早稲田実業学校中等部 入試対策
2024年度「早稲田実業学校中等部の理科」
攻略のための学習方法
早稲田実業中の理科の得点は、50点満点。標準レベルの問題も見られるが、細かい知識がないと解けない問題が多いことが特徴。長めの問題文やグラフ・表・図をしっかり読み取らないと解けない問題も出題される。また、記述問題が出題されることも多い。今年度は20字~30字の記述問題が複数題見られた。過去には120字以内の記述問題も出題されている。基本の定着はもちろんのこと、秋以降には、過去問や出題傾向に近いタイプの問題の演習も十分に行って頂きたい。また、時事問題対策も十分行って欲しい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度この分野の大問はなかった。大問3の中で、「抗体」「血清療法」など人のからだの働きに関連する内容が見られた。ここ数年では本年は、西之島の生態系、植物の働き、生物と環境、動物の進化、昆虫、人間の血液や血液循環等の出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは生物すべての分野について基本知識をしっかり身につけて頂きたい。さらに、植物の働きや人のからだの働きに関する実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりおこなって欲しい。また、環境をテーマにした出題も想定されるので注意が必要である。
地学分野 本年度はこの分野の大問は見られなかったが、大問2の中で地球温暖化との関連問題が見られる。近年では、富士山について、地球温暖化、火山と岩石、月の満ち欠け等天体に関する出題、台風など気象についてなどの出題が見られた。今後は天体・気象・地層・岩石など幅広い単元からの出題が予想される。気象に関しては台風やフェーン現象等様々な気象現象について、今年度同様に地震や火山噴火についての出題も十分考えられる。どれが出題されても大丈夫なように、基本の確認・問題の演習を十分行って頂きたい。また、時事問題対策として、近年に起こった出来事に関しては入試前にしっかり確認しておきたい。
物理分野 本年は大問1で物体の運動について出題された。データの読み取りが中心となる内容であった。また、大問2の中でエネルギーについて出題され、知識と記述力が試される内容であった。近年では、モーターと電気回路、物質の性質、光の性質、発電、電気についてなどの出題が見られた。電気や光に関する出題がやや多く、その反面、てこやばねなどの力のつり合いの計算問題はあまり出題されていないのが特徴的。今後は光や電気を中心とした出題が予想される。また、今年出題された発電やエネルギー利用についての知識も日頃から吸収する努力を行うこと。力のつり合いについても今後は出題される可能性はあるので、計算問題の練習はしっかり行って欲しい。
化学分野 今年度は大問3の中で金属と水溶液の反応についての設問が見られた。昨年は中和反応・金属と水溶液の反応について出題され、それ以前にさかのぼると、水溶液の計算問題はほとんど出題されていない。ややレベルの高い計算問題が含まれていた。この分野の対策としては、まずは気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を確実に固めたい。今後は中和・水溶液と金属の反応等の出題が多くなる可能性もある。塾のテキストや問題集を使って計算練習をしっかり行って欲しい。
早稲田実業で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休み中までに各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、9月以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
入試直前期には時事問題対策の本が各塾や出版社から出されるので、それらをしっかり活用して頂きたい。
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2024年度「早稲田実業学校中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は3、小問数は20程度で50点満点。試験時間は30分で例年通りであった。
記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で、記述問題も複数見られた。時事問題などのかなり細かい知識問題を出題する傾向があるが、今年度は特にそれが顕著に表れている。30分という試験時間に対して問題数はして多くはないので、落ち着いて取り組んで欲しい。
【大問1】 物体の運動
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 表より、引っ張る長さが2.5㎝のとき17.5㎝飛んでいるので、100㎝飛ばすためには、100÷17.5×2.5より四捨五入して、14.3㎝引っ張ればよい。
問2 実験結果より、100㎝飛ばすための引っ張る長さは14.3㎝よりも短いことがわかる。
問3 グラフ上の点を線で結び延長させ、完成させて、飛ぶ距離が250㎝のときの引っ張る長さを読み取ればよい。
問4 「確実に得られる」の意味をとらえられるかがポイント。半径5㎝の円の中に入れなければいけないので、飛ぶ距離の平均値から5㎝以上飛ぶ距離が違うことがあると、確実とは言えない。表のデータを見ると、引っ張る長さが25㎝以上のときは、平均値より5㎝以上のばらつきが見られる。
物体の運動に関して、データの読み取りが中心の出題。問4は問題の意味がしっかり理解できるかがポイント。
【大問2】 エネルギーについて
- 難度:難
- 時間配分:10分
問1 二酸化炭素をできる限り排出しないような社会的な仕組みを築いていく取り組みをGXとよぶ。(グリーントランスフォーメーションの略)
問2 二酸化炭素発生量の多いA、Bは石炭と石油、Cに二酸化炭素発生量が多いので天然ガス。洋上に設置できることからDは風力。Eは日本での導入実績が高いことから太陽光。Fは観光資源(温泉等)から地熱とわかり、残されたGは水力。
問3 低周波騒音・強力な磁場はEの太陽光発電には関係しない。
問4 20字以内の記述問題。地熱発電所の近くには温泉などの観光地が多い。湧き出る温泉の量への影響が心配になる。
問5 30字以内の記述問題。新たな市場開拓により利益が生まれることが期待できる。
問6 成分分解プラスチックは、微生物が分解する際に二酸化炭素が発生する。メタンハイドレートを使用する際にも二酸化炭素が発生する。
エネルギーについての出題で、いかにも本校らしい出題と言える。科学的な知識と知識に基づく記述力が問われる。さらに選択問題についても、知識がないと選択に悩むような内容になっている。本校受験者は日頃から科学や自然への興味を持って、ニュース・情報を積極的に吸収する姿勢が求められる。
【大問3】 北里柴三郎について
- 難度:難
- 時間配分:10分
問1 北里柴三郎が師事したドイツの病原微生物研究者はコッホ。
問2 (1)硫酸と亜鉛の反応で発生する気体は「水素」。
(2)30字以内の記述問題。問題文に書かれてあるように、嫌気性細菌は酸素濃度が高い環境では生育できない。発生した水素が酸素を追い出すことで酸素のない環境を作ることができる。
問3 (1)体に入ってきた病原体などの異物と結合して異物を攻撃する物質は「抗体」。
(2)血清療法は治療のための手段で、マムシなどの毒蛇にかまれたときなどに、毒素に対抗するための抗体を体内に注入することで行う。
問4 北里の伝染病研究所の設立を支援したのは福沢諭吉。伝染病関連で野口英世を選択したくなるので注意。
北里柴三郎についての出題。問1・問4の時事問題は知らないと解答できない内容。問2だけは日頃の学習との関連で解答可能であり、正答したい。
攻略のポイント
早稲田実業の理科の入試問題のここ数年の傾向として、時事問題等の細かかい知識について問う出題が多いことがあげられる。今年度入試では、それがより顕著に表れている。大問2・大問3の中には、知識として知っていないと解答できない問題が多数見られる。テスト中の心構えとしては、知らない知識以外の問題で得点を稼ぐという気持ちが大切になる。
本校理科の出題としてもう一つの特徴は、記述問題の出題である。内容として難しい内容の記述ではないが、記述問題の練習をしっかりしておくことが本校受験者には求められる。
日頃の学習においては、塾のテキストだけではなく、科学や自然に関して関心を持つことが大切である。ニュース、新聞等を見て欲しい。入試直前期には時事問題対策をしっかり行う必要もあろう。記述問題の練習も十分に行うこと。
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