｢国泰(こくたい)寺｣｢中尊寺｣｢神田明神(みょうじん)｣｢善光寺｣｢円覚(えんがく)寺｣｢薬師寺｣｢平等院鳳凰堂｣｢出雲大社｣､これらの｢寺院｣や｢神社｣の｢歴史｣に関する(Ａ)～(Ｈ)の｢説明文｣からの出題。

｢弥生時代｣から｢現在｣までの多種多様な｢歴史的事項｣が問われている｡基礎的な問題の中に｢難問｣が混在しているというのは例年どおりだが、本年度は｢漢字指定｣がヤバイかも。
以下、いくつか｢設問｣を検討してみる。

[問１(１)]　｢空所補充事項記述設問｣(｢漢字｣指定)。

｢説明文Ａ｣中の空所(　１　)に｢あてはまる言葉｣を｢漢字｣で答える。

｢北海道厚岸町にある『国泰寺』｣に関する｢説明文｣で、空所前後は｢当時(江戸時代後半)､現在の北海道は(　１　)とよばれていた｣となっている。

いきなり､出た！　間違いやすい｢漢字事項｣の代表格だ。｢答え｣は｢えぞ地｣だということは誰でも知っている。が、｢えぞ｣の｢漢字｣はどうか？　必死に覚えたはずだが、果たしてその成果は？　｢蝦夷地｣だ。大丈夫だろうか？　特に､｢蝦｣は一画一画正確に記さなくてはいけない。

ちなみに、北陸･関東北部から東北地方にかけて住み､朝廷に服従していなかった古代の人々のことを表す｢えみし｣も｢蝦夷｣と記すので確認しておくこと。

尚、本大問の[問８]では、｢『吾輩は猫である』の作者名｣が問われている。無論、｢答え｣は｢夏目漱石｣なのだが、これまた、間違いやすい｢漢字｣がある。｢漱石｣の｢漱｣を｢瀬｣としないこと。

本校の｢漢字指定｣､急所を突かれてくるので、念には念を入れて正しく定着させておくことが肝要だ。

＜時間配分目安：30秒＞

[問３]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。

｢説明文Ｂ｣中の下線部(い)の｢中尊寺｣を｢建てた人物の名前｣を答える。

当然、｢中尊寺｣と｢奥州藤原氏｣とは結びついているはず。しかし、｢建てた人物｣を具体的に特定できるか？　｢中学入試｣レベルではなかなかそこまで押さえていないかも知れない。

各選択肢は、(ア)｢藤原清衡｣､(イ)｢藤原秀衡｣､(ウ)｢源義経｣､(エ)｢源頼朝｣｡

無論、(ア)か(イ)､どちらか｡｢答え｣は(ア)の｢清衡｣だ。

ちなみに、｢奥州藤原氏｣は､｢清衡｣→｢基衡｣→｢秀衡｣→｢泰衡｣(源頼朝によって滅ぼされた)だということは覚えておくこと。

やはり、本校ではこうした｢深知り知識｣も求められていると心得よ。

＜時間配分目安：30秒＞

[問５]　｢下線部についての年代整序設問｣(４択)。

｢説明文Ｃ｣中の下線部(え)｢江戸に幕府ができる｣について、示されている(ア)～(エ)のこの時期に｢徳川家康が行ったこと｣を｢古いものから順に並べ｣て答える。

｢年代整序｣では、覚えているであろう｢年代｣で無理やり｢整序｣しようとすると、｢数字｣を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず｢流れ｣で考えてつないでいくこと。｢安土桃山時代末期から江戸幕府成立｣までの｢流れ｣だ。

｢豊臣政権｣で｢五大老筆頭｣であった｢徳川家康｣は｢秀吉｣に危険視される→選択肢(エ)｢(都から離れた)関東地方を領地として与えられ、江戸に城を築き始める｣→｢秀吉死去｣→(イ)｢関ヶ原の戦いで、石田三成らの勢力をやぶる｣→(ウ)｢征夷大将軍に任命される｣→｢２年で将軍職を秀忠に譲る｣→｢駿府で大御所として実権を握る｣→｢大坂冬の陣｣→｢大坂夏の陣｣で(ア)｢豊臣秀頼らをほろぼす｣｡

したがって、｢答え｣は｢(エ)→(イ)→(ウ)→(ア)｣｡

｢歴史的事項｣は必ず｢背景｣｢流れ｣を理解し、定着させておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問６]　｢下線部に関連しての選択肢設問｣(４択)。

｢説明文Ｃ｣中の下線部(お)｢東京大空襲｣に関連して、｢太平洋戦争前後の日本の置かれた状況｣についての説明で｢正しいもの｣を答える。

｢神田明神｣に関する｢説明文｣だ。各選択肢の｢キーワード｣で正誤判別していきたい。

(ア)｢1941年12月、日本はアメリカのハワイの基地を攻撃｣｢ほぼ同時にフランス領のマレー半島にも攻め込んだ｣⇒｢マレー半島｣は｢イギリス領｣＝不適切､
(イ)｢1945年４月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸｣｢地上戦で12万人以上の県民がぎせいになった｣⇒｢12万人｣という｢数字｣が判別できないかも＝保留､
(ウ)｢戦争が始まる前、日本はドイツやイギリスと同盟を結んでおり｣⇒1940年、日本はドイツとイタリア(イギリスではない)と｢日独伊三国同盟｣を結んだ＝不適切､
(エ)｢戦争に国民を協力させるため、五人組という仕組みがつくられ｣⇒｢五人組｣ではなく｢隣組｣､第二次世界大戦当時、1940年に国民統制のために作られた最末端の地域組織だ｡尚、｢五人組｣は｢江戸時代｣の組織で、年貢納入や犯罪防止に共同責任を負わせたもの＝不適切｡

結果的に、｢消去法｣で｢答え｣は(イ)になる。

ちなみに｢沖縄戦｣では県内出身者だけで12万人以上、県外出身者も６万人以上が犠牲になっている。尚、｢東京大空襲｣では約10万人、｢広島への原爆投下｣では14万人、｢長崎への原爆投下｣では７万人が犠牲となっている。これらも覚えておきたい。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問９]　｢下線部についての事項記述設問｣(｢漢字｣指定)。

｢説明文Ｆ｣中の下線部(く)の｢天武天皇｣が｢作り始めた､日本で最初の本格的な都の名前｣を｢漢字｣で答える。

｢薬師寺｣に関する｢説明文｣だ。｢日本で最初の本格的な都｣といえば奈良県飛鳥地方の｢藤原京｣で､｢持統天皇｣(天武天皇の皇后)が築いたはずなのだか……｡確かにそのように習っただろうが、最近の研究では､実際の建設は｢天武天皇｣の時代に始まったことが判明している。
よって、｢答え｣は｢藤原京｣でいい。

｢歴史は日々動いている｣ので、常に最新の情報をゲットしていくことが肝要だ。

＜時間配分目安：30秒＞

※尚、[問11]は、本校では初めてといっていい｢自由論述｣の要素がある出題となっている。示されている｢歴史史料｣である｢貴族の日記｣に関して｢歴史研究｣をするという設定で、｢注目する部分｣と｢研究するテーマ｣を記述するという問題だ。
戸惑うとは思うが、２つの｢例｣が挙げられているので、それらに合わせる形で自分なりに考え、記述していきたい。来年度以降もこうした出題が十分に予想されるので、この機会にしっかりと練習を重ねておきたい。

｢昔から旅を楽しむ習慣があった日本で最近広がっている､体験型･交流型の旅である『ニューツーリズム』に関するリード文｣からの出題。

｢地図｣や｢地形図｣､｢統計資料｣などを踏まえ、｢地理｣のさまざまな分野が問われている。おしなべて難易度が高く苦戦必至の大問だ。中には、｢大学入試レベル｣の超難問もあるが、それらは無論、｢捨て問｣で構わない｡｢農作物の作付面積割合｣で｢稲｣以外を問う[問１(１)]や､｢日本列島周辺のプレートの境目｣を地図上で特定する[問６(１)]などだ｡
以下、その他のいくつかの｢設問｣を確認してみよう。

[問２]　｢下線部についての空所補充都道府県名記述設問｣(｢漢字｣指定)。

｢リード文｣中の下線部(い)｢野菜や果物の収かく｣について、｢トマト｣｢はくさい｣｢メロン｣の2015年度の｢収かく量｣を示した｢表｣の中の空所(　　　　)に｢あてはまる都道府県の名前｣を｢漢字｣で答える(３か所ある空所はすべて同じ都道府県)。

空所は、｢トマト｣の｢第３位｣､｢はくさい｣と｢メロン｣はともに｢第１位｣だ。
本問はさすがに、｢答え｣は｢茨城県｣だと即答できなくてはいけない。

難問の中にこうして紛れている平易な問題、決して失点することなかれ。

＜時間配分目安：30秒＞

[問４(２)]　｢下線部に関連しての説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢60字ほど｣の解答欄)。

｢リード文｣中の下線部(え)｢歴史的･文化的価値のある工場｣に関連して、｢現在日本には21件の世界遺産があるが、世界遺産への登録は新たな問題点や課題が生じる｣こともある。｢どのような問題点や課題が生じる可能性があるか｣を説明する。

｢世界遺産登録｣の｢負(マイナス)の側面｣を説明するわけだ。
この小問、実はとても重要な視点を提起している。近年毎年のように日本では｢世界遺産登録｣がなされており､本校に限らず｢中学入試｣では頻出だ。だが、出題傾向としてはどちらかというと｢祝賀ムード｣一色だ(実際、ニュースなどでもそうした取りあげ方が多い)｡そうしたこともあって、｢プラスの側面｣は誰でもすぐに説明できるが、｢マイナス｣となると、なかなか厄介かも知れないのだ。
ここはしっかりと考えて、説明してみたい。

たとえば、｢観光客が押し寄せることで交通渋滞やマナーの悪化による環境破壊の問題や、元々の状態を維持するための経済的な負担などの課題｡｣といった｢答え｣だ。

｢社会｣での事象には必ず｢表｣と｢裏｣がある。したがって、その両者を常に考えておくことが肝要だ。

＜時間配分目安：２分弱＞

[問５]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。

｢リード文｣中の下線部(お)｢臨海部の工業地域｣について、｢千葉県｣｢神奈川県｣｢静岡県｣｢愛知県｣いずれかの2014年度の｢工業の種類別出荷額｣を示した｢表｣の中の(ア)～(エ)で、｢神奈川県｣のものを答える｡

表中で示されている｢工業の種類｣は､｢鉄鋼業｣｢機械工業｣｢科学工業｣｢食料品工業｣｢パルプ･紙工業｣だ。４県が含まれる｢工業地帯･地域｣の特色を考えて判別していきたい。

先ずは、｢機械工業｣がケタ違いに大きい(イ)は｢中京工業地帯｣にある｢愛知県｣だとすぐに分かる。
次に、｢千葉県｣の｢京葉工業地域｣といえば｢化学工業｣なので、抜きん出ている(エ)だ。
そして、｢パルプ･紙工業｣が断トツの(ウ)は｢富士･富士宮｣がある｢東海工業地域｣の｢静岡県｣｡

となると、｢消去法｣で｢神奈川県｣の｢答え｣は(ア)だと分かるはずだ。

｢工業の種類別出荷額｣は定番中の定番だ。どのような側面から問われても、答えられるようにしておきたい。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問８(１)]　｢下線部に関連しての事項記述設問｣。

｢リード文｣中の下線部(く)｢私たちの暮らしに欠かせない食べ物や工業製品｣に関連して、｢消費者が安心して食品を買うために、食品がいつ、どこで、どのように生産され、どのような経路で店にならんだかを追跡できることを何というか｣を答える。

さて、どうだろうか？　すぐに思い当たるだろうか？　この問題、５～６年前までであればだれもが｢トレーサビリティ｣と即答できたに違いないのだ。その頃の｢時事問題｣としてはごく当たり前の事項だったのだ。しかし、その後必須事項として確実に習得しているかどうかは疑問だ。

このように、過去の｢時事問題｣で現在では忘れ去られてしまっているものがあり、意外と落とし穴になったりすることがある。なので、少なくとも過去５年程度の｢時事問題｣はチェックしておくと安心だ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問９]　｢統計資料についての選択肢設問｣(４択)。｢時事単元｣｡

示されている｢グラフ｣の中の(ア)～(エ)の｢折れ線｣の内で、｢日本を訪れる外国人旅行者数の移り変わり(1980～2015年)｣を示すものを答える。

本校に限らず、最近頻出の｢インバウンド｣(＝｢訪日外国人旅行または訪日旅行｣､この言葉も覚えておきたい)に関する小問だ。

(ア)～(エ)の中で特徴的なのは、(イ)と(ウ)が｢2011年｣だけ一気に下落していることだ。何があったのか？　そう、｢東日本大震災｣と｢福島第一原発事故｣だ。であれば、｢下落｣は不思議ないので、これらの２択になると判断できるはずだ。

そして、(イ)が｢2000年｣以降｢2000万人｣を突破しているのに対して、(ウ)は｢2015年｣に初めて｢2000万人｣を超えている。どちらなのか？　

ここが｢時事問題｣を押さえているかどうかの分かれ目になる。
｢2015年、訪日外国人旅行者が日本人の海外旅行者の数を上回り、2000万人を突破した｣ということが定着してさえいれば､｢答え｣は(ウ)だと判別できる。

ちなみに、｢2018年｣には｢3000万人超｣に急増しているということは、来年度以降のために押さえておくこと。尚、｢2020年東京オリンピック･パラリンピック｣に向けて、｢インバウンド｣関連の出題は要注意だ。

＜時間配分目安：１分＞

｢日本国憲法施行70年を切り口とし、前文に規定されている『平和的生存権』に関連して、現在の国際社会のさまざまな問題点を指摘したリード文｣からの出題。

｢公民｣の基礎的問題が多いが、見慣れない｢資料読み取り問題｣や｢国際分野｣などに難問が潜んでいるので、要注意だ。
以下、少しだけ考えてみたい。

[問２(１)]　｢下線部についての空所補充事項記述設問｣(全２問｡ともに｢漢字｣指定)。

｢リード文｣中の下線部(い)｢平和｣について、示されている｢日本国憲法第９条｣の一部の空所(　 Ａ　)･(　 Ｂ　)にそれぞれ｢あてはまる言葉｣を｢漢字｣で答える。

空所前後は、｢日本国民は、正義と秩序を基調とする(　 Ａ　)を誠実に希求し､(　 Ｂ　)の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する｣となっている。誰もが知っている｢日本国憲法第９条第１項｣だ。が、｢空所補充問題｣として覚えているのは､｢第１項｣の後半が多いのではないか。

｢……戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する｣といった具合だ。

前半に関しては、意外と抜け落ちている可能性がある。｢答え｣は､(　 Ａ　)＝｢国際平和｣､(　 Ｂ　)＝｢国権｣だ。

定着していなかった諸君は確実に習得すべし。
尚、｢前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない｣という｢第２項｣もしっかりと覚えておくこと。

＜時間配分目安：２問で１分以内＞

[問２(２)]　｢下線部についての事項記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢時事｣単元。

｢リード文｣中の下線部(い)｢平和｣について、｢2017年７月ニューヨークの国際連合本部で､日本は採択に参加しなかったが、122か国が賛成して採択された条約｣を｢漢字｣で答える。

典型的な｢時事問題｣だ。無論、｢答え｣は｢核兵器禁止(条約)｣だ。

｢核兵器の開発･保有･使用などを法的に禁止する国際条約｣｡核保有国やＮＡＴＯ(北大西洋条約機構)諸国の大多数､そして、アメリカの｢核の傘｣に入っている日本も参加していないことはしっかりと把握しておきたい。

尚、本校では｢時事問題｣が必出なので、確実に押さえておくこと。

＜時間配分目安：30秒＞

[問５]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。

｢リード文｣中の下線部(お)の｢飢餓｣について､｢世界の食料に関する説明｣として｢正しいもの｣を答える｡

各選択肢の｢説明｣の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣していく｡

(ア)｢アフリカの東部や南部｣｢栄養不足が極めて深刻｣⇒｢アフリカ｣が｢飢餓状態｣が深刻だということは知ってはいても、｢東部や南部｣と限定されると不安＝保留｡
(イ)｢アジアのすべての国｣｢栄養不足の人の割合が国民の５％未満｣⇒｢リード文｣の傍線部直前に｢世界全体で約９人に１人が……十分な食料が得られず｣とあり、｢南アジア｣の国々では食糧事情が悪いということは知っているはず＝不適切｡
(ウ)｢日本で捨てられる食料の量｣｢国連世界食糧計画の年間食料援助量より少ない｣⇒いわゆる｢食品ロス｣のことで、日本ではとても多いことは分かっていても、その量となると……＝保留｡
(エ)｢日本の食料自給率｣｢アメリカやオーストラリアと同じくらい｣⇒日本の｢食料自給率(カロリーベース)｣は｢39%｣で､｢アメリカやオーストラリア｣が｢100%以上｣(食料輸出国)だということは常識＝不適切｡

となると､(ア)か(ウ)､どちらが｢正しい｣のか？　
ここは、｢アフリカ｣が｢飢餓状態｣であることは間違いないのだから、｢答え｣は(ア)だと判別したい。

本校では、このようにとても｢正誤判別｣が難しい出題がある。そうした場合は、自らの｢知識｣を総動員させて判断する他ないと心得よ。

尚、｢リード文｣の傍線部以外に｢手がかり･ヒント｣がある場合も多いのでしっかりと確認せよ。

＜時間配分目安：１分以内＞

※尚、[問７(１)(２)]は｢ユニセフ｣の活動に関連しての小問で、｢500円の募金で調達できる支援物資｣の｢具体例｣と､｢パキスタンでの学校教育平均年数｣という見慣れない｢統計資料｣についての｢不適切説明選択肢設問｣になっている。
一読しただけで、とても容易くは太刀打ちできないと判断できるはずで、無論、｢捨て問｣で構わない。こうした問題で悩んでいるより、次の設問で得点した方がいい(現に[問８]は平易な｢政治分野｣の小問)。
本校では、こうした｢戦術｣も重要になる。