横浜雙葉中学校 入試対策
2019年度「横浜雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「横雙の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ずは「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「詩」や「俳句・短歌」といった「韻文」の知識までも押さえておきたい(実際に出題されている)。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000~6000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
横雙に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
横雙の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「横雙の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(横雙の「自由記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)。
意識
どのような場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漫然と机に向かっていても無駄なだけだ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。
「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
50分という時間で解き進めていく横雙では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2019年度「横浜雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「総合的知識問題」。
小問は全2問(解答数15)。「漢字の読み書き」(各4問)。「修学旅行についての『会話文』と『地図』」からの出題(「語句の意味」「文学史」「漢字の読み」「発言意図」「語の並べ替え」など)。全問を4分程度で終えたい。
大問二は「小説」、出典は瀬戸内寂聴「青い花 瀬戸内寂聴少女小説集」(文字数約4400字)。
小問は全9問(解答数12)。「選択肢」(「不適切」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」2問)、「総合的知識問題」(「表現技法」とその「効果」)。問題文は5分半ほどで読み、設問を15~16分で解きたい。
大問三は「説明文」、出典は小野雅裕「宇宙に命はあるのか――人類が旅した一千億分の八」(文字数約2900字)。
小問は全8問(解答数11)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「自由論述」(「字数指定なし」1問)。問題文は4分弱で読み切り、設問を20分強で解きたい。
【大問1】「総合的知識問題」(「漢字」「文学史」など)
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
「総合的知識問題」。「漢字の読み書き」、「語句の意味」、「文学史」、「発言意図」、「語の並べ替え」などが問われている。毎年、出題分野は異なるが、「語彙力」「国語常識」等を含め、あらゆる「高度な総合的知識力」が問われるのが【大問一】で、本校の最初の関門となっている。本年度の一部を検証したい。
[問一] 「漢字の読み書き」(「読み」と「書きとり」各4問)。「送りがな」が必要な場合は「ひらがな」で記す。
「神奈川女子御三家」のひとつである本校ならではの難解さがある。悩ましいものを確認したい。
(2)「夢をハグクム」=育む⇒「漢字」は分かるだろうが、「送りがな」に注意すること。
(3)「食料をチョウタツする」=調達⇒分かっているようで曖昧(あいまい)かも。「必要なものをととのえること」という意味も正確に押さえておきたい。尚、「達」の右下の「横棒」の数にも注意せよ。
(5)「チームの要となる選手」=かなめ⇒これは定番だ。
(6)「筋金入りの足袋(たび)職人」=すじがね⇒これは難解。「筋金入り」=「身体や思想などが十分に鍛えられていて強固なこと」として覚えておきたい。
(7)「重い荷物を造作なく運ぶ」=ぞうさ⇒「文脈」に注意すること。ここでは「たやすい」という意味の「造作(ぞうさ)ない」(形容詞)だ。名詞の「造作(ぞうさく)」(=つくること。こしらえること)ではない。
本校志望者であれば「失点」は避けたい。尚、「送りがな」は本校のお約束なので、確実に定着させること。また、「トメ」「ハネ」にも留意せよ。
<時間配分目安:1分半>
[問二] 「語句の空所補充選択肢」「作品名判別選択肢」「漢字の読みと意味の組み合わせ選択肢」「発言意図選択肢」「空所補充の語句並べ替え」(全5問)。
「修学旅行での自由行動についての会話文」と、添えられている「イラスト地図」からの出題というユニークな小問だ。さまざまな分野での「総合的知識力」が問われている。2問だけチェックする。
(2) 「作品名判別選択肢」(5択)。「文学史」だ。「会話文」中の傍線部①「森鷗外」の作品を答える。各選択肢は、(ア)「銀河鉄道の夜」、(イ)「山椒大夫」、(ウ)「坊ちゃん」、(エ)「伊豆の踊子」、(オ)「杜子春」。
流石(さすが)に瞬時に判別できるはず。「答え」は(イ)。
ちなみに、他の作品の作者は以下の通り。
(ア)=「宮沢賢治」、(ウ)=「夏目漱石」、(エ)=「川端康成」、(オ)=「芥川龍之介」。
本校では「文学史」が頻出、しっかりと確認しておくこと。
(3) 「漢字の読みと意味の組み合わせ選択肢」(5択)。「会話文」中の傍線部②「大家」の「読み方と意味の組み合わせ」として「適切なもの」を答える。
易しい! などとのんきに構えていてはいけない。この「漢字」には意味の異なる3つの「読み方」があるのだ(いわゆる「同字異音異義語」)。「文脈」を正しく捉えて特定する必要がある。傍線部前後は「森鷗外は日本文学の大家で」となっている。したがって、ここでは「学芸のその分野で特に優れ、ある年輩に達している人」という意味で用いられているので、「答え」は(オ)「たいか――その道に優れた人」となる。
尚、他の「読み方」としては、「おおや(=貸家やアパートなどの持ち主)」、「たいけ(=金持の、または高い社会的地位の家)」がある。なかなかの難問だった。
おなじみの「同音異義語」、「同音異字」「同訓異字」なども無論、押さえておくこと。
<時間配分目安:全問で2分半>
【大問2】「小説の読解」(「説明記述」2問あり)
- 難度:標準
- 時間配分:22分
- ★必答問題
「少女小説」といっても、甘い花園の物語ではない。戦後の自由でのびやかな時代の雰囲気の陰で、確かに存在した戦争の傷痕や貧困など、子どもたちを取り巻く厳しい現実もくっきりと描き出し、その中で少女たちは、自身が置かれた状況と向き合い、正々堂々と健気に明日を切り開いていく――作家・瀬戸内寂聴の原点がここにある。全8作からなる、95歳にして初の少女小説集の一篇。
本文では、東京から疎開してきた8歳の「浩ちゃん」は、村の子どもたちになじめなかったが、2歳年下の「ぼく」とは仲良しになっていった……そんな二人の「青い石」を通じた交流を描いている。舞台が戦時中なので分かりづらい言葉もあるが、「※注」を活用して内容を理解したい。多種多様な小問が並ぶ大問。以下、いくつか検討したい。
[問一(1)] 「表現技法の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」だ。傍線部①「ね、まるい石が、足のうらで、くすくす笑ってるだろう?」について、「ここで用いられている表現の特徴」を答える。
各選択肢は、(ア)「省略」、(イ)「反復」、(ウ)「擬人法」、(エ)「倒置法」、(オ)「体言止め」。
これは平易だ。「まるい石が」「くすくす笑ってる」のだから当然、「答え」は「擬人法」の(ウ)だ。尚、他の選択肢の「技法」も、その内容を理解して定着させておく必要がある。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「換言説明の抜き出し」(「1文のはじめの10字」指定)。傍線部③「思いがけないがんこなていこう」について、「この様子を具体的に表した一文」を抜き出し、「はじめの十字」を答える。
「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。このままではひらがなばかりでわかりづらい(このままでは平仮名ばかりで分かりづらい)。変換する。「思いがけない頑固な抵抗」となる。誰の何に対する「抵抗」なのか? 「同一場面」で「状況」を確認したい(「小説では同一場面の直前直後に、根拠・手がかり・ヒントあり」が大原則)。
直前直後から、「浩ちゃん」が川床で拾った「青い石」を「ぼく」が欲しがり、奪い取ろうとしたことに対して、「浩ちゃん」が「いやだ! これ、ぼくがみつけたんだもの」と言って「抵抗」している「状況」だと読み取れる。つまり、「抜き出し内容」は「『浩ちゃん』の、青い石を奪い撮ろうとしている『ぼく』に対する抵抗の様子」を「具体的に表した一文」ということになる。
次に「範囲」だが、無論、「同一場面」になる。丁寧に探していくと、傍線部の3行前に「浩ちゃんは、石をにぎりしめた右手をしっかりと胸につけると、左手を前にさしだして、ぼくをよせつけまいとした。」という「一文」がある。まさに、「抵抗」の「具体的な様子」だ。
したがって、「答え」は「浩ちゃんは、石をにぎ」になる。「抜き出し」の「解法」に従って確実に解いていきたい。
尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」全てをしっかりと確認すること。
<時間配分目安:1分>
[問四] 「表現の空所補充選択肢」(全3問/6択)。本文中の空所 Ⅰ ~ Ⅲ に「あてはまる表現」をそれぞれ答える。各選択肢は全て「比喩(直喩)表現」になっている。
「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)を活用して、呼応(対応)するものを特定していきたい。
それぞれを確認する。「ぼくは、 Ⅰ 、からだ全体で浩ちゃんにとびかかっていった」⇒「飛びかかる」様子なので、「答え」は(エ)の「だんがんのように」がふさわしいと分かる。
次は、「ぼくは Ⅱ 泣きわめいた」⇒「泣きわめいた」につながるので、「答え」は(ア)の「火のついたように」があてはまる。
そして、「はあっと、息をふきかけると、 Ⅲ 、ぼくの息にぬれて」⇒「ぬれて」=「濡れる」ことになるのだから、「答え」は(ウ)の「水をかけたように」だと判別できる。
「空所補充」では、前後の「文脈」を正しく読み取ることが必須だ。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問六] 「条件付き心情説明記述」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。傍線部⑤「青い石をにぎりしめたまま、ぼくは、きゅうにわらぞうりをつっかけ、浩ちゃんをさがしにかけだしていた」について、「『ぼく』はこのときどのような気持ちだったのか」を説明する。「条件」は「『ぼく』の心の動きをわかりやすく説明する」こと。
先ずは、「ぼく」が「浩ちゃん」を探しに「かけだした」ときの「状況」を「同一場面」で確認する。すると、「浩ちゃん」が、手放したくなかった「青い石」を、欲しがっていた「ぼく」のために、「ぼく」が寝ている間にわざわざ家まで届けてくれた直後だということが分かる。
さらに、「『ぼく』の心の動き」を読み解いていきたい。傍線部の直前から、「ぼく」は「青い石」を「ひとりじめにしていたい気持ち」よりも、「浩ちゃんにみせたい」と思うようになったことが分かり、同時に「浩ちゃんがこの石を手ばなした時のつらい気持ちがこたえて」きていることが読み取れる。また、「たったひとりの遊び友だちをなくすまいとする浩ちゃんのさびしさが、ぼくの胸にもじいんとうつってき」て、「浩ちゃんをさがしにかけだしていた」ことも分かる。そして、傍線部の直後には「その時から、青い石は、ぼくたちふたりの『たからもの』になった」と記されている。
つまり、「ぼく」は「浩ちゃん」に謝り、仲直りをしようとして「かけだした」のだ。以上のようなことを、「心の動き(=変化)」が分かるようにまとめていきたい。
たとえば、「青い石をひとりじめしたいと思っていたが、浩ちゃんの石を手ばなすつらさや、たったひとりの友だちをなくすまいというさびしさに共感するようになり、あやまって仲直りしたいという気持ち。」(88字)となる。
本問のように「変化」を説明する場合は、「A→B」、「何が何に変化したか」がはっきりと分かるようにまとめることが肝要。
<時間配分目安:3分半>
[問七] 「様子説明の選択肢」(5択)。傍線部⑥「ぼくたちの青い石は、こうして、おごそかに川の底にしずめられた」について、「このときの二人の様子はどのようなものか」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「様子の説明」なので、「おごそかに」の「原意」と、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を照合して、直接結びつかない「様子」を「消去」したい。
確認する。(ア)「興奮する様子」、(イ)「緊張する様子」、(ウ)「不安になる様子」、(エ)「恐れている様子」、(オ)「くやむ様子」。
さあ、どうだろうか? 「おごそか」=「気持が引き締まるほど重々しいさま」だということは知っているはず。であれば、(イ)以外は「消去」できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」は(イ)となる。「一発消去」だ。畏るべき「原意消去」、大いに活用すべし!
<時間配分目安:1分>
【大問3】「説明文の読解」(「説明記述」「自由論述」各1問あり)
- 難度:標準
- 時間配分:24分
月、火星、木星、そして、はるかその先へ……人類は宇宙の彼方を目指し続ける――果てしない営みの背後には、「何か」と呼ぶほかない不思議な力がある。宇宙探査の歴史に関するさまざまなエピソードを巧みな筆致で紡ぎあげ、その「何か」の一端を指し示したノンフィクション。
本文では、その中の2つの文章を取り上げている。Ⅰでは「宇宙で何か不可解な現象が見つかったら、単純な仮説を採用するのがよいと説明」し、Ⅱでは「我々は何者なのか? 我々はどこから来たのか? その答えは星空の中にある」と指摘している。「宇宙科学」についての説明だが、平易に書かれているので内容は理解できるはずだ。「内容説明選択肢」「空所補充」などの小問が並び、最後には「自由論述問題」が控えている。以下、いくつか確認する。
[問一] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各5択)。「総合的知識問題」。波線部(あ)「気のおけない」・(い)「途方もない」の「本文中での意味」をそれぞれ答える。
どうだろうか? それぞれの語句の「原意」を知っていれば問題ない。前者は「遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができる」ことなので、「答え」は選択肢(オ)の「遠慮のいらない」だ⇒尚、真逆の「気配りや遠慮をしなくてはならないこと」だと勘違いしている人がとても多いので要注意。後者は「道理に合わない。とんでもない」という意味なので、「答え」は(エ)の「とんでもない」になる。
無論、それぞれの「語句」を知らなくても、「文脈」から判別するというチャレンジはしてみるべきだが、その際注意すべはきは「本文」に引きずられ過ぎて「原意」を無視してはならないということだ。いずれにしても、本校では「高度な語彙力」が求められていることは肝に銘じよ。
<時間配分目安:全問で1分>
[問二] 「語句の空所補充選択肢」(全3問/5択)。本文中の空所 A ~ C にあてはまる「適切な言葉」をそれぞれ答える。各選択肢は、「副詞」と「接続詞」だ。
本校に限らず定番の問題。「接続詞」では、「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外ではどれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認すること。
それぞれの「答え」を確認していきたい。 A には「添加」の意味を表す「接続詞」である(イ)「そして」、 B には「例示」を示す「副詞」の(ア)「たとえば」、 C には「対比」を表す「接続詞」である(オ)「一方」があてはまると判別できなくてはいけない。「候補」はひとつとは限らないので、必ず全ての「代入確認」を試みるべし。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問四] 「理由説明の選択肢」(5択)。傍線部②「そもそも『生命』とは何なのかを、人類はまだ知らないのだ」について、「筆者が『生命』に『 』をつけたのはなぜか」を答える。
当然、「原意消去」から。ここは「理由説明」なので、各選択肢の「文末」を「直接的理由」として、「まだ知らない」に結びつくかどうかで「消去」したいが、「文末」は全て「強調するため」となっているので「消去」は不可能。そこで、その直前の「何を」の部分に着目して「消去」したい。確認する。
(ア)「意味が異なる」⇒「だから」⇒「(『生命』とは何なのかを)まだ知らない」。
(イ)「議論されている」⇒「だから」⇒「(『生命』とは何なのかを)まだ知らない」。
(ウ)「信じている」⇒「だから」⇒「(『生命』とは何なのかを)まだ知らない」。
(エ)「意味が定まっていない」⇒「だから」⇒「(『生命』とは何なのかを)まだ知らない」。
(オ)「例外的な現象につけたものである」⇒「だから」⇒「(『生命』とは何なのかを)まだ知らない」。
さあ、どうだろうか? 「まだ(・・)知らない」のだから当然、「意味が定まっていない」以外は「消去」できるはずだ。念のために、(エ)の他の部分の説明(「宇宙的な観点からみても、『生命』という言葉の」)が誤っていないかを、「同一意味段落」で確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。傍線部直後に「ウイルスが生命か非生命か長年議論され未だ決着していない。ましてや宇宙で遭遇(そうぐう)した未知の現象を、生命か非生命か区別することなどできるだろうか」とある。よって、問題はない。「答え」は(エ)でいい。
本問はやや変則的ではあったが、「理由説明」でも「直接的理由」による「原意消去」を活用すべきだと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問八] 「条件付き自由論述」(「字数指定」なし、「100字ほど」の解答欄)。傍線部⑥「あなたも知りたくはないだろうか?」について、「筆者の問いかけに対してあなたはどのように答えるか」を論述する。「条件」は「あなたの考えとその理由を書く」こと。
本大問の最後にして本校合格への最大の難関だ。先ずは、「何」を「知る」のか、ということだ。「同一意味段落」から、Ⅱの文章冒頭の「我々は何者なのか? 我々はどこから来たのか? 我々はひとりぼっちなのか?」という問いに対する「答え」だと読み解ける。つまり、その「答え」を「知りたくはないだろうか?」という「筆者の問いかけ」に答えるわけだ。もちろん、「あなたの考え」を「論述」するのだから、「知りたい」でも「知りたくない」でも、どちらでもいい。ただし、「条件」に「考え」と「理由」とあるので、いかに「説得力」ある「論述」ができるかを考慮して決める必要がある。ちなみに、筆者は傍線部直前で「僕は知りたい」と記している。また、それは「旅に出たい衝動(しょうどう)と似ているかもしれない」と述べている。そうした筆者の考えを参考にし、また、ⅡだけでなくⅠの文章も踏まえた上で、「あなたの考え」と「理由」をしっかりと論述していきたい。本校の「自由論述」、受験生全員がしっかりと「準備」をしてくるので心してかかること。
<時間配分目安:4分程度>
攻略のポイント
●最大の難関は本校定番の「自由論述」だ。どのように「攻略」するか? 毎年「題材」が異なるのだから、予め「テーマ」を定めて「意見」をまとめておくといった準備は不可能だが、常日頃「考える習慣」を身につけることはできるはず。「練習問題」(特に「論説文」)などで、「筆者の考え」に対して「私ならどう考えるのか?」ということを自問自答する。その際、重要なことは「理由」を明確にすることだ。そして、「自分自身の考え」と「理由」を「論述」としてまとめておく。それは通常の「説明記述」の練習にもなる。意識すべきは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくということ。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。「自由論述」は「100字程度」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておくこと。「合格ライン」は7割程度と高い(「合格者平均得点率」の7年間平均は71.2%、本年度は72.2%)。年度によって上下はあるが、誰もが「対策」をして臨んでくる「自由論述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ。
●他の「読解問題」の「攻略」にとって最も重要なのが、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて解き進めていくということだ。様々な基本的「解法」を完全に習得し、適切に応用できるようにしておく必要がある。
●「総合的知識問題」も侮れない。「高度な語彙力」(「大人の語彙」も求められる)だけではなく、「韻文」「文法」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で5000~6000字程度(本年度は昨年度よりさらに増加して約7300字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。
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