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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」
攻略のための学習方法

例年、説明的文章1題・文学的文章1題の計2問で構成されている。
文章量は7000~9000字ほどで総解答数は30問弱。漢字の書き取りが6~7問とその他の知識問題が数問見られる以外は、長文読解が大半を占める読解中心の試験となっている。
設問形式は記号選択が11~12問、記述問題が2~3問、残りが書き抜き問題といった割合で、年度により整序問題なども出題されている。

[長文読解]

素材文は、説明的文章が2500~3000字程度、文学的文章が5000~6000字程度と、文学的文章の方が文量が多くなっているが、設定やストーリーが受験生にもわかりやすい話が多い。一方、論説文は難しい用語や概念も登場し、難易度がやや高い印象を受ける。

選択肢問題は、字数も少ないシンプルな選択肢が多く、内容も無理に迷わせるような複雑なものではないので、得点源としたいところである。

それと比べて書き抜き問題と記述問題はやや難しいものが多い。字数指定はあるが、答えを探す範囲の指定は無く、「本文全体をふまえて」といった条件がつく場合もある。傍線部の近くに答えが無いことも多いので、要領が悪いと時間切れの危険がある。本文のどこに何が書いてあるかを素早く的確に把握する必要がある。

・説明的文章
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容を小見出しのようにつけておくと後でわかりやすい。2016年度ではまさにそのような問題が出されている。
要点と要旨。各段落の最初と最後に注意しながら、傍線などで要点を目立つようにしておき、細部と区別する。要点をまとめて全体の要旨を読み取る。書き抜き問題や記述問題の答えは要点や要旨から見つかることが多い。

・文学的文章
場面の整理。時間・場所・登場人物の移動などから、場面の変わり目を見つけて印をつけておく。解答をどこから探すかの大きな目安になる。
人物の心情を考える。言動や情景などから、特に気持ちが変化した場面に注目して心情を把握する。自分ならばこう考える・・・といった予断は禁物である。あくまで、文中に書かれていること・暗示されていることを手がかりに考える。

以上のような、長文読解の基本的な手順を素早くこなし、解答する際に無駄に答えを探し回らないように練習しておくことが重要である。

[漢字・その他]

毎年、6~7問出題される漢字の書き取りは本校の偏差値からすると易しい問題が多く、標準レベルである。塾などの漢字教材を一冊しっかりこなしておけば心配ないだろう。

言語事項や文法では、品詞・三字四字熟語・慣用句などが数問出されている。本校を受験するレベルの生徒であれば難しくはないだろうが、漢字と合わせて知識問題も油断なく勉強しておきたい。

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2023年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

長文2題合わせて8000字ほどと、2022年度より少なかった。総解答数は29問。漢字と数問の知識問題は3~4分で終え、残りは長文読解に充てることになる。

記述問題は20字のものが1問に60字のものが2問、書き抜き問題が1問。その他は選択肢問題という割合であった。記号選択問題は比較的易しい問題が多いので、できるところからさっさと進め、難しい書き抜き問題と記述問題に少しでも多くの余力を残したい。

【大問1】論説文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:24分

ITのもたらすサービスでは総体としての「自分」への理解は深まらない。筆者はそうした状況を変えるにはノートを書くことが有用であると説き、文章にすることの効用やノートの書き方を述べている。

 

問一 a. 経路  b. 築(いた)  c. 幕  d. 複雑

問二 ITによるビッグデータが記録するのは「立ち現れた行動という結果だけ」であり、思惟の経路や感情・意志は見落とされる、とあるので選択肢イが合う。

問三 直前に「自分という存在に注意を向けることはなくなります」など内容が合っている部分はあるが、字数やつながりなどの条件が合わないので冒頭まで遡って「自分のことなどわからなくてよい」を見つける。

問四 「時間が経った後で役立つ」「三年後にヒントになる」「自分の思いをこえていく」などの表現から、「越境性」が選べる。

問五 読み手に「意外な読まれ方」「予想外の使われ方」をされることで「誤配」が生じるのは、情報は想像を通して間接的に伝わるからなのである。

問六 思ったことが思った通りに相手に伝わってしまうとしたら、それはコンピューター間のアルゴリズムによる機械的なデータのやり取りと同じで、「誤配」など起こらないのである。

問七 . 虫の知らせ  . 虫の息

問八 イ. 一生懸命さや熱意についての言及はない。

問九 直前の数段落をまとめればよい。自分が思い描くビジョンをノートに書き出し、何度も読み返し、書き直す。最初のビジョンを無かったことにするのではなく、それを引き受けた上で新たな方向を考えてみる。それができるのがノートという「考えるためのツール」なのである。

問十 . 具体的には説明されていない。

   . 筆者の体験は示されていない。

【大問2】小説の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:26分
  • ★必答問題

乗っていたバスに蜂が入り込んだことをきっかけに、主人公はかつての偏執観念を思い起こし、あらたな固定観念にとらわれるのではないかと恐れを抱く。

 

問一 a. 保護  b. 武器  c. 委(ねる)  d. 帯(びて)

問二 「喜びはおもむきを変えて報いられた」「危険は私から去ったが依然として存在はした」などから、男女が乗ってきたことで蜂の危険が取り除かれることを期待したが100%望み通りにはならなかった、というところだろうか。なお、過去の偏執観念から蜂が殺されることまでは望んでいなかったと思われるので、アではなくイを選ぶ。

問三 男は瞳に恐怖を浮かべているが、問題に対処するような行動を取ろうとはしていない。困ったように戸惑っているだけであるから、選択肢エがよい。

問四 エ. 男が蜂に同情している様子はなく、「私」が目を閉じたのはかつてのような強迫観念にまた襲われるのではないかと思ったからなので、合わない。

問五 ウ. 面と向かって直接言えないような内容でも、メールなどで間接的になら言えてしまう。状況や立場によって同じことに対する気持ちの働き方が違うのだから、人とは勝手なものである。

問六 命を奪うことに拒絶感のあった当時の主人公が考える「天国」に、他の命を奪って生きる「動物」は入れてもらえないのである。

問七 (1) 青写真――おおよその計画や未来の構想。

   (2) 白眼視――冷たい目で見る・冷遇する。

   (3) 青天白日――潔白でやましいことのないたとえ。

問八 蜂を殺した女にとっても他の人にとっても、その「一点」はもはや特別なものではなくなっているが、主人公にとってはかつての強迫観念を想起させる「一点」として目が離せなくなってしまっている。

問九 (1) 「偏執観念」はかつて主人公をしばりつけて健康を害するまで追い込んだもので、現在はある程度克服していると思われる。一方、「固定観念」の方は蜂が殺されたことから今後また主人公を苦しめるかもしれないと恐れ予感したものである。

   (2) 蜂が殺された状況に即して考える。蜂は人間を攻撃しようとして殺されてしまった。普通に考えれば、人間に危害を加えようとする動物は殺してしまうのもやむを得ないのだが、かつて偏執観念にとらわれた主人公からすれば、それでも自分は生き物を殺すことを許容できないかもしれないと、新たな「固定観念」に苦しめられるのではないかと不安になっているのである。

攻略のポイント

選択肢の問題は、比較的答えやすい問題が多い。書抜き問題も探す範囲が広い点は手間がかかるが、読解がしっかり出来ていれば答えられる。漢字と合わせてこの範囲の問題でしっかり得点を積み上げよう。その上で記述問題でもなるべく高い得点になるよう、過去問・類似問題で記述によく慣れておこう。

高偏差値の学校としては国語の試験は難易度が抑えられている。高得点での戦いが予想されるので、全体をしっかり考えられるスピードと不注意なミスを犯さない慎重さとを身につけておかれたい

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