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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2016年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」
攻略のための学習方法

[難易度の変化]
高校入試において、かつてより難関校として名を馳せていた早稲田大学高等学院。その中等部として、大きな期待を持って開校したのが2010年。
以来、高い倍率と入試問題の質で受験生に「狭き門」「高い壁」を抱かせてきた同校。
問題の質に上下動はあるものの、多くの受験生の憧れの的となっている。
まず、テスト自体は量より質の学校であること。これを頭に置きたい。
要求されることは、早く問題を解くような機械的な作業というよりは、条件の複雑な問題に対応できるような柔軟な頭である。
難度の低い年度の問題にもその傾向は見られる。
 
[基本は計算力]
学院の問題ではじめに目に飛び込んでくるのは計算問題である。
塾や家庭教師での勉強が説明を要する問題中心となり、学校の勉強は役に立たない水準なので、受験生たちはその問題適応力(応用力)に比べると計算力が貧弱で あることが少なくない。模擬試験でも覚えがあるだろう。後ろの方の問題は正解なのに、はじめの計算問題でミスをしてしまい点数がまとまらなかったことが…
このような場合、先生や保護者は「計算問題で間違えるな」「計算でミスするな」と注意はするものの、「算数の力がないわけではないから…」と浅く反省するだけで次の「文章題」に進んでしまったりする。
もし学院の過去問において計算問題の失点があったようなら、改めて計算についてチェックをしてみる必要がある。間違えるからには必ず理由があるはず。
1つは、分数や小数が混合されている場合、「小数→分数」や「分数→小数」の変換がおぼつかない可能性がある。またはその方法に無駄がある。
もう1つは、特殊な計算問題における、解くためのテクニック不足である。
割合や速さ同様に、計算問題もしっかりチェックしておかないと「ほっといても、いつか出来るようになるだろう」というものでもない。いい機会だと思ってしっかり点検しておこう。本年度の「繁分数」出題は意表をつかれた感がある。
次に頻出分野の「平面図形」や「割合と比」・「文章題」・「速さ」などであるが、こちらは学院ならではの問題の出され方に注意したい。普通の場合、過去問をたくさん解けば慣れが生じてくるのだがご存じの通り、過去問は少ない上にレベルが一定ではない。学院も含め同じ系統の早実や、併願校となるだろう立教新座・明大明治(併願校にはならないかもしれないが)早稲田・海城など少し手強い問題を出す学校の過去問にあたっておくとよいだろう。
 
[基本マスター]
これから算数の基礎を固めていこうとする生徒は、過去問対策は秋になってからでも十分間に合う。
まずは、早い時期に解き方のベースとなるテキスト(「四科のまとめ」「ベーシック」など)に出題されている例題・典型的問題の解法に用いられる公式や解き方はすべてマスターしてしまおう。学院レベルになると、誰でも解ける問題は本当に誰でも解いてしまう。ここで差をつけられるのは致命傷となる。
この3年ほどは、手が付けられないほど難しい出題ではなくなった。平成26年度以前の問題をみるとどうにもならない問題がいくつも存在する。そういった問題が解ける力というのは必ずしも努力によって身につくものでもない。やはり、得手不得手の領域に達しているレベルである。だから、多少言い回しにクセがあっても、そこを乗り切りさえすれば解きほぐしていける問題に変わったのは合格への可能性を高めてくれる、大切なポイントになる。ただ、合格点の上昇は予想できるので学校自体の難易度が低くなると言うものではない。

[まとめ]
以上のことから、合格するための学習法をまとめると
・「計算問題」を軽視せずに、日々の問題演習の中に取り入れ、早く確実に解けるよう仕上げていくこと。少なくとも「計算問題は得意である」という言い切れるくらいになりたい。
・平面図形はじめ、頻出の単元に関しては、標準的な典型題はもちろんのこと、少しクセのある学校の過去問も含めて十分に問題演習を積むこと。
・高いレベルでの競争になるので、簡単な問題が解けるようになったくらいで慢心せずに引き続き難問に挑戦する精神をもって多くの問題にあたること。
早大学院の算数がいつまたかつての水準を復活させるかどうかは分らないが、少なくともここ数年のレベルであれば標準的な学力でも十分に対応できる。あとはその精度を上げるだけだ。最後まで悔いのない勉強を続けよう。

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2016年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が4、小問が17。本年度もまた時間的には持てたと考えられる。
問題の難易にかかわらず、量より質の出題である。難度の上下が安定しないが、本年度は特に学校の偏差値に見合った水準になっている。
合格点を考えると全問正解は念頭からはずし、出来そうな問題を着実に解くとともに、後半の条件が複雑な問題も手を付けられるようにしておこう。
問題数が少ないので、最初の計算問題はぜひ正解しておきたい。

【大問1】計算問題・平面図形

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

(1)からかなり複雑な計算である。しかもこれといってよい解き方がない。限られた時間の中で問題に当たっていかなければならない受験生たちはさぞ肝を冷やしたことだろう。設問の工夫が空回りしているところもいらいらさせられる。
(2)は「繁分数」と呼ばれるもので、解いた経験がないとまったくお手上げになってしまう。また、塾などで学習したとしても何度もくり返す内容ではないので意外と苦戦した生徒が多かったのではないか。
かように【大問1】計算問題の難易度は高く、工夫も一筋縄ではいかない。計算問題については、最上級のものまで取り組んでおく必要がある。
(3)は平面図形の角度を求める問題・面積の割合を求める問題。
これは典型的な出題であるが、昨年度も同じような解き方を持つ問題が出題されている。「図形を切り貼り」または「左側に同じ図形を書き込んで」二等辺三角形を作り、そこから角度を求めるという工夫がそれだ。②もほぼ同様な解法によって答えが導き出されるので①と②で相違点を作ってほしかったところ。
ここまでは全問正解をしておきたい。

【大問2】速さと比

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

距離や速さを1とおいて解く、問題集などでもお目にかかったことがあるだろう速さの問題だ。(1)が解ければ(2)も求まると思われるが、「最初の速さの何倍か」を聞かれているので答え方だけ注意したい。
平易な問題とはいえないがぜひ正解を。解けなかった生徒は同内容の復習に走ろう。

【大問3】立体図形(立体の切断と体積など)

  • 難度:
  • 時間配分:10分

本年度の問題の中で最も難しかった問題。(1)~(3)で正答できていれば良しとしたい。
(1)は立方体を切断面が平行四辺形となる作業を二度行う。作図のていねいさも要求される。
また、(2)ではできた立体の面の形、(3)はその体積を求めよ、という設問であるが図形さえ捉えられていれば解答は難しくない。
(4)以降はさらに切断を重ねるもので難度もはね上がる。当面は(3)までの正解を追及しよう。
すべての設問を失うと苦しくなる。

【大問4】割合の問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

最後には複雑な条件をクリアしながら正解にたどり着くという問題が多い当校だが、本年度もまた問題の意味がわかりづらい、受験生泣かせの問題が出た。
(1)は数値をあてはめれば求まるので何とかできそうだ。
(2)では、与えられた図を少し書き直して、「1~アの長さ」、「1~イの長さ」、「ア~ウの長さ」がそれぞれ等しいことを見つける。ウが整数値なのでア・イも整数であり、ウが10以下の数であることから数値の絞込みも出来る。
(3)は(2)をより複雑にしたもので、「1~2の長さ」、「2~4の長さ」、「4~8の長さ」がすべて等しいことをつかむ。①が解ければ②はおまけ。
解いたことがなさそうな問題だけに苦戦を強いられるが(1)だけでは物足りなさを感じる。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。
早大学院中等部は設立からまだ日が浅く、テストの水準に関しては難易の幅が広くしターゲットを絞りにくいというきらいがある。平成26・27年度と問題の易化が進んだものの本年度は難度を再上昇させている。男子校の算数としては標準的だと思うがやや予想をはずされた感は否めない。

本年度レベルの問題にも対応するためには、標準的な問題を数多くこなす一方で高難度の問題もこなしておく必要がある。併願校として考えられる「立教新座」や「明大明治」の問題が役に立ちそうだ。
まず養うべきは「計算力」。意外と軽視してはいないだろうか。「出来て当たり前」と思われがちな計算問題が合否を分ける学校だけに、ねばり強く計算問題にあたっていけるようにしよう。
多少問題の難度が上方にぶれても対応できるように早大学院の「過去問」にもしっかりと触れておこう。年度によって難度の差が大きいことに気づくはずだ。
「備えあれば憂いなし」。対策はしすぎてしすぎることはない。他科目との兼ね合いも考えながら、算数の力をつけていこう。

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