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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」
攻略のための学習方法

難易度の変化

高校入試において、かつてより難関校として名を馳せていた早稲田大学高等学院。その中等部として、大きな期待を持って開校したのが2010年。
以来、高い倍率と入試問題の質で受験生に「狭き門」「高い壁」を抱かせてきた同校。
問題の質に上下動はあるものの、多くの受験生の憧れの的となっている。

まず、テスト自体は量より質の学校であること。これを頭に置きたい。
要求されることは、早く問題を解くような機械的な作業というよりは、条件の複雑な問題に対応できるような柔軟な頭である。
難度の低い年度の問題にもその傾向は見られる。

基本は計算力

学院の問題ではじめに目に飛び込んでくるのは計算問題である。

塾や家庭教師での勉強が説明を要する問題中心となり、学校の勉強は役に立たない水準なので、受験生たちはその問題適応力(応用力)に比べると計算力が貧弱で あることが少なくない。模擬試験でも覚えがあるだろう。後ろの方の問題は正解なのに、はじめの計算問題でミスをしてしまい点数がまとまらなかったことが…

このような場合、先生や保護者は「計算問題で間違えるな」「計算でミスするな」と注意はするものの、「算数の力がないわけではないから…」と浅く反省するだけで次の「文章題」に進んでしまったりする。
もし学院の過去問において計算問題の失点があったようなら、改めて計算についてチェックをしてみる必要がある。間違えるからには必ず理由があるはず。

1つは、分数や小数が混合されている場合、「小数→分数」や「分数→小数」の変換がおぼつかない可能性がある。またはその方法に無駄がある。
もう1つは、特殊な計算問題における、解くためのテクニック不足である。

割合や速さ同様に、計算問題もしっかりチェックしておかないと「ほっといても、いつか出来るようになるだろう」というものでもない。いい機会だと思ってしっかり点検しておこう。本年度の「繁分数」出題は意表をつかれた感がある。

次に頻出分野の「平面図形」や「割合と比」・「文章題」・「速さ」などであるが、こちらは学院ならではの問題の出され方に注意したい。普通の場合、過去問をたくさん解けば慣れが生じてくるのだがご存じの通り、過去問は少ない上にレベルが一定ではない。

学院も含め同じ系統の早実や、併願校となるだろう立教新座・明大明治(併願校にはならないかもしれないが)早稲田・海城など少し手強い問題を出す学校の過去問にあたっておくとよいだろう。

基本マスター

これから算数の基礎を固めていこうとする生徒は、過去問対策は秋になってからでも十分間に合う

まずは、早い時期に解き方のベースとなるテキスト(「四科のまとめ」「ベーシック」など)に出題されている例題・典型的問題の解法に用いられる公式や解き方はすべてマスターしてしまおう。学院レベルになると、誰でも解ける問題は本当に誰でも解いてしまう。ここで差をつけられるのは致命傷となる。

この3年ほどは、手が付けられないほど難しい出題ではなくなった。平成26年度以前の問題をみるとどうにもならない問題がいくつも存在する。そういった問題が解ける力というのは必ずしも努力によって身につくものでもない。

やはり、得手不得手の領域に達しているレベルである。だから、多少言い回しにクセがあっても、そこを乗り切りさえすれば解きほぐしていける問題に変わったのは合格への可能性を高めてくれる、大切なポイントになる。

ただ、合格点の上昇は予想できるので学校自体の難易度が低くなると言うものではない。

まとめ

以上のことから、合格するための学習法をまとめると

「計算問題」を軽視せずに、日々の問題演習の中に取り入れ、早く確実に解けるよう仕上げていくこと。少なくとも「計算問題は得意である」という言い切れるくらいになりたい。

・平面図形はじめ、頻出の単元に関しては、標準的な典型題はもちろんのこと、少しクセのある学校の過去問も含めて十分に問題演習を積むこと。

・高いレベルでの競争になるので、簡単な問題が解けるようになったくらいで慢心せずに引き続き難問に挑戦する精神をもって多くの問題にあたること。

早大学院の算数がいつまたかつての水準を復活させるかどうかは分らないが、少なくともここ数年のレベルであれば標準的な学力でも十分に対応できる。あとはその精度を上げるだけだ。最後まで悔いのない勉強を続けよう。

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2022年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が4、小問が18と例年とあまり変わらない。本年度の水準であれば時間不足になることはない。
本年度は【大問1】・【大問2】が「標準」レベル、【大問3】・【大問4】が「易」~「難」レベルで、【大問3】【大問4】の後半には解きにくい設問がそろった。このことから、昨年度よりはレベルが上がっていることが分かる。当校の場合、問題文の指示がわかりにくく、内容をよく理解してからでないと解きにくいという特色がある。本年度もそれは顕著でしっかりとした早大学院対策が非常に効果があったと思われる。

【大問1】計算・公約数・場合の数・記号のあてはめ・等積移動

  • 難度:標準
  • 時間配分:15分
  • ★必答問題

(1)の計算を除くと、少し風変わりな小問が並んでいる。易しいと言えば易しいし、難しいと思えば難しい。(2)(4)をうまく切り抜ければ大丈夫だ。

  • (2)2022という西暦を使った問題だが、2022を素因数分解して2×3×337としたところで、左側にある分数の分子に同じ337が見つけられることで問題の糸口が解けよう。2010もまた2×3×335素因数分解できる。これらのことから左辺と右辺の公約数が見つかるのであとは□にあてはまる数を限定するだけだ。
    (3)は小学4年生くらいの知識でも解ける問題になっている。A÷B=2あまりCなので、Bをうまく見つけられればすぐに解けそう。うまくはまらないとイライラしそうな設問である。

(4)もまたとりたててやまい方法はない。あが+か×であることは左右の関係から見当がつくのであとはうまくあてはめていきたい。
(5)は中心角がすぐにわかるのでそこからおうぎ形の半径が求められる。あとは典型的な等積移動で、大きなおうぎ形から小さなおうぎ形をひけば良い。
毛色の変わった問題が多いものの、なんとか全問正解で切り抜けたい。

【大問2】立体図形(辺の本数・体積)

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

操作1、2、3を行うことによって立方体の8つの頂点に小さな正八面体が出来る。もともとの立方体と正八面体の辺の本数や体積を求めていく問題で、見た目よりは易しく感じる。
(1)①APが2.5cmのときは立方体のもともとあった辺が残るが、APが3cmになると立方体の辺は残らなくなるから、正八面体の辺の数だけを求めることになる。
(2)8つの頂点に作られた正八面体のうち、三角すい1つ分だけが立方体の中に食い込んでいるのでそこをうまく処理したい。
(3)APを2cmにしても考え方は(2)と同じである。(2)(3)の趣旨の違いが分からないのが腑に落ちないところ。こちらの正八面体の体積は分数になるがそのくらいの違いしか…

【大問3】調べ

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

まことに早大学院らしい、あまり他では味わえないような調べる問題である。とにかく書いている手順をしっかり飲み込めないと、(1)から苦戦することになる。
それには具体的な例を示している図1の場合を参考にすることだ。
(1)はまだ複雑な道のりではない。線が複数で出いるところでは時間がかからない方を選んでいかなくてはいけない。
(2)(1)をさらに複雑にしたもの。この(2)は次の(3)にも影響するのでここは正解しておきたいところである。
(3)では最短時間のときに通った線以外は除外してもかかる時間に影響は出ないので最短時に通った線を太くするなどして工夫すると良いかもしれない。ただ、ここからは点差がつく設問になっていて難易度も低くない。
(4)(3)とは逆に最も長くなる場合を考えなくてはならない。さっきとは反対に、たとえば「太線」で表した線を除外していけば良い。本数・Gにあてはまる数両方を正解するのは容易ではないので、時間がなければ飛ばしても良い。

【大問4】速さ

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分

400mのトラックを2人で走る旅人算だが、やはり条件が混んでおり途中から難易度は上がる。
(1)はA君が20m走るまではB君は走れないので、A君が20m走るのにかかる時間を求める。与えられている速さは分速だが結局秒単位の計算をすることになる。ここは易しいので正解必至。
(2)こちらもまだついていけるだろう。A君が1周するのにかかった時間と20m遅れてくるB君が20mを走る時間を加えれば良い。
(3)B君が先に走り出すと言うことは、遅れて走り出すA君をどこかで半周分くらい追い上げることになる。まずB君が200m先に出る。このとき、AとBの差は200mである。Bはあと200-20=180(m)差をつめることが出来るのでそこまでにかかる時間を計算する。そのあとはAと同じ速さになるので(2)と同じようにA君が2周走り終えたあとからB君は(2)と同じだけ遅れてゴールする。設問はB君が走り始めてから、となっているのでここは注意して答えたい。
(4)B君が走り始めてから20mたってからA君が走り始めるとB君が20mに追い着くまでの時間が最も長くなるからこちらを使って計算していく。ただし10分という練習時間の縛りがあり、その間A君はずっと走っているわけではないので正解するのはかなり難しいだろう。本年度では最難関の問題である。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。
本年度の問題は、前半が標準的であり、後半の大問もはじめの設問は平易だったりその後は難度が上がったりとなかなか点数が読みにくい年度となった。
【大問1】【大問2】をしっかり正解した上で【大問3】は(1)(2)まで、【大問4】も(1)(2)までは解けると思うのでこれらの問題をしっかりと押さえられれば合格点には届いたことと思う。この3年間はそれほどではないものの、この学校を制するには作図力が欠かせないのでその対策は怠らないことが大切だ。受験に際し、当校の算数に対応するためには標準的な問題を数多くこなす一方で高難度の問題にも手をつけておく必要がある。併願する可能性が高い大学付属中の過去問でも算数の難度が高い「立教新座」「明大明治」「早稲田実業」の問題は要チェックだ。
また、学院らしい算数が4年続いたのでくれぐれも早大学院の「過去問」対策には重点を置いて勉強したい。

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