横浜共立学園中学校 入試対策
2020年度「横浜共立学園中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「横共の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか？
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ずは「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。
「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「かなづかい」といった「基礎の基礎」までも押さえておきたい(実際に出題されている)。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000～6000字程度。解答時間は45分。当然、「速読」ができた方がいい。
しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
横共に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
横共の様々な「難問」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。
そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか？ その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「横共の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か？ 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。70～80字程度で書いてみる(横共の典型的な「記述」の練習にもなる)。
無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)。
意識
いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漠然と机に向かっていても無意味だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」に合致しているか？ 「細部」は大丈夫か？ 「必要な要素」は満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。45分という時間で解き進めていく横共では、ひとつのミスが致命的になる。
入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2020年度「横浜共立学園中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢漢字の読み書き｣(全８問､｢読み｣３問･｢書きとり｣５問)。２分程度で終えたい。
大問二は｢小説｣、出典は佐藤いつ子｢キャプテンマークと銭湯と｣(文字数約2900字)。小問は全12問(解答数14)｡｢選択肢｣(｢複数完全解答｣あり)､｢抜き出し｣(３問)､｢説明記述｣(｢字数指定なし｣が１問)｡問題文は４分弱で読み、設問を18～19分で解きたい。
大問三は｢論説文｣、出典は汐見稔幸｢人生を豊かにする学び方｣(文字数約2500字)。小問は全11問(解答数12)｡｢選択肢｣(｢複数完全解答｣、｢空所補充｣あり)､｢抜き出し｣(６問)、｢説明記述｣(｢50字以内｣指定１問)､｢総合的知識問題｣(｢語句の用法｣と｢文法｣)｡問題文は３分ほどで読み切り、設問を16～17分で解きたい。
【大問一】｢漢字の読み書き｣(｢読み｣３問･｢書き取り｣５問)
- 難度：標準
- 時間配分：2分
｢漢字の読み書き｣(全８問)。｢読み｣が３問で｢書きとり｣が５問。
例年、｢神奈川女子御三家｣のひとつである本校ならでは罠(読めるか？ ｢答え｣はどこかに……)がある｡｢答え｣を確認していこう。
(１)｢ねこの額ほどの庭しかない｣＝｢ひたい｣⇒これは大丈夫のはず。
(２)｢祖父は一目置かれる存在だ｣＝｢いちもく｣⇒知っていたい慣用句、｢相手の能力を認めて敬意を払うこと｣だ。
(３)｢うわさが流布する｣＝｢るふ｣⇒｢上位校の読み｣の定番。
(４)｢法律のコッシをまとめる｣＝｢骨子｣⇒｢文脈｣から判断できるかどうか､難解だ。
(５)｢シュウチを集める｣＝｢衆知｣⇒絶対に｢周知｣としないこと(両者の違いを確実に定着させよ)。
(６)｢水害のゼンゴサクを考える｣＝｢善後策｣⇒超難解、知らなくても不思議ないが、｢後始末をうまくつけるための方法｣という意味も押さえておきたい。
(７)｢アッカンの演技｣＝｢圧巻｣⇒故事成語の定番だ。
(８)｢釣り糸をタらす｣＝｢垂(らす)｣⇒意外に抜け落ちているかも知れないので、要確認。本校では高度な｢語彙力｣が問われていると心得よ。尚、｢トメ｣｢ハネ｣などにも要注意。
【大問二】｢小説の読解｣(｢説明記述｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：23分
- ★必答問題
サッカーチーム｢ＦＣレック｣のメンバーの｢周斗(しゅうと)｣は、強豪チーム｢ＹＤＳＣ｣からやってきた｢大地｣にキャプテンの座を奪われ不安といら立ちの中にあったが、懐かしい銭湯がきっかけとなり、たくましく成長していく――。本文では、｢周斗｣と｢大地｣が｢楽々湯｣で語りあう様子と、その前日の出来事が描かれている。内容は難なく理解できるはずだ。小説の王道である｢心情説明｣を中心とした多様な小問が並んでいる。以下、いくつか確認する。
[問一①] ｢換言説明選択肢｣(５択)。傍線部(１)｢まだうまく消化できない｣について、｢どういうことか｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
ここは典型的な｢換言説明｣なので､尚更(なおさら)必須だ。｢消化できない｣は無論、｢比喩表現｣だが、その｢原意｣と各選択肢の｢文末｣とが結びつかないものを｢消去｣したい(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)｡
それぞれ確認していく。
(ア)｢頭の中が混乱してしまったということ｣
(イ)｢悔しさが忘れられないこと｣
(ウ)｢自分の中でうまくつながらないということ｣
(エ)｢頭からはなれなかったこと｣
(オ)｢(相手の言葉が)邪魔(じゃま)してくること｣
さあ、どうだろうか？｢消去｣できるか？｢比喩｣としての｢消化｣は｢十分よく理解して自分のものにすること｣だと知っているはず。ならば、(ウ)以外は｢消去｣できなくてはいけない。｢同一場面｣の直前直後を念のために確認する(｢小説｣｢随筆｣では｢同一場面の直前直後｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡他の部分の説明も特に誤ってはいないので、｢答え｣は(ウ)になる。結果として｢一発消去｣だ。｢選択肢設問｣では、先ずは｢原意消去｣を試みることを肝銘せよ。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問三] ｢空所補充の語句選択肢｣(５択)。本文中の空所 に｢あてはまる言葉｣を答える。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で｢空所前後｣を確認してみる。
｢左官(＝壁を塗る職人)の仕事は の域だ｣となっている。
各選択肢は、(ア)｢個性｣、(イ)｢天才｣、(ウ)｢空想｣、(エ)｢芸術｣、(オ)｢職人｣となっている。ここで、短絡的に｢左官｣＝｢壁を塗る職人｣だから｢職人｣があてはまるなどと早合点してはいけない。それでは、｢職人の仕事は 職人 の域だ｣と単なる繰り返しになってしまう｡｢空所前後｣だけでは特定できない。そこで、｢同一場面｣を確認する。次行に｢壁という大きなキャンバス(＝油絵を描くための布)に向かって、絵画を描いているように思えた｣とある｡｢絵画を描いているよう｣なのだから当然、｢答え｣は(エ)の｢芸術｣だ。｢語句｣の特定では｢文脈｣を丁寧に読み解くことが肝要だと心得よ。
＜時間配分目安：１分強＞
[問五] ｢心情説明選択肢｣(５択)。傍線部(４)｢周斗はごくりとつばを飲み込んだ｣について、｢この行動から読みとれる周斗の様子｣を答える。｢心情説明｣だが無論、｢原意消去｣から。｢つばを飲み込む｣という｢動作｣の｢原意｣と結びつかない｢心情｣を｢消去｣したい。
確認する。(ア)｢後悔｣、(イ)｢あせり｣､(ウ)｢あきらめ｣、(エ)｢とまどい｣、(オ)｢緊張｣。
｢つばを飲み込む｣＝｢事の成り行きが気にかかり、緊張して見守る様子｣だということは｢知識｣として定着していなければいけない。よって、｢答え｣は(オ)だ。尚、｢小説｣では、本校に限らず｢心情｣は必ず問われる。その際には、｢セリフ｣⇔｢ト書き｣⇔｢動作｣⇔｢情景｣といった具合に、多角的に捉(とら)えることが必須だ。
＜時間配分目安：30秒＞
[問七] ｢理由説明抜き出し｣(｢一文の初めの５字｣指定)。傍線部(６)｢なんでＹＤＳＣ辞めたか分かる？｣について、｢大地がＹＤＳＣを辞めた最大の理由を述べた一文｣の｢初めの五字｣を抜き出して答える。
｢抜き出し設問｣では先ず｢抜き出し内容｣を特定し、｢抜き出し範囲｣を絞りこんでいくのが鉄則。先ずは｢内容｣だが、ここでは問題文のとおりだ。次に｢範囲｣は当然、｢同一場面｣になる｡本問では、傍線部の15行前の(中略)の後から、本文の最後までになる。相当に広範囲だ。絞り込みたい。そこで気づきたいのは、問題文に｢(大地)が述べた｣とあることだ。つまり、｢大地が述べている部分｣＝｢大地のセリフ｣だけが｢範囲｣になるわけだ。丁寧に探していくと、傍線部(７)の３行前に｢『気付いたら、サッカーが全然楽しくなくなってたんだ』｣という｢一文｣の｢セリフ｣がある。｢内容｣にも｢指定｣にも合致する。｢範囲｣の中で他に候補はない。したがって、｢答え｣は｢『気付いた｣になる。｢抜き出し設問｣では｢抜き出し範囲｣の絞り込みがポイントとなると心得よ。尚、｢抜き出し候補｣はひとつとは限らないので、必ず｢範囲｣の全てを隈なく探すこと。
＜時間配分目安：２分＞
[問九] ｢心情変化の順序整序選択肢｣(５択)。傍線部(８)｢大地がきっぱりと言い切った｣について、｢ＹＤＳＣに入ってからこのときまでの大地の心情の変化｣を答える。各選択肢では、５つのさまざまな｢心情｣が｢変化順｣に並んでいる。先ずは、｢このときまで｣である傍線部時点での｢心情｣で｢消去｣したい。｢大地｣が｢言い切った｣のは｢父さんも……、父さんも俺のこと、いつかきっと分かるってくれると思う｣という言葉であり、｢(そのときの)大地の目は強く輝いている｣と説明されている。各選択肢の｢最後｣の｢心情｣を確認する。
(ア)｢希望｣、(イ)｢自信｣､(ウ)｢優越感｣、(エ)｢希望｣、(オ)｢自信｣。
｢目｣が｢輝いている｣のだから、｢希望｣以外は｢消去｣できるはずだ。この段階で｢２択｣だ。次に｢ＹＤＳＣに入ったとき｣の｢心情｣で｢消去｣する。｢同一場面｣で傍線部(６)の５行後に、｢ＹＤＳＣ受かったときは、(父さんが)俺より喜んでたくらいで｣という｢大地｣の｢セリフ｣がある。ということは、｢俺も喜んだ｣わけなので、｢最初｣の｢心情｣が｢誇り｣となっている(エ)は｢消去｣で、｢喜び｣とある(ア)が｢答え｣だと判別できる。本問のような｢組み合わせ選択肢設問｣では、最初に分かりやすいもので判別して一気に｢選択肢｣を絞り込むことが鉄則だ。
＜時間配分目安：１分＞
【大問三】｢論説文の読解｣(｢説明記述｣｢総合的知識問題｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：20分
社会が急速に変化している今、学校で言われたとおりに勉強するだけでは個人の｢学び｣は育たない――｢本当の学び｣とは何か？自分の未来を自由にするための｢学び方｣について論じている。本文では、知識を身につけるのは自分のためではなく、みんなで共有し、ともに利益を得ていくことが大切であり、人類はそうして共同的な危機管理能力を培(つちか)ってきたと指摘している。｢教育論｣であり難解な語句もあるが、｢注｣を活用しながら、なんとか内容を読み取ってほしい。｢抜き出し設問｣を中心に、｢説明記述｣｢具体例判別｣｢総合的知識問題｣などの多種多様な小問が並んでいる。以下、いくつか検証してみたい。
尚、問題文は【Ⅰ】と【Ⅱ】に分かれているので注意すること。
[問三] ｢空所補充の語句組み合わせ選択肢｣(５択)。本文中の空所 A ･ B に｢あてはまる言葉｣の｢組み合わせ｣を答える。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で｢空所前後｣を確認する。｢(ヒト属が牛を仕留めるとき) A やつが『あっちにいる！』と発見して仲間に伝えると、俊敏なやつが前から攻めて牛を追い込み、 B やつが捕獲する｣となっている。どちらか分かりやすい方で｢選択肢｣を絞り込みたい。 B は｢牛を捕獲するやつ｣⇒各選択肢の B は、
(ア)｢おくびょうな｣、(イ)｢動物好きな｣､(ウ)｢おとなしい｣、(エ)｢足の速い｣、(オ)｢腕力の強い｣だ。
相手は｢牛｣なのだから当然、｢腕力の強い(やつ)｣のはずだと判断できる。(オ)の(Ａ)は｢耳のいい｣で、｢発見するやつ｣としても合致する。よって、｢答え｣で問題ない。ここでも、｢文脈｣から｢語句｣を特定することがポイントだ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問四] ｢指示語換言抜き出し｣。傍線部(３)の｢これ｣が｢指している言葉｣を抜き出して答える。｢抜き出し設問｣ではあるが、要は｢指示語問題｣。｢指示語が出たら前を見よ！｣が原則だ。確認すると、前文にある｢一緒に喜び合える力｣が候補だとすぐに読み取れるはずだ。だが、そのまま｢解答欄｣に｢答え｣として記入してはダメだ。確実に｢代入確認｣する必要がある。
傍線部の一文は｢これがやがて恋愛感情にもつながります｡｣で、｢これ｣に｢一緒に喜び合える力｣を代入してもＯＫだと分かる。したがって、｢答え｣は｢一緒に喜び合える力｣になる。尚、｢指示語｣は｢直前｣を指し示しているのが基本だが、｢段落冒頭｣にある場合は｢前段落全ての内容｣を指示するので注意すること。また、本問のように｢指示語｣を直接問われていなくても、｢指示語｣が出たら即開くことが肝要だ。
＜時間配分目安：１分弱＞
[問五] ｢内容説明具体例判別選択肢｣(６択/複数完全解答)。傍線部(４)｢遊びは共同しないと楽しく遊べません｣について、示されている｢具体例｣のうち｢筆者の述べる遊び方にあてはまるもの｣を｢すべて｣答える。
もちろん、ここでの｢筆者の述べる遊び方｣を読み取ることが最優先となる。｢同一意味段落｣を確認する(｢論説文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠｣がある)｡大前提として｢みんなで一緒にするからこそ楽しい遊び｣だと分かる。その上で、｢みんなで知恵を出し合って新しい自分たちのルールを考える遊び方｣であって、｢小さな子たちも一緒に遊べるように工夫した遊び方｣だと提示していることが分かるはずだ。これらのことから、各選択肢の｢要点｣で正誤判別していきたい。
(ア)｢年齢別に鬼ごっこをする｣⇒｢小さな子たちも一緒に遊べるように工夫｣する＝不適切。(イ)｢(ドッジボールで)小さい子は二回当たるまでよいルールをつくる｣⇒｢新しい自分たちのルールを考える｣＋｢小さな子たちも一緒に遊べる｣＝適切。
(ウ)｢(キャンプでは)全員が同じ量を分担する｣⇒ここでは無関係＝不適切。
(エ)｢(かくれんぼで)小さい子が鬼になったときは隠れる範囲をせまくする｣⇒｢小さな子たちも一緒に遊べる工夫｣＝適切。
(オ)｢小さい子にはルールが難しいので野球はしない｣⇒｢小さな子たちも一緒に遊べる｣ものではない＝不適切。
(カ)｢(ハイキングでは)リーダーが一人で計画を立てる｣⇒｢みんなで一緒にする｣ではない＝不適切。
したがって、｢答え｣は(イ)と(エ)になる。｢具体例判別｣では、｢一般論｣としての内容を正確に理解して、｢具体例｣に的確にあてはめることが求められる。尚、｢複数完全解答｣は細心の注意を払って判別しなくてはいけない。
＜時間配分目安：２分半＞
[問九] ｢理由説明記述｣(｢50字以内｣指定)。
傍線部(８)｢そういうことを大事にしながら、学んでいってほしいと思います｣について、｢筆者はなぜこのように述べているのか｣を説明する。
最初に、｢指示語｣があるので開いておく。直前から、｢そういうこと｣＝｢仲間同士で知識を共有していくこと｣だと分かる。そして、同段落の冒頭には｢学ぶことを、個人主義化してはいけません｣とある｡つまり、｢知識を個人主義化せず、共有していくこと｣が何につながるのかが、｢筆者｣が｢このように述べている理由｣に結びつくはずだ。読み解いていきたい。傍線部は問題文【Ⅱ】の最後の一文だ。したがって、｢論旨｣直結と考える必要がある。【Ⅱ】のテーマは｢文化｣であり、その｢文化｣と｢学ぶこと｣との関連について７段落目で、｢自分が持っている知識、入手した知識を周囲に伝え、みんなで共有していくことで人間は文化的になっていく｣と述べられている。こうした内容を｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢知識を個人主義化せず、仲間同士や周囲に伝え、みんなで共有していくことで人間は文化的になっていくから｡｣(50字)といった｢答え｣となる。｢論説文｣の｢結論部分｣での設問は｢論旨直結｣と捉えることが肝要。
＜時間配分目安：２分強＞
[問十一] ｢紛らわしい語の品詞判別選択肢｣(５択)。｢総合的知識問題｣｡｢文法｣。
本文中の｢いや、そんなことはないよ｣について、｢この『ない』と同じ種類のもの｣を答える。中学入試での｢文法｣の定番である｢『ない』の品詞判別｣だ。誰もが定借しているはずだが、念のためにおさらいをする。｢ない｣には基本的に４つの可能性がある。
①形容詞/②助動詞/③補助形容詞/④その他(何かの｢単語｣の一部)。問題の箇所は、｢いや/そんな/ことは/ないよ｣と｢文節分け｣でき、ここでの｢ない｣は一文節となる一単語なので｢自立語｣＝形容詞だ。各選択肢を｢文節分け｣して確認する。
(ア)｢その/建物は/新しいが/美しくない｣⇒｢美しい｣という形容詞の連用形と連文節になっている＝補助形容詞。
(イ)｢歯ごたえの/ない/ものが/多く/なって/きて/いる｣⇒一文節で一単語なので｢自立語｣＝形容詞。
(ウ)｢今日の/うらないは/当たらなかった｣⇒｢うらない｣という名詞＝｢単語｣の一部、(エ)｢選手の/動きが/ぎこちない｣⇒｢ぎこちない｣という形容詞＝｢単語｣の一部。
(オ)｢急がないと/バスに/乗りおくれますよ｣⇒一文節ではなく、｢急ぐ｣という動詞に後にある｢付属語｣＝助動詞。
よって、｢答え｣は(イ)だ。本校では｢文法｣も頻出なので、しっかりと確認しておくこと。
＜時間配分目安：１分弱＞
攻略のポイント
●｢説明記述｣では｢要領｣が必要になる。先ずは、正否の分かれ目となる｢最重要な要素｣を｢文末｣として他の｢必要な要素｣を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。｢内容｣から判断して、優先順位が高いものから積み上げる。各｢要素｣を｢20～30字程度｣でまとめられるように徹底的に練習すること。｢字数指定｣がないものが多いが、｢60～90字程度｣の｢解答欄｣なので、３～４つ程度の｢要素｣でまとめることに慣れておきたい。｢合格ライン｣は７割弱と高い(学校非公表。過去７年間の｢４科合計の合格最低平均得点率｣および｢国語の受験者平均得点率｣からの推定)。｢説明記述｣での｢失点｣や｢減点｣は大きな打撃になると心得よ。
●その他の｢設問｣の｢攻略｣で最も重要なのが｢解法｣だ｡｢設問内容｣に対応した｢解法｣を的確に用いて、段階的に解き進めていく必要がある。したがって、様々な基本的｢解法｣を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくこと。それによって｢失点｣を防ぎ、｢得点力｣も安定させたい。
●｢総合的知識問題｣も決して侮れない｡｢語彙力｣や｢文法｣も含めた｢あらゆる知識｣が問われる。本校を志したその瞬間から、独自に｢幅広い知識｣を常に習得していくことが必要だ。塾での学習だけではなく｢独習｣が欠かせない。
●試験時間は45分。一般的な試験時間より短いので、時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で5000～6000字程度(本年度は約5400字)。決して多くはないが、やはり、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に｢読む練習｣を常にすることが重要だ。
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