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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される

 

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

 

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

 

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

 

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。

また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2019年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数57問と問題数が多い。適語記入の問題が多く、1行程度の記述3問と2~3行ほどの記述2問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。

選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう

【大問1】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:4分

噴火のハザードマップを題材とした問題

問1 ア. 噴石の被害は予想されていない。

   イ. 噴火口からは南東に被害が予想されている。

   ウ.「 四方」ではなく偏っている。

   オ. 西側は道路も少なく、火砕流・土石流の予測があり危険である。

問2 写真の施設は厚いコンクリートで噴石から身を守るシェルターであり、噴石予測が出ているエの地点に設置するのが良い。

【大問2】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:11分
  • ★必答問題

エネルギー資源を話題とした問題。

問1 (1)・(2) 福岡県の筑豊炭田や北海道の石狩炭田などかつては多くの炭田で採掘が行われていた。

   (3) メタンハイドレートはメタンガスが水和状態で存在するもので、見た目は氷に似ている。日本近海でも天然ガス100年分にあたる埋蔵量があるとされるが、高い採掘コストなど実用化には多くの課題がある。

問2 石炭はオーストラリア・インドネシア・ロシアなど、石油はサウジアラビア・アラブ首長国連邦・カタールなどが主な輸入先である。

問3 作物のしぼりかすが家畜の飼料になり、その家畜が出した糞尿が作物の肥料になるという循環が行われるのである。

問4 イ. 木材の輸入先はカナダ・アメリカ・ロシアが上位を占めている。

   ウ. 木曽ひのき・青森ひば・秋田杉が正解。

   エ. 森林面積は国土の約三分の二である。

問5 イ・キはそれぞれ愛知県・熊本県であるから豆みそと麦みそ、他は米みその地域である。

問6 (1) せんべい汁は青森県八戸周辺の郷土料理。

   (2) 「一汁三菜」は和食の基本とされ、ご飯と汁物に3つのおかずを組み合わせた形。

問7 バイオマスエネルギーは生物・有機物を起源とするエネルギーのこと。

問8 ウ. 屋久島や種子島宇宙センターなどから、鹿児島県。

   オ. 雪の多い新潟県の山間部にはスキー場が多く造られており、稲作地帯で耕地面積も大きい。

   カ. 岡山県は南部の瀬戸内海沿岸に工業が発達し、人口も多い。たたら製鉄は大きなふいごを踏んで鉄をつくる製法。映画「もののけ姫」のモデルもこの奥出雲地方だといわれている。

【大問3】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

人の移動を話題とした問題。

問1 50万人以上ものロヒンギャ民族がミャンマーの隣国バングラデシュに難民となって流入している問題。ノーベル平和賞受賞者・アウンサンスーチー氏が国家顧問を務めるミャンマーで起きた難民問題に、世界からの批判も起こっている。

問2 韓国の済州(チェジュ)島には内戦が続くイエメンから多くの難民が流入している。

問3 白村江(はくすきのえ)の戦い――滅亡した百済の生存者の求めに応じて日本は663年に援軍を送ったが、唐・新羅の連合軍に大敗した。

問5 ア. 国分寺を建てたのは聖武天皇。

   ウ. 特産物を納めるのは調。

   エ. 律令制度は唐にならったもの。

問6 方丈記は随筆、万葉集は和歌集、古事記伝は評論・注釈書である。

問7 当時の日本が目標とした中国は異民族支配の帝国型国家だった、とある。日本も百済王氏や蝦夷・隼人ら異民族を支配している国であることを示したかったのだと思われる。

問8 古今和歌集は醍醐天皇の命により編纂されたものであるからアは×。また、教王護国寺を空海に与えたのは嵯峨天皇なので、イも正確ではない。

問10 日本が異民族支配を前提とした帝国国家をめざさなくなったと書かれている。かつては異民族と意識された人々も、このころには日本に溶け込み同化して、もはや日本人であったと考えられるのである。

【大問4】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

各地の歴史に関する事物を題材にした問題。

問1 (あ) 原爆ドーム・厳島神社などから広島。

   (い) 下関条約・ふく料理などから下関。

   (う) 五稜郭があるので函館。

   (え) ラクスマンが来たのは根室。

   (お) 富岡製糸場が作られた群馬県・富岡。

   (か) 伊勢神宮や伊勢志摩サミット。

   (き) 引揚港はいくつかあるが、最後まで開かれていたのは京都府・舞鶴。

問4 アは、朝鮮を独立国と認めるということなので×。エはロシア・ドイツ・フランスの三か国である。

問6 ウはモリソン号事件の説明である。

問8 伊勢志摩サミットには中国は参加していない。

問9 選挙権は20歳以上なので、エは×。

【大問5】政治経済分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

成人年齢を話題とした問題。

問1 三郎が、「選挙権年齢との統一性」と18歳への引き下げに言及しておきながら、「若者は成熟が遅れている」と逆の考慮をしている。

問2 A・Bは内閣の仕事である。

問4 認知件数の増減と比べて検挙件数は増減の変化が少ない。これは、警察官を大はばに増やさない限り検挙できる数にはおのずと限界があるということを示している。

問5 A. 説明は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)についてである。

   C. 拒否権があるのは5つの常任理事国だけである。

問7 最高裁の判事については、国民審査で過半数の否認があれば罷免される。

問10 障害者を特別に優遇することも一種の差別であるということである。

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え、結果を推測する思考力を養おう。

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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