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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。

また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2024年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数49問と多めであった。適語記入の問題が多く、1~2行程度の記述が4問出されている。長文の記述問題は無かったが、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。

選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。

【大問1】地理分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:大問1・2合わせて19分
  • ★必答問題

桜前線を題材とした問題。

問1 地図上に線で示せるのは、同じ時点・同じ数値の地点を線で結んだ場合などであるから、選択肢が合う。

問2 日本における桜の開花(九州~北海道付近まで)は3月下から5月中旬ころで、それを11本の線で区切っているので、間隔はおおよそ5日ごとである。

問3 桜の開花の基準となる樹種は、全国各地に広く分布しているソメイヨシノである。

【大問2】地理分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:大問1・2合わせて19分
  • ★必答問題

日本各地の湾や水域を題材に、各地の産業や特徴などについて訊かれている。

各地域は、有明海・松島湾・東京湾・内浦湾・八代海・三河湾・駿河湾・陸奥湾・瀬戸内海・博多湾となっている。

問1 (1)浦賀  (2)球磨  (3)富士  (4)三内丸山  (5)豊後  (6)福岡

問2 A. 有明海・  B. 松島湾・  C. 東京湾・

問3 D. 内浦湾  H. 陸奥湾

問4 は有明海でのりの養殖、は松島湾でかきの養殖、は内浦湾でホタテの養殖がそれぞれ盛んである。

問5 京都府はわずかに日本海と接しているだけで海岸線は短い。

問6 赤潮

問7 里山

問8 北海道内浦湾の近くの活火山であるから、有珠山を選べる。

問9 線状降水帯

問10 三河港は日本のほぼ真ん中にあり、西日本・東日本のどちらへの輸送にも便利な位置にあるため、自動車の輸入も多くなっている。

問11 船での輸送はコンテナを利用するのが大部分なので、コンテナの積み下ろし用のクレーンや大規模な倉庫などを備えたコンテナ埠頭が必要となる。

【大問3】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:大問3・4合わせて14分
  • ★必答問題

情報伝達を話題に、各時代の出来事などについて訊かれている。

問1 白村江

問2 ア. 大化の改新で滅ぼしたのは蘇我蝦夷・入鹿父子である。

問3 六波羅探題は朝廷の監視と西国の武士の統制を目的として設置された。 

問4 元寇が起こったときの執権は第8代北条時宗である。

問5 イ. 南北朝の合一を果たしたのは第3代将軍足利義満である。

問6 正長

問7 日本橋

問8 江戸時代には寺子屋が開かれるなど、庶民の中にも読み書きができる人が増えた。また、飛脚制度が敷かれモノの流通が盛んになり、手紙・書物や瓦版などの文字媒体も広く流通し手に入れやすくなったと考えられる。

【大問4】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:大問3・4合わせて14分
  • ★必答問題

各地の鉄道を話題として、各時代の出来事や人物について訊かれている。

問1 イ. それまでの物納が現金に代わっただけで、農民の実質的な負担は変わらなかった。

問2 屯田兵

問3 下田

問4 アは徳川吉宗の享保の改革、は田沼意次の改革、は松平定信の寛政の改革の説明である。

問5 ウ. 日清戦争後の下関条約では清から日本に賠償金2億両(テール)が支払われている。

問6 新井白石による「正徳の知」の施策の一つである。

問7 敦賀

問8 ア. 松尾芭蕉は俳人である。

   ウ. 『南総里見八犬伝』の作者は滝沢馬琴である。

   エ. 『東海道五十三次』の作者は歌川広重である。

問9 サンフランシスコ

問10 明治14年(の政変)

【大問5】現代社会分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7分

児童手当をめぐる議論を題材に、子育て・労働・ジェンダーなどの問題について訊かれている。

問1 A. 貧困  B. 政教分離

問2 Cには、子どもを持たない人への差別ともとられかねず、容易に中立性を欠くと判断できるが入る。には、「将来の税や保険の担い手」などの話からが合い、残るにはが入る。

問3 財源が限られている以上、制限を設けて手当てが必要とされる世帯に重点的に給付したほうがよいという考えである。

問4 (1) 横軸に年齢をとると、結婚や子育てによる退職などで特定の年齢の範囲で中央がへこんだようなグラフになると考えられる。

   (2) そもそも結婚をせず働き続けたり、結婚年齢が上がったりという、未婚者が増加していることが考えられる。

問5 (1) 空欄に入るのは「人種・信条・門地」という語なので、「障」の字は使われていない。

   (2) 選択肢の発言は、その時の周囲の状況や本人の気持ち次第で性別を変えられるというような、トランスジェンダーの精神と身体を軽んじているような意識が垣間見える。aさんが手術を受けないことをわがままであるかのようにとらえた非難めいたニュアンスも感じられ、aさんを傷つける発言となっている。

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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