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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。

また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2022年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数51問と多めであった。適語記入の問題が多く、1~2行程度の記述3問と80字程度の記述1問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。

選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。

【大問1】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:4分
  • ★必答問題

自然災害を題材とした問題。

問1 石碑をかたどったアが自然災害伝承碑の記号である。

問2 Cは内陸・沿岸・島でも発生しているので土石流、Dは沿岸部だけなので津波と考えられる。Aは雪の多い地域であるから雪崩、Bは沿岸部だが津波が到達しにくい内湾でも発生しているので高潮である。

問3 地図で示されているのは平野や沿岸部、盆地など平地になっている場所が多い。広く風が吹き抜けるような地形で竜巻が発生しやすいと考えられる。

【大問2】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

海に関する話題で、漁業や交通などについて訊かれている。

問1 (1) 遠洋  (2) 沖合  (3) 潮目・潮境  (4) 対馬  (5) 千島(6) ヒスイ (7) サンゴ

問2 近年の水揚量第1位は千葉県・銚子漁港。

問3 宮城県・石巻漁港。

問4 内陸県で行われる内水面養殖ではニジマスなどの川魚が多く育てられている。

問5 エビの輸入ではベトナム・インドが1位・2位(2019年)となっている。なお、2020年ではインド1位・ベトナム2位と逆転している。

問6 距離で考えれば、1位は航空で2位が旅客船、以下は鉄道・自動車となる。

問7 日本最西端は与那国島だが、登録された島の中では西表島が一番西にある。

問8 中国やその他の地域が多い点から、東シナ海にあって東南アジアなどからの漂流物も多い奄美と考えられる。

問9 レッドリストは絶滅の恐れのある野生動物の一覧で、国際自然保護連合(IUCN)が作成している。日本の環境省がつくった「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」も、レッドリストと呼ばれる。

問10 日本語訳では「持続可能な開発(目標)」と呼ばれている。

【大問3】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

日本海側沿岸を題材として、いろいろな時代の人物やできごとについて訊かれている。

問1 イは岩手県平泉、ウは福岡県博多湾、エは滋賀県琵琶湖岸での出来事である

問2 ア. 天智天皇ではなく、持統天皇。

   ウ. 放射状ではなく、碁盤目状である。

   エ. 福原は、現在の神戸付近である。

問3 エ. 室町時代ではなく、鎌倉時代のことである。元寇に関連する出来事として覚えておこう。 

問4 『日本書紀』は、720年成立の日本初の正史である。

問5 江戸時代の幕府による鎖国がまず思い浮かぶ。遣唐使の廃止なども考えられる。

問6 因幡(鳥取県東部)が山陰地方に含まれる。

問7 九州地方から東北地方へと広まっていった稲作が考えられる。

問8 太上天皇は聖武天皇と光明皇后の娘である。

問9 院政を敷いた人物として、白河天皇・鳥羽天皇・後白河天皇などを覚えておこう。

問10 江戸時代に西廻り航路が整備されると、海路から陸路への積み替えの手間や費用がかかり欠米も発生する敦賀・琵琶湖経由よりも、船による大阪直送が便利になった。

【大問4】歴史分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

オリンピックを話題として、戦争や戦後日本の歴史などについて訊かれている。

問1 (あ) 第一回オリンピックの開催地はアテネ。

   (い) 1937年の盧溝橋事件をきっかけに日中戦争がはじまったと考えられている。

   (う) ソ連のアフガニスタン侵攻を非難して、多くの西側諸国がボイコットした。

問2 ドイツ・フランス・ロシアによる三国干渉であった。

問3 ウ. ロシアではなく、ドイツに宣戦布告した。

問4 ア. 企業間の自由な競争を促すため、財閥を解体した。

   イ. 農地を地主から買い上げて農民に安く売り、自作農を増やそうとした。

   ウ. 20歳以上のすべての男女に選挙権が認められた。

問5 クーラー(Cooler)のCである。

問6 第二代内閣総理大臣は黒田清隆。「少年よ、大志を抱け(Boys, be ambitious)」の名言で知られるのはクラーク博士。

問7 牛に引かれて善光寺参りは「偶然のきっかけで、思いがけない縁が結ばれる」という例え。武田信玄と上杉謙信は川中島の戦いで数回、相まみえている。

問8 イ. 欧州共同体ではなく北大西洋条約機構(Nato)である。

問9 2024年はフランスのパリ、2028年はアメリカのロサンゼルスで開催予定である。

【大問5】政治経済分野

  • 難度:
  • 時間配分:6分

日本国憲法の条文を読んで考える問題。

問1 ウ. Dの条文を読むと、「質及び量」と小さなレベルの併合で「及び」を、「質と量並びに格差」と大きな併合で「並びに」を使っているので、この選択肢の説明は逆である。

問2 「国の交戦権は、これを認めない」

問3 エ. 契約書のない日常的な金額の小さい買い物でも、法的には売買契約が成立する。

問4 (1) 「子供を産めない」という理由で結婚が認められないなら、高齢者同士や何らかの身体的・精神的な理由などで子供を産めない人も結婚できなくなってしまう。

   (2) Zの立場からは「税制上の機会平等という話なら、動物婚だけ認められないのはおかしい」という理屈であろうから、選択肢イは合っている。

   (3) ア. 結婚制度がなくなれば、そもそも「非嫡出子」自体存在しなくなるのであるから、差別はなくなるはずである。

問4 (1)・(2) 成人年齢が18歳以上に引き下げられた際に、結婚可能年齢も男女ともに18歳となり、Eの法律は意味をなさなくなるので廃止が決定した。

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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