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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される

 

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

 

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

 

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

 

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。

また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2020年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数53問と問題数が多い。適語記入の問題が多く、2行程度の記述2問と100字以内の記述1問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。

選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。

【大問1】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分

商業施設についての統計をもとにした問題。

問1 (1)は店舗数の少なさから百貨店、(2)はその逆でコンビニエンスストア、(3)が総合スーパーである。

問2 通学通勤前や帰宅途中の人が多く通行する駅周辺にはコンビニが多く、住宅街にも点在している。

問3 総合スーパーは大規模な施設で、やや遠くからでも車で来店する人が多いため広い駐車場がある場合が多く、大きな幹線道路沿いによく建てられている。

【大問2】地理分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:14分
  • ★必答問題

各地の山を題材として、その周辺の地形や産業などについて訊かれている。

問1 エ. 内浦湾ではホタテの養殖が盛んである。近くには外国人スキー客が多く訪れるリゾート地ニセコもある。

問2 ジオパークは「大地の公園」という意味で、地球科学的な遺産を保全し、教育や持続可能な開発を目的として管理された、自然と親しめる場所である。

問3 鳥海山・月山は出羽山地に含まれる。岩木山は出羽山地からやや離れている。

問4 浅間山は長野県(旧・信濃)と群馬県(旧・上野)にまたがっている。

問6 東側には岐阜県がある。伊勢湾に注ぐ長良川では鵜飼いが観光客に人気である。

問7 (1)・(2)合掌造りは雪の被害を防ぐ工夫である。冬に北西から強い風が吹くため、屋根の斜面が南北を向いていると風の抵抗が大きく、また日光が当たらない北側の雪が溶けないという不便が生じるため、東西に向けているのである。

   (3) 世界遺産に登録されると観光地として人気が出るので、人が多く訪れる弊害が出る。近辺の道路の渋滞やごみの増加、観光施設と民家の区別がつかない外国人旅行客が勝手に敷地に入り込むなどの問題が増えている。

問10・問11 筑後川は阿蘇山を水源にして熊本県・大分県・福岡県・佐賀県を流れて有明海に注いでいる。

問12~問14 雲仙岳があるのは長崎県・島原半島で、隠岐諸島は島根県にある。諫早湾には干潟が広がっていたが、国の干拓事業により水門が閉じられた。

問15 当初は噴火でできた小さな島は西之島新島と呼ばれていたが、噴火が続き西之島と一体化した。

【大問3】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

日本文化の始まりというテーマで、各時代の出来事や人物について訊かれている。

問1 壬申の乱に勝利した大海人皇子は後に即位して天武天皇となった。

問2 後半まで目を通すと、北海道・本州・琉球までを含めた日本全体の話をしているので、「国」という体制よりも土地・地域という意味で「日本列島」の文化などと考えればよいようである。

問4 輪島塗や会津塗は木地に樹液である漆(うるし)を塗って仕上げる伝統工芸である。

問5 イ. 親鸞は浄土真宗の祖である。

   エ. ジャガイモではなくサツマイモである。

問6 蝦夷は大和朝廷から見た日本の東方、東北地方を中心とする地域に住んでいた人々。

問9 大きく分けて北海道の「北の文化」・大和政権を中心とする本州~九州の「中の文化」・沖縄など南西諸島の「南の文化」とした場合、文中に述べられている東北地方などは一度は稲作を取り入れていながら後にやめてしまっている。このように、隣の文化圏の影響を受けながらも、はっきり属しているわけでもなく分類の難しい地域を「ボカシの地域」と呼んだのだと考えられる。

【大問4】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

日本の世界文化遺産に関連する歴史の問題。

問1・問2 Aは兵庫県・姫路城の説明。奈良県の法隆寺とともに世界文化遺産に登録された。は原爆ドーム。宮島にある平家ゆかりの神社は厳島神社。は長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産。原城は島原・天草一揆の戦場となった。

問3 イ. 新井白石の正徳の治の説明。

   ウ. 人返し令は老中・水野忠邦の天保の改革の施策。

   エ. 上知令は旗本・大名領を幕府の天領にしようとしたもの。

問5 Dは石見銀山についての説明。

問6 ウ. 県令には幕府が任命した人物がついた。

問7 反射炉は溶鉱炉の一種で、大砲などの武器とするために鉄などの金属を作った。

問8 ウ. 朝鮮の領有権が認められたわけではなかった。

【大問5】政治経済分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

2019年に起こった出来事。

問1 (1) 参議院選挙が3年ごと、統一地方選挙が4年ごとなので、最小公倍数の12年に一度となる。

   (2) イ. 衆議院の予算先議権。

      ウ. 法律案については再び衆議院で三分の二以上の賛成があれば可決となる。

      エ. 内閣不信任の決議ができるのは衆議院だけである。

問3 飲食料品・持ち帰りの食事・新聞代などは軽減税率の対象となった。

問4 エ. 防災や国土強靭化は、世代や社会保障とは直接の関係がない。

問6 国連気候変動サミットでは、スウェーデンの環境活動家・グレタさんの演説が世界的なニュースになった。

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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