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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「横浜雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「横雙の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ずは「語彙力」日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「詩」や「俳句・短歌」といった「韻文」の知識までも押さえておきたい(実際に出題されている)。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000~6000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

横雙に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい

解法

横雙の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「横雙の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(横雙の「自由記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)

意識

どのような場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漫然と机に向かっていても無駄なだけだ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。

「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていく横雙では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2022年度「横浜雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

三大問は「総合的知識問題」ほか。小問は全2問(解答数14)。「漢字の読み書き」(全8問)。「詩」(三好達治作「かよわい花」)とその「鑑賞文」(文字数約300字)からの出題(「文法」「表現技法」「考察記述」など)。全問を5分程度で終えたい。大問は「小説」、出典は森絵都「あしたのことば」所収の「風と雨」(文字数約4500字)。小問は全10問(解答数13)。「選択肢」(「不適切」、「空所補充」、「脱文挿入」、「複数解答」あり)、「抜き出し」、「四字熟語記述」、「説明記述」(「字数指定なし」3問)。問題文は5分半ほどで読み、設問を16~17分ほどで解きたい。大問は「論説文」、出典は伊藤亜紗編「『利他』とは何か」所収の伊藤亜紗「『うつわ』的利他――ケアの現場から」(文字数約2500字)。小問は全9問(解答数12)。「選択肢」(「空所補充」、「総合的知識問題」、「複数解答」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「考察論題」(「字数指定なし」2問)。問題文は3分弱で読み切り、設問を20分強で解きたい。

【大問一】「総合的知識問題」(「文法」「表現技法」など)

  • 難度:標準
  • 時間配分:5分

「総合的知識問題」。「漢字の読み書き」、「接頭語」・「語の用法判別」・「空所補充の抜き出し」・「表現技法判別」、「考察記述」などが問われている。毎年、出題分野は異なるが、「語彙力」「国語常識」等を含め、あらゆる「高度な総合的知識力」が問われるのが大問】。本校の最初の関門となっている。本年度の一部を検証したい。

[問一] 「漢字の読み書き」(「読み」4問と「書きとり」4問)。「漢字」を「ひらがな」に、「カタカナ」を「漢字」に直す。「送りがな」が必要な場合は「ひらがな」で記す。「神奈川女子御三家」のひとつである本校ならではの難解さがある。本年度は例年と比較してやや平易だ。本校志望者であれば「全問正解」したい。特に悩ましいものを確認したい。(3)「いつも座右の銘を大切に生きよう」=「座右」⇒「座右の銘」(=自らの行動の戒めとするために日常的に心に留めておくための言葉)という慣用表現で定着させておきたい。(5)「カッコたる意志」=「確固」⇒これはできて然(しか)るべき。(6)「新型客船が明日シュウコウする」=「就航」⇒意外と馴染みがないか? 「船舶や航空機が初めて航路につく」ことだ。知らなかった諸君は押さえておくこと。(7)「学校でマジメに勉強する」=「真面目」⇒「読み」の定番だが、本校では「書きとり」で問われる。本校の求める「語彙力」の一端が垣間見られる。尚、「送りがな」は本校のお約束なので、確実に定着させること。また、「トメ」「ハネ」にも留意せよ。

<時間配分目安:1分半>

[問二]  「詩」とその「鑑賞文」からの出題(全6問)。「文法」、「空所補充」、「表現技法」が問われ、最後に「考察記述」が課されている。標準的難易度だ。2問だけチェックしたい。

[2] 「語の用法判別選択肢」(5択)。「文法」。「ない」の用法判別だ。「詩」の中の傍線部②の「はかない」の「ない」と「同じはたらきをしているもの」を答える。「ない」の判別は本校に限らず、「文法問題」の定番。「形容詞」(=自立語)・「助詞」(=付属語)・「その他」(=単語の一部等)、これらのどれかだ。各選択肢を判別していく。(ア)「持っていたはずのかぎがない」⇒「一文節」だと分かる=自立語=「ない」という形容詞。(イ)「私は知らない」⇒「一文節」は「知らない」⇒動詞「知る」という「自立語」に付属している=付属語=助動詞。(ウ)「自分がなさけない」⇒「一文節」は「なさけない」⇒ここでの「なさけ」と「ない」は単語に分けられない=「なさけない」という形容詞の一部。(エ)「わらえない話だ」⇒「一文節」は「わらえない」⇒動詞「わらう」という「自立語」に付属している=付属語=助動詞。(オ)「今年の冬はさむくない」⇒「一文節」だと分かる=自立語=「ない」という形容詞。さて、傍線部の「はかない」⇒「一文節」は「はかない」⇒ここでの「はか」と「ない」は単語に分けられない=「はかない」という形容詞の一部。よって、「答え」は(ウ)だ。本問は難解ではなかったが、本校ではさまざまな形式での「文法問題」が頻出なので、確実に理解し定着させておくことが肝要だと心得よ。

<時間配分目安:30秒強>

[6] 「考察記述」(「字数指定」なし、「15字ほど」の解答欄)。「鑑賞文」中の傍線部③「いったい『どこへ』帰るのか」について、「花たちはどこへ帰る」と「あなたは考えるか」を「あなたの言葉」で答える。植物である「花たち」が「帰る」とはどういうことなのか? それを読み解いて考察しなければならない。「鑑賞文」なので、「詩」に手がかりを求めたい。「花たち」が「帰る」ことが記されているのは最後の4行だ。確認する。「みんな短い命です/けれども時間を守ります/さう(そう)してさつ(っ)さと帰ります/どこかへ帰つ(っ)てしまひ(い)ます」となっている。「短い命」「時間を守る」「さっさと帰る」⇒生物である「花」がひとつの「生命(いのち)」を終える=「死」だと類推できるはずだ。では、どこへ「帰る」のか? 「死んだ花」は「次の世代の花」を咲かせるために「種」となり、やがて新たな「芽」となり……。であれば、命を終えた「花」は「土(大地)」へと「帰っていく」と考えられるに違いない。したがって、「答え」は、たとえば「生命を育む大地(土)。」、「命をつないでいく自然。」、「生態系というサイクルの中。」などとなる。「考察問題」は「あなたの考え」を答えるのだが、「手がかり・ヒント」がなければ考えられないので、「問題文」「設問」「条件」等から読み取ることが大前提になると心得よ。

<時間配分目安:2分>

【大問二】「小説の読解」(「説明記述」「脱文挿入」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:22分
  • ★必答問題

Ⅱ「ことば」は新しい未来へつながる――直木賞作家が「言葉」をテーマに綴(つづ)った8つの物語の一篇。小学校のクラスの中のグループの分裂によってひとりになった「風香(ふうか)」は、無口な「瑠雨(るう)」と一緒にいることが多くなる。国語の言葉集めの時間、自分が思いもしない言葉を書いた「瑠雨」の紙を見て、「風香」は彼女のことをもっと知りたくなり……。本文では、しゃべらない「瑠雨」と仲良くなりたい「風香」が、「ターちゃん(祖父)」の「謡曲(ようきょく)」を聞いてもらうという名目で彼女を自宅に招いたときの様子が描かれている。問題文は、という2つの「エピソード」に分かれている。両者の「視点」が異なっているので注意して読み分けたい。また、目まぐるしく設問内容が変化していくので、慎重に解き進めること。以下、いくつかを検討してみる。

[問一] 「空所補充の四字熟語記述」(全3問/5択)。「総合的知識問題」。「四字熟語の用法判別」および「漢字記述」だ。本文中の空所  A  C に「「当てはまる四字熟語」を「漢字」に直して答える。各選択肢は、「いしんでんしん」・「いちねんほっき」・「いっきょいちどう」・「いちじつせんしゅう」・「いっせきにちょう」だ。各空所前後の「文脈」から「答え」を特定し、記述していきたい。「瑠雨ちゃんの A (ときどき、動きを止めて、じっとなにかを見つめていたりする)に目をこらすほどに、……」⇒「動き」や「しぐさ」を表すと分かる⇒「いっきょいちどう」=「一挙一動」。「真の友ってのは、しゃべらなくたって通じあえるもんだ。 B ってやつよ」⇒「話さなくても通じ合える」ということ⇒「いしんでんしん」=「以心伝心」。「(瑠雨ちゃんと)ぐんと仲よくなれるかもしれない。ついでに、瑠雨ちゃんがターちゃんの謡曲を『才能なし』って判定してくれて、ターちゃんが自信をなくしてうたわなくなったら、 C だ」⇒「仲よくなれる」ついでに「うたわなくなる」⇒同時に「ふたつのこと」をなしとげる⇒「いっせきにちょう」=「一石二鳥」。「いちねんほっき」と「いちじつせんしゅう」についても、それらの「意味用法」「漢字」は必須定着語彙だ。万が一にも知らない諸君がいたら猛省し、復習すること。尚、本校では「四字熟語」に限らず、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」等についても頻出なので、覚悟せよ。

<時間配分目安:全問で2分弱>

[問二] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部①の「今の距離だと、瑠雨ちゃんの耳にきこえているものが、わたしにはきこえない」とは「どういうことか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「きこえない」の「原意」と、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を照合して、直接結びつかない「換言説明」を「消去」したい。確認する。(ア)「きくこともできないということ」、(イ)「近づくことはできないということ」、(ウ)「引っ越したいということ」、(エ)「感知できるということ」、(オ)「必要があるということ」。さあ、どうだろうか? 「きこえない」のだから、 「きくこともできない」以外は、当然「消去」できるはずだ。「同一場面」を確認して、他の部分の説明も特に誤っていないことが分かる(「小説」では「同一場面の直前直後に、根拠・手がかり・ヒントあり」が大原則)。したがって、「答え」は(ア)となる。「一発消去」だ。畏るべき! 「原意消去」、大いに活用すべし!

<時間配分目安:1分以内>

[問五] 「心情説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部②「コレハナニ?」について、「ここから読み取れる『わたし』の気持ちはどのようなものか」を説明する。先ずは、何に対して「コレハナニ?」なのかを読み取りたい。「同一場面」の直前から、「おじいちゃん」がうたいはじめた「洋曲」だと分かる。そして、それは「わたし」にとって、「ぜんぜん洋曲じゃなかった!」し(実は「洋曲」ではなくて「謡曲」)、「音楽でさえなかった」。「きいたことのない音」に対しての「わたし」の「思い」が「コレハナニ?」ということだ。さらに、直後で「わたし」は、「とらえどころのない音」を「負けじと追いかけ」て、「えたいの知れないこの音は何なのか。お経? おまじない? ちがう……」と正体を探り、「この音には、どうやら節と言葉がある」と「発見」している。こうした「状況」から、「わたし」は「おじいちゃんの『洋曲』」について詳しく知りたいのだと読み取れるはずだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「おじいちゃんがうたいはじめた『洋曲』の、きいたことがなくえたいの知れない音は一体何なのかを深く知りたいという気持ち。」(58字)という「答え」になる。「小説」では、「同一場面」の「文脈」から「状況」をしっかりと読み取ることが肝要だ。

<時間配分目安:2分半>

[問七] 「脱文挿入選択肢」(5択)。示されている「一文」は、本文中の【 あ 】~【 お 】の「どこに入るか」を答える。「脱文」は「そう気づくなり、ぐん、と耳の穴のおくゆきが広がった気がした。」というもの。「脱文挿入」では当然ながら、「脱文冒頭」の「接続詞」「指示語」などに着目して、「入る箇所」との繋(つな)がりを捉(とら)えることが最優先だ。本問では「そう」という「指示語」がある。指し示すものは無論、直前だ。各候補の直前をチェックする。「毒キノコのイラストつき。【 あ 】」、「(おじいちゃんは)どうどうとはげていた。【 い 】」、「ぜんぜん洋曲じゃなかった!【 う 】」、「むかしのうたなんだ。【 え 】」、「雨がふっていた。【 お 】」。「気づく」ということなので、【 う 】か【 え 】に決まっている。次に、「気づく」→「耳の穴のおくゆきが広がった」というつながりで「答え」を絞り込みたい。【 う 】→「わたしは耳をうたぐった」、【 え 】→「わたしはむちゅうで音をひろった」。一目瞭然、「答え」は【 え 】になる。尚、「選択肢」ではない「脱文挿入」では、「形式段落の最後」に「挿入」されることがほとんどだと心得ておきたい。 

<時間配分目安:1分強>

【大問三】「論説文の読解」(「考察論述」2問あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:23分

Ⅱ他者と共に生きる術とは? コロナ禍によって世界が危機に直面する中、いかに他者と関わるのかが問題になっている状況で浮上するのが「利他」というキーワードだ――「他者のために生きる」という側面なしに、この危機は解決しないからだが、道徳的な基準で自己犠牲を強い、合理的・設計的に他者に介入していくことが、果たしてよりよい社会の契機になるのか? そこに根源的に迫る論考集の一篇。本文では、「利他の大原則」・「コロナ禍のなかでの相互扶助」・「ケアすることとしての利他」という視点で、非常時の例などを挙げ「利他」の本質を考察している。難解な語句が多数あるが(「※注」が12もある)、なんとか内容を理解してほしい。「表現変化説明」といった新傾向の出題や「考察論述」等、多様な小問が並んでいる。以下、いくつか確認する。

[問三] 「表現変化説明の空所補充の語句選択肢」(全2問/6択)。「文法的要素」あり。波線部(あ)「利になるだろう」・(い)「喜ぶはずだ」・(う)「喜ぶべきだ」について、「このような表現の変化によって、筆者はどのようなことを表そうとしているか」を「説明した文」の中の空所 Ⅰ  Ⅱ に「当てはまる適切な言葉」を答える。「説明文」は「はじめは、自分の行為が相手にどう受け取られるかを Ⅰ するだけであったが、徐々に相手に『こう思ってほしい』と自分の気持ちを Ⅱ する様子を表している」。各選択肢は、(ア)「強要」・(イ)「予知」・(ウ)「解放」・(エ)「確信」・(オ)「願望」・(カ)「推測」だ。さて、どう考えていけばいいのか? 皆目見当がつかない……、いや、ちょっと待て、何かに気づかないか? 各波線部の「文末」だ。「だろう」→「はずだ」→「べきだ」と変化している。それが、「説明文」では「 Ⅰ するだけ」→「 Ⅱ する様子」となっている。空所に対応するのは、「だろう」→「べきだ」となる。「文法」を考慮し「助動詞」の「意味・用法」で判断すると、「推量」→「命令」だと分かるはずだ。よって、「答え」は Ⅰ =「推測」の(カ)、 Ⅱ =「強要」の(ア)になる。本問のような新傾向の設問では、「自らの知識」を総動員して何かに着目し、何らかの「手がかり・ヒント」をつかむことで道が開けると心得よ。

<時間配分目安:全問で2分半>

[問四] 「言葉の意味の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。「ことわざ」だ。傍線部③の「情けは人のためならず」という「言葉の意味」を答える。上位校では頻出なので正確に定着させていれば何の問題もないが、曖昧(あいまい)だと間違いやすいの「ことわざ」だ。「人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる」ということ。したがって、「答え」は(ウ)の「人に親切にしておけば、いずれ自分にもよい報いがある」となる。決して、(イ)の「人に情をかけて助けることは、相手のためにならない」ではないので注意したい。文化庁の「国語に関する世論調査」(平成22年度)でも半数近い人が「人に情けをかけて助けてやることは,結局はその人のためにならない」を答えている。「ことわざ」に限らず、「言葉の意味」を勘違いして覚えている人が結構いるので、知っているつもりでもしっかりと辞書で確認しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分弱>

[問六(2)] 「条件付き理由説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。傍線部⑤「どうなるか分からないけど、それでもやってみる。ブレイディみかこは、コロナ禍の英国ブライトンで彼女が目にした光景について語っています」について、「コロナ禍で英国の人々が立ち上がったのはなぜか」を説明する。「条件」は「このときの状況をふまえて説明する」こと。「同一意味段落」から「理由」を読み取っていきたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。本文は「小見出し」で区切られているので「意味段落」はすぐに分かる。ここでは、傍線部からの5つの「形式段落」だ。その中で、「英国の人々が立ち上がった」ことが語られているのは「2・3段落」だと判断できる。さらに、「条件」である「このときの状況」に着目すると、「政府などの上からのコントロールが働いていない状況下で、相互扶助のために立ち上がるという側面もある」「とりあえず自分にできることをしようと立ち上がった」といった内容が「理由」と結びついていると読み解けるはずだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「政府など上からのコントロールが働いていない状況下で、相互扶助のためにとりあえず自分たちにできることをしようと考えたから。」(60字)という「答え」だ。「論説文」の「説明記述」では「同一意味段落」の読み解きがポイントになる。尚、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。

<時間配分目安:2分半>

[問七] 「換言説明内容抜き出し」(「20字以内」指定)。傍線部⑥の「この『読めなさ』」とは「どういうことか」を「二十字以内」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいくのが鉄則だ。「内容」は傍線部そのもので、「読めないこと」の内容だ。「範囲」は当然、「同一意味段落」になるが([問六(2)]と同じ段落)、ここでは「この」という「指示語」があるので、直前から丁寧に探していきたい。すると1行前に「自分の行為の結果が予測できなくなることにあるのではないか」という部分がある。「結果が予測できなくなる」⇒「読めなさ」に直接結びつくと分かるはずだ。「同一意味段落」の他の部分にこれ以外の候補はないことも読み取れる。したがって、「指定字数」を踏まえると「答え」は「自分の行為の結果が予測できなくなること」(19字)となる。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」全てをしっかりと確認することが肝要。

<時間配分目安:1分強>

[問九] 「条件付き自由考察論述」(「字数指定」なし、「120字ほど」の解答欄)。傍線部⑧「『他者の発見』は『自分の変化』の裏返しにほかなりません」について、「あなたはどのように考えるか」を論述する。「条件」は「あなたの体験を通して論述する」こと。「自由論述」であり「あなたの考え」なので、無論、どのような「内容」にするかは自由。しかし、自由……、自由だからこそ、雲をつかむようで何も思い浮かばないかも知れない。ただ、「本文内容」は無論、「手がかり・ヒント」になる。ここでの「裏返し」は「同じ事柄を逆の面から捉える」ということだと分かるはずだ。したがって、「他者の発見」と「自分の変化」が同時に起こった「体験」を論述すればいいことになる。「裏返し」になる「明確な理由」を「体験内容」と的確に結びつくように論述することを意識してまとめていきたい。本校では、「自由考察論述・記述」は必出だ。志望者は、「設問自体」や「条件」、そして、「本文内容」などを「手がかり・ヒント」にして、「考察」「感想」や「体験」「創作」を「100字前後」でまとめる練習を重ねておくことが必須だ。

<時間配分目安:5分>

攻略のポイント

最大の難関は本校定番の「自由論述」だ。どのように「攻略」するか? 毎年「題材」が異なるのだから、予め「テーマ」を定めて「意見」をまとめておくといった準備は不可能だが、常日頃「考える習慣」を身につけることはできるはず。「練習問題」(特に「論説文」)などで、「筆者の考え」に対して「私ならどう考えるのか?」ということを自問自答する。その際、重要なことは「理由」を明確にすることだ。そして、「自分自身の考え」と「理由」を「論述」としてまとめておく。それは通常の「説明記述」の練習にもなる。意識すべきは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくということ。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校の「自由論述」は「100字程度」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておくこと。「国語」の「合格ライン」は7割弱と高い(「合格者平均得点率」の10年間平均は69.3%、本年度は69.0%)。誰もが「対策」をして臨んでくる「自由論述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ(本年度の配点は10点)。尚、「自由論述の考え方」については、本サイトの「2019年度『横浜雙葉中学校の国語』」を参考にされたし。

●他の「読解問題」の「攻略」にとって最も重要なのが、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて解き進めていくということだ。様々な基本的「解法」を完全に習得し、適切に応用できるようにしておく必要がある。

●「総合的知識問題」も侮れない。「高度な語彙力」(「大人の語彙」も求められる)だけではなく、「韻文」「文法」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で6000~7000字程度(本年度は昨年度より増加して約7400字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

●尚、ここ数年、内容こそ異なるが「新傾向の設問」が連続して出題されている。新たな大学入試制度を意識したものなので、来年度以降も要注意だ。

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