
【説明的文章の読解】
国際化・日本文化・哲学など、幅広いテーマの文章が使われている。
選択肢問題でも記述問題でも、要点・要旨がしっかり見抜けているかどうかがポイントになる。論理的文章の読解の基本をしっかり身に着けよう。
段落の整理。形式段落を意味段落でまとめ、小見出しをつけるとわかりやすい。段落のつながりをよく確認しよう。各段落の要点を傍線などで目立つようにしておく。要点をまとめ要旨を把握する。おおまかに要約も考えておくと良い。問題を多くこなして論理の流れを正確にたどれるようになっておこう。
【選択肢問題と記述問題】
選択肢問題は、似たような選択肢で紛らわしいとか文が長すぎて手間がかかるとか、いわゆる意地悪な選択肢ではない。しかし、素材文の細かい部分まで正確に読み取れていないと正解できない問題が多く、また、正解をあるだけ選びなさいといった全体を正確に読むことが必要な設問も多い。
選択肢問題のコツというよりも、読解力そのものが必要な問題という印象である。類似問題を多くこなすことはもちろんだが、本文を細部まで正確に読み取る注意力も十分に高めておきたい。
記述問題は2018年度では30~35字以内・45~50字以内など、5字の範囲内でまとめる問題になっており、字数調整に慣れておかなければならない。問われる内容は、傍線部近くだけ読んでも答えられないものが多い。次の場面や、さらに先の段落、全体のテーマなども含めて答えを探さなければならないものがある。
要点のまとめや気持ちの変化の流れなど、やはり読解がしっかりできていることが重要となる。「自分の考えを述べよ」といった論説タイプの記述ではないので、本文をしっかり読めていれば得点できる。過去問で慣れておかれたい。
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2018年度「早稲田中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2題合わせて12000字超と文章量は多い。ただし総解答数は19問しかないので時間は十分にある。記述問題2問も40~60字とさほど重いものではない。素材文の細部まで見落としのないように正確に読み取り、選択肢問題でも注意を怠らず、正確に読み着実に答える。過去問で時間の感覚をつかみ、確実な読解を心がけるようにしたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
- ★必答問題
自らの貧しい暮らしも顧みず隣人に施しをしてしまう母親の信仰心や、終戦を境に急に態度を豹変させる世間の人々への不信感に悩まされる主人公。頑なな性格で、自分の考えを曲げられずに苦しむ。
問一 主人公はキリスト教を信仰する母親を理解できない。一時的に施しをしても続けられなければそれは単なる自己満足=「偽善」ではないかと考えている。
問二 皮肉―わざと本心とは逆のことを言う。あてこすり。主人公はキリスト教など信じていないので、新約聖書の一節を口にしたのは母親に対する反対意見の裏返しである。
問三 ①「そんなこと」は直前の妹の「おなかが空いているなら自分の分のごはんをあげる」という意味の発言である。
②他人に施しをしている余裕などないだろうという、母親にたいする批判である。
問五 ここは父親が「無気力」になってしまったことを指していると思われるが、解答欄の形と合わない。解答欄の「~まま」の部分をヒントに探せる。
問六 「若布」は世の中の流れに逆らわずに周囲に合わせて態度を変える世間の人々を、「棒杭」は自分の意見を急には変えられず、世の中の流れに乗れない主人公をそれぞれ例えたもの。字数制限の幅が5字しかないので、字数に合うように言葉を変えたりする工夫も必要になるかもしれない。
問七 イの「自分ひとりだけが周りと違う価値観」の部分が疑問である。主人公も世間も、民主主義の世の中を良しとする点では同じである。ただ、ついさっきまで戦争に賛成していた多くの人々の変わり身の早さを気持ち悪く感じているのである。
<時間配分目安:24分>
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:26分
- ★必答問題
いじめが発生する原因や無くすための方策を論じている。
問一 憎悪・悪寒・嫌悪など、「オ」と読む場合に慣れておこう。
問二 文中に「いじめはほんとうになくなるのか?」という疑問に対して「あえて言いたいと思います」とあるが、この強い言い方に合うような答えが直後にあっていいはずなのに書かれていない。ここに入ればぴったりくる。
問三 文脈から、「自由に生きたい」といった意味のことばが入るはずである。「つまり」が手掛かりになる箇所に十一字の部分がある。
問四 「問い方のマジック」になっているのは直前の「どっちが正しいと思いますか?」である。この聞き方だと聞かれた方はどちらかを選ばなければならなくなるが、現実は「どっちかが絶対に正しいわけじゃない」のである。二者択一を迫る不適切さがあるわけである。
問六 空欄Cの後の「ムカついている」を「不満に思う」と考えるとわかりやすい。「相手に対する不満やいらだち」ではなく、「自分に対する」「不満」なのだと述べている。「自分に対する」と同じ内容を五字で探す。
問七 成功したスポーツ選手や経営者はよく、「あきらめなければ夢はかなう」といったことを言うが、それは自分が成功してしまった後だから言える結果論である。自分の経験(特殊)は万人にも当てはまる(一般)と「一般化」してしまったのである。
問八 段落3・段落4ではいじめの原因を一つずつとその解決策を挙げているので並列できる。これは直接には1段落最後の「いじめはどうやってなくせるか?」からつながっている。2段落は「いじめが起こった際の対応の二者択一は無理がある」という少し別の筋の話になっている。[1段落]―[3・4段落]の本線からずれている点に気づけば簡単である。
<時間配分目安:26分>
攻略のポイント
まず、文量の多い素材を読むスピードが欲しい。問題数は少ないので考える時間の余裕はある。本文に注意深く目を通し、ポイントを見逃さないように正確に読む。解答のテクニックというよりもまっとうな読解力が求められているようである。
記述問題は字数指定の幅(5字)が狭いので、過去問で範囲内にまとめる感覚を養っておこう。
素材文・設問の難易度がやや高めではあるがクセの無い試験なので、他の難関校の問題なども利用するとよいだろう。
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