早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2018年度「早稲田大学高等学院中学部の理科」
攻略のための学習方法
[答案作成力]
答案を作成する能力のうち、注目したいのは、速度と精度の2つの能力だ。これらの能力は、一朝一夕には身につかない。単純な知識の暗記であれば(一問一答であれば)、直前の対策でも生徒に身につけさせることはできる。しかし、答案作成能力は、短期的には伸びにくい。長期間の学習によって、少しずつ身につけていくものだ。したがって、早大学院中等部の志望者は、受験の早い段階から(理想的には小学5年生の後半から)本番を想定した学習を心掛けたい。
具体的には、標準的な演習問題を解く比率を増やし、解答速度を上げておこう。中学受験のカリキュラムは、知識の暗記に時間がかかるので、演習まで手が回らなくなりやすい。そのような形で、演習量が不足してくると、いざ早大学院中等部の過去問に取りかかる時には、問題は解けるが時間が足りない状態になり、焦ってしまうだろう。
そうならないために、基礎知識の暗記では満足せずに、積極的に演習まで挑戦していってほしい。学習時間を増やすことにはなるが、その演習の成果は、受験の本番が近づいてくればはっきりと現れてくる。
[生活環境の観察]
設問には、小学生の生活環境で出会いそうな題材が選ばれている。ここで問われているのは、志望者が生活環境とのやりとりの経験から、知識を深めているかどうかだ。
例えば、【大問2】の(1)は、光の科学現象を題材にしている。正答するためには、科学的な目で、外界を観察した経験が求められる。
現代社会は、何気ない暮らしのなかに、いくつもの科学法則がそれとなく潜んでいるので、観察する機会には困らないだろう。実験授業や理科教室も各地で開催されている。
それでも、もし実験の経験が不足していると感じたら、担当の家庭教師におすすめの理科の実験教材を紹介してもらってもいいだろう。授業を提供して終わりではなく、子どもの学習状況に合わせて学習全体を支援できる点に、家庭教師の強みがある。
[計算の工夫]
計算力には、いくつか確認しておきたい点がある。
まずは、試験時間40分の間、細かな数字を扱い続けても、息切れしないだけの持久力が求められる。設問数が多いので、単純に手をすばやく動かしていかなければならない。一問一問を解く速度を上げながら、試験の後半になっても速度が落ちないことが求められる。
また、細かい小数点以下の計算になった場合でも、計算の精度が落ちないかも気になる。この点は、小学校5年生の段階から計算練習を積んでおけば準備がしやすい。
最後に、試験時間内に、迅速に見直しができるように、式を整理して書き残しておく習慣が欲しい。もし間違った解答を見つけても、あらたまって計算式を書き直している時間は本番にはないはずだ。
志望者に求められる計算力としては、本校において、【大問2】の(6)から(9)と【大問4】の(5)の計算問題が、基準になるだろう。過去問の演習において、時間が足りなくなってしまったり、計算式が立てられても、計算結果を間違えてしまった場合は、計算力を改善しておきたい。
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2018年度「早稲田大学高等学院中学部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は40分で、得点は80点満点だ。
大問数は4問で、分野ごとに一応は整理されているが、単元にはばらつきがあり、幅広い知識を確認しようとする。設問数は40問で多い。一問一問をすばやく解いていく、手作業の早い受験者が有利になる試験構成だ。
【大問1】地学(地層)
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
単元:岩石、天候
内容:地学分野から、岩石・地層の単元と、天候の単元が、それぞれ出題されている。実験方法が、どのような科学法則を用いているのか、理解できるかが問われている。
形式:一問一答形式に加えて、細かな計算方式が加えられている。
(1)面白い設問で、塩酸をかけると二酸化炭素が発生するとあるが、これは石灰岩を指している。ちなみに、チャートは石灰岩と同じく生物の死骸ではあるが、主成分がケイ素となる。
もし間違えてしまったら、それぞれの岩石の名前と性質の暗記からやり直そう。基礎暗記をやり直すだけで得点が上がるだろう。
【大問2】物理(光の性質)
- 難度:難
- 時間配分:10分
単元:ばねの性質、光
内容:日常世界の光の観察と、ばねの性質が、それぞれ独立した単元として出題されている。
形式:一問一答形式だ。細かな計算処理が続くので、時間を稼ぐつもりですばやく解答していきたい。
(6)から(9)受験者の計算力の目安となる設問だ。正答できるように、演習で訓練しておこう。
【大問3】生物(人体)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
単元:人体のしくみ
内容:人間の胎児・新生児を題材にして、生物分野のさまざまな単元を問おうとしている。幅広い知識を抜けがなく身につけておく必要がある。本校の出題傾向がよくわかる内容だ。
形式:典型的な一問一答形式だが、図をしっかりと読めるようになっておきたい。
【大問4】化学(水溶液)
- 難度:標準
- 時間配分:12分
単元:水溶液、物質の化合・分解
内容:化学分野から、物質の化合・分解を、実験を通して正しく理解できているかが問われている。問われている内容は難しくはないが、細かなところまでしっかりと覚えておく必要はある。
形式:一問一答形式に加えて、計算問題が含まれている。
(5)受験者の計算力の目安となる設問だ。正答できるように演習で訓練しておこう。
攻略のポイント
難問と呼ばれる設問は見当たらず、いずれも標準的な解法を用いれば正答できる。きちんとした学習習慣があれば、答案を埋めること自体はやさしい。合否を決めるのは、解答の速度と精度になり、着実に作業ができる受験者が有利になる。また、理科の得意と不得によって、差がつきにくい試験でもあるので、受験者との相性も考慮したい。
対策としては、難問の演習量を増やしてもあまり効果がないだろう。むしろ、過去問の演習量を増やして答案の作成に慣れておきたい。難問が解けるようになるよりは、答案全体の正答率を上げていく方針をおすすめする。
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