早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2020年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」
攻略のための学習方法
例年、説明的文章1題・文学的文章1題の計2問で構成されている。
文章量は7000~9000字ほどで総解答数は30問弱。漢字の書き取りが6~7問とその他の知識問題が数問見られる以外は、長文読解が大半を占める読解中心の試験となっている。
設問形式は記号選択が11~12問、記述問題が2~3問、残りが書き抜き問題といった割合で、年度により整序問題なども出題されている。
[長文読解]
素材文は、説明的文章が2500~3000字程度、文学的文章が5000~6000字程度と、文学的文章の方が文量が多くなっているが、設定やストーリーが受験生にもわかりやすい話が多い。一方、論説文は難しい用語や概念も登場し、難易度がやや高い印象を受ける。
選択肢問題は、字数も少ないシンプルな選択肢が多く、内容も無理に迷わせるような複雑なものではないので、得点源としたいところである。
それと比べて書き抜き問題と記述問題はやや難しいものが多い。字数指定はあるが、答えを探す範囲の指定は無く、「本文全体をふまえて」といった条件がつく場合もある。傍線部の近くに答えが無いことも多いので、要領が悪いと時間切れの危険がある。本文のどこに何が書いてあるかを素早く的確に把握する必要がある。
・説明的文章
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容を小見出しのようにつけておくと後でわかりやすい。2016年度ではまさにそのような問題が出されている。
要点と要旨。各段落の最初と最後に注意しながら、傍線などで要点を目立つようにしておき、細部と区別する。要点をまとめて全体の要旨を読み取る。書き抜き問題や記述問題の答えは要点や要旨から見つかることが多い。
・文学的文章
場面の整理。時間・場所・登場人物の移動などから、場面の変わり目を見つけて印をつけておく。解答をどこから探すかの大きな目安になる。
人物の心情を考える。言動や情景などから、特に気持ちが変化した場面に注目して心情を把握する。自分ならばこう考える・・・といった予断は禁物である。あくまで、文中に書かれていること・暗示されていることを手がかりに考える。
以上のような、長文読解の基本的な手順を素早くこなし、解答する際に無駄に答えを探し回らないように練習しておくことが重要である。
[漢字・その他]
毎年、6~7問出題される漢字の書き取りは本校の偏差値からすると易しい問題が多く、標準レベルである。塾などの漢字教材を一冊しっかりこなしておけば心配ないだろう。
言語事項や文法では、品詞・三字四字熟語・慣用句などが数問出されている。本校を受験するレベルの生徒であれば難しくはないだろうが、漢字と合わせて知識問題も油断なく勉強しておきたい。
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2020年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題合わせて10000字ほどと、例年よりやや多かった。総解答数は30問。漢字と数問の知識問題は3~4分で終え、残りは長文読解に当てることになる。
記述問題は45字のものが2問、書き抜き問題が3問。今年度は選択肢問題が多かった。記号選択問題は比較的易しい問題が多いので、できるところからさっさと進め、難しい書き抜き問題と記述問題に少しでも多くの余力を残したい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
- ★必答問題
アメリカを例にとりながら、食文化はその国の特質や創造性・現在位置を把握する情報を含んでおり、食べ物が伝える記憶と向き合うことが現状打開と変革の糸口になることを説明している。
問一 a. 異名――別名。他の呼び方。
d. 照射――光を当てること。
問二 A. 前の段落で非イギリス起源の食べ物が多い→「しかも」ファーストフード的な画一化された食というイメージがある→「だが」実際には独自の食になっている、という流れである。
問三 ・天(変)地異 ・日(進)月歩
問四 ポップコーン・フライドチキン・バーベキューは先住インディアンや黒人奴隷と深い関わりがあるという例だから、アが合う。
問五 8段落に「食文化が貧しいと思われがちなアメリカ」という部分があるので、ここが使える。
問六 健康志向や大胆な食の融合が意識されてきているのだから、ウは合わない。
問七 「農家と消費者の関係」に言及している部分としては、8段落の「ファーストフードへの依存~農業の形までもがゆがめられてしまった」があるので、ここが使えそうである。
問八 「食べ物が伝える記憶」とは、数行前の「食文化は国の特質や創造性、現在位置を把握する貴重な情報を含んでいる」ことを指している。その記憶と向き合うことで「現状を打破し変革を呼び込む」(12段落)ことができるのである。
問九 エ. 3段落の内容と合う。
問十 前半でアメリカを主な例として具体的に示し、後半で意見をまとめているので、ウが合う。
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:27分
農家の子として育った主人公は、果物を単なる商材としか考えない店の主人たちや、また金で買えばよいと言って簡単に腐らせてしまう都会の裕福な人々の意識に怒りと悲しみを覚える。
問一 c. 生意気――年齢や実力を考えない、出過ぎた言動をとること。
問二 「音」と「意味」の両方が表せているものなので、「合羽」と「型録」を選ぶ。
問三 農家で育った人間としての、果物への愛情が感じられる。
問四 「まったく、どうしていいかわからなくなってしまいました」とあるので、イが合う。エの「自分があわれに思えてきた」は文中からは読み取れない。
問五 女の子にバナナをあげようとした場面で、おかみさんが「店の品ものが安っぽくなってしょうがない」と発言している。東京・山の手で富裕層に向けた商売をしているのだという意識であろう。
問六 イ. 主人公としては、「一粒より」の桃を「まるで馬が道ばたの草をでも食べるように」ありふれた食べ物として「たべちらす」のを見ると、選りすぐった良い桃なのだから大切に食べてほしいと思ってしまうのであろう。エは「自分もぜいたくしたい」が合わない。
問七 田舎では果物農家である実家でさえバナナを見たこともないという、都会と地方の差を感じている。
問八 「負ける」は「安くする・割引する」という意味で使っている。
問九 金があるからと言って果物を食べもせずに捨ててしまうという食べ物への愛情のなさに「むかむか」と怒りを感じ、一方で腐りかけの安い果物さえ買いたくても買えない人がいる貧富の差に「悲しい気持ち」になっているのである。
問十 女中にとっては、「お許しがでないといただけない」「どうせまた『奥=家の主人や奥さん』が買ってくれる」という、金持ちが買う自分には関係のないものという認識が語られているので、オが合う。
攻略のポイント
選択肢の問題は、比較的答えやすい問題が多い。書抜き問題も探す範囲が広い点は手間がかかるが、読解がしっかり出来ていれば答えられる。漢字と合わせてこの範囲の問題でしっかり得点を積み上げよう。その上で記述問題でもなるべく高い得点になるよう、過去問・類似問題で記述によく慣れておこう。
高偏差値の学校としては国語の試験は難易度が抑えられている。高得点での戦いが予想されるので、全体をしっかり考えられるスピードと不注意なミスを犯さない慎重さとを身につけておかれたい。
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