早稲田中学校 入試対策
2020年度「早稲田中学校の国語」
攻略のための学習方法
【問題構成】
大問は物語と論説文の2題というのが定形となっている。文章量は2018年度では約12000字にもなったが、2020年度は約7500字であった。
問題数は最新年度では19問であった。そのうち、記号選択10問・記述2問・書き抜き2問と漢字・その他という構成である。記述問題は30~50字ほどでまとめるものだが、制限字数の幅が5~10字しかないので、指定の字数にうまく収める難しさが生じてしまっている。
時間は50分なので十分足りるのだが、素材文自体がやや難しかったり、設問にも難しいものが織り交ぜられていたりと、簡単な試験ではない。時間を充分使ってやや難しい問題をじっくり考える試験であると言える。
【文学的文章の読解】
家族や友人との関わりを描いたものが多く見られる。また、フィクションとしてユニークな設定の物語も用いられる。
例えば2017年度では、主人公は車である。車の目から、その所有者家族やその友人の言動・隣家の車との会話などを通して、周囲の人間、さらには車の気持ちまでもが描かれている。多分に想像力を要する問題である。読書経験の中でも、現実に近い設定のものやSF・ファンタジーのような時空を超えた壮大なものなど、様々な書物や多様な設定・形態の小説に多く触れておくことが、このような問題では力となるだろう。
ともあれ、まずは長文読解の基本的な力をつけることが第一である。時間・場所・登場人物などの変化で場面の変わり目をチェックする。人物の性格も考慮し、その言動や情景などから、心情を理解する。あらすじをまとめ、誰のどんな気持ちを描いた話なのか・主題を考える、といった基本の取り組み方を練習しておこう。
【説明的文章の読解】
国際化・日本文化・哲学など、幅広いテーマの文章が使われている。
選択肢問題でも記述問題でも、要点・要旨がしっかり見抜けているかどうかがポイントになる。論理的文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
段落の整理。形式段落を意味段落でまとめ、小見出しをつけるとわかりやすい。段落のつながりをよく確認しよう。各段落の要点を傍線などで目立つようにしておく。要点をまとめ要旨を把握する。おおまかに要約も考えておくと良い。問題を多くこなして論理の流れを正確にたどれるようになっておこう。
【選択肢問題と記述問題】
選択肢問題は、似たような選択肢で紛らわしいとか文が長すぎて手間がかかるとか、いわゆる意地悪な選択肢ではない。しかし、素材文の細かい部分まで正確に読み取れていないと正解できない問題が多く、また、正解をあるだけ選びなさいといった全体を正確に読むことが必要な設問も多い。
選択肢問題のコツというよりも、読解力そのものが必要な問題という印象である。類似問題を多くこなすことはもちろんだが、本文を細部まで正確に読み取る注意力も十分に高めておきたい。
記述問題は2020年度では25~30字以内・40~50字以内という、5~10字の範囲内でまとめる問題になっており、字数調整に慣れておかなければならない。問われる内容は、傍線部近くだけ読んでも答えられないものが多い。次の場面や、さらに先の段落、全体のテーマなども含めて答えを探さなければならないものがある。
要点のまとめや気持ちの変化の流れなど、やはり読解がしっかりできていることが重要となる。「自分の考えを述べよ」といった論説タイプの記述ではないので、本文をしっかり読めていれば得点できる。過去問で慣れておかれたい。
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2020年度「早稲田中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
文章量は2題合わせて約7500字。ただし総解答数は19問しかないので時間は十分にある。記述問題2問も30~50字とさほど重いものではない。素材文の細部まで見落としのないように正確に読み取り、選択肢問題でも注意を怠らず、正確に読み着実に答える。過去問で時間の感覚をつかみ、確実な読解を心がけるようにしたい。
【大問1】随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:30分
- ★必答問題
飼い犬の死にまつわる思いや新しく飼った犬との交流が語られている。
問1 文章Aの最後の段落に注目。コンタの死後1か月たっても、まだその死を認めたくなかった。しかしその雪の日、「コンタの死んだことがハッキリとわかってきた」「名づけようのないムナシサであった」と、死を実感したことが述べられている。
問2 兼好法師の言葉は、死は思いがけず突然に訪れる、という意味で紹介されている。
問3 文脈から考えて「おとなしい」の逆の意味で、飛び立った雁に反応してしまうような性質と思われるので、「野性」が選べる。
問4 相手のつらさを自分のつらさのように感じてしまう「共感」が起こっているということである。
問5 直前の段落で「まだ一年や二年は生きているものとばかり考えていた」とあり、そのあとでそう思った理由も説明されているので、その一文を抜き出す。
問6 医者から腎臓の機能が弱っていると聞き、先日のふろ場での失禁が思い出され、コンタの体調が予想以上に悪いのではないかと不安を感じている場面である。
問7 「なづけようのないムナシサ」も詩なら表現できるのではと考えている。ウの「物語として」やエの「正確に」は詩の表現の性質と合わない。
問8 動物でありながら人間と気持ちが通じ合っている様子が感じられる場面を選ぶ。
問9 人間の気持ちを忖度しすぎる犬をいじましい(こせこせして哀れ)と感じる人もいるのだろうが、筆者はいじらしい(けなげで可憐)と感じるのである。
【大問2】説明的随筆文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
作曲家である筆者が、どのようなときに音楽が生まれるかを語っている。
問1 b. 穏やか――送りがなに注意。
問2 「どうやったら音楽が作れるようになるか」という問いに対して第4段落で答えている部分がある。そこは筆者が実践していることでもあり、設問の字数も合う。
問3 「こういうふうに」は第2段落の川の音についての説明を指している。「曲が生まれる」様子は第3段落に書かれている。両方を含む選択肢を選ぶ。
問4 フクロウの声と自分の出す音が呼応している様子。
問5 自分のまわりに自然にあるさまざまな音を「ほんとうに美しい」と思い「ただただこのようにあれたら」と思う。筆者のこの気持ちに合う選択肢はどれか?
問6 傍線部の後で説明されている。「民謡」は、人と人との「じっくり育まれた関わり合いや繋がりの中から生まれてきた」唄であり、「人間だけじゃなく、生き物や自然をきちんと内に入れている美しい」音楽であることに感動するのである。
問7 作曲をする筆者が、日々の暮らしの中で行い、考え、感じていることがまとめられている。最後が「~て」と省略されていることで、読者に想像させる余韻も生まれている。
攻略のポイント
まず、文量の多い素材を読むスピードが欲しい。問題数は少ないので考える時間の余裕はある。本文に注意深く目を通し、ポイントを見逃さないように正確に読む。解答のテクニックというよりもまっとうな読解力が求められているようである。
記述問題は字数指定の幅(5~10字)が狭いので、過去問で範囲内にまとめる感覚を養っておこう。
素材文・設問の難易度がやや高めではあるがクセの無い試験なので、他の難関校の問題なども利用するとよいだろう。
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