｢漢字の読み書き｣(全８問)。｢読み｣が３問で｢書きとり｣が５問。
一見平易に思えるが、実は……、｢神奈川女子御三家｣のひとつである本校ならではの､｢あれっ？｣といった｢落とし穴｣があるかも。
当然、｢全問正解｣といきたいのだが、｢ワナ｣になりそうなものを挙げれば、
(３)｢買い物かごを提げる｣(＝｢さ(げる)｣)、
(７)｢ヒキこもごもの人生｣(＝｢悲喜｣｡｢悲喜こもごも｣＝｢悲しいこととうれしいことを、代わる代わる味わうこと｣という意味も覚えておきたい)、
(８)｢雑誌をカイランする｣(＝｢回覧｣)だ。
｢トメ｣｢ハネ｣などにも要注意。

＜時間配分目安：２分以内＞

｢子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの１年間｣――誰もが身にしみるリアルさを、シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集の一編。本文では、自分を変えたいと思い､体育系の部活にこだわっていた主人公の｢千鶴｣が、｢しほりん｣の励ましもあって､演奏に心を奪われた吹奏楽部への入部を決めるまでの様子が描かれている。内容は理解しやすいはずだ。
｢不適切選択肢｣｢心情及び換言説明記述｣｢表現の本文合致｣など、多彩な設問が並ぶ。
以下、いくつか確認する。

[問一]　｢語句の空所補充選択肢｣(３問/６択) 
本文中の空所　A　～　C　にあてはまる｢言葉｣を答える。
各選択肢は全て｢副詞｣だ。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で､前後の｢文脈｣から｢その様子｣を表すのにふさわしい｢言葉｣を判別していきたい。
｢ひとりで　A　している女子｣＝選択肢(エ)｢ぽつんと｣､
｢中学に入って以来、その思いは　B　強まった｣＝(カ)｢ますます｣､
｢　C　肩から力がぬけた｣＝(イ)｢すうっと｣となる。
判別が難しいときには、｢候補｣を入れ替えてきっちりと確認することが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問二]　｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)
傍線部(１)｢そこそこ平和な中学生活を送る自信があった｣について、｢それはなぜか｣を説明する。
先ずは、誰が｢自信があった｣のかだ。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認する。直前に｢千鶴は｣とある。次に、傍線部だけでは何も分からないので、｢直前直後｣を確認する(｢小説では同一場面の直前直後に根拠あり｣、これは｢小説｣の｢最重要解法｣)｡直後から｢いじめとか、ケンカとか、そういう物騒なものとは無縁の日々。それは自分がごくふつうのめだたない生徒だからだと千鶴は思っている｣ということが分かるはずだ。であれば、｢そこそこ平和｣＝｢物騒なものとは無縁の日々｣⇒なぜなら｢自分がごくふつうのめだたない生徒｣だと｢千鶴は思っている｣とつながる。以上を｢過不足なく｣まとめていきたい。
たとえば、｢千鶴は自分自身を、いじめとかケンカなどといった物騒なものとは無縁な､ごくふつうのめだたない生徒だと思っていたから。｣といった｢答え｣になる。
｢理由説明記述｣では｢直接的理由｣(最重要要素)を｢文末｣にすることを徹底せよ。

＜時間配分目安：２分以内＞

[問三]　｢換言説明不適切選択肢｣(５択)
傍線部(２)の｢特急タイプ｣について、｢このタイプにあてはまらないもの｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則(｢不適切選択肢｣なので｢適切なもの｣を｢消去｣する)｡
先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
各選択肢の｢文末｣(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)と、傍線部の｢特急｣(無論｢比喩｣だが、その｢原意｣をとらえる)とが結びつかないものを｢消去｣する。
選択肢
(ア)｢突進する｣
(イ)｢勢いよく追いこす｣
(ウ)｢すぐに上達する｣
(エ)｢調和を第一に考えて行動する｣
(オ)｢周囲をハラハラさせる｣
(エ)以外は｢特急｣の｢原意｣と結びつくので全て｢消去｣可能だと分からなくてはいけない。そして、(エ)は｢文末｣以外の部分の説明も特に誤ってはいない｡
したがって、｢答え｣となる。｢原意｣で｢一発消去｣、活用すべし。

＜時間配分目安：１分＞

[問四]　｢心情説明選択肢｣(５択)
傍線部(３)の｢砂浜の波が引いたあとで足もとの砂がすっと動くみたい｣について、｢このときの千鶴の気持ち｣を答える。
当然、先ずは｢原意消去｣といきたい。だが、傍線部の｢比喩｣の｢原意｣では難しい。
そこで、次の｢消去手段｣を考えたい。
｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣だ。
直後に｢千鶴の心は音のほうへ引きよせられた｣とある。
各選択肢の｢文末｣を確認する。
(ア)｢驚いている｣
(イ)｢心をうばわれている｣
(ウ)｢無力さを感じている｣
(エ)｢前向きな気持ちになっている｣
(オ)｢冷静さをとりもどしている｣
｢千鶴の心は｣｢引きよせられた｣のだから、(イ)以外は｢消去｣できると分かるはずだ。
｢前半の説明｣も不適切ではないので、｢答え｣は｢(イ)｣となる。
再び｢一発消去｣｡｢消去｣の｢解法｣をいくつも習得していることが勝利への早道だ。

＜時間配分目安：２分＞

[問十]　｢本文合致選択肢｣(５択)
｢文章全体の表現の特色｣を答える。
本校だけではなく､｢小説｣ではよく問われる｢表現｣についての｢本文合致問題｣だ。こうした問題では、｢表現技法｣などの｢事実関係｣で｢消去｣することが鉄則だ。
各選択肢の｢ポイント｣を確認したい。
(ア)｢擬音語を多用｣⇒｢擬音語｣はほとんど用いられていない＝｢不適切｣、
(イ)｢季節が色で描かれている｣⇒あてはまるような表現はない＝｢不適切｣、
(ウ)｢セリフを最小限に抑える｣⇒｢セリフ｣の部分は決して少なくない＝｢不適切｣、
(エ)｢短い文を効果的に用いる｣⇒確かに｢短い文｣を連ねている＝｢適切｣、
(オ)｢比喩を多用｣⇒｢比喩｣は用いられているが、｢多用｣とまではいえない＝｢不適切｣。
よって、｢答え｣としては｢(エ)｣が残る。
尚、同じ｢小説での本文合致｣でも､｢内容｣や｢心情｣などに関する問題は､｢本文全体｣と詳細に照合する必要があり時間がかかるので、｢戦術的｣には｢あとまわし｣にする方がいい(無論、｢捨て問｣でも構わない)｡

＜時間配分目安：２分半＞

思春期になると誰しも頭を悩ませる｢自分らしさとは何か｣という問題の答えを見出しにくい現代において、どうすれば｢自分らしく生きていけるのか｣について心理学者である筆者が論じている。本文では、｢自己｣は｢他者の視線｣からつくり出されたものだと指摘している。｢哲学論｣ではあるが中高生向けに論述されており、さほど難解な語句もなく内容は理解しやすいはずだ。
｢空所補充｣｢抜き出し｣｢総合的知識問題｣など、多彩な設問が並んでいる。
以下、いくつか検証してみたい。

[問一]　｢内容説明選択肢｣(５択)
傍線部(１)｢鏡映自己という言い方には、そんな意味が込められている｣について、｢どのような意味がこめられているか｣を答える。
当然ながら、即座に｢指示語換言問題｣だと気づかなくてはいけない。｢指示語｣が出たらすぐに開くこと(これは｢基本のキ｣だ)｡ここでの｢そんな｣という｢指示語｣は段落冒頭だ。｢段落冒頭の指示語」は｢前段落全ての内容を指示す｣が鉄則、したがって、｢そんな意味｣＝｢他者の目という鏡に映し出されない限り、自分の内面的な特徴を知ることができないという意味｣(＝前段落の要旨)となる。であれば、選択肢(ウ)の｢他者の目を通すことによって自己を知ることができという意味｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。
よって、｢答え｣は｢(ウ)｣となる。
｢指示語｣などの｢基礎的解法｣は必ず応用できるようにしておくこと。

＜時間配分目安：２分＞

[問五]　｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)
傍線部(４)｢そういう他者との出会いが、自分に対する気づきを与えてくれ、自分の成長のきっかけになることもある｣について、｢それはなぜか｣を説明する。
傍線部に｢指示語｣があるので当然、開く。直前から｢そういう他者｣＝｢みすぼらしい自分やイヤな自分を映し出してくれる辛口の他者、価値観や性格の異なる他者｣だと分かる。では、｢直接的理由｣は何か？段落冒頭に｢その意味では｣とある。つまり、｢その意味｣では｢きっかけになることもある｣という｢文脈｣なので、｢その意味｣が｢直接的理由｣だと分かるはずだ。再び｢指示語｣を開く。｢その意味｣＝｢どこが評価されたんだろう、どんな点がダメなんだろうと認知的に反応できる人は、たとえ否定的評価を受けていることがわかっても、今後の改善に活かすことができる｣という意味だとつかめるはずだ。こうした内容を｢直接的理由｣を｢文末｣としてまとめていけばいい。
たとえば、｢否定的評価をする辛口の他者と出会うことで、自分のどんな点がダメなのかに気づき、今後の改善に活かすことができるから。｣といった｢答え｣になる。
｢文脈｣をたどりながら、｢直接的理由｣をつかんでいくこと。
尚、｢指示語｣は全て必ず開くことが肝要。

＜時間配分目安：２分半＞

[問六]　｢語句の意味の選択肢｣(５択)
｢総合的知識問題｣｡傍線部(５)の｢くせ者｣について、｢ここではどういう意味か｣を答える。｢くせ者｣の｢原意｣(＝本来の意味｡ここでは｢怪しい者｣)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、｢設問｣の｢ここではどういう意味か｣にこだわり過ぎると､間違ってしまう可能性がある。要注意。
｢答え｣は､選択肢(ウ)の｢あやしい｣しかない。
｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させよ。

＜時間配分目安：１分以内＞