※全大問の前提としての【注意】で｢とくに指示がない限り、漢字で書くべきところは、正しい漢字を使って答えなさい｣とあるので、基本的に全て｢漢字指定｣だと認識すること。

｢日本国憲法の３大原則と現在的課題に関するリード文｣からの出題｡｢公民｣単元の問題は比較的平易だが、３問ある｢地理｣単元、中でも｢世界地理｣で判別がやや紛らわしいものがある。以下、いくつかを検証する｡

[問１]　｢空所補充の説明記述設問｣(｢15字以内｣指定)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の空所【 　　】に｢ふさわしい言葉｣を｢15字以内｣で答える。空所前後は｢基本的人権とは【　　 】持っている人間らしく生きるための権利｣となっている。｢日本国憲法｣のまさに基本的問題だ。｢基本的人権｣＝｢人間が生まれながらにして当然に持っている、人間らしく生きる権利｣だということは誰もが知っているはずだ。空所に的確にあてはまるように記述すること。たとえば、｢人間が生まれながらにして当然に｣(15字)といった｢答え｣になる。｢内容｣は理解していても、いざ｢記述｣するとなるとなかなか難しいものだ。確実に練習をしておくことが重要だ。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問３]　｢下線部についての組み合わせ選択肢設問｣(６択)。｢地理｣(世界地理)単元。｢リード文｣中の下線部(１)の｢信教の自由｣を認めつつも、｢国教または国教に準じる宗教を定めている国がある｣が、示されている｢図１｣(アフリカ大陸を中心とした世界地図)の(Ａ)･(Ｂ)･(Ｃ)はそれぞれ｢同じ国教｣を定めている国々を表している。｢これらの国々で国教とされている宗教｣の｢正しい組み合わせ｣を答える。組み合わせ候補の｢宗教｣は、｢キリスト教｣･｢仏教｣･｢イスラム教｣だ。｢図１｣から(Ａ)は主にヨーロッパの国々だと分かる。であれば無論、｢キリスト教｣。この段階で選択肢は２つに絞られる。次に、(Ｂ)は主に中東や北アフリカの国々なので｢イスラム教｣だと判別できるはず。そして、(Ｃ)は東南アジアの国々、｢仏教｣でＯＫだ。よって、その｢組み合わせ｣になっている選択肢(イ)が｢答え｣となる。｢組み合わせ選択肢｣では、分かりやすい項目で一気に選択肢を絞り込むことが肝要。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問５②]　｢下線部についての選択肢設問｣(５択/複数完全解答)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部(３)｢違憲立法審査権｣について、示されている｢裁判の判決についての説明文｣で、｢正しいもの｣を｢すべて｣答える。｢説明文｣は｢1972年の衆議院議員選挙で、選挙区によっては一票の価値の差(投票価値の格差)が約５対１になっていたため、最高裁判所が憲法違反の判決を下した｣という内容だ。誰もが知っているはずの、いわゆる｢一票の格差｣の問題だ。各選択肢の｢要点｣｢キーワード｣に着目して、正誤判別していく。(ア)｢人口の多い地域は少ない地域に比べて、投票価値が高くなって｣⇒議員1人当たりの有権者の数が多いほど一票の価値は｢低い｣＝不適切。(イ)｢100人が1人を選ぶ場合の票の価値を1とすると、500人の場合は0.2｣⇒｢価値｣は５分の１＝適切。(ウ)｢この違憲状態を改善するには、人口の多い地域の議員定数を増やすことが必要｣⇒(ア)から考えれば当然＝適切。(エ)｢この選挙結果は思想や良心の自由に反する｣⇒これは｢自由権｣のひとつだ＝不適切。(オ)｢この選挙結果は平等の原則に反する｣⇒そう、｢法の下の平等｣(日本国憲法第14条)だ＝適切。したがって、｢答え｣は(イ)(ウ)(オ)になる。尚、｢複数完全解答｣では、細部にまで目を凝らし、見逃しのないようにすることが肝要。
＜時間配分目安：１分強＞
尚、[問４]は｢地形図｣の問題になっている。｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

｢ある歴史的人物が、その生涯とふるさとを語っているという設定の創作文｣からの出題。｢弥生時代｣から｢大正時代｣までの｢歴史｣単元が問われている。また、一問だけ｢ふるさと｣にまつわる｢地理｣単元の出題がある。難易度はさほど高くないが、｢複数完全解答｣の問題では慎重さが求められている。以下、何問かを考えてみる｡

[問１]　｢下線部についての選択肢設問｣(５択/複数完全解答)。｢地理｣単元。｢創作文｣中の下線部(１)｢北は玄界灘(げんかいなだ)に、南は有明海にそれぞれ面した県｣について、示されている｢玄海灘か有明海に面した地域についての説明文｣で、｢玄海灘に面した地域に関する説明｣を｢すべて｣答える。｢有明海｣はともかく｢玄海灘｣の位置を的確に押さえているか？ ｢福岡県と佐賀県の北に広がる海｣だ(定着していなかった諸君は必ず地図上で確認すること)。各選択肢の｢要点｣｢キーワード｣で、どちらの｢地域｣なのかを判別していく。(ア)｢広い干潟｣｢ムツゴロウ｣⇒無論、誰もが｢有明海｣だと分かる。(イ)｢広い平野｣⇒｢筑紫平野｣が思い浮かばなくてはいけない＝｢有明海｣。(ウ)｢半島の部分は出入りの大きな海岸線｣⇒｢有明海｣の沿岸と｢九州北西部｣の地図をイメージする。後者の方が｢海岸線｣が入り組んでいると判別したい＝｢玄海灘｣⇒これはちょっと難しい。(エ)｢海岸沿いまで山がせまり｣⇒流石(さすが)にこれは｢有明海｣ではないと分かるはず＝｢玄海灘｣。(オ)｢のりの養殖｣⇒即、｢有明海｣と決定できなくてはいけない。よって、｢答え｣は(ウ)(エ)だ。｢河川｣｢平野｣｢山脈｣｢半島｣などの｢自然地名｣は、その位置とともにできるだけ多く定着させておくことが肝要。
＜時間配分目安：１分強＞
[問４]　｢下線部についての理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし｡｢30字ほど｣の解答欄)。｢歴史｣単元。｢創作文｣中の下線部(４)｢(1637年に)ある半島南部に一揆勢が立て籠(こも)った｣について、｢この一揆はなぜ起こったのか｣を説明する。｢1637年｣で｢島原･天草一揆｣だとすぐに特定できるはず。その｢理由｣を｢キリスト教弾圧｣と結びつけているだろうが、それだけではないことに注意したい。｢重税を課していたこと｣も大きな要素なのだ。したがって、たとえば、｢領主が重い年貢を課すとともに厳しくキリスト教を弾圧したから｡｣(30字)といった｢答え｣になる。｢歴史上の出来事｣については、その｢原因｣｢理由｣や｢背景｣等を多角的に理解しておく必要がある。
＜時間配分目安：２分＞
[問８]　｢下線部についての事項記述設問｣。｢歴史｣単元。｢創作文｣中の下線部(８)｢(明治十四年の政変で)政府から追放された私は、国会開設に備えて政党を結成｣について、その｢政党名｣を答える。｢明治十四年の政変｣は知らない諸君がいるかも知れないが、｢国会開設に備えて政党を結成｣で、｢自由党｣と｢立憲改進党｣とが結びつくはずだ。で、これまでにも確認してきたように、｢私｣の｢ふるさと｣は｢九州｣なのだから、｢自由党｣の｢板垣退助｣(土佐藩＝高知県出身)はあり得ないので、｢私｣＝｢大隈重信｣、｢答え｣は｢立憲改進党｣になる。ちなみに、｢明治十四年の政変｣とは、｢明治十四年｣＝｢1881年｣に｢国会早期開設派の参議だった大隈重信およびその支持者を、伊藤博文らが政府から追放した事件｣だ。政府は同時に｢開拓使官有物払い下げ中止｣と｢10年後の国会開設｣を公約した。覚えておこう。
＜時間配分目安：30秒強＞

｢2018年の１年間に200万台以上売った、世界の自動車会社14社の本社のある国と販売台数を示した統計資料｣(表１)とその｢説明文｣からの出題。詳しすぎる｢説明文｣に戸惑うことは必至。さまざまな｢統計資料｣に関しての｢地理｣単元の小問が並び、最後に｢長文考察論述｣が待ち構えている。なかなか厄介な大問だ。以下、それらも含めていくつかの｢設問｣を検討しよう。

[問１②]　｢下線部に関する組み合わせ選択肢設問｣(６択)。｢地理｣単元。｢説明文｣中の下線部(１)｢愛知県｣に関して示されている｢地図｣(中部地方と近畿地方の一部が含まれている)の中の｢(Ａ)の川と(Ｂ)の半島の名前｣の｢正しい組み合わせ｣を答える。(Ａ)は、｢濃尾平野｣から｢伊勢湾｣に流れている３本の河川の中央だ。そして、組み合わせ候補は、｢長良川｣･｢木曽川｣･｢揖斐川｣。要は｢木曽三川｣だと気づきたい。西から｢揖斐川｣･｢長良川｣･｢木曽川｣と並んでいることは必須定着事項。よって、(Ａ)は｢長良川｣。ここで選択肢は２つになる。次に、(Ｂ)は｢愛知県｣の南端に位置する｢半島｣だ。｢愛知県｣の｢半島｣といえば｢知多半島｣と｢渥美半島｣、南の方は後者だと知らなくてはいけない。ということで、(Ａ)＝｢長良川｣、(Ｂ)＝｢渥美半島｣になっている選択肢(イ)が｢答え｣だ。前述したが、｢自然地名｣はとても重要で、しかも本校では必出だと心得よ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問２]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢地理｣単元。｢説明文｣中の下線部(２)｢韓国｣について、示されている４つの｢島｣の中で｢韓国のソウルが見て２番目に近いもの｣を答える。各選択肢は、(ア)｢沖縄(本島)｣･(イ)｢佐渡島｣･(ウ)｢五島列島｣･(エ)｢淡路島｣。｢五島列島｣＝｢長崎県｣なので最も近いことは明白だが、他はピンとこないに違いない。ここで、｢朝鮮半島｣と｢日本｣の位置関係を頭の中で確認したい。九州の北に｢朝鮮半島｣があると分かるはずだ。そこで、九州との｢近さ｣で判断すれば、｢兵庫県｣の｢淡路島｣が｢２番目｣だと判別できる。よって、｢答え｣は(エ)だ。ちなみに、次に近いのが｢新潟県｣の｢佐渡島｣、もっとも遠いのは｢沖縄(本島)｣となる。何度も繰り返すが、｢地図上の位置関係｣は本校の合否を決すると記銘せよ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問７]　｢テーマに関連する条件付き考察論述設問｣(｢字数指定｣なし｡｢180字ほど｣の解答欄)。｢考察問題｣。｢説明文｣のテーマである｢世界の自動車販売｣に関連して、｢アメリカのトランプ大統領は就任直後、『日本はアメリカ製の車をほとんど買わないのに、日本製の車を大量にアメリカに輸出している。公平ではない』と発言して日本を非難した｣が、｢あなたが日本の指導者だとしたら、日本の立場をトランプ大統領にどう説明するか｣を論述する。｢条件｣は、｢前問までにあった『表１』(2018年の自動車会社別販売台数)･『表２』(1999年の自動車の国別生産台数)･『表３』(2018年の自動車の国別生産台数)･『表４』(2018年の自動車の国別国内販売台数)と、ここで示されている『資料１』(2018年のアメリカにおける自動車販売の割合)･『資料２』(対米自動車輸出の推移)･『資料３』(トランプ大統領の支持基盤のひとつに｢ラストベルト｣＝｢さび付いた地域｣と呼ばれる自動車産業が衰退した工業地帯の労働者がいる、という説明)を使って、トランプ大統領の怒りを静められるように説得を試みる｣ことと、｢『相手の言い分を認める』『それをふまえてこちらの言い分を伝える』『相手にもメリットがあることを理解させる』の３つの要素を含める｣こと。｢問題文｣と｢条件｣を読んだだけでイヤになって当然だ。ましてや本年度のオーラス、残された時間もわずかに違いないし、配点も｢４点｣だけなので、もちろん｢捨て問｣で構わない。しかし、それを潔しとせず果敢(かかん)に挑んでいこうという諸君は、｢条件｣を丁寧に読み取って｢考察｣してみてほしい。自ずから論述すべき要素が浮かび上がってくるはずだ。それらを的確に結びつけていけばいい。その際、｢説得を試みる｣ので｢文体｣には注意すること(｢～だ｣という｢常体｣ではなく、｢～です｣と｢敬体｣にする)。たとえば、｢日本が多くの自動車を輸出し、アメリカの自動車会社を圧迫しているのは事実ですが、アメリカに輸出する台数は多いときの半分程度になっています。また、日本の自動車会社はアメリカ国内に多くの工場を建て、現地の労働者を雇っており、中にはアメリカ製として輸出されている自動車もあります。こうして、日本の自動車産業はアメリカの自動車産業の活性化や雇用に大きく貢献しているのです｡｣(181字)といった｢答え｣だ。来年度以降もこうした｢考察論述｣が出題される可能性が高い。したがって、｢問題文｣や｢条件｣を｢手がかり･ヒント｣として的確に｢考察｣できるように練習しておくことが不可欠だ。
＜時間配分目安：６分＞