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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「横浜雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「横雙の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ずは「語彙力」日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「詩」や「俳句・短歌」といった「韻文」の知識までも押さえておきたい(実際に出題されている)。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000~6000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

横雙に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい

解法

横雙の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「横雙の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(横雙の「自由記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)。

意識

どのような場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漫然と机に向かっていても無駄なだけだ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。

「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていく横雙では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「横浜雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」。小問は全3問(解答数15)。
「漢字の読み書き」(各4問)、「韻文の内容解釈」(4問)、「示されている約280字の『電話での会話文』における敬語表現などに関する『説明記述』『不適切選択肢』『部首名の空所補充記述』」(3問)。4分程度で終えたい。

大問は「小説」、出典は宮下奈都「つぼみ」(文字数約2700字)。
小問は全9問(解答数11)。「選択肢」(「不適切」、「内容合致」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定あり」1問と、「字数指定なし」2問)、「総合的知識問題」(語句の意味)。
問題文は3分半ほどで読み、設問を15~16分で解きたい。

大問は「論説文」、出典は宮内泰介「歩く、見る、聞く 人びとの自然再生」(文字数約3700字)。
小問は全10問(解答数11)。「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」2問)、「自由論述」(「字数指定なし」1問)。
問題文は5分弱で読み切り、設問を20分強で解きたい。

【大問一】総合的知識問題(「漢字」「韻文」「敬語」など)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:4分

「総合的知識問題」。「漢字の読み書き」、「俳句の内容解釈」、「敬語表現の誤り」、「部首名」などが問われている。

毎年、出題分野は異なるが、「語彙力」「国語常識」などを含め、あらゆる「高度な総合的知識力」が問われるのが本校の最初の大問だ。本年度の一部を検証したい。

[問一] 「漢字の読み書き」(「読み」と「書きとり」各4問、「送りがな」が必要な場合は記す)。

「神奈川女子御三家」のひとつである本校ならではの難解さがある。悩ましいものを確認する。

(1)「学校の沿革」(=えんかく)⇒馴染みが薄いだろうが、それぞれの「音読み」から特定したい。尚、「物事の移り変わり」という意味も覚えておきたい。
(2)まれな才能」(=たぐい)⇒これは難解。
(6)「各チームの差はレキゼン」(=歴然)⇒定着必須熟語だ。
(7)「子どものカンセツは大人よりやわらかい」(=関節)⇒分かっているようで書くと間違いやすい。「同音異義語」に注意し、「間接」などとしないこと。
(8)「校長先生にユダネル」(=委ねる)⇒「送りがな」に注意すること。

本校志望者であれば「全問正解」が必須だ。「送りがな」も記すのが本校のお約束なので、確実に定着させること。また、「トメ」「ハネ」にも留意せよ。

<時間配分目安:1分>

[問二] 「俳句の内容解釈選択肢」(全4問/各5択)。

示されている[1]~[4]の「俳句」と「関係の深いもの」を答える。

適切に情景などを読み取り、判別していきたい。「答え」を確認する。

[1]「赤を黄を 寺にも分かち やまよそおう」⇒「赤」「黄」「やまよそおう」(山、装う)という情景⇒「答え」=選択肢(エ)「紅葉」、
[2]「かぜかおる 鳩と雀の 二重奏」⇒「かぜかおる」(風薫る)は「夏」の「季語」⇒「答え」=(ウ)「五月」、
[3]「水にまだ あをぞらのこる しぐれかな」⇒「しぐれ」(時雨)とは「秋の末から冬の初めごろに、降ったりやんだりする小雨」のこと⇒「答え」=(エ)「雨」、
[4]「春一番 のぼった坂を 駆けくだる」⇒「春一番」は無論、「立春から春分までの間に初めて吹く、強いの南風」⇒「答え」=(ア)「風」。

「俳句」の「季語」や「切れ字」、「短歌」の「枕詞」、「詩」の「表現技法」など、「韻文」についても確実に習得しておきたい。

<時間配分目安:1分弱>

[問三-3] 「部首名の空所補充記述」(全3問/完全解答)。

「電話での会話文」の空所[Ⅰ]~[Ⅲ]に「あてはまる部首名」を答える。

各空所前後は「夢を獲得の『獲』よ。まず[Ⅰ]を書いて、次に[Ⅱ]を書いて、その次に[Ⅲ]、最後に『また』と書くのよ」となっている。「漢字の書き方」を、「電話」で「部首名」を使って説明するという、何ともユニークな問題だ。確認したい。

「獲」という「漢字」を「部首」で見ていくと、「犭」(けものへん)「艹」(くさかんむり)「隹」(ふるとり)「又」(また)で構成されていることが分かる。
「筆順」を考慮すると「答え」は、[Ⅰ]=「けものへん」、[Ⅱ]=「くさかんむり」、[Ⅲ]=「ふるとり」ということになる。

「部首名」は頻出なので定着させること。尚、本校ではこうしたユニークな出題もあると心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

【大問二】小説の読解(「説明記述」3問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:19分
  • ★必答問題

前へ進もうともがいている「三人姉妹」、若い彼女たちの、いつかそれぞれの場所でそれぞれの花を咲かせるであろう、みずみずしい世界のはじまり――私たちにそっと寄り添い、ぶれない勇気を与えてくれる、花開く前の「つぼみ」の瞬間を見事に切り取った「これからの物語」の一篇。

本文では、「三人姉妹」の末っ子「紗英」(学校では「さえこ」と呼ばれている)が通う「生け花教室」(そこには同級生の「朝倉くん」もいる)についての、「家族」とのやりとりが中心に描かれている。

 内容は分かりやすい。ただ、内容解釈の「説明記述」や「選択肢」「抜き出し」、そして、「総合的知識問題」といった多種多様な小問が入り組んでいる。落ち着いて処理していきたい大問だ。以下、いくつか検討したい。

[問一] 「心情説明選択肢」(5択)。

傍線部①「ちょうど降りはじめた小雨みたいに、居心地の悪さが頭から私を濡らしていく」について、これは「『紗英』のどのような心の様子を表しているか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
ここは「心情説明」なので、「居心地の悪さ」の「原意」と、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を照合して、直接結びつかないものを「消去」したい。確認する。

(ア)「途方に暮れている様子」、
(イ)「自信がなくなっていく様子」、
(ウ)「かたくなになっていく様子」、
(エ)「反省しはじめている様子」、
(オ)「疑問を持ちはじめた様子」。

さあ、どうだろうか? 「居心地の悪さ」⇒「居てよいのか? わるいのか?」……、であれば(オ)以外は「消去」できるはずだ。他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」は(オ)となる。

「一発消去」だ。「原意消去」、大いに活用すべし!

<時間配分目安:1分>

[問五(1)] 「換言説明の抜き出し」(「35字以内」の「1文」指定)。

傍線部⑤「型があるから自由になれるんだ」について、「このせりふを言った人にとっての『型』とは、どのようなものか」を「適切に表している一文」を「三十五字以内」で抜き出し、「はじめの五字」を答える。

「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。「内容」は無論、「『型』とは、どのようなものか」ということだ。
ただ、ここで見落としてはいけないのは、「このせりふを言った人にとっての」という前提条件だ。大きなヒントになっている。

次に「範囲」だが、「同一場面」になる(「小説では同一場面の直前直後に根拠・手がかり・ヒントあり」が大原則)。しかし、「会話のやりとり」がずっと続いている「場面」なので、「範囲」がとても広い。絞り込みたい。そこで活用したいのが、先ほどの「条件」だ。

「このせりふを言った人にとっての」とある。誰なのか? 
直前直後から「祖母」だということが分かるはずだ。つまり、「同一場面」の「会話のやりとり」の中での「祖母のせりふ」の部分が「抜き出し範囲」になる。丁寧に探していく。

すると、傍線部の7行後に「いちばんを突き詰めていくと、これしかない、というところに行きあたる。それが型というものだと私は思ってるよ」という「祖母のせりふ」がある。まさに、「このせりふを言った『祖母』にとっての『型』」だ。

したがって、「答え」は『 「いちばん 』になる。

「抜き出し」の「解法」に従って確実に解いていきたい。
尚、どのような設問であっても、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。

<時間配分目安:1分>

[問六] 「慣用表現の選択肢」(全2問/各5択)。

総合的知識問題。「慣用表現」の意味だ。

波線部(あ)「判で押したように」・(い)「私の中に滑り込んでくる」の「意味」を答える。

知識として定着していれば何の問題もないのだが、そうでなくても、ともに「比喩表現」だということは判断できるはずなので、その「原意」から判別していきたい。
それぞれの「答え」を確認する。

(あ)「判で押したように」⇒「判」(印鑑)で押された「形」はいつも同じ⇒変化がないということで「同じことの繰り返しで、変化のないさま」を表している⇒「答え」=選択肢(ウ)「お手本通りに」となる。
(い)「私の中に滑り込んでくる」⇒「私の中にすべるようにしてそっと中へ入る」⇒「納得する」⇒「答え」=(ア)「腑に落ちる」だ。

尚、(い)の選択肢は全て「慣用句」で、他は、「肝に銘じる」(=心に深く刻む)、「胸があつくなる」(=感動がこみ上げてくる)、「肩の荷がおりる」(=気が楽になる)、「後ろ髪をひかれる」(=後に心が残って思いきれない)。これらの意味もしっかりと押さえておくこと。

<時間配分目安:2問で1分強>

[問七] 「比喩換言説明記述」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。

傍線部⑥「齧(かじ)ってもみない」について、「ここではどういう意味か」を説明する。

無論、「齧る」が「隠喩(暗喩)」だということはすぐに分かるはずだ。「比喩」としての原意は、「物事のほんの一部分だけを学ぶ、また、知る」ということだ。つまり、傍線部は「何かのほんの一部分だけさえ、学ぼうとも、知ろうともしない」となる。何をか? 

「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)で確認したい。

直後に「あまりにももったいない」とある。何が「もったいない」のか? さらに、直前直後から読み解いていく。直前では「型って、もしかするとすごいものなんじゃないか」、直後では「今は型を身につけるときなのかもしれない。いつか、私自身の花を活けるために」と説明されている。

ということは、「花を活けるため」の「型を身につける」ことを「学ぼうとも、知ろうともしない」わけだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。

たとえば、「花を活けるための重要な型の一部さえ身につけようとしないという意味。」となる。

本校では、「比喩換言説明」が頻出なので、しっかりと練習しておきたい。

<時間配分目安:2分半>

【大問三】小説の読解(「説明記述」2問「自由論述」1問あり)

  • 難度:
  • 時間配分:27分

環境破壊や異常気象が伝えられるなか、綿々と自然再生に携わっている人が各地にいる――「自然再生」の方策を災害時や都市部での実践も含め、「歩く、見る、聞く」で得た魅力的な肉声とともに活き活きと論じている。

本文では、専門家による施策以上に、土地の人々が生活のなかで関わってきたあり方に、「自然再生」や「社会再生」の「種」があると指摘している。やや難解な語句もあるが、「注」を活用すれば内容は理解できるはずだ。

「抜き出し」「組み合わせ選択肢」「空所補充」など多様な設問が並び、最後には「条件付き自由論述問題」が控えている。
以下、いくつか確認する。

[問一] 「内容説明の抜き出し」(「部分」の「はじめ」と「終わり」指定)。

傍線部①「ムコマジ国立公園における自然保護難民」について、「『難民』と呼ばれている人たちのことばが具体的に述べられている部分」を抜き出し、「はじめ」と「終わり」の「五字」を答える。

「抜き出し内容」は設問にあるとおりで、「ムコマジ国立公園における自然保護難民の人たちの具体的なことば」だ。「抜き出し範囲」は「論説文」なので、「同一意味段落」となる(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。ここでの「同一意味段落」は、傍線部の段落と次段落だ。

丁寧に探していきたいのだが、注意すべきことは「部分」だということだ。「字数指定」「文指定」などがないので、その「抜き方」には細心の注意を払わなくてはいけない。チェックする。
傍線部から3行目に「牧畜民たち(=難民)のこんな声を多く聞いた。私たちは移動したくなかった。……」とある。ということは、「私たちは……」からが「難民の人たちの具体的なことば」だと分かる。では、どこまでか? 

本文では「」などが付されていないので、細部を的確に読み取りながらたどっていくと、7文目が「……、わたしたちは大損した。」と結ばれ、次の文が「(人類学者)ブロキントンの詳細な(自然保護難民の)調査結果によると、……」で始まっている。したがって、7文目までを「抜き出す」と判断できる。

で、「答え」だが、本大問の冒頭に[注意]として[ 。 、 「 」などは一字に数えます]とあるので、「私たちは移~大損した。」となる。

尚、このような「指示」がない場合は、「部分」の「抜き出し」の「答え」では、最後が「文末」であっても「。」は含めないので注意すること。いずれにしても、「部分」の「抜き出し」では、どこからどこまでをどのように「抜き出す」のかが最大のポイントとなると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問二] 「換言説明選択肢」(5択)。

傍線部②「原生自然幻想」について、「それはどのようなものか」を答える。

先ずは「原意消去」から。ここは「換言説明」なので、「幻想」の「原意」と結びつかないものを、各選択肢の「文末」を照合して「消去」したい。確認する。

(ア)「思いこむ」、(イ)「真に受ける」、(ウ)「考えてしまう」、(エ)「信じこむ」、(オ)「思いこむ」。
さあ、どうか? 

「幻想」=「現実にはないことをあるかのように心に思い描くこと」だということは知っているはず。であれば、(ア)(オ)以外は「消去」できる。2択になった。
次に、ここでの「幻想」は「原生自然」に対してのものだと分かるので、その点で「消去」してみたい。(ア)は「人間が何かしら手を加えてしまうと自然は壊されてしまう」、(オ)は「人の手が及んだことがない自然だけでも保護するべきだ」となっている。「原生自然」に対しての「幻想」なのだから無論、(オ)を「消去」しなくてはいけない。

よって、「答え」は(ア)だ。

「原意」のみでの「2段階消去」、こうした方法もあるということだ。畏るべし!「原意消去」。

<時間配分目安:1分半>

[問六] 「語句の空所補充選択肢」(全2問/5択)。

本文中の空所    1        2    に入る「適切な言葉」を答える。

各選択肢は、「副詞」や「接続詞」などだ。本校に限らず定番の問題。「接続詞」では、「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外ではどれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認すること。
それぞれの空所の「答え」を確認していきたい。

    1    には「まもなく。そのうちに」という意味の「副詞」である(エ)「やがて」、    2    には「(あとに打消しの語を伴って)ちっとも。少しも」という意味の「呼応の副詞」の(ア)「いっこうに」が入ると判別できなくてはいけない。

「候補」はひとつとは限らないので、必ず全ての「代入確認」を試みるべし。

<時間配分目安:2問で1分弱>

[問七] 「換言説明記述」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。

傍線部⑦「遠くから見るとラムサール条約登録の湖が目立つのだけれど、地域の中から見ると、別の姿の自然が見えてくる」について、「『別の姿』とはどのようなものか」を説明する。

「同一意味段落」から「別の姿」を読み解いていきたい。
前の2つの段落で、「ラムサール条約登録の湖」について「地域の人たち」に「聞き取り」をした際、「その湖の話が出てこない」が、「近くの大きな川にまつわる話はたくさん出てくる」と述べられており、「遊びの話」「魚採りの話」「泳いだ話」「水害の話」などの例を挙げている。

つまり、「別の姿」とは「地域の人たち」が「登録の湖」ではない「近くの大きな川」とさまざまに関わっている「姿」だと分かる。あとは、簡潔にまとめていきたい。

たとえば、「地域の人たちが登録の湖ではない近くの川とさまざまに関わっている姿。」だ。

本問では、「別」のものを問われているので、かならず「何と別なのか」を示すことが肝要だ。

<時間配分目安:2分半>

[問十] 「条件付き自由論述」(「字数指定」なし、「120字ほど」の解答欄)。

本文は「自然環境」についてのべた文章だったが、「たとえば、ある川の近くに遊歩道を作る案が出たときに、あなたはどのようなことを大切にすべきであると考えるか」について論述する。

「条件」は「本文の内容をふまえて、具体的な方法を二つ以上示して」説明すること。
本大問の最後にして最大の難関だ。「あなたの考え」を「論述」するのだから、無論、「内容」は何でもいい。ただし、本問では「設定」と「条件」がある。したがって、それらを満たした上で、いかに「説得力」ある「論述」ができるかがポイントになる。

「設定」として「ある川の近くに遊歩道を作る案が出たとき」とあるので、「自然環境」について「あなた」、つまりは「私たち」が「大切にすべきこと」について、本文で述べられている「自然再生」の「あり方」などに触れながら、「考え」を述べていけばいい。

その際には当然、「条件」である「具体的な方法を二つ以上示して」に留意しなくてはいけない。それは、本文の最後で指摘されている、「大きな物語」(=「地球規模の環境問題」)だけではなく「小さな物語」(=「地域住民の多様な価値観」)も重視すべきだということと、「狭い合意形成」ではなく「幅広い合意形成」を評価するべきだという2点を考慮して「論述」するということになる。

本校の「自由論述」、受験生全員がしっかりと「準備」をしてくるので心してかかること。

<時間配分目安:4分程度>

攻略のポイント

●最大の難関は本校定番の「自由論述」だ。どのように「攻略」するか?
毎年「題材」が異なるのだから、予め「テーマ」を定めて「意見」をまとめておくといった準備は不可能だが、常日頃「考える習慣」を身につけることはできるはず。「練習問題」(特に「論説文」)などで、「筆者の考え」に対して「私ならどう考えるのか?」ということを自問自答する。その際、重要なことは「理由」を明確にすることだ。そして、「自分自身の考え」と「理由」を「論述」としてまとめておく。それは通常の「説明記述」の練習にもなる。

意識すべきは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくということ。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。「自由論述」は「100字程度」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておくこと。

「合格ライン」は7割程度と高い(「合格者平均得点率」の6年間平均は70.1%、本年度は一気に下がって64.6%)。年度によって上下はあるが、誰もが「対策」をして臨んでくる「自由論述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ。

●他の「読解問題」の「攻略」にとって最も重要なのが、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて解き進めていくということだ。様々な基本的「解法」を完全に習得し、適切に応用できるようにしておく必要がある。

●「総合的知識問題」も侮れない。「高度な語彙力」(「大人の語彙」も求められる)だけではなく、「韻文」「文法」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で5000~6000字程度(本年度は増加して約6700字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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