横浜雙葉中学校 入試対策
2016年度「横浜雙葉中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「横雙の社会対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「深知り知識」が求められる横雙ではなおさらだ。そこで、独自の「復習」が必要となる。
塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横雙らしいの「難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
無論、横雙で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[手づくり式学習]
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、横雙ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも触れたとおり、「横雙対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
[意識継続式学習]
いついかなるときであっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
横雙の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か？ 「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2016年度「横浜雙葉中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢歴史｣｡｢人や荷物を運ぶのに欠かせない船の歴史に関する10の説明文｣からの出題。小問は全15問(解答数16)、｢事項(人物)記述｣(｢漢字｣｢ひらがな｣｢数字｣指定)､｢選択肢｣(｢複数完全解答｣｢組み合わせ｣あり)､｢年代整序｣｡
大問２は｢地理｣(一部｢歴史｣｢時事｣混在)。｢本州と北海道･四国･九州がつながった鉄道輸送についてのリード文｣からの出題。小問は全11問(解答数14)、｢事項記述｣(｢漢字｣｢カタカナ｣指定あり)､｢選択肢｣(｢組み合わせ｣あり)､｢説明記述｣(｢字数指定｣なし１問)｡
大問３は｢公民｣(ただし｢時事｣１問あり)。｢横浜市の『日本大通り』をめぐっての『政治』などについての会話文｣からの出題。小問は全11問(解答数14)、｢事項記述｣(｢漢字指定｣あり)｣､｢選択肢｣(｢組み合わせ｣あり)、｢説明記述｣(｢字数指定｣なし１問)｡時間配分としては、１分弱で１問を解くペース。
【大問1】歴史
- 難度：やや難
- 時間配分：15分
｢人や荷物を運ぶのに欠かせない船｣に関連する｢歴史｣についての10の｢説明文｣からの出題。｢古墳時代｣から｢戦後｣までの多種多様な｢歴史的事項｣が問われている｡基本的なものが多いが、中にはドキッとするような｢難問｣もある。また、目まぐるしく解答形式が変化するので、混乱しないように注意したい。さらに、｢各説明文｣の内容にはとても｢難解な事項｣(大学入試レベル)が含まれているが､実際に問われているものとは違うので、｢説明文｣に引きずられてとまどわないこと。以下、いくつか｢設問｣を検討してみる。
[問３] ｢下線部に関する年代整序設問｣(３択)。
｢説明文Ｃ｣中の下線部(う)｢平氏｣に関して、示されている(ア)～(ウ)の｢出来事｣を｢古いものから順に並べ｣答える。｢年代整序｣では、覚えているであろう｢年代｣で無理やり｢整序｣しようとすると、｢数字｣を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず｢流れ｣で考えてつないでいくこと。｢平安時代末期｣の｢平氏の政治｣の｢流れ｣だ。｢保元の乱｣(1156年)に勝利→｢平治の乱｣(1159年)で｢源氏｣を打倒→｢平清盛が太政大臣に｣(1167年)→｢平氏の全盛｣→｢清盛の孫が安徳天皇として即位｣(1180年)→｢源頼朝が挙兵｣(1180年)→｢平氏の都落ち｣(1183年)→｢平氏滅亡｣(1185年)となっている。各選択肢は、(ア)｢保元の乱｣､(イ)｢平清盛の孫が天皇に即位｣､(ウ)｢平清盛が太政大臣｣｡従って、｢答え｣は｢(ア)→(ウ)→(イ)｣｡｢歴史的事項｣は必ず｢背景｣｢流れ｣を理解し、定着させておくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問４] ｢下線部についての事項記述設問｣(漢字指定)。
｢説明文Ｃ｣中の下線部(え)｢平泉｣について、｢世界遺産｣に登録されている｢奥州藤原氏２代目の藤原基衡が建てた寺｣の｢名前｣を｢漢字｣で答える。｢大学入試レベル｣のとてつもない｢難問｣だ。｢平泉｣の｢世界遺産｣＝｢中尊寺｣(初代の藤原清衡が建てた)は誰でも知っているが、｢藤原基衡が建てた寺｣など知るはずもない。｢答え｣は｢毛越寺｣(これで｢もうつうじ｣と読む)｡｢浄土庭園｣があることで知られている。無論、｢捨て問｣で構わないが、本校ではこうした｢深知り知識｣も求められていることは心得ておきたい。
＜時間配分目安：30秒＞
[問７] ｢下線部についての地図上の位置特定選択肢設問｣(５択)。
｢説明文Ｅ｣中の下線部(き)｢織田信長｣について、示されている｢中部地方中心の地図｣(昔の｢国界(くにざかい)｣が記されている)の中から｢尾張国｣を答える。｢愛知県｣だとは分かっていても、東西に｢旧国｣があるので判別できるかだ。｢尾張国｣は｢西｣(現在の｢名古屋市｣周辺)で、｢東｣は｢三河国｣だ。よって、｢答え｣は｢(エ)｣になる。代表的な｢旧国名｣は､｢位置｣をしっかりと押さえておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
[問８] ｢下線部についての選択肢設問｣(５択)。
｢説明文Ｅ｣中の下線部(く)｢豊臣秀吉｣について、｢秀吉が行ったこと｣として｢正しいもの｣を答える｡各選択肢の｢説明｣の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣していく｡(ア)｢安土に城を築いて｣⇒｢安土城｣は｢織田信長｣､｢秀吉｣は｢大阪城｣＝｢不適切｣､(イ)｢検地帳に耕作する人の名前は書かれなかった｣⇒｢耕作者名｣は記入されている＝｢不適切｣､(ウ)｢大仏をつくるという口実で刀狩を命じた｣⇒京都の｢方広寺｣の建立に使うとして農民に武器を差し出させた＝無論、｢適切｣､(エ)｢法令で百姓が武士になることを禁じたが、町人になることは禁じなかった｣⇒｢身分統制令｣で｢町人になることも禁じた｣＝｢不適切｣､(オ)｢朝鮮に大軍を送り、日本から焼き物の高い技術をもった人が朝鮮にわたった｣⇒逆だ。｢朝鮮人陶工｣を｢捕虜｣として｢日本へ連れ帰った｣＝｢不適切｣｡従って、｢答え｣は｢(ウ)｣｡(エ)は判別が難しいが、｢消去｣していけばできるはず。｢選択肢設問｣では｢消去法｣も活用すべし。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問10] ｢下線部についての事項記述設問｣。
｢説明文Ｆ｣中の下線部(こ)｢オランダと中国(清)｣について、｢江戸時代｣､｢オランダ人は出島｣で貿易を行ったが、｢中国の商人の居住地｣は｢何というか｣を答える。｢出島｣は誰でも知っているが、ここでもちょっと｢深知り知識｣が求められている。当時、｢中国人｣は長崎郊外の｢唐人屋敷｣(＝｢答え｣)に収容されていた。｢正確な知識｣をしっかりと定着させておくことが肝要だ。
＜時間配分目安：30秒＞
[問13] ｢下線部についての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。
｢説明文Ｈ｣中の下線部(す)｢岩倉具視を大使とする使節団｣について、｢使節団に参加していた人物｣を｢すべて｣答える｡各選択肢は、(ア)｢西郷隆盛｣､(イ)｢伊藤博文｣､(ウ)｢木戸孝允｣､(エ)｢大久保利通｣､(オ)｢板垣退助｣｡一瞬、悩むはずだ。冷静に判別していきたい。｢使節団｣が渡航中に｢留守政府｣の｢西郷隆盛｣｢板垣退助｣が｢征韓論｣を唱え、帰国した｢使節団｣と対立し、政府を離れたという｢流れ｣は知っていなくてはいけない。であれば､｢答え｣は｢(ア)(ウ)(エ)｣だと分かるはずだ｡｢複数完全解答｣では、｢細部｣をしっかりと検証することが重要。
＜時間配分目安：１分以内＞
【大問2】地理（一部歴史・時事）
- 難度：やや難
- 時間配分：13分
｢2016年北海道新幹線開業｣という｢時事ネタ｣を切り口にした｢本州と北海道･四国･九州がつながっている鉄道輸送についてのリード文｣からの出題｡｢地図｣｢統計資料｣や｢図版｣も含め｢地理｣の様々な分野が問われている。一部｢歴史｣｢時事｣が混在している。｢地図上の位置特定｣や｢統計資料｣の問題で悩ましいものがある。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみよう。
[問１(１)] ｢下線部についての事項記述設問｣。｢歴史｣単元。
｢リード文｣中の下線部(あ)の｢北陸新幹線｣が渡る｢姫川｣流域はある貴重な｢鉱物｣の産地だが、｢縄文時代｣にも装身具として用いられていたその｢鉱物｣の｢名前｣を答える。相当に難解だ。｢知っていること｣から結びつけて考えていきたい。｢三内丸山遺跡｣の出土品から、｢縄文時代｣には｢遠方との交易｣が行われていたことが分かる⇒その中には｢ひすいの装身具｣もあった⇒産地は｢新潟県｣の｢姫川流域｣と結びつけられれば完全だ。｢答え｣は｢ひすい｣｡瞬時に分からなくてもすぐにはあきらめずに、｢知っていること｣につなげていきたい。
＜時間配分目安：１分＞
[問１(２)] ｢下線部についての地図上の位置特定選択肢設問｣(４択)。
｢リード文｣中の下線部(あ)の｢北陸新幹線｣が渡る｢ある川｣の流域では､かつて｢カドミウムが原因の公害病｣が広がったが、示されている｢北陸地方の地図｣(｢河川｣が線で記されている)の中で、その｢ある川｣を答える。｢カドミウムが原因の公害病｣＝｢イタイイタイ病｣⇒｢富山県の神通川流域｣は誰もが知っているはずなので、選択肢は｢富山湾｣に流れこんでいる(ア)(イ)に絞られる。さあ、東西のどちらか？ これまた悩ましい。｢答え｣は西の｢(イ)｣だ。尚、東の(ア)は｢黒部川｣｡｢河川｣などの｢自然地名｣はその｢位置｣を地図上で正確に確認しておく必要がある。
＜時間配分目安：30秒＞
[問２] ｢下線部についての地図上の位置特定選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。
｢リード文｣中の下線部(い)｢新幹線でつながる｣について、｢2027年開業をめざす超電導リニアの中央新幹線｣の｢おおよそのルート｣を､示されている｢中部地方の地図｣(｢ルート｣が線で記されている)の中から答える。いやはや、これも難問。｢リニア新幹線計画｣＝｢品川⇔名古屋を最速40分｣⇒｢2027年開業予定｣までは｢時事問題｣として押さえていても、その｢ルート｣となると困ってしまうに違いない。｢答え｣は､｢神奈川県北部｣｢山梨県中部｣｢長野県南部｣｢岐阜県南部｣から｢名古屋｣に至る｢(イ)｣。当然、｢捨て問｣でいい。しかし、本校では｢時事問題｣でも｢深知り知識｣が必要となることは肝に銘じておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
[問８] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。
｢リード文｣中の下線部(く)｢第二次世界大戦｣について、｢沖縄県では激しい地上戦｣が行われたが、｢組織的な戦い｣が終わった日で｢慰霊の日｣と定められているのは､｢何月何日か｣を答える。参った！ ｢沖縄戦｣が始まったのは｢1945年｣の｢４月１日｣(米軍の沖縄本島上陸)だと知っていても、｢終わった日｣は押さえていなくても不思議はない。だが、ここは類推したい。各選択肢は、(ア)｢３月10日｣、(イ)｢３月26日｣、(ウ)｢６月23日｣、(エ)｢７月26日｣。ということは、｢答え｣は｢(ウ)｣だと判別できるはず。ちなみに､(ア)は｢東京大空襲｣、(イ)は｢米軍の慶良間諸島上陸｣､(エ)は｢ポツダム宣言発表｣。直接的には押さえていなくても、様々な要素から考え合わせていくことも肝要。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問10] ｢下線部に関連する都県名記述設問｣(漢字指定)。
｢リード文｣中の下線部(こ)｢旅客輸送｣に関連して、示されている｢関東地方７都県｣の｢昼夜間人口比率の表｣の｢空所(ア)～(エ)｣で、(ア)に｢あてはまる都県名｣を｢漢字｣で答える。本校だけではなく､｢昼夜間人口比率｣は上位校で頻出。その｢数字の意味｣を的確に理解しておくこと。｢昼夜間人口比率｣＝｢夜間人口100人に対する昼間人口の割合｣､つまり、｢数字｣が大きいほど｢周辺地域｣から｢通勤･通学｣などで人が移動してきているということだ。｢100｣を超えているということは､｢居住者｣よりも｢移動してくる人｣の方が多いということになる。この｢表｣では(エ)のみが｢100｣を超えている＝｢東京都｣だと判断できる。明記されている都県では､｢千葉県｣が｢89.5｣､｢神奈川県｣は｢91.2｣､｢群馬県｣が｢99.9｣となっている。残りの｢空所｣では､(ア)＝｢88.6｣､(イ)＝｢97.2｣､(ウ)＝｢99.1｣｡｢関東地方７都県｣の中で特定されていないのは､｢埼玉県｣｢茨城県｣｢栃木県｣であることから判断すれば、(ア)＝｢ベッドタウン｣の｢埼玉県｣が｢答え｣だと判別できるはずだ。尚、(イ)＝｢茨城県｣､(ウ)＝｢栃木県｣｡｢設問｣を正しく理解して｢統計資料｣の｢意味｣をとらえることが重要。
＜時間配分目安：１分半＞
[問11] ｢下線部に関連する説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、「40字ほど」の解答欄)。
｢リード文｣中の下線部(さ)の｢鉄道輸送を見直す動き｣に関連して、｢国土交通省が『モーダルシフト』を進めている｣のは｢なぜか｣を説明する。｢モーダルシフト｣＝｢自動車による貨物輸送の一部を鉄道や船に切り替えること｣､これは知っているはず。では、なぜ国がそれを進めているのか？ それは、｢自動車｣と｢鉄道｣｢船｣との違いにあるのは当然だ。｢鉄道｣｢船｣は｢自動車｣よりも一度に大量の｢貨物｣を輸送できる＝｢燃料｣(石油)消費を抑えることが可能⇒｢地球温暖化｣の原因となる｢二酸化炭素の排出量削減｣につながる｡このように考えることができるはずだ。なので、たとえば、｢石油消費を減らすことで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量削減になるから。｣といった｢答え｣になる。覚えるべき｢事項｣の｢内容｣だけではなく、その｢背景｣も的確に理解しておくこと。
＜時間配分目安：２分＞
【大問3】公民（1問のみ時事）
- 難度：標準
- 時間配分：12分
- ★必答問題
｢横浜市の『日本大通り』を歩きながらの、『政治』や『経済』『国際機関』に関する親子の会話文｣からの出題。｢公民｣の基礎的問題がほとんど｡速やかに得点を重ねていきたい大問だ。１問だけ｢時事問題｣がある。以下、少しだけ考えてみたい。
[問４(２)] ｢下線部についての統計資料の組み合わせ選択肢設問｣(６択)。
｢会話文｣中の下線部(え)｢国際連合｣について、示されている｢国連分担金の上位６か国の国別割合のグラフ｣(｢2001年｣と｢2013年｣)で、｢Ａ～Ｄ｣に｢あてはまる国名の組み合わせ｣を答える。｢国連分担金｣では、｢１位アメリカ、２位日本｣は誰もが押さえている常識。なので、選択肢は(エ)(オ)(カ)に絞られる。そして、｢Ｃ｣は｢2001年｣と｢2013年｣ともに｢ドイツ｣に次いで｢４位｣なので、｢フランス｣だと分かるはずだ。残った｢Ｄ｣は、｢2001年｣には｢上位６か国｣に入っておらず、｢2013年｣で｢６位｣になっている。｢問題文｣には｢分担金の割合は、各国の経済力に応じて｣とある。従って、｢2001年｣から｢2013年｣にかけて｢経済力｣が伸びた国ということだ。選択肢では｢中国｣か｢ロシア｣｡であれば無論、｢中国｣だと判別できるはず。よって、｢答え｣は｢(オ)｣だ。｢統計資料｣では特徴的な項目に着目すること。また、｢問題文｣は｢ヒント｣でもあると心得よ。
＜時間配分目安：１分＞
[問６(２)] ｢下線部についての条件付き説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、「50字ほど」の解答欄)。
｢会話文｣中の下線部(か)｢国会｣について、｢衆議院の優越が認められている｣のは｢なぜか｣を説明する。｢条件｣は｢『任期』『解散』という二つの言葉を使う｣こと。｢公民(政治分野)｣の定番中の定番。誰もが｢衆議院は参議院より任期が短く解散もあり、国民の意見をより強く反映させられるから。｣と答えたくなるだろうが、それではダメだ。｢国民の意見が反映されること｣が､なぜ｢衆議院の優越｣とはつながるのかという視点が欠けている。｢衆議院の優越｣は｢日本国憲法｣に定められている。ということは、｢三大原則｣と結びついているはず。無論、｢国民主権｣だ。従って、たとえば、｢衆議院は参議院より任期が短く解散もあるので、主権者である国民の意見をより強く反映させられるから。｣といった｢答え｣になる。｢理由説明記述｣では、特に｢直接的理由｣の結びつきを意識することが重要だ。
＜時間配分目安：１分半＞
[問10] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。
｢会話文｣中の下線部(こ)｢住民投票｣について、｢2015年５月に､大阪市を廃止することについての住民投票｣が実施されたが、それについての｢正しい説明｣を答える。難問だ。ローカルなネタで、ここまで｢時事問題｣として押さえている諸君は少ないだろう。各選択肢を確認する。(ア)｢18歳以上の大阪府民が投票｣⇒｢20歳以上｣の｢大阪市民｣＝｢不適切｣､(イ)｢反対の意見の人だけが投票｣⇒無論、あり得ない＝｢不適切｣､(ウ)｢投票率は2014年の衆議院議員選挙よりも低かった｣⇒結果は高かった(知るはずもないが)＝｢不適切｣､(エ)｢結果は、反対が賛成を上回った｣⇒｢わずかに上回った｣ことは大きくニュースになった＝｢適切｣。なので、｢答え｣は｢(オ)｣｡｢知っていること｣だけで特定できないこともないが、なかなか無理がある。｢捨て問｣でいい。ただ、細かな｢時事問題｣も無視できないということは自覚すること。
＜時間配分目安：１分以内＞
攻略ポイント
●昨年度は影を潜めた｢深知り知識問題｣が､本年度は復活した。どう攻略するか？ ｢完全定着｣には限度があるので､｢攻略ポイント｣となるのが｢細部へのこだわり｣と｢知らない事項への対応策｣。前者はいかに｢細部｣に着目して｢判断｣できるかであり、後者はいかに｢知っていること｣に結びつけられるかということで、必ずどこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されていると心得ておきたい。｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。｢深知り知識問題｣への対応ミスによる｢失点｣は絶対に避けたい。
●｢40分という制限時間｣と｢解答数｣を考え合わせると、的確な｢戦術｣が求められる。そこで最も重要なのは｢取れる問題を確実に押さえる｣ことだ。逆にいえば｢取れそうにない問題は潔く捨てる｣という覚悟も求められる。もちろん｢単純ミス｣は絶対にしてはいけない。
●｢地理｣では｢地図｣(｢世界地理｣も含めて)｢地形図｣｢統計資料｣｢模式図｣等、｢歴史｣では｢年表｣｢歴史史料(｢図版｣含む)｣などがよく出題されるので、確実に覚え、常にチェックしておくこと。もちろん、｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。