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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」
攻略のための学習方法

難易度の変化

高校入試において、かつてより難関校として名を馳せていた早稲田大学高等学院。その中等部として、大きな期待を持って開校したのが2010年。
以来、高い倍率と入試問題の質で受験生に「狭き門」「高い壁」を抱かせてきた同校。
問題の質に上下動はあるものの、多くの受験生の憧れの的となっている。

まず、テスト自体は量より質の学校であること。これを頭に置きたい。
要求されることは、早く問題を解くような機械的な作業というよりは、条件の複雑な問題に対応できるような柔軟な頭である。
難度の低い年度の問題にもその傾向は見られる。

 

基本は計算力

学院の問題ではじめに目に飛び込んでくるのは計算問題である。

塾や家庭教師での勉強が説明を要する問題中心となり、学校の勉強は役に立たない水準なので、受験生たちはその問題適応力(応用力)に比べると計算力が貧弱で あることが少なくない。模擬試験でも覚えがあるだろう。後ろの方の問題は正解なのに、はじめの計算問題でミスをしてしまい点数がまとまらなかったことが…

このような場合、先生や保護者は「計算問題で間違えるな」「計算でミスするな」と注意はするものの、「算数の力がないわけではないから…」と浅く反省するだけで次の「文章題」に進んでしまったりする。
もし学院の過去問において計算問題の失点があったようなら、改めて計算についてチェックをしてみる必要がある。間違えるからには必ず理由があるはず。

1つは、分数や小数が混合されている場合、「小数→分数」や「分数→小数」の変換がおぼつかない可能性がある。またはその方法に無駄がある。
もう1つは、特殊な計算問題における、解くためのテクニック不足である。

割合や速さ同様に、計算問題もしっかりチェックしておかないと「ほっといても、いつか出来るようになるだろう」というものでもない。いい機会だと思ってしっかり点検しておこう。本年度の「繁分数」出題は意表をつかれた感がある。

次に頻出分野の「平面図形」や「割合と比」・「文章題」・「速さ」などであるが、こちらは学院ならではの問題の出され方に注意したい。普通の場合、過去問をたくさん解けば慣れが生じてくるのだがご存じの通り、過去問は少ない上にレベルが一定ではない。

学院も含め同じ系統の早実や、併願校となるだろう立教新座・明大明治(併願校にはならないかもしれないが)早稲田・海城など少し手強い問題を出す学校の過去問にあたっておくとよいだろう。

 

基本マスター

これから算数の基礎を固めていこうとする生徒は、過去問対策は秋になってからでも十分間に合う

まずは、早い時期に解き方のベースとなるテキスト(「四科のまとめ」「ベーシック」など)に出題されている例題・典型的問題の解法に用いられる公式や解き方はすべてマスターしてしまおう。学院レベルになると、誰でも解ける問題は本当に誰でも解いてしまう。ここで差をつけられるのは致命傷となる。

この3年ほどは、手が付けられないほど難しい出題ではなくなった。平成26年度以前の問題をみるとどうにもならない問題がいくつも存在する。そういった問題が解ける力というのは必ずしも努力によって身につくものでもない。

やはり、得手不得手の領域に達しているレベルである。だから、多少言い回しにクセがあっても、そこを乗り切りさえすれば解きほぐしていける問題に変わったのは合格への可能性を高めてくれる、大切なポイントになる。

ただ、合格点の上昇は予想できるので学校自体の難易度が低くなると言うものではない。

 

まとめ

以上のことから、合格するための学習法をまとめると

「計算問題」を軽視せずに、日々の問題演習の中に取り入れ、早く確実に解けるよう仕上げていくこと。少なくとも「計算問題は得意である」という言い切れるくらいになりたい。

・平面図形はじめ、頻出の単元に関しては、標準的な典型題はもちろんのこと、少しクセのある学校の過去問も含めて十分に問題演習を積むこと。

・高いレベルでの競争になるので、簡単な問題が解けるようになったくらいで慢心せずに引き続き難問に挑戦する精神をもって多くの問題にあたること。

 

早大学院の算数がいつまたかつての水準を復活させるかどうかは分らないが、少なくともここ数年のレベルであれば標準的な学力でも十分に対応できる。あとはその精度を上げるだけだ。最後まで悔いのない勉強を続けよう。

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2017年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が4、小問が17。本年度も例年並みの分量であり、時間不足に陥るということはあるまい。また、問題文が比較的あっさりとしており、できたかどうかは別として例年よりは取り組みやすかったろう。

問題文をしっかり読み、その内容をよく理解してからじっくり問題解法に向かっても力は十分出せたはずだ。
また問題数が少ないので,最初の計算問題はぜひ正解しておきたい。

【大問1】計算・平面図形

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

(1)本年度は計算問題も例年に比べると解きやすいレベルになっている。①は単純な分数・小数融合の四則計算であり、②は同じ計算のくり返しながら高難度のものではない。

(2)は四角形ABCDの面積を求める問題。三角形ABDと合同な三角形を辺CD上に付け加えることであっさりと求めることができる。が、いかにもパズル的な、学院的な問題である。

(3)もまた等しい面積の部分をうまく使って答えを導き出す。平行四辺形の中に点を取り、頂点と結んで4つの三角形を作ると、向かい合った2つの三角形の面積の和はそれぞれ等しくなる、ということを用いる。やや難しいので、正解できればアドバンテージになる。

<時間配分目安:10分>

【大問2】割合とつるかめ算

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

この問題の一番のポイントは、問題文をちゃんと読めただろうかということだ。ことに「消費税は、消費税抜きの価格の合計に0.08をかけて小数第一位を四捨五入したものとします」というところだ。消費税の求め方を間違えると(1)しかあたらなくなる。問題の質から見て(2)までは正解しておきたいのである意味で合否を分けた問題となったかもしれない。

(3)は消費税からもと価格の合計にはばができるので少し難しくなる。

<時間配分目安:8分>

【大問3】約束記号の問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

こちらも問題文をしっかりと読み、与えられた約束記号をきちんと理解していることが大切だ。こういうときは「たとえば…」から始まる例をよく読んでおこう。「ああ、だいたいわかった」と素通りする生徒のほうが(1)から間違えそうだ。
(1)から(4)まで設問はあるが(3)までは確実に当てておきたい。

<時間配分目安:10分>

【大問4】場合の数

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

本年度は最後の一問まであまり難易度が上がらなかった。もちろん解いてみなければわからない。解き終えた後で、「え、もう終わりなの?」と首をかしげてしまうレベルではある。(4)はまだしも、(3)までは何度も見直して正解しておきたい。時間は十分にある。

(1)の設問は(2)(3)と重複しているが、(1)にあてはまるもっとも大きいものと小さいものの場合の数を(2)(3)で調べることになる。
(2)は組数が多いものの、途中から規則性が発見できればなんとかできそう。
(3)は組数が少なく、全部書き出していけばよい。どちらもあつかう整数が1から10までなのでたいしたことはない。
(4)はちょっと扱いかねる。【大問1】にもどって見直ししよう。

<時間配分目安:12分>

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。

早大学院中等部は設立からまだ日が浅く、テストの水準に関しては難易の幅が広く,ターゲットを絞りにくいというきらいがある。本年度も問題が易化して受験生は意表突かれただろうし、昨年度まであれほど難しかった計算問題も普通のレベルのものである。算数で得点を狙いに来た生徒にとっては少し不運な年度になってしまった。

本年度レベルの問題にも対応するためには,標準的な問題を数多くこなしす一方で高難度の問題もこなしておく必要がある。併願校として考えられる「立教新座」や「明大明治」の問題が役に立ちそうだ。また、難度が高くなることも想定して「早稲田実業」の問題も要チェックだ。

また、多少問題の難度が上方にぶれても対応できるように早大学院の「過去問」にもしっかりと触れておこう。年度によって難度の差が大きいことに気づくはずだ。

「備えあれば憂いなし」。対策はしすぎてしすぎることはない。他科目との兼ね合いも考えながら、算数の力をつけていこう。

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