早稲田実業学校中等部 入試対策
2023年度「早稲田実業学校中等部の理科」
攻略のための学習方法
早稲田実業中の理科の得点は、50点満点。標準レベルの問題が多いが、細かい知識がないと解けない問題が多いことが特徴。長めの問題文やグラフ・表・図をしっかり読み取らないと解けない問題も出題される。また、記述問題が出題されることも多い。今年度は25字以内の記述が2題、過去には120字以内の記述問題が見られた。基本の定着はもちろんのこと、秋以降には、過去問や出題傾向に近いタイプの問題の演習も十分に行おう。また、時事問題対策も十分行って欲しい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は西之島の生態系についての出題であった。やや長めの問題文を読んだ上で答える問題で、西之島に関する事前の予備知識を必要とする問題ではなく、問題文の読み取り力や考察力が必要な内容であった。近年では、植物の働き、生物と環境、動物の進化、昆虫、人間の血液や血液循環等の出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは生物すべての分野について基本知識をしっかり身につけよう。さらに、植物の働きや人のからだの働きに関する実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりおこなって欲しい。また、環境をテーマにした出題も想定されるので注意が必要である。
地学分野 本年度は富士山をテーマにした出題であった。プレートの名称などかなり細かい知識問題や、時事的な内容を含む問題も見られた。地球温暖化など環境問題に関する出題であった。近年では、地球温暖化、火山と岩石、月の満ち欠け等天体に関する出題、台風など気象についてなどの出題が見られた。今後も天体・気象・地層・岩石など幅広い単元からの出題が予想される。気象に関しては台風やフェーン現象等様々な気象現象について、今年度同様に地震や火山噴火についての出題も十分考えられる。どれが出題されても大丈夫なように、基本の確認・問題の演習を十分行おう。また、時事問題対策として、近年に起こった出来事に関しては入試前にしっかり確認しておきたい。
物理分野 本年はこの分野の出題は見られなかった。近年では、モーターと電気回路、物質の性質、光の性質、発電、電気についてなどの出題が見られた。電気や光に関する出題がやや多く、その反面、てこやばねなどの力のつり合いの計算問題はあまり出題されていないのが特徴的。今後も光や電気を中心とした出題が予想される。また、今年度出題された物の性質など基本知識については確実に定着させておきたい。力のつり合いについても今後は出題される可能性はあるので、計算問題の練習はしっかり行って欲しい。
化学分野 今年度は中和反応・金属と水溶液の反応についての出題であった。ややレベルの高い計算問題が含まれていた。ここ数年は中和などの計算問題は出題されていなかったので、傾向の変化が見られた。
この分野の対策としては、まずは気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を確実に固めたい。今後は今年出題された中和・水溶液と金属の反応等の出題が多くなる可能性もある。塾のテキストや問題集を使って計算練習をしっかり行って欲しい。
早稲田実業で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休み中までに各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、9月以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
入試直前期には時事問題対策の本が各塾や出版社から出されるので、それらをしっかり活用しよう。
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2023年度「早稲田実業学校中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は3題、小問数は20題程度で50点満点。試験時間は30分で例年通りであった。記号選択問題、適語を答える問題、計算問題が中心で、記述問題もあった。実験結果や長めのリード文を読んだ上で考えるタイプの問題が中心。細かい知識問題もあるので注意が必要である。30分という試験時間に対して問題数は決して多くはないので、落ち着いて取り組んで欲しい。
【大問1】中和反応・金属と水溶液の反応
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 実験1より、水酸化ナトリウム水溶液Aと塩酸Bは2:5の割合で中和する。塩酸B100mLに対して水酸化ナトリウム水溶液C100mLで中和しているので、水酸化ナトリウム水溶液C100mLの中に40mLの水酸化ナトリウム水溶液Aが含まれていることがわかる。
200mLの水酸化ナトリウム水溶液Cの中に含まれている水酸化ナトリウムは、0.2×8 より、1.6g。
問2 塩酸とアルミニウム、水酸化ナトリウム水溶液とアルミニウムで発生する気体はいずれも水素。最も軽い気体であり、水の電気分解で発生する。
問3 (1)水酸化ナトリウム水溶液Aが32mL余るので、アルカリ性となり、赤色リトマス紙が青色に変化する。
(2)40mLの混合液Dの中には6.4mLの水酸化ナトリウム水溶液Aが中和しないで余っている。これと中和するのに必要な塩酸Bは16mL。
(3)25mLの混合液では、6mLの水酸化ナトリウム水溶液Aと15mLの塩酸Bで中和し、水酸化ナトリウム水溶液Aが4mL余る。中和によってできる食塩は、0.08×2.1 より、0.168g。余った水酸化ナトリウム水溶液Aの中に溶けている水酸化ナトリウムは、0.2×0.4より、0.08g。したがって、食塩と水酸化ナトリウム合わせた固体の合計は、四捨五入して0.25g。
(4)実験5より8mLの水酸化ナトリウム水溶液Aにアルミニウムを入れると144mLの水素が発生しアルミニウムを余った。25mLの混合液Dの中には4mLの水酸化ナトリウム水溶液Aがあまっており、反応せずに残ったアルミニウムがあることから、144÷2 より、72mLの水素が発生する。
中和反応と金属と水溶液の反応についての出題。2種の濃さの水酸化ナトリウム水溶液があることから、問題をやや複雑にしている。ややレベルの高い問題であり、演習をしっかり積んできたかどうかで明暗が分かれそうな一題と言える。
【大問2】西之島の生態系
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
問1 記述問題。隣接した島から植物の種子・昆虫・鳥などが飛来するために、同じ生態系に変わる。
問2 文中の語句を使用という指定のある記述問題。衣服などに付着した生物を侵入するのを防いでいる。
問3 腐敗していないことは、死骸を分解する菌や微生物(これらを「分解者」とよぶ)が存在していないことを意味する。
問4 (1)山火事と違い、火山の噴火は溶岩や火山灰で覆われるので、その後極相林になるまでの時間は大きく異なる。
(2)日本列島でおよそ150年、まわりに生態系のない西之島ではそれよりも多くかかることが考えられ、選択肢の中では1000年が最も妥当。
問5 繁殖力の強かった生物が火山の噴火で絶滅すると、繁殖力の弱かった生物がはんたいに勢力を拡大することもあり得る。
西之島における生態系についての出題。テキストで学習してきた内容だけで通用する内容ではなく、考察力・記述する力が要求される。とは言っても問1・問2などは普通に考えればわかる内容なので、空欄にすることなく頑張って記述して欲しい。
【大問3】富士山
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
問1 2003年以降、「過去10000年以内」に噴火したことのある火山は活火山と定義されるようになった。
問2 富士山付近に集まっているのは、北アメリカプレート・フィリピン海プレート・ユーラシアプレートの3つ、太平洋プレートだけは離れている。
問3 溶岩のねばりけを決めるのは二酸化ケイ素の含有量。二酸化ケイ素が多いとねばりけの強い溶岩になる。
問4 ねばりけの弱い溶岩が固まってできる火山岩は、色が黒っぽい玄武岩である。
問5 火山灰による被害についての選択問題。溶岩ではないので熱による火災はあり得ないが、それ以外は火山灰の影響として想定される。
問6 富士山が文化遺産としては登録されたが、自然遺産としては認可されなかった理由についての選択肢問題。登山客によるごみの放置や開発による生態系への影響などがあてはまる。
富士山についての出題。火山や岩石についての知識の正確さが求められる。さらに、活火山の定義や世界遺産登録など早実らしい時事的な内容の出題も盛り込まれている。
攻略のポイント
早稲田実業の理科の入試問題のここ数年の傾向として、時事問題等の細かかい知識について問う出題が多いことがあげられる。今年度入試においても、西之島の生態系・富士山をテーマとした出題が見られ、かなり細かい知識問題が複数出題された。西之島については一昨年にも取り上げられている。テスト中の心構えとしては、何問か含まれている難しい知識問題以外で得点を稼ぐという気持ちが大切になる。
本校理科の出題としてもう一つの特徴は、記述問題の出題である。内容として難しい内容の記述ではないが、記述問題の練習をしっかりしておくことが本校受験者には求められる。
日頃の学習においては、塾のテキストだけではなく、科学や自然に関して関心を持つことが大切である。ニュース、新聞等を見て欲しい。入試直前期には時事問題対策をしっかり行う必要もあろう。記述問題の練習も十分に行うこと。
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